第八回大会
西暦2002年2月。中本重工業主催ストライク・バック第8回大会。今大会の開催前に次大会からの機体セッティング、装備等に改変が加えられる事が発表された。これまでの大会では軽量機での近接ブリッツ戦闘、レーザー兵器を中心とした中間距離でのレンジ重視戦術、重装甲全距離対応火力での制圧戦闘など、幾つかの戦法が考案されてきた一方で光学、熱、物理各兵器の特性に関しては殆ど活かされておらず特殊装甲の存在意義も廃れている状況だった。初回より参加しているキバヤシF、WDF、第5回大会より参加しているKUSUNOTEC社の共同による機体改変も進み、ルールの修正と多少のデータ開示が行われる事となった。無論、今回の第8回大会は旧ルールでの開催となる。
トーナメント一回戦 スレイヴバイパーvsファルコ
第一試合は前大会より参戦しているコルネリオ・スフォルァ騎乗の重装甲機ファルコと、優勝経験がありながら敗戦の続いているネス・フェザードとスレイヴバイパー。開始早々、ブロウファングで先制を狙うスレイヴバイパーに乱射したライデンレーザーが一発命中。近接戦闘に持ち込みたい所だが、ファルコは立て続けに連射したレーザーを更に命中させて一気にペースを掴む。スレイヴバイパーの反撃も確実に命中しているが、厚い装甲を破れずに展開は一方的に。回避が追いつかないでいる間にライデンレーザーが追い打ち、更にとどめとばかり並列発射された四本のレーザーの三本が機体を貫き、速攻で勝敗を決した。
○ファルコ(4分機動停止)スレイヴバイパー× 34vs-8
トーナメント一回戦 アークロイアルvsブリムスラーヴス
チームの方針らしい、こまめな機体の乗り替わりが知られているイハラ技研所属テムウ・ガルナ騎乗の機体は、今回は遠距離ミサイル主体のブリムスラーヴス、対するはベテランの中では今一つ戦績の安定しないレイモンド・オースとアークロイアルの一戦。試合は近距離から開始され、ブリッツの初弾を命中させたアークロイアルが先制。だが本来センサー導入により命中精度が上がっている筈のブリッツの二弾目は回避され、やや焦りの色が見える。しかし希望のアウトレンジに持ち込む為に距離を離したブリムスラーヴスにGダムハンマーが命中、しかし交叉して放ったブレイズピアサーも装甲の薄いアークロイアルに二発直撃し、開始わずか3分で両機ともに大ダメージを被る。
そしてブリムスラーヴス待望の遠距離、だが大型ミサイルカロリックノヴァは命中せず、すぐに中間距離に戻されてGダムハンマーとブレイズピアサーが相打ち、更に近接距離で反撃できないままブリッツの連弾で装甲を削られる。そのまま離れてまたもGダムハンマーとブレイズピアサーが相打ち、蓄積していたダメージの響いたブリムスラーヴスはこれで機動停止した。命中精度を上げたGダムハンマーと移動力を上げきれなかったブリムスラーヴスの設定とが勝敗を分けたか。
○アークロイアル(7分機動停止)ブリムスラーヴス× 15vs-3
トーナメント一回戦 ポテンティアティスvsのんびりエターニア
続けて登場したのは軽量機高火力、シャル・マクニコル騎乗のポテンティアティス、対戦相手は謎のニコニコおねーさんこと静志津香とのんびりエターニア。「段階を追えば今回は優勝?」のコメントは冗談なのか自信があるのか判然としないが、不気味な説得力を持っている。
ミドルレンジ主体の傾向に対して遠距離を保ち、狙撃するのがのんびりエターニアのスタイル。開始遠距離の間合いから先制の砲撃を狙うがこれはロックオンが甘かったか外れ、続けてターゲット固定、打ち出された光の槍は一発が回避されたが一発を命中させる。反撃手段のないポテンティアティスは防御姿勢を取って回避に専念、続けて射撃されてくるレーザーの軌道をかわす。更に正確さの増す攻撃も回避、だがこのままでは不利が目に見えているポテンティアティスは加速ウイングで突進、レーザーを一撃受けたものの待望の中間距離へ移行した。逆に反撃能力のないエターニアにライトアロー射出、一発を命中させて状況を引き戻そうと図る。
ここから距離の取り合い、こちらもウイングブースターで加速したエターニアはロックオンレーザーを直撃させ、負けじとポテンティアティスもライトアローで反撃、高出力レーザーが一発命中、だが続けて二度の射出は全弾回避される。このあたりはライデンレーザー系の命中精度の低さが災いしたか。距離を離したエターニアのロックオンレーザーは確実にポテンティアティスを狙い、初弾は辛くも回避したが続けての攻撃はわずかに命中。
なんとかペースの奪還を図るポテンティアティスが中間距離、ライトアローを三連射出、直撃とは言えないまでも二発を命中させてようやく展開を五部に持ち込むが、のんびりエターニアはここで距離を離して反撃、ロックオンレーザーの連続攻撃で突き放す。弧を描いて飛んでくるレーザーが襲い掛かり初弾、第二弾が命中、第三弾、第四弾は回避されたものの第五弾が命中、回避に手一杯で距離を詰める事ができないでいる相手に第六弾は外れたものの第七弾目でとどめ。装甲を削り切って軌道停止に追い込んだ。
○のんびりエターニア(22分軌道停止)ポテンティアティス× 17vs-3
トーナメント一回戦 ノーザンダンサーvs猫たーぼM5
元祖中間距離の女王、ロストヴァ・トゥルビヨンとノーザンダンサー。対する猫たーぼM5は高機動機体紫電での連続参戦、KUSUNOTEC社が軽量機の開発に関わっている事もありそのモニターの意味あいもあるか。開始早々両機の多弾頭ミサイル、ノーザンダンサーのテンペストと猫たーぼの猫まっしぐらが交叉し、フィールド内に派手な光の花を咲かせる。一発だけ命中した猫まっしぐらだが与えたダメージは軽微、ワイヤーにより回収される弾頭はミサイル消費率の軽減を図ったKUSUNOTECの技術実験ともなっている。
中間距離へ移行、双方の連装レーザーシューティングスターと猫れーざーも共に命中、紫電特有の薄い装甲はダメージ軽減が殆どできない一方で、命中精度に勝る分二発を確実にノーザンダンサーに命中させる。更に距離を離して再びミサイルの撃ち合い、本来命中精度の低い多弾頭ミサイルはテンペストが全弾回避されたものの猫まっしぐらは二発が命中、うち一発が直撃してノーザンダンサーのダメージ率が50%を越える。続けて中間距離で撃ち合い、シューティングスターが猫たーぼに一発直撃、猫れーざーは再び二発とも直撃。勝負あったかと思われたが遠距離で射出したテンペストが一弾猫たーぼに命中。回避力が高い反面、一撃受ければ損害も大きく反撃の猫まっしぐらは全弾外れ。だが中間距離での撃ち合いはシューティングスターを回避した猫たーぼが猫れーざーを直撃させ、相手の得意の戦法を正面から撃砕してみせた。
○猫たーぼM5(6分機動停止)ノーザンダンサー× 19vs-8
トーナメント準決勝 ファルコvsのんびりエターニア
一回戦を速攻で圧勝したファルコ対持久戦を制したのんびりエターニア。エターニアにとってはタイプこそ違えど前大会決勝戦で涙を飲まされた重装甲機との対戦である。だが開始早々、ファルコのライデンレーザーを避け損なったエターニアは一発を被弾、先制を許す事になる。落ちついて距離を離し、ロックオンレーザーを命中させるが厚い装甲に阻まれて損害軽微、むしろこれによって前大会の悪夢が蘇る展開となる。
ファルコのロングレンジキャノンは命中精度こそ高くはないが、火力は複合強化装甲に阻まれるロックオンレーザーの総合ダメージよりも高い。これを命中させて牽制、中間距離に移ればエターニアにはライデンレーザーの恐怖が待っている。二射目、三射目とそれでも回避する操縦技術は見事だが、遠距離に移行しても安定したダメージが期待できない事がエターニアには最大のネックとなる。ロックオンレーザーを掠らせるが距離を詰められてライデンレーザー、これは綱渡りを思わせながら回避に成功するが離れてロングレンジキャノンはかわしきれず直撃を受ける。反撃のロックオンレーザーは命中するもこちらの損害分を取り戻すには到らず、更に相打ちは火力の劣るエターニアの方がダメージ大。
これで綱渡りのバランスを崩したか、遂に捕捉されたエターニアの装甲をライデンレーザーが貫き、これで機動停止。新鋭のファルコが決勝進出を果たした。
○ファルコ(12分機動停止)のんびりエターニア× 30vs0
トーナメント準決勝 アークロイアルvs猫たーぼM5
準決勝、一撃離脱を目指して攻撃重視の整備を施したアークロイアルと超高機動型の猫たーぼM5。いきなりの近距離、ブリッツを打ち込むアークロイアルだが驚異の機動性で猫たーぼは全弾回避に成功。至近距離での多弾頭弾をかわしきったパイロットの能力に場内から歓声が上がる。離れてGダムハンマーの重い一撃を続けてかわし、猫れーざーの抜き撃ちが命中、紫電の薄い装甲に大ダメージを与える。パイロットのミスが即死に繋がるような戦い、遠距離での猫まっしぐらは全弾外れ、反撃能力のないアークロイアルは距離を詰めるが中間距離でのGダムハンマーはまたも避けられ、反対に猫レーザーで動きを止められる。チャンスと見て再び猫まっしぐらを射出した猫たーぼ、一発を命中させてここまで完全にペースを握る。
だがアークロイアルも意地を見せ、ここでGダムハンマーが猫たーぼを直撃!相打ちとなったが一撃でかなりの大ダメージを与え、更に接近してブリッツで追い打ち、僅か二発で50%近い損害を与える。だが命中精度の高いブリッツをすら高確率で回避する猫たーぼの機動力を捕らえきれず、猫れーざーで捕捉されると起死回生を図ったブリッツはやはり全弾回避され、とどめの猫れーざー直撃でジ・エンド。紫電系機体同士の戦いは猫たーぼに凱歌が上がった。
○猫たーぼM5(10分機動停止)アークロイアル× 21vs-11
NAKAMOTOストライク・バック第八回大会決勝戦
今大会は接戦が少なく、際どい競り合いの中でも勝利機体は損害を最低限に抑えながらの展開が目立つ内容となった。重装甲を活かしたファルコは多少のダメージ覚悟で相手の装甲を削る事を目的とし、猫たーぼM5は高速機動によって一発すら命中させない事をコンセプトとしている。
手段は違えど防御性能を重視した機体同士の激突はストライクバック旧ルールでの最後の対戦となる。重力制御の行われているフィールド上、カタパルトを滑る両機体ははっきりと重量感が異なり、弁慶と牛若丸の対決を思わせ無くもない。素肌に近い牛若丸と厚すぎる鎧を着た弁慶との一戦、歓声の中で両機がカタパルトから射出され、慣れた動きで姿勢制御を行うと既に戦闘態勢に移行している。決勝戦の火蓋が切って落とされた。
ファーストアタックはライデンレーザーの間合いとなる中間距離。両機攻撃姿勢で放たれたレーザーの撃ち合いは二発中二発命中させた猫れーざーはダメージ軽微、だが四発中二発が直撃したファルコのライデンレーザーは一気に猫たーぼの装甲を50%近く削り取った。機内の緩衝機構が働いていなければ、その衝撃でパイロットの方が無事で済まないのではないかと思える一撃である。
勝負を決めるつもりで二撃目射出されたライデンレーザー、これ以上喰らう訳にいかない猫たーぼはこれを回避し、反撃の猫れーざーを確実に当ててペースの挽回を図る。更に猫まっしぐら、これは掠っただけだが戦況に一息つくことに成功した。
一旦仕切り直しをされると、近距離でのブリッツをすら回避する猫たーぼを捕捉する事は極めて困難になる。中間距離、高出力のライデンレーザーは全弾外れ、続けて一発のみ捕捉したもののこれも避けられる。一方でファルコは猫レーザーを避けるだけの機動性はなく連続で命中、損害率でほぼ並ばれる。
ここで猫たーぼが距離を離し、猫まっしぐらを射出!隙を狙ったファルコがロングレンジキャノンを直撃させるが機動停止には到らず、リニアカタパルトからワイヤーを引いているミサイルの弾頭を避け切れずに一発、二発、三発、四発、五発と同時着弾!分厚い強化装甲も流石に破壊されて機動停止、弁慶を倒した牛若丸、猫たーぼM5が初優勝を飾った。
○猫たーぼM5(6分機動停止)ファルコ× 13vs0
総合成績
山本いそべ 猫たーぼM5 3戦3勝 通算10戦 7勝
コルネリオ・スフォルツァ ファルコ 3戦2勝 通算 4戦 2勝
レイモンド・オース アークロイアル 2戦1勝 通算13戦 6勝
静志津香 のんびりエターニア 2戦1勝 通算10戦 5勝
ロストヴァ・トゥルビヨン ノーザンダンサー 1戦0勝 通算15戦10勝
シャル・マクニコル ポテンティアティス 1戦0勝 通算15戦 9勝
テムウ・ガルナ ブリムスラーヴス 1戦0勝 通算12戦 7勝
ネス・フェザード スレイヴバイパー 1戦0勝 通算10戦 4勝
神代進 重装甲ホウオウ 3戦3勝 通算10戦 6勝
新庄ジュンペイ 奇怪王 1戦0勝 通算 4戦 1勝
中石譲 ねぷた祭り 0戦0勝 通算 2戦 1勝
マクシミリアン アウグストゥス 0戦0勝 通算 2戦 0勝
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