カラーボール(ハドソンソフト)
(c)HUDSON SOFT
発売:ハドソンソフト(1984) 媒体:TAPE ジャンル:アクション
評価:★★★★☆
とてもチープな画面を見てもわかるとおり、ハドソンのMSXゲームでもかなり初期の作品ですが、当たり外れが大きい同時期の同社の作品の中でも完成度が非常に高い名作のひとつとなっています。それだけにまさかこの画面を見て名作だと信じることはできないだろうという、あまりにどうかと思う画面のチープさが残念でなりません。
この手のアクションゲームにどれだけの背景設定が必要かは疑問ですが、主人公の天使がはねているボールをフライパンで跳ね返すと色がかわったボールが高く跳ね上がり、すべてを空に返してあげるとステージクリアとなります。ボールは放っておくとだんだん跳ねる高さが低くなってしまうので、その前に打ち返してあげないといけません。絶妙なのが主人公が移動しているあいだはフライパンを出すことができないことと、主人公自身がボールにぶつかるとミスになってしまう点でボールの軌道と落下点を正確に予想して待ち構える必要がありますが、これがボールひとつだけならかんたんでも二つ三つと増えていくと楽しいパニックのはじまりです。
変数処理の定番である放物線の動きが実によくできていて、当たり前ですが高く跳ねているボールと低く跳ねているボールでは落ちてくるまでの時間が異なりますし、高く跳ねたボールほど地面に到達する直前には落下速度が増しています。つまりいくつものボールが跳ねている場合、跳ね返して高く上がったボールは他のボールと異なるリズムで跳ねまわり、より速いスピードで落ちてくるので打ち返すのが難儀になるという訳です。そのためなるべく打ち返すボールはひとつに限定したほうが攻略が楽になりますが、放っておくとボールはだんだん跳ねる高さが低くなっていきますし、跳ねなくなるとミスになるので適度に打ち返しておかなければいけません。低いボールはより短い時間で地面に落ちてしまいますから、なるべくひとつのボールを限定して打ち返したほうが楽にもかかわらず他のボールを放置してはいけないという矛盾が発生する、この矛盾した操作がアクションを楽しいものにしてくれます。
面がすすむとボールが増えたりお邪魔キャラクターまで登場したりと実に凝っていてあきさせませんが、難易度は高いのでけっこうまじめに攻略を試みなければ二面三面あたりで挫折するだろうこと請け合い。なにも説明の必要がない単純なルールと操作で、攻略性の高さと振り回される楽しさを味わわせてくれる名作アクションゲームです。ちなみに操作としてはスペースキーを押しっ放しにした方がやりやすいのではないかと思います。
しつこいですがあまりにチープすぎる画面が残念だということはいくら強調してもしすぎることはないでしょう。
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