2019年 2月23日 〜 6月29日 了    追記:2019年8月7日





オオタカが、都心杉並区の(住宅地を流れる)善福寺川流域に飛来し、子育てを始めてから数年が経つ。
オオタカの繁殖行動が見られると、営巣地となるヒマラヤスギの樹林一帯が、立入禁止エリアに設定される。
今年は、2月25日から立入禁止のロープ設定が予告された。


上流から見たオオタカの営巣地

善福寺川の左手のヒマラヤ杉のエリア
(青い橋は成園橋)



川に沿って緑地帯が続くが、
川の両側の段丘上は、住宅が建ち並んでいる。



その日、鳥情報をフォローしてる@KeitaiSaizerianさんのツイートが目に入った。
『 2月20日(水)  到着時、オオタカいましたが、カメラ出してる間に飛んで行きました。
 その後、夕方近くまで居ましたが戻って来ませんでした トホホ なお、立ち入り規制入るようです。』


わざわざ遠くから来て..との思いがあり、(地元民でありながら関心が無かった)オオタカを見に行くか、と突如思い立った。


           ♂  ♀       ♂  ♀
 ※ 
オオタカ  L 50p〜56p   W 110p〜130p
   サシバ   L 47p〜51p   W 100p〜110p
   ハヤブサ  L 42p〜49p   W 97p〜110p
   ツミ    L 27p〜30p   W 51p〜63p
   カラス   L  56p     W 105p







2019年 2月23日(土) 

さっそく 早朝、朝食前に、善福寺川下流に オオタカが(営巣の為に)来てるか確認に行った。

尾崎橋を過ぎて下流に行くと、ヒマラヤ杉の樹林上を カラスが集団で舞っているのが見えた。 
オオタカのペアが、隣り合う木の中ほどに居り、互いに向き合っていた。
その樹上にはカラスが10羽以上 止まっていた。 オオタカを縄張り侵入者とみなして、威嚇している様子だ。

         オス        メス


早朝にもかかわらず、地元の三脚カメラの人も8人ほどいた。
7:50〜8:15 迄 観察していたが変化が見られず、 お腹が空いて撤退した。




2019年 3月16日(土) 

午後、善福寺川下流へオオタカを観察に行った。
20名ほどのギャラリーが居て、ペアの一羽が戻ってきていた。
樹林の端の木の 頂上に止まっていた。 しばらくして飛び去った。

木のてっぺんで、遠くからでも良く目立った。

距離があるので、(三脚・一脚を使わない)手持ち撮影は大変だった。







2019年 3月27日(水) 

ソメイヨシノが開花し、花見シーズン が到来した。
善福寺川緑地に花見に出かけ(ここは花見の名所なのだ)、尾崎橋まで下ったので、その先のオオタカを観察しに行った。


杉林の後方の枝上にメスが居た。
キュキュキュと良く通る鳴き声で 何回もオスを呼んでいた

変化が無いので、昼食の為(カメラを仕舞い)動き出したら 、オスが飛来し、激しく交尾し、去った
撮影チャンスを失して残念だった。


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※ 下の2枚は、翌年4月7日に、ほぼ同じ場所・状況下で撮った 交尾の様。

        2020/04/07 撮影        2020/04/07 撮影


この頃、かなり頻繁に交尾の姿が目撃されており、4/1 のツイッターでも写真を見かけた


オオタカ・ペアが並んで写ってる貴重な写真(翌年)。 メス(左)は オス(右)より ひとまわり程大きい。

メスがキュキュキュ とオスを誘っていた。

オスが応えて、近くにやって来た。 (←写真)

このあと、オスが移動し、交尾が見られた。
       2020/04/09 撮影





2019年 4月22日(月) 

和田堀池まで散歩したが 途中 オオタカには会えなかった。 


オオタカの飛翔姿(後日撮影)

ヒマラヤ杉から下流方面へ飛び立っていった。


オオタカの飛翔姿は 力強く、翼は厚く感じる。







2019年 5月1日(水) 令和元旦

新天皇の、即位の儀・朝見の儀 を見終わり、昼過ぎ、善福寺川に沿って大宮八幡宮まで散歩に出かけた。

尾崎橋を下って行ったが、オオタカを待つカメラの人は、誰一人いない。 対岸の杉木立の先も同様だった。
オオタカは奥多摩に戻ってしまったのか、と思いつつ歩んだ。


と、行く手の小道わきの木の途中に、カラスのような黒っぽい影が止まっているのが見えた。
曇り空の逆光で、シルエットだけだが 何となくカラスと違う。

念のため単眼鏡で見ると 猛禽のようだ。腹に縞模様らしきが見える。
あまりにスリムな姿で小さく感じられたので、ツミ♀かな? と思った。


レタッチして黒っぽい影を明るくした。


片足での休息のポーズ。
出ベソのようにもう一方の足先が出てる。


通り過ぎる際に何枚か撮って、野鳥はそのままに和田堀池に進んだ。
帰って(水中写真のように)レタッチして影の鳥を明るくしたら、紛れもないオオタカだった。 
12:30頃だった。





〜 和田堀池 〜 大宮八幡宮参拝 〜 釣り堀・武蔵野園でランチ 〜 で帰途に就いた。 14:30過ぎのこと。


川沿いに歩いて ヒマラヤ杉の木立に近づくと オオタカのメスのオスを呼ぶ声が聞こえた。
急いで歩いていくと、(散歩道の上まで伸び)茂っている枝の上にオオタカが居る。


仰向けで枝先から見える姿を撮った。




写真で見ると、白い羽毛が散らばっている。






あまりに近すぎたので、オオタカの姿全体を見るため、善福寺川の対岸に移った。
段丘サイドの対岸は高く、オオタカの居る枝が同じ高さで見えた。 何たる幸運!

大枝の先は路上に張り出している。

この下を 人が通る。


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 ビックリ! 食事の光景が展開されていた! (@_@。

オオタカが獲物を引き裂いて食事してる最中だった。
真っ赤に染まった獲物(ドバト?)が鮮やかだ。

静止姿と異なり、ダイナミックで野性味あふれる猛禽の姿だった。



    ↑ は、素嚢(そのう)が膨らんでいる。


食事中なので飛び立つ恐れもなく 長いこと観察してたが、小雨がパラツキ始めたので急いで(15:10頃)帰途についた。

令和の元旦のサプライズだった。






2019年 5月6日(月)


新緑の10連休 最後の日

午後 のんびりと善福寺川下流へオオタカを見に行った。
ヒマラヤスギの高い位置に巣があり、
抱卵中 のようだ。

巣の中にメスが居るのだが背中や尾しか見えない。

(左向きで寝そべっており、中央に黒っぽく尾の先が出てる。)


そのうち、メスがオスを呼ぶ声を出した。
(オスの声があったらしいが..) と、巣を立って 近くの別の木の枝に移動した。


オスが獲物を運んできてメスに渡し、去った。
メスは小枝の上で獲物を引き裂き、食べ始めた。
 揺れる小枝の上で上手に食べていた。



   バランスを崩して 翼で オットット と..

20分ほど猛烈な勢いで食べ、その後 巣に戻った。

最後に獲物を(下の枝に)落としてしまい、別の枝に移って食べたのがご愛敬だったw


食事タイムはおおよそ 14:50〜15:10 だった。


オオタカ(の食事)は肉眼でも良く見え、近くにいたファミリーなどが集まって、カメラの5、6名と一緒に観察した。


円で囲んだ枝で食事中。

※この二日後(5/8)、この広場の(一番手前)右上の樹上にオオタカが止まっていた、というツイートが流れてきた







2019年 5月11日(土) 


暑い日だった。 午後、出かけたが、抱卵中 のオオタカの姿は巣の中に隠れている。
10分程 緑陰広場に居たら、観察していた人が、オオタカが巣から出た、と知らせてくれた。

メスが巣から出てきて傍らに居る。

枝が邪魔して良くは見れない。


メスは毛づくろいし (フン/オシッコをして)、巣に戻った。
    胸元の毛づくろい中


巣から出て戻るまで、わずか数分間の出来事だった。







2019年 5月18日(土) 


抱卵中 のオオタカは全く動きがない。

早朝なら何か変化があるかと、5:30頃から約30分観察した。 広場に居たのは私の他は 地元の一人だけだった。
オオタカは巣から出てこなかった。



午後、再度行ったら、オオタカの水飲み光景に出会った。

鳴き声(メスがオスを呼ぶ声、オスが餌を届けて鳴く声)が聞こえるまで、広場に面したベンチで待機していた。
そしたら散歩のご夫婦がベンチに来て、”あれ、オオタカが水飲み場にいる”、と。

えっ! と振り返えったら、オオタカが降りてきて、水を飲むところだった。

吃驚して撮った最初の1枚。
少しピンボケだが 全体の状況が分かる。


モニュメントのような水飲場の上に、
ヒマラヤ杉の巣から舞い降り、周囲を警戒してるところ。


  すぐに ズームアップして 撮影..

  頭を上げて飲み干している..     
  しばらくして 飛び立って 巣に戻った。 

     

水飲みは、16:00直前の 1分半ほどの短時間だった。


水飲場は、ケヤキの古木の、幹の間を利用したもの。

現在 オオタカの立入禁止エリアにあり近づけない。。



公園管理者が設置したのだろうが、
他の野鳥は猛禽を恐れて近づかないので、今はオオタカ専用のようだ。





古木を利用した水飲場は、倒壊の危険があるため、翌年に撤去された。

そして水飲みは、杉林の下の善福寺川に移った。 (写真は2021年4月3日)

 岸辺ではなく、オオタカらしく川中へ入って周囲を監視。   数回にわたって水を飲んだ。

オオタカが川の中に入って来たので、近くにいたカルガモが驚いて バタバタと逃げだした。






タマゴからヒナが孵ると、母鳥は巣の中で立ったり、エサを与えたりと、外から見えることが多くなる。
(翌年、タマゴの殻を咥えて、巣から離れた場所に捨てに行った。 カラは白く、鶏卵より小さいが 結構大きかった。5/25 )

また、巣を快適にするためか、広場の端のサワラの木へ飛び出して、枝を折って戻ったり、樹皮を剥がして戻ったりしていた。

  写真は翌年の同時期のもの






2019年 5月25日(土) 


広場で、三脚望遠鏡で巣を観察していた人に聞いた。
今日の昼に はじめて、『巣の中に 3羽の雛 が居ることを確認した』と。
やったー!  

こんな都会のなかで、..無事に成長してほしい。






2019年 5月29日(水) 
( ヒナが確認されてから5日目 )


ヒナは小さく 姿は見れないだろうが、やはり気になり (15:00過ぎ)に営巣地へ行った。
ヒナが全て誕生すると、抱卵を終えたメスは巣から離れ、エサを与えるときだけ巣に戻る。  ヒナは見えなかった。


オオタカのメスは、見通しの良いヒマラヤ杉の頂上に居て、オスが餌を運んでくるのを待ちながら 樹上でカラスなどを監視していた。
@上流が見渡せる開けた樹上 A下流が見渡せる開けた樹上 B川向かいが見渡せる開けた樹上  と 縄張り内で場所を変え警戒していた。

(樹林奥に居て人前に姿を晒すことが少なかったメスが、これ以降(監視の為)表に出てきて、川沿いに行き来する人達に目撃されるようになる。)

  @上流が見渡せる樹上  A下流が見渡せる樹上



オスが餌を運んでこないので、帰ろうとした 16:30頃、
カラス3羽が、変な動きと鳴き声でヒマラヤ杉の上に飛来し、旋回し、
巣のある杉の頂上に止まった。
この時期、巣の中はヒナたちだけだ。
嫌な予感がした。メスは近くに潜んで警戒してるようだ。


3羽でヒナを襲ったら、メスが防戦しても隙が生じ、ヒナがさらわれるのは目にみえてる。
..が、カラスはそのまま去って行った。

安堵したが、カラスはいずれヒナを襲うかもしれない。

 B川向かいが見渡せる樹上



広場で聞いたら、ヒナは27日(月) ビデオで小さなヒナが見つかり、4羽であることが確認されたと。





2019年 6月01日(土) 
( ヒナが確認されてから8日目 )


今日はカラス、カラスの日だった。

オオタカのメスは、餌を運んでくるオスを ヒマラヤ杉の頂上でじっと待っていた。
その姿が気に入らないのか、カラスが何度も来ては 頭上で威嚇していた。 三羽で来たが、一羽はしつこかった。
オオタカはじっと動かなかった。

 緊張してるのか 細身だ   この一羽は特にしつこかった  何度も後ろから首スレスレに迫ってきた




16:00を過ぎた頃、カラスの大集団(およそ50〜60羽?)が けたたましく鳴き交わしながら ヒマラヤ杉のエリアに襲来し、森を占拠してしまった。
発端は、オスが来ないのに耐えきれなくなったメスが、川向うに(狩りに?)飛び出して行って、カラスに見つかり、逃げ帰ってきた際に、集団が追ってきたことによる。
オオタカの巣の頂上にも、カラスが沢山止まった。 攻撃されたら 巣が壊されてしまうのでは、と心配するほどだった。
居るのはメスだけで、オスは戻って来て無かった。


青梅から撮影に来たSさんと、緊張しながら観察していた。
集団は去ったが、 「ねぐら入り」のために集まっていたカラス集団だったようだ。






2019年 6月04日(火)    凄い狩りを目撃した!
( ヒナが確認されてから11日目 )


16:15過ぎに訪れた。
ちょうどヒナたちの食事が終わった後で、カメラの人達は去って残留者が数名だけだった。 
巣の動きも無かった。

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しばらくすると、巣の反対方向から カラスの ギャーギャー騒ぐ声がした。 

駆けつけたら、何と! オオタカのメスが カラスの巣を襲い、親の2羽とバトルを展開していた。
巣立ち前のヒナが居たのだろう。

バトルが終わり、カラスを追い払ったあと。

( 針金ハンガーの巣の上で )



   

  巣の中に入り込んだ。 背中が見えてる。      巣から出てきた。



メスが巣の守りから離れて、狩りに出るのは特別のことだ。
この日は、オスが運んできたエサが少なく、ヒナたちの飢えを満たせなかったのだろう。


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カラスの巣は、オオタカの巣から 80m程離れたトイレ脇の椎の大木の上だった。

神経質な子育てカラスは、下を通る歩行者を威嚇し、襲う為、
幹には 『カラスにご注意ください』の警告板が貼られていた。




 隣り合う巣の二組は、同じようにヒナを育てていた宿敵だった。
 ひんぱんにオオタカを襲撃していた3羽は、この巣のペアと そのヘルパーだったのだろう。
 相手を追い払う為の、喰うか食われるか の争いは避けられず、こうしてオオタカが決着をつけた、と考えられる。



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オオタカのメスはその後、近くの木の高い枝に止まって休憩していた。

素嚢(そのう)が膨らんでるかは よくわからない。



そして... 巣に戻って、ヒナたちに餌を与えた。



( 撮影地点から巣までは距離があり、また暗い。 トリミング拡大したが、画質は残念ながら良くない。)



  真っ白で可愛いヒナたち

やっと、ヒナ & 餌を与えるメス を撮影出来た。


ヒナの確認から11日目だった。
3羽が姿を現わしていた。


   親の到着を待っている。




餌を与え終わり、メスは巣から離れた。




親が去ったので、17:00頃 撤退。
オオタカが、生態系内の「頂点捕食者」であることを再認識した日だった。



(追 記) カラスの反撃
この後の17:30頃、広場でカラス2羽が オオタカを襲撃し、地上で追いつめ動けなくさせたところを、残留カメラマンが救出したと。
その襲撃の様も撮影されていると。
伝聞だけでその写真も見ていないが、一緒にカラスの巣襲撃を観察した方からであり、信憑性の高い情報なので 追記することにした。





2019年 6月 6日(木) 
( ヒナが確認されてから13日目 )

カラスの巣・襲撃の 翌々日

あの巣はどうなっているのか チェックに行った。
巣は放棄され、カラスはもう居なかった。その時 聞いた話では、カラスの雛一羽が巣の下に落ちて死んでいた、と。 
(後日、巣は公園管理者により撤去された。)


オオタカの巣では、真っ白なヒナたちが 元気に動き回っていた。





メスは いつも通りに 樹上で警戒していた。

ヒナをめぐるカラスとの争いは一旦は終了したが、
カラスは復讐の機会を窺っている。





2019年 6月13日(木) 
( ヒナが確認されてから20日目 )


良く晴れた暑い日だった。 10:00〜11:20 ヒナを見に行った。 
着いたら、同じくヒナ目当ての凄い人出で驚いた。 手持ちカメラなので、何とか三脚の列に隙間を見つけ 撮ることが出来た。


ヒナは、真っ白だった羽に こげ茶の縞々が入り、親が巣に置いた 餌を直接 食べていた。 
今の時期、 メスからの口移しと、 置かれたエサを直接食べる、とが 半々だと。

後ろの(頭だけの)ヒナは、頭頂も こげ茶に変色してる。


現在 ヒナは3羽。 小さかった1羽は 巣の下で死んでいるのが見つかっている。





暑い日だったせいか メスが水飲み場 に下りてきて、気持ちよさそうに 水浴び を始めた。 何と! 2回も水の中に入った。
大勢いたギャラリーは 突然の入浴ショーに大喜び。 3日前は終日雨だったので、水が十分に溜まっていたのだろう。

 腹ばいで水に入ってバシャバシャ ※1  足を投げ出して バシャバシャ ※1  バシャバシャを終えて立ち上がった ※1

※1 トリミング前の写真をツイッターで掲載


その後、川向うの電柱に移動し、太陽の下 翼を広げて干しはじめた。

 オオタカの天日干し?


メスは、翼を干し終わり、身ぎれいになって飛び去った。 それを見て 11:20頃 撤退した。





家に戻り 昼食後、14:30頃に再度 訪れた。
そしたら ヒマラヤ杉のはずれで カラスがギャーギャーと威嚇している声がした。
川沿いからは見えないが、成園橋に下る坂道からは、オオタカが杉の枝の間に居るのが見える。(左図)

カラスがオオタカのすぐ上の枝に降り、オオタカを大声で激しく威嚇していた。
自転車を押しながら坂道を通りかかった中年女性が、”またカラスがオオタカを脅している。 カラスってイヤですね。” と 話しかけてくれた。

 頭上に枝が被さっている位置にいる。  上の円内の黒いのがカラス。 オオタカは円内から右に避難


カラスのペアは、執念深くオオタカをつけ狙い、威嚇しているようだ。




2019年 6月19日(水) 
( ヒナが確認されてから26日目 )


久しぶりに 早朝観察 5:00〜6:20 に出かけた。
この時間帯は、地元の人達(散歩者、観察者)中心で、訪問観察者中心の昼間とは全く雰囲気が異なる。


  早朝の地元の観察者は、カメラの人も散歩の人も みな オオタカの生活・ヒナの成長を気にかけている。
  そして、営巣中のオオタカの状況を良く知っている。

  昼間の訪問観察者は、どちらかというと オオタカ/ヒナの写真を撮るのが目的で、被写体としてのオオタカだけに関心が集中してるように思える。
  巣にカメラを向けてヒナの状況を撮るのは、規制域で守られており構わないが、巣の外のヒマラヤ杉の枝上で警戒中のメスに対して、
  真正面にバズーカを据え・狙いを定めて待機し、枝から飛び出す無防備な瞬間を、撃ち落とすように連写で撮るのは止めてほしい。そういう写真を見ると心が痛む。

  バードウォッチャーと バードカメラマンとの違いだろうが、鳥の生態より (鳥が嫌がろうが)珍しい被写体を、だけではどうかと思う。



5:50頃 善福寺川の下流から、狩りを終えた オスが獲物を掴んで飛来した。
(メスを呼ぶもメスはおらず) ヒマラヤ杉の枝先で、しばらく休み 巣へ直行し、エサを置いて去った。

オスはカメラの前に姿を現わすことは滅多に無いので、これは貴重だった。



餌を届けるのはアッという間で、カメラでは捉えられなかった。
既に第1回のエサを食べていたようで、争奪戦は無く、序列順に食べ始めた。

ヒナは またまた大きくなっていた。


エサが中央に置かれ、真ん中のヒナが 食べ始める。

(序列は、真ん中のヒナが一番で、最後は白いヒナ。)


食べ止まないので、
右端のヒナが もう代われと 頭でせっついた。



ヒナが直接エサを食べるようになると、メスは 給餌活動をやめ、営巣地から姿を消すとのこと。 
(縄張り内には居るようで) 今現在は、ときどき姿を現わしている。 これからは、オスがヒナを養育する。





2019年 6月23日(日) 
( ヒナが確認されてから30日目 )


休日なので、巣の観察地点は混雑してると思い、夕方 16:00〜 17:20 に巣を観察した。

4日ぶりだったが ヒナの成長は早い。
盛んに羽ばたきの練習 をしており、少しの距離だが飛び立ち、横枝や、上枝に移る様も見えた。

    二羽が はばたきの練習を   元気な一番ヒナは、上の枝まで 飛んで移った。


ヒナたちは、空腹のため ピィー ピィーと大きな声で エサをねだっていた。
しかし、親はエサを運んでこなかった。


今の時期、ヒナの成長が著しく、巣立ちの日は予測が出来ないそうだ。
突如 一羽ずつ巣立ってしまうこともあり得る状況だと。

今日はオスがエサを全く運んで来なく心配したが、これも巣立ちを強いる戦略なのかどうかもわからないと。





2019年 6月26日(水) 
( ヒナが確認されてから33日目 )


ヒナは巣立ったか? 

気になり、早朝(5:45〜6:45)と午後の2回 見に行った。 3羽はまだ巣に居た

早朝

1番目は、右向きで 上の枝に止まっている。

2番目は、幹の前でうずくまっている。 黒褐色・白い麩紋の背中。

3番目は、前向きで直立している。

三者三様だ



太陽が昇り、朝日が巣に射しこんできている。


今日はメスが、巣の下にエサを運んできたが、ヒナが下りてこなかったので 巣に置いた、とのこと。
エサを与える回数は極端に減っており、ヒナたちは空腹で ピィー ピィーと鳴いていた。
巣立ちは何時になるのだろう?






2019年 6月29日(土) 
( ヒナが確認されてから36日目 )


 ヒナ3羽は 巣立った!

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朝からの小雨は 14:00過ぎには止んだ。 15時半頃、”今 オオタカのヒナが歩いてる”、という散歩者からのツイートが目にとまった。
気にかけていたので、早速現地に向かった。


情報通りで、3番目のヒナが ピィピィ鳴きながら ヒマラヤ杉のエリアを走り回っていた。  
観察してたのは、通りかかった少数の地元の散歩者だった。



1番目のヒナは 巣の下の水飲み場にいた。


2番目のヒナは、ヒマラヤ杉の林を出て、緑陰広場の端の ヤマモモの茂みの中に居た。


1番目と2番目ヒナは、昨日巣立ちし、
3番目のヒナが、今朝 巣立ちしたとのこと。


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  そして... 誰もいなくなった。



15:40〜16:40 まで観察を続け、撤退した。






巣立ちはしたが、幼鳥は さらに1カ月ほどは、巣の周辺で親から餌の採り方や身を守る方法を学ばねばならない。
そして、8月には親元を離れるそうだ。
それまで、元気に生き抜いてほしい。


   ー  終 了 ー









追記 : 巣立ち後の記録   (2019年8月7日 記)


6月28日 1番子、2番子 巣立つ。
  29日 3番子 巣から落ちる。独力で飛び上れず、地表を走りまわる。 → 管理センターが保護する。

    (この前頃から、オスが姿を見せなくなる。 → 何らかの事故にあって死亡、と推察される。)

7月 8日(巣立後10日目) 保護してた3番子を最終放鳥(3回目)する。 (午後8時過ぎ、梯子をかけ トイレの屋根上に放つ。)

7月12日(巣立後14日目) 早朝、犬の散歩に来た老齢女性により 2番子が緑陰広場の草むらの中で衰弱状態で発見され、その後死亡する。


〜 この後、元気な2羽の幼鳥が 連日観察される 〜


7月24日(巣立後26日目)  3番子。 緑陰広場と次の広場の境の サワラの樹上で



7月27日(巣立後29日目)  1番子と3番子。 営巣地で。




 私の最終撮影: 7月31日 営巣地での元気な2羽


8月01日(巣立後34日目) 1番子が飛び去る(独り立ち)

8月02日(巣立後35日目) 早朝5時頃 散歩の女性により、規制域内で 3番子が死亡(餓死)しているのが発見される。

  同日 立入規制が解除される。 (規制期間: 2月25日〜 8月01日) : 行政関係の皆さま、長い間 監視などご苦労様でした。 お世話になりました。



オオタカの幼鳥は独り立ちし、若鳥となって営巣地を旅立ったが、巣立った3羽のうち 1羽だけであった。 
自然界はキビシイ。
あっけない幕切れであった。


 夏草や オオタカたちの 夢の跡


  (2019/08/07)




  【 後 記 】

  ここには関東一円からカメラの人達が集まったようだ。
  私の見聞きした範囲では、青梅から通ってきたSさんと、”私は2時間かけて来ました” と 語った人が居る。

  山林のオオタカの巣へ観察に行くより、住宅地のなかのここに来る方が ずっと好ましいと思っている。 
  山林に負荷をかけることが減り、山林と異なり 巣の中だけでない生態がここでは観察できるからだ。
  私もオオタカの、食事、交尾、抱卵、給餌、見張り、狩りなどを目にし、馴染みが無かったオオタカが急に身近になった。
  観察してるうちに、オオタカ・ペアの子育ての大変さに感じ入り、巣立ちまで見届けることとなった。

  この都会の狭い地域の営巣が実を結んだのは、とても
『稀有な事』『幸運な事』 と思う。
  一つには、
善福寺川流域という環境。 清流域は緑が濃く、縄文人が住んでいた= 野鳥も多い 豊かな生態系 が残された地 であったこと。
  二つには、
地元民とオオタカ観察人のマナーの良さ。 立入禁止・撮影禁止エリアを守り、オオタカが安心して子育てに専念できたこと。
  (特に地元の人にとって、ここは散歩やジョギングや、犬の散歩エリアで、規制や 多くの訪問観察者で日頃のペースが乱され、大変だったと思う。)
  最後は、
行政による営巣地への立入規制。 地元の理解が得られ、訪問観察者も守った。結果、多くの人がここでオオタカ・ヒナを間近に観察し、感激した。

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ところでオオタカにとって、カメラの人達を含めて人間はどういう存在であろうか?
  山林から人間の居住区に移って来たのであるから、人間は( 五月蠅い存在ではあるが )敵とは見なされておらず、生存を脅かす 敵は先住のカラスだろう。
  この地は異常に繁殖したカラス王国であり、オオタカは侵入者で、その巣はカラスの巣を乗っ取ったもので、両者の確執は続くであろう。 
  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  今年はメデタシだった。 来年の営巣は、(ハードな子育てに取り組む)オオタカ・ペアの気力・体力 如何にかかっている。
  来年もと願ってはいるが これだけは不確実だ。

  (最後に、私が観察を続けられたのは、住居が杉並区内で、営巣地まで自転車で 10分以内という近場だったことによる。)





私の観察用具
・小型ズームデジカメ Canon SX420 IS
・コンパクト単眼鏡   Polaris Optics 10X42
・(ミニ)ペットボトル



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