GALLEON
掲載:MSX・FAN 作者:川本健二様
投稿プログラムといえば市販ゲームも敵わないほどに完成度の高い作品や愉快なアイデア勝負の作品、決して見事とは言いがたいが作者の根気と愛着が伝わりまくってくる作品まで安易に分類しきれるものではありません。これがショートプログラムになると更にこの傾向が顕著になり、驚くほど多彩な作品が作られていますがわずか数画面に収まる長さのリストで市販ゲームも敵わないほどに完成度の高いゲームができるのか、と言われれば迷わず名を挙げられるのがこの作品でしょう。
ゲームとしてはシンプルな縦シューティングで、次々と飛来する敵をショットの連打で撃ち落していくだけのものです。敵の種類によって動きのパターンが異なり、ランダムで登場しますが一定数が出現すると次の敵が登場します。敵の種類が切り替わる最中には二種類のパターンが混在することになるので、冷静に動きを読みながらひたすら撃ち落していきましょう。スピード感があって動きもなめらか、敵の攻撃も多彩でハイスコアを狙う楽しみを思い出させてくれる作品です。一見するとT&Eのバトルシップクラプトン2や東芝EMIのフラッシュスプラッシュめいても見えますが、ゲーム性はもちろん爽快感を覚えさせる爆発の表現などでもはるかに勝っているかと思います。
問題はこのゲームのプログラムリスト。BASICが分かる人はすぐに気が付くと思いますが、最初の行にマシン語の実行文がある以外はシングルクォーテーションに続いて16進数らしき数字が並んでいるという奇妙な作りになっています。REM文と呼ばれる注釈文を使ってMSXのメモリに直接マシン語を書き込みそれを実行するという荒技で、後にこの方法を応用して一画面プログラムで本格的なオールマシン語作品を組む人も現れるようになる、その走りとなった手法です。ハードウェアの性能ばかりが問われているようなゲーム業界で、プログラミング技術でこれだけのゲームが実現できるという事実をまざまざと見せつけてくれる作品です。
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