( 加計呂麻島 ・ 諸鈍の集落 )




奄美大島 南部の 加計呂麻(かけろま)へ潜りに行ってきました。

 

4月21日(水) 晴れ


加計呂麻島は、奄美本島から大島海峡を隔てた対岸にある複雑に入り組んだ地形の島である。
南部の古仁屋(こにや)の町からフェリーで生間(いけんま)港へ渡った。
東京からここに着くまでかなり時間がかかった。




宿泊とガイドはダイビングショップ RIKI。
岬の付け根に1軒だけポツンと建っている。

  左の建物が宿泊棟。 右手がショップ。



 中庭は芝生。その先のアダンの茂み脇を下りると浜である  夕食は大満足。初日は大きなシャコ貝で翌日は...↑

 

RIKI は家族経営のとても居心地のよい宿であった。
もちろん生ビールにもこと欠くことはなかった。




 RIKI に一番近い集落は 諸数(しょかず) の集落である。
 夕方、散歩に出かけた。

諸数(しょかず)の集落を望む。

 

桟橋に古仁屋からの海上タクシーが着くのが見られた。

高校生が一人降り、集落へ歩いていった。

 

 

 

加計呂麻島の特徴の一つは、走っている車のほとんどが軽トラックの類ということ。
軽でないと、昔ながらの集落の細い道を通れないからだそうだ。

    浜に面した道路(左手は海)

  道路から集落へ入る小道(1)

    集落へ入る道(2) 集落から出る道。
樹木が美しく、田中一村の絵を思いおこした。

 

 

 

さて、ダイビングである。
今回は、午前中2本、午後1本の3本を二日間潜った。
外洋が3本。内海が3本であった。
一日3本はあまりやらないが、はるばるやって来たのでトライした。

4月22日(木) 晴曇り

生間港より出港。細長い大島海峡を西へ通過し、外洋に出る。

一ツ瀬

 

加計呂麻島の外洋にある岩場のポイント。

回遊魚との遭遇率が高い。
岩場のため透明度は良い。

 

 

 


エントリーすると流れが全くない。
大物は無理かな、と、ちょっとがっかりした。
潜降するとムロアジ、テングハギモドキが群れていた。





   
 ドロップオフにはカスミチョウチョウウオ   カスミチョウチョウウオ



 岩の裂け目に、きれいなスジハナダイの群れがいた。


奄美ホール

やはり加計呂麻島の外の外洋ポイント。
小さな露出岩が波の上に顔を出している。
水中はダイナミックな岩場である。ホールだけでなく、ドロップオフも良かった。

エントリーすると流れていた。透明度は素晴らしい。

 

 小さな露出岩に隠れた水中部分は巨大な岩の根。

 

 

   アカマツカサとミナミハタンポの群れ   イソバナと洞窟の外からの光

 

このポイントはドロップオフもダイナミックであった。

カスミチョウチョウウオのほかにグルクンも群れていた。

水深は34メートルを超えた。

 

 このポイントからの帰りにイルカの群れに遭遇した。
 外洋から大島海峡に戻る。

 

管 鈍 (くだどん

内海(大島海峡)の西側のポイント。


 綺麗な緑色をしたナンヨウキサンゴ。

 その周囲には小型の黄色いナマコが群棲していた。

 ナマコの触手がきれいであった。

 

    



このポイントにはピグミーシーホースもいたが、あまり小さな生物はニガテである。

海から通じている小さな通り池がある。

水深6mほどに、そこへ通じる裂け目がある。

外の光がまぶしい。

この岩盤の天井には、目の錯覚で、空気の溜まりが、キラキラした水溜りになってくっついているように見られる。



浮上すると、岩風呂風の露天風呂の中に出たような感じである。

 

 蘇鉄が茂っており奄美風ではあるが...




 

4月23日(金) 午前:曇り・小雨  午後:晴れ


今日は大島海峡を昨日とは反対側へ行く。
外洋へ出ると波が高い。

久 瀬


加計呂麻島の東側の外洋ポイントである。


波間に小さな露出岩が見える。それがポイントである。


この日は外洋は波が高く船酔いした。

 

安脚場の展望台から露出岩を望む
      (RIKIさん提供)



エントリーした棚は巨大な岩場になっている。 透明度が素晴らしい。

このポイントはダイナミックな岩の根が水中から聳え立っている。
見上げると露出岩にあたって砕ける波しぶきが印象的である。

ドロップオフも迫力があり、気に入ったポイントである。

 

カスミチョウチョウウオが群れている。

イソマグロも回遊していた。

 

 

外洋から海峡内に戻ると一転して穏やかな海に戻った。
次はのんびり系のダイビングである。


安脚場(あんきゃば


加計呂麻島の東はずれで大島海峡(内海)に面したポイントである。
サンゴが群生しているので有名なポイントである。


サンゴの根から根へと進んでいるうちに、真っ白な砂地でコブシメを見つけた。
ゆっくりとサンゴの根に向かっている。
腹がおおきい。卵でいっぱいのような感じである。







サンゴの上を様々な さかなの群れが通り過ぎる。

   ノコギリダイの群れ   タイワンカマスの群れ




嘉 鉄(かてつ


午後からのダイブである。
朝の小雨混じりの曇りから一転して快晴になった。
RIKI から生間港へ向かう途中、眼下に臨む海の色は 濃い群青色からコバルトブルー、ライトグリーンまで変化に富み、
見飽きることがなかった。


   向かいに見えるのが嘉鉄の集落である



嘉鉄は生間港から目と鼻の先の対岸にある嘉鉄集落前のポイント。
10分程で到着した。
内海に面し小さな入り江になっている。
コバルトブルーの水の色が美しい。

エントリーすると真っ白なサンゴの砂地である。
太陽の光が射し込んできて明かるい。

こういったダイビングは楽しくてしかたない。
水深も平均で8メートル程である。


 

小さな根に出会った。
魚群が舞っている。

それを透して、二匹の怪獣が四つ足を突っ張り、空に向かって立っているのが見えた。

 

二匹の亀であった。



亀というものは、たいていノンビリと寝そべって休んでいるものである。
立ち上がっているのは珍しい。

リキさんによると、ホンソメワケベラによるクリーニングの最中なのだそうである。
(亀でも ...?)

 

淡いピンク色したケラマハナダイが舞っている。



嘉鉄は真っ白な砂地のなかに、根が散在している。
ガーデンイールも棲息している。

なかで、中心になる大きな根は素晴らしい。 
驚くほどさまざまな魚が、まさにこの根を覆い尽くしていた。


 ケラマハナダイ

 キンギョハナダイ

 ウメイロモドキ

ウメイロモドキが眼前を通り過ぎる。

スカシテンジクダイの群れ

記念撮影をスカシテンジクダイの群れが邪魔をする


下の砂地にはオニダルマオコゼ。
岩の裂け目にはキンメモドキの群れ。

今の時期でこの有様である。これからさらに魚影は濃くなっていくのだろう。
嘉鉄のこの根は凄い。と感じた。

 

 

4月24日(土) 晴れ

あっというまに加計呂麻島での3日間が過ぎ、帰る日になってしまった。

古仁屋へのフェリーの出航まで時間がある。
そこで、生間港ではなく、その反対側にある諸鈍に RIKIさんに送ってもらい、そこで時間を過ごしてから
生間まで歩いて戻った。

 

諸 鈍

加計呂麻島で大きな集落がこの 諸鈍 しょどん)である。

島の外洋側に面している。
大きな湾の奥に位置し、長浜がある。
堤防の内側はデイゴの並木。
並木の奥に集落があり、集落を抜けると水田があった。


映画「男はつらいよ」の最終作でリリーが滞在していたのがこの集落であり、撮影の記念碑がある。

大きな入り江になっている。

 

 

 

    諸鈍長浜
    デイゴの並木
  300年以上の古木も多い
  集落の生垣。 生垣の下には虎の尾が植わっていた。
   集落内の裏通り    水田

 

 

奄美南部は、自然が色濃く残っている。
植物の種類が豊富である。沖縄の植物と本土の植物の両者が混在している。

水中の世界も多様であった。
外洋のダイナミックなポイント、内海の魚影の濃いポイント。
二日間ではほんの一端を垣間見たに過ぎないが、それでも十分に楽しめた。
久しぶりに水圧をかけ、身体もシャキッとして帰途につくこととなった。
東京から長い時間をかけて訪れただけの価値はある魅力に満ちた島であった。

時間があれば、元ちとせ が生まれ育った嘉徳の集落に立ち寄ってみたかった。

 

写真 :サンヨーSX560、ソニーサイバーショットU10&DIVハウジング


 

  戻 る   2004.4.29    宇田川 東



リンク  加計呂麻島のダイビングサービス  RIKI