カタクリは、「春の妖精」(スプリング・エフェメラル)と呼ばれる植物の一つです。 紅紫色の清楚な花で、気品が感じられます。二枚の濃緑色のまだら模様の葉も、魅力があります。 地上に出てる期間は、春先の2か月程で、夏には葉を枯らし、翌年春まで休眠します。 開花期間は短く、2週間程です。 また、種子から発芽して花を咲かせるまで 8年程かかります。 偶然 出会うと凄く嬉しいのですが、なかなか巡り合えない花です。 コロナで遠出ができない今、近場のカタクリ群生地を 開花の時期を狙って訪れることにしました。 カタクリ・ハンターの記録です。 |
《 記 録 》 |
場 所 | 年 月 日 | ジャンプ先 | |
1 | 練馬区・清水山の森 のカタクリ | 2020年 03月24日(火) | 飛び先@ |
2 | 清瀬市・中里地区 のカタクリ | 2020年 03月27日(金) | 飛び先A |
3 | 瑞穂町・さやま花多来里の郷 のカタクリ | 2020年 04月02日(木) | 飛び先B |
4 | 町田市・町田かたかごの森 のカタクリ | 2020年 04月04日(土) | 飛び先C |
5 | 埼玉県小川町 「カタクリとニリンソウの里」 | 2021年 03月31日(水) | 飛び先D |
6 | 八王子市・片倉城址公園のカタクリ | 2023年 03月24日(金) | 飛び先E |
7 | あきる野市・切欠のカタクリ群生地 | 2023年 03月29日(水) | 飛び先F |
2020年03月24日(火)
練馬区・清水山の森 のカタクリ
ここは白子川浸食谷の北斜面で、1974年に「カタクリが自生してる」との情報が区に寄せられ、練馬区が保全に乗り出し、自生しやすい環境を整備した。
23区唯一の大規模なカタクリ群生地で、約20万株とも云われるカタクリが自生している。 隣の練馬区なので(杉並区の)家からは近い。
カタクリは、ソメイヨシノと同時期に開花するが、まだ全体の3割位で、北斜面全体を覆うには遠かった
カタクリは、晴れた暖かい日中のみ花を開き、曇・雨や 寒さの厳しい日は花は閉じてしまう。
今日は、晴れていたが、寒い北風が斜面を吹きすさび、カタクリは花を閉じたままが大半だった。
カタクリは、種子から開花まで7〜8年もかかり、群落での開花期間は2週間程度。
花をつけた翌年は開花を休む。
次は、満開に開花したカタクリを見に行かねば、と思った。
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2020年03月27日(金)
清瀬市・中里地区のカタクリ
満開のカタクリを求め、清瀬市中里地区のカタクリ群生地へ。
予想通り満開で、花弁は反り返って女王様の冠のように周囲を圧倒していた。
自生地は、 3つの雑木林の中里緑地(A地区、B地区、C地区)に分かれていた。
それぞれ地形が若干異なっていて興味深かった。
C地区→ B地区→ A地区 の順にまわった。
上空からの 武蔵野(北多摩)の雑木林 |
※ 恒例の「きよせカタクリまつり」がコロナウィルスの影響で中止になり、幟やテントやボランティアの姿も無く、普段の郊外の雑木林の姿だった。
地元の人と わずかな撮影者が訪れているだけだった。
C地区 の雑木林のカタクリ
C地区は、平地の雑木林 のなかのカタクリ群生だった。
開花した可憐な姿が、ロープ際に沢山咲いているのを目前にし、思わず興奮した。
B地区の雑木林のカタクリ
B地区のカタクリ群生は、崖の斜面だった。
崖を上がる小道の両側に群生していた。
カタクリは、下向きに咲く姿なので、どうしても崖上側の花に目が行くが、小道の右下側も見事だった。
A地区の雑木林のカタクリ
A地区は、柳瀬川支流(空堀川)になだらかに傾斜している広い雑木林で、散策の小道が通っている。
ここはカタクリが遅く開花する地区で、まだ満開ではなかった。
カタクリは雑木林の葉が繁り、光が入らなくなる5月ごろ 葉は枯れて地表から姿を消す。
地上の姿はわずか3か月たらず。
<番外編> 某所のカタクリ
ここは日が良く当たる 北向き斜面。
一面の群落が真っ盛りだった。 昔のカタクリ畑?を彷彿させる様であった。
台地上のソメイヨシノも満開。
満開のサクラ と 赤紫のカタクリの群落 ・・・ 贅沢な光景だ。 眼福!
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2020年04月02日(木)
瑞穂町(西多摩郡)・さやま花多来里(かたくり)の郷のカタクリ
都内随一を誇るカタクリの群生地を訪れた。
丘陵終端の開けた北斜面で、20万株といわれるカタクリが斜面を覆いつくして花開いていた。
圧巻であった。
鑑賞用のウッドデッキ 「宮崎テラス」 へ |
ここは下草刈りなどの手入れが行き届いており、地元で大事にされていることが伝わってくる。
ちょうど 満開を過ぎた時期であった。
この日は風が強く、薄紫のカタクリの花が 一斉に風になびく姿は 夢幻の世界のようであった。
無数のカタクリの中に、散策路付近で 今年は3つの白いカタクリが見つかったそうだ。
最後の一株がこのカタクリだった。 ボランティアガイドさんが親切に案内してくれた。
幻の白カタクリ |
「さやまカタクリの郷」は、狭山丘陵の西のはずれに位置し、その丘陵の北斜面にあたる。
カタクリ群生地は、黄色い楕円の部分。 この山のカタクリを守り育てたのは、地元で「東京狭山茶」を作っていた宮崎栄蔵氏 1970年代に畳1枚分のカタクリの群生を見て、その花の可憐さに魅かれ、以降40年近く (町が管理する2011年まで)手入れを行い、現在の姿にまで広げた。 |
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カタクリの丘陵の北側には、 茶畑が広がっていた。 |
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2020年04月04日(土)
町田市・町田かたかごの森 のカタクリ
「町田かたかごの森」 にカタクリを見に行った。
ここは、地元に残された貴重な雑木林で、年1回 わずか10日間だけ一般の人に公開されている。
今年は 3/27 〜 4/5 で、今日はカタクリは満開だった。
「かたかご(堅香子)」は カタクリの古名で、日本の山野に広く自生する植物として万葉の時代から親しまれていた。 もののふの 八十娘子(やそおとめ)らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子(かたかご)の花 大伴家持(万葉集) |
この森は、台地上から 急に下り坂になる途中にあり、注意しないと 見過ごしてしまいそうだった。
切通しの左手が「かたかごの森」 | 座っている受付ボランティアの右端に、入口ゲートが見えている |
コナラ、クヌギ、イヌタデなどの雑木林が芽を吹き出したばかしで、その新緑が美しい。
入口ゲートを入ると.. カタクリやスミレが 直ぐに目に付く |
雑木林の北斜面にカタクリが群生しており、ちょうど満開だった。
カタクリの群落 |
ここの特徴は、カタクリを中心として多様な山野草が自生してること。
スミレ、ヒトリシズカ、ニリンソウ、シュロソウなどの(多摩の自然を代表する)早春の花が混じっていて、それが心地よい。
スミレと |
ヒトリシズカと |
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ニリンソウと | シュロソウと |
シュンランや キジムシロは、まだ花を開いていなかった。
今後、様々な山野草が出てくるのだろう。
黄色の円内が「かたかごの森」 高度成長期の1968年頃、このあたりは大規模な開発で 丘陵全域が整地され、マンモス団地(山崎団地)が誕生した。 「かたかごの森」はその外れに取り残された小さな区域で、 1986年 市・地主の協力の下、「かたかごの森を守る会」が 発足し、森の維持管理や研修活動を行っている。 丘陵台地の北斜面に位置し、 台地上から鶴見川へ下っていく坂道途中に入口がある。 |
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かたかごの森は、(多摩丘陵の)相模野台地に位置する。 |
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2021年03月31日(水)
埼玉県小川町 「カタクリとニリンソウの里」
今年もカタクリの群生を見に行った。
場所は、埼玉県比企郡小川町の 『カタクリとニリンソウの里』。
今年は、急に暖かくなり、カタクリは少し盛りを過ぎた感じだった。
仙元山の麓の西光寺から、山裾の小径を槻川(つきがわ)に沿って橋のたもとまで、の約700mの区間が群生地だった。
川沿いの桜も満開で、春爛漫の山里を満喫してきた。
カタクリの大きな群生は、 日当たりのよい斜面上にあり、小径のロープ沿いからは離れていた。 ズームで撮影した。 ニリンソウの群落は、日当たりのよい場所の あちこちにあり、 緑の葉の上の白い花々が輝いており、目に眩しかった。 |
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ボランティア手作りの案内板。その上の斜面にはカタクリが群生。 |
小道の両側斜面は カタクリが咲いている。 (西光寺からの小道) |
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ロープ先の平地の群落はニリンソウ。 斜面はカタクリ群生。 | 手前はニリンソウ群落。 斜面はカタクリ群生。 |
槻川(つきがわ)は清流で、川床が岩場の場所が多く珍しい。 寄居の玉淀や長瀞も同じ山塊の北側なので、こうなのであろうか? 川岸のサクラが満開だった。 |
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黄色の線が、カタクリの観察小道。 約700m。 小道は、地元ボランティアの保護活動のおかげで、カタクリとニリンソウの群生が維持されている。 群生地は、仙元山の北〜北東斜面。 |
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2023年03月24日(金)
八王子市・片倉城址公園のカタクリ
カタクリの群生が見られるとの情報を得て、片倉城址公園へ行ってきました。
片倉城址は京王高尾線・片倉駅のすぐ前で、(浅川にそそぐ)湯殿川と兵衛川に挟まれた小比企丘陵の先端部に位置してます。
城の裏手にあたる北の崖には、片倉沢、奥の沢という沢があり、その斜面に、たくさんのカタクリが自生してます。
北の入り口から登ると、すぐに満開のカタクリが出迎えてくれました。
奥の沢では、沢の中腹をよぎる小道では、道の上の斜面も、下の斜面も 一面のカタクリで素晴らしかったです。
カタクリの群生のなかで、小さく可愛いオオミスミソウが咲いていました。 群れないで咲いている孤高の花です。
片倉城(15C後半: 関東管領扇谷上杉氏の家臣長井氏が築城) 二つの川に挟まれた舌状台地上に築かれてます。 突端部(東)が本丸で、その西に二の丸があります。 円(自生地の斜面)の南に見える芝の広場が二の丸(西郭)で、 その右の小さな三角に見える広場が本丸(主郭)です。 北、東、南は崖で、崖下は江戸時代は沼地だったそうです。 西側からくる敵に対する防衛で西郭は大きく南側に張り出してます。 両郭は空堀がめぐらされています。 |
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2023年03月29日(水)
あきる野市・切欠(きっかけ)のカタクリ群生地
「切欠のカタクリ群生地」を訪れました。
少数の花が出迎えてくれましたが、カタクリは終わっていました。 先週が見ごろだったそうです。
群生地は、秋川に沿った丘陵の北斜面にあり、わかりにくい場所です。 東秋留橋のスポーツ公園の丘陵側に小さな用水が流れ、 橋のたもとに「蛍の郷」という看板があります。 橋を渡って、丘陵の中腹に沿った小道を行くと、観察路があります。 ← カタクリ観察路です。(左斜面はカタクリの緑の株で一杯です。) |
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ピーク時は、斜面一帯に見事な ”カタクリの花の絨毯” が見られるだろう、と感じました。
切欠のカタクリ群生地は、 地主の平野さんの協力で環境が保たれ、観察ができるのです。 小道に「イノシシに注意」 の看板があり、 SNSでは 目撃されたイノシシの写真がアップされていました。 |
← 円で囲まれた処が、加住丘陵・切欠のカタクリ群生地です。 カタクリ観察のあと、秋川の土手に沿って のどかな田園地帯を、高月城跡まで歩きました。 高月城跡は、急峻な崖に囲まれた舌状台地の突端にあり、 下を秋川が蛇行し、多摩川に注いでいます。 高月城跡の東側には、 都内最大級の広さの「高月町の田園風景」が広がっています。 |
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<後 記> 昨年、「清水山の森」を訪れ、カタクリの群生の美しさに惹かれ、都内近郊のカタクリ群生地をまわってみたくなった。 そこで、カタクリ群生地に詳しいHさんから情報を得て、都内 5か所の計画を立てた。 今年、花冷えの為 開花期間が長くなったので、(1箇所を除いて) 4箇所をまわることが出来た。 カタクリの群生地は、それぞれに特色があり興味深かった。 共通しているのは、地域の人々の努力によって群生地が維持されていることであり、カタクリが地元の人々にとても愛されていることだった。 (2020/04/05) |
2020年 03月 29日 宇田川 東 |