2014年4月5日(土)


 

 群馬県邑楽郡板倉町にある雷電神社に行ってきた。


 
  雷電神社のことを知ったのは30年近い昔のことで、以来 気にかけていた。
 その日、スポーツ紙を読んでいたら最終面・娯楽欄に、この神社が出ていた。

 『
板倉の雷電神社は鬱蒼とした杉木立に囲まれ、長い参道には参詣客のための茶屋が立ち並び、
  その茶屋は、裏手の沼から獲ったナマズ料理を出し、それがここの名物。
』 と 書かれていた。

 それで興味を持ち、社務所に電話して確かめた。
  『
杉木立は伊勢湾台風で倒れ、すっかり明るくなってしまいました。  また、ナマズを出す茶屋は門前で今も営業しています。
 とのことだった。

 

 



 これは明治34年に作成された鳥瞰図 『 群馬県上野国邑楽郡伊奈良村大字板倉 鎮座 雷電神社の景

 雷電神社は三方を板倉湖に囲まれて、そのなかに浮いた小島のような場所に鎮座している。
 二の鳥居から拝殿への参道両側には 茶屋が描かれている。
 拝殿の右にはご神木があり、参道には参詣客も描かれている。





拡大図で見る場合は
出典元の「雷電さまだより(pdf)」を










 この沼は昭和初期に干拓された。
 今は一部が公園として整備されている。
 
 そして、ナマズ茶屋は現在 参道に2軒、国道沿いに移転して1軒が残っている。


 現在の絵電神社の地図。
 三方を囲っていた沼の跡が明らかだ


 小島の先端は、雷電神社の敷地内の伊奈良神社の裏手になる。
 そこが台地の終端で小さな崖になっている。

 雷電神社の左手の沼は、一部が整備されて公園となって残っている。

 雷電神社の右手の沼は、埋め立てられて水路にその跡が窺える。


 描かれていた長い参道は そのままだ。



 







 

 雷電神社は関東地方を中心に東日本に多い。 ここが総本宮だそうだ。


 

  三つ葉葵の紋章が 破風中央に見て取れる。




 ご神木の杉は、枯れたまま二つに折られ、大切に保存されていた。









  極彩色の彫刻が巡らされていたが、その一つ。

  ウナギを捕る子どもたちの情景





 神社の石段の上から下の参道を見る。 遠くに二の鳥居が見える。

 参道の両側に ナマズ料理を出す店 (左:林家  右:小林屋 ) が 向かい合っている。


 


    左側: 林家

   右側: 小林屋
    左側: 林家
   右側:: 小林屋   ガラス戸の入り口は今時 珍しい。



  我々は、右手の小林屋に入って ナマズ・ランチを食べることにした。
  小林屋は1836年創業の老舗で、鳥瞰図にもそのまま大きく出ている。


  小林屋は神社側にも入り口がある。
  割烹旅籠も併設していたようで、右手に少し見えるのがその入り口。



  


小林屋ではメニューの選択に迷った。
まず、「なまず定食」の720円、930円、1130円の違いがわからなかった。

で、「おすすめコース」 を二人前頼んだら、「量が多すぎて食べきれないですよ」、
と云われてしまった。 (おすすめなのに。)




そこで、壁に貼られていたもう一方のメニューからアラカルトで選んだ。
 
 





最初に、小魚煮 と 鯉のあらい



続いて ナマズの天ぷら と ナマズのたたき揚げ

たたき揚げは、
ナマズのすり身と 豆腐、ニンジン、シソの実、小麦粉、ミソを合わせ揚げたもの。
  
頭の大きなナマズは天ぷら用に身を取るとかなりの部分が残ってしまうので
こう料理するそうだ。


ナマズの天ぷらは、ふわっと柔らかく、淡白な味で とても気に入った。
たたき揚げは、表面がカリッとしていて、中はふっくらで シソと味噌の風味が香ばしかった。


最後に、 うな重(並) と 肝吸い 

これが参詣客のために参道で出す川魚料理






  食事を終えた。
  8代目女将の小林雅美さんが 生簀からナマズを出してくれた。


凄い勢いでく暴れていた。

しばらくしたら互いに寄り添って、やっと落ち着いた。
すべて地元で獲れる天然ものだそうだ。

小さいのは天ぷらは無理なので、たたきあげに使われると。


 ところで、小林屋には 「ナマズの卵の天ぷら」 という春先の特別メニューがあり、常連客が心待ちしてるそうだ。
 
 女将の話によると、板倉町はナマズの養殖を試みたことがあったが、共食いするので失敗したそうだ。
 今は、副業でナマズ漁をする地元の人から買い付けているとのこと。 地元の天然物です、と 自慢していた。


店内の情景。

昔懐かしい感じだった。
春先だが石油ストーブがついていた。

入り口から入ると、四人掛けテーブル4卓と 小座敷。
右のテーブルが私たちに食卓。

ここの他に奥座敷や2階の座敷もあるようだ..


  






 雷電神社の隣の公園には 雷電沼がある。 ここも境内の一部のようだ。

 このあたりは奈良時代は伊奈良(いなら)の沼と呼ばれ、人の背丈より高い大藺草(おおいぐさ)が風に波打っていた。

  【万葉歌碑】
  上野(かみつけ)の 伊奈良の沼の 大藺草
  よそに見しより 今こそ勝れ 



  歌碑の裏手は 沼地で、大藺草? が茂っていた。






 手前の沼から 雷電神社の杜を望む。
 沼にはジュンサイのような葉がいっぱいだった。
 桜が満開だ。
  
奥の沼から 雷電神社の杜を望む。
沼には 今は枯れてはいるが大藺草(おおいぐさ)? が茂っていたようだ。
 



 


 雷電神社を去る前に 一枚撮影。

 長い参道の入り口から

 ここは 一の鳥居があったところだ。

 遠くに 二の鳥居と 雷電神社の屋根が見える。

   こうして 長年 気がかりだった 神社と茶屋 を訪れることが出来、 とても満足した。

 


2014年4月14日了

  宇田川 東

 

雷電神社ホームページ
   http://www.raiden.or.jp/index.html
板倉町ホームページ
   名物の川魚料理のページ