第十五回大会


 西暦2003年9月、中本工業主催ストライク・バック第15回大会開催。

 最近は機体セッティングにいくつか傾向が見られるようになっており、サーペントソードによる近接ラッシュや中間距離での大型兵器による制圧を始めとする戦法が見られるが、その中で依然として課題となっているのが、距離間隔の維持に要する出力の重要性である。希望距離確保を徹底するか、全距離対応にして基本性能を向上させるか。いずれにせよ自分と、そして相手の能力を最大限に把握した者が優位になるのであろうか。


トーナメント一回戦 オリジナルオージェvs燃える漢の赤いホバー

 表向きは武器商人だが、その正体は真のポセイダルであると言われるジュンペイ・カマンダラが騎乗するのはオリジナルオージェ。対するは神代進と燃える漢の赤いホバー。大型機同士の激突はオージェのパワーランチャーとホバーの上腕二等筋クラッシュの撃ち合いから始まる。続けて二撃、互いに照準が甘く命中しないが、三撃目は双方が直撃させて損害はほぼ互角。
 ホバーは続けての攻撃を命中させると、距離を取って大胸筋ボンバーを発射。こは外れるが浮遊要塞を思わせる重厚な攻撃でオージェにプレッシャーをかける。大型ながら人型に近い、センチネル系では異例のフォルムをしたオージェは接近を狙うと両肩のパワーランチャー主体で反撃、だがホバーは攻撃の手を緩めず、続けて上腕二等筋クラッシュを命中させると大胸筋ボンバーの直撃でとどめ。正面から押し切ることに成功した。

○燃える漢の赤いホバー(8分機動停止)オリジナルオージェ× 23vs-16


トーナメント一回戦 ドミニオンMk1vsカルメン2号

 実力が安定している一方で、しばらく優勝戦線から遠ざかっているシャル・マクニコルに対するは前回より新規参戦のラテン系小娘ベアトリス・バレンシア。機体コンセプトは両者とも近く、飛燕系の軽量機に大型武器を装備させた特攻スタイル。
 攻防は中間距離から開始、天使を模したドミニオンのゴスペル・ガンがカルメン2号の装甲をかするが損害は軽微、カルメンもぐるぐるはんまーで反撃するがこれは外れ。
 ここから接近戦、ドミニオンの十字架剣とカルメンのえっくすかりばぁが交錯、だが経験の差か、ドミニオンはこれを寸前で回避に成功、優位に立つ。続けて正面からの斬り合いとなり、両者の振りまわす可変剣が装甲を削り合う。出力ではカメルンが勝るが、先の損害分だけドミニオンが有利な状態で一撃、二激、そして三撃目の刃が相打ちとなったところでカルメン2号の装甲が負荷に耐えきれず機動停止。開始当初のダメージが最後まで尾を引く結果となった。

○ドミニオンMk1(5分機動停止)カルメン2号× 1vs-5


トーナメント一回戦 アプラ・シップヒータvs滅紫

「外人はアテにならん」

 オーナーの意向により前回、敗戦したパイロットから更に乗り換え、今回正式に採用された大宮笑とアプラ・シップヒータ。オーナー企業である難波インダストリ側としては搭載システムの販売に結び付けたいところであり、力の入れようもなかなかのようだ。対するはロストヴァ・トゥルビヨン、言わずとしれた名ドラグーン乗りだが前大会ではよもやの一回戦敗退。メカニックスタッフ側が新コンセプトの試験を行っている段階であるらしく、今回は和風イメージの汎用機滅紫(けしむらさき)で参加。
 中間距離から開始、アプラのオーラフレアが先制の炎の舌を吐き出し、滅紫の秘色(ひそく)は外れ。伸びてくる鎖が空を切る隙を狙い接近したアプラがサーペントソードで一撃、理想的なヒット&アウェイで優位に立つ。続けてサーペントソードの一撃、これを受けた滅紫は白緑(びゃくろく)で反撃しダメージを与えると距離を離して沈香茶(とのちゃ)の機雷原に誘い込む。だが機雷を被弾したアプラは長く留まらずに接近、三たびのサーペントソードで滅紫を仕留めた。ロストヴァは新鋭相手にまたも一回戦敗退。

○アプラ・シップヒータ(5分機動停止)滅紫× 25vs-1


トーナメント一回戦 ぷにぷにエターニアvsミセリコルディア

 おなじみ静志津香とエターニア陣営、今回は赤い塗装が目立つ炎系兵装を装備した機体。対するテムウ・ガルナと井原技研サイドはパイロットから「コクピットにエアコンつけて」との強い要請があったらしいが、何を勘違いしたか完成したのは冷気系兵装を装備した機体だった。奇しくも炎系vs冷気系の装備による対決、という点では興味深いかもしれない。
 エターニアは近接、ミセリコルディアは遠距離攻撃を狙う、開始距離は近接戦から。これ幸いにとフレアセイバーを振り回したエターニアは続けて二撃、炎の刃をミセリコルディアに直撃させて先制攻撃に成功。ここで距離を離し、互いの熱線砲と冷気弾とが交錯するがこれは双方ともに外れ、そのまま遠距離をとったミセリコルディアがフリーズクレイドルを連続発射!三発を直撃させてダメージを五分近くに戻す。だが続けてのフリーズクレイドルは精度が甘かったか全弾外れ、中間距離まで近づいたエターニアはフレアブラスターで反撃、これをやはり直撃させて再び大ダメージを与える。ミセリコルディアのアバランスブラストは外れ。
 派手な展開は更に遠距離、命中精度を弾数で補うべくミセリコルディアはフリーズクレイドルを発射、一発は回避されたが計2発が命中、接近してアバランスブラストを今度は命中させてダメージ五分、双方とも兵器の出力が大きく、一撃が勝敗を分ける展開となる。
 ここで更に接近したエターニアがフレアセイバーで攻撃、一度は回避されるが返しの刃を命中、更に離れてフレアブラスターを正面から命中させて一気に決着。ミセリコルディアは攻撃の命中精度が最後に響くことになった。

○ぷにぷにエターニア(11分機動停止)ミセリコルディア× 8vs-16


トーナメント二回戦 燃える漢の赤いホヴァーvsガルガンチュア

 一回戦を終えて、ここからシード機の登場となる。オリジナルオージェを下した赤いホバーに対するは前回準優勝のネス・フェザードと新機体ガルガンチュア。重装甲大型機同士の激突である。
 まずはガルガンチュア希望の近距離から開始、グラビディ・ザンバーの斬撃は決して強力なものではないが、厚い装甲に確実にダメージを与えていく。一撃、二撃と命中したところでホバーもようやく回避に成功、距離を離して攻性モードに移行する。反撃のスマッシャーを回避しつつ大胸筋ボンバーを命中させて状況は五分、だがガルガンチュアも再び接近戦を狙い、上腕二等筋クラッシュをくらいながらも大型鉄球弾、ヘビープレッシャーを直撃させて更に接近してグラビディ・ザンバーで一撃、優位に戻す。
 ホバーも再び離れると出力に勝る攻撃力を活かして上腕二等筋クラッシュ、続けて必殺大胸筋ボンバーを狙うが瞬間をスマッシャーで狙撃され、動きを止められる。ホバーは諦めずにもう一度上腕二等筋クラッシュ、再び大胸筋ボンバーを狙うがこれも外れ、ガルガンチュアはスマッシャーで確実に反撃を図るが単独のダメージ自体は軽微。ここでついに大胸筋ボンバーが一撃、回避に失敗したガルガンチュアに命中するが直撃はせず、だが累積していたダメージが徐々に蓄積しており、双方ともダメージは深刻な状態。更にホバーの大胸筋ボンバーとガルガンチュアのスマッシャーが相打ち、わずかなダメージ差でホバーが機動停止した。

○ガルガンチュア(17分機動停止)燃える漢の赤いホバー× 1vs-3


トーナメント二回戦 ドミニオンMk1vsトータス号

 前回優勝のコルネリオ・スフォルツァは優勝機であるトータス号で再び出陣。やはり前大会でそのトータス号に辛酸をなめさせられているドミニオンにとっては雪辱戦となる。
 中間距離、防御姿勢から抜き撃ちしたドミニオンのゴスペル・ガンは外れ。トータス号は得意の伝送装置で座標をずらして発生させる冷凍光線を射出、これをいきなり直撃させる。
 通常の回避行動がとれないとなれば、飛燕の薄い装甲が仇となってくる。ドミニオンは近接格闘戦を狙うがトータス号はそれを許さず再び冷凍光線の大量射出!ドミニオンも正面からの反撃を試みるが ゴスペル・ガンの出力ではどうしても撃ち負けてしまう。
 続けての砲撃、ドミニオンは回避行動も空しく予測しきれない方角から冷凍光線の直撃を受けて機動停止。機体特性にまで慣れてきた前回優勝機が実力を発揮する結果となった。

○トータス号(3分機動停止)ドミニオンMk1× 30vs-7


トーナメント二回戦 アプラ・シップヒータvs猫たーぼH8

 一回戦を突破したアプラ・シップヒータの相手は独自セッティングで好成績を誇る猫たーぼと山本いそべ。  備長炭を熱源に使用しているという七輪バスターを中間距離から発射、遠赤外線砲撃で試合を先制、ペースを掴む。アプラは接近してサーペントソードで攻撃するがこれは外れ、反撃能力のない猫たーぼは中間距離に戻してアプラのオーラフレアを確実に回避、七輪バスターをまたも直撃させる。
 対するアプラは抜き撃ちのサーペントソードの精度が悪く、またも命中せず、今度は中間距離でオーラフレアをようやく命中させる。もともと装甲の薄い猫たーぼは一撃でかなりのダメージ。
 だがアプラの反撃もここまで。猫たーぼは一旦距離を離してアーマーししゃもピアッシングで牽制射撃を行うと、またも接近して七輪バスターでとどめを刺す。オーラフレアの火閃が空しく空を切り、アプラは機動を停止させた。

○猫たーぼH8(7分機動停止)アプラ・シップヒータ× 29vs-3


トーナメント二回戦 ぷにぷにエターニアvsGMスナイパー

 ここまでシード機が3連勝。ぷにぷにエターニアを迎え撃つのジムが騎乗するのは汎用機GMの局地戦闘型であるGMスナイパー。大型の狙撃用ビームライフルのみを装備させた極端な攻撃偏重機であるが、一対一の攻防でこれをどこまで活かせるかが勝敗の鍵となるだろう。
 試合はGM待望である遠距離からの開始。狙撃用ビームライフル、大型熱線兵器をかなりの遠距離から命中させる。接近戦を狙いたいエターニアは踏み込むがそこに第二射、これで先制を許してしまう。GMは距離離しながらビームライフルを抜き撃ちするが、さすがにスコープを外すと照準が甘くこれは外れ。
 エターニアは再び接近、フレアブラスターで牽制するとようやくGMの懐に飛び込む。接近戦で反撃能力のない相手に容赦のないフレアセイバーの攻撃、炎の斬撃で三撃続けて切りつけ一気に逆転。GMが離れてスコープを構えた瞬間を狙ってフレアブラスターを発射。炎の舌を直撃させてGMをしとめた。

○ぷにぷにエターニア(9分機動停止)GMスナイパー× 21vs-10


トーナメント準決勝 ガルガンチュアvsトータス号

 ベスト4が出そろった準決勝最初の対決は全距離対応型重装甲機であるガルガンチュアと前回優勝のトータス号。パイロット同士は前大会決勝戦の再戦となる。
 まずは中間距離から撃ち合い、ガルガンチュアのヘビープレッシャーが命中するがトータス号の伝送装置から放たれる冷凍光線も二発命中。この距離ではガルガンチュアが若干不利になるかと思われるがガルガンチュアも続けてヘビープレッシャーを直撃、反撃の冷凍光線も受けるが損害は五分。続けて冷凍光線を受けるがこれは厚い装甲をかすったのみでダメージはほとんどなし。
 ここで接近戦、ガルガンチュアのグラビディザンバーがトータス号に命中、戦況を逆転させる。更に離れてヘビープレッシャーを命中!反撃の冷凍光線も装甲で弾き、トータス号を追込むがここでトータス号も反撃し冷凍光線を命中させる。双方の損害はほぼ互角。
 最後の撃ち合い、ここでヘビープレッシャーは外れてしまうが4連射した冷凍光線が全弾命中、厚い装甲を突き破ってトータス号が逆転勝利、決勝戦進出を決めた。

○トータス号(7分機動停止)ガルガンチュア× 6vs-5


トーナメント準決勝 猫たーぼH8vsぷにぷにエターニア

 高機動型山本いそべvs高出力型静志津香おねーさん。準決勝二試合目、猫たーぼは遠距離を、エターニアは近距離をとれるかどうかが互いに鍵となるだろう一戦。
 開始は遠距離から、猫たーぼは魚ペイントがされたアーマーししゃもピアッシングを発射するがエターニアはこれを余裕を見て回避。続けてのアーマーししゃもは命中、損害は軽微。
 ここで双方接近、中間距離でエターニアのフレアブラスターを回避した猫たーぼが、七輪バスターを命中させてペースを掴もうとする。エターニアは構わず接近、フレアセイバーで斬り付けるがこれを猫たーぼは続けて回避、機体がうなるほどの回避性能の高さは見事。再び距離を離した猫たーぼはだが今度はエターニアに捕捉され、フレアブラスターを一弾は回避してもののもう一弾を命中、直撃となりダメージ大。更に離れてアーマーししゃもが命中、接近、離れてアーマーししゃもの砲撃、これが命中してここまで猫たーぼ優位の展開が続く。
 またも中間距離、七輪バスターを受けたぷにぷにエターニアはそろそろ装甲が厳しくなってくるが、反撃のフレアブラスターが再び猫たーぼを捉える。装甲が薄く一撃が致命となる猫たーぼは後退、アーマーししゃもで攻撃するがエターニアもこれ以上の長期戦の不利を悟って突進、猫たーぼが攻性モードに入る一瞬の隙を狙ってフレアブラスターを直撃させたが七輪バスターの回避に失敗、無念の機動停止を余儀無くされた。これで猫たーぼが決勝進出。

○猫たーぼH8(13分機動停止)ぷにぷにエターニア× 6vs-12


NAKAMOTOストライク・バック第十五回大会決勝戦

 いよいよ第15回トーナメント決勝戦。斑の鳩競技場のすりばち状のフィールドには、すでにカタパルトに設置された両機体が待機している。超高機動機である猫たーぼH8に対するは、その機動力を封じ込めるべく伝送装置を駆使するトータス号。前回優勝機でもあるトータス号がやや有利かと言われる中、両機が射出され決勝戦が開始された。

 まずは中間距離から開始。猫たーぼの機動性を封じるべくトータス号は伝送装置で座標をずらせた冷凍光線を連続発射、抜き撃ちであったため命中精度は低いがそれでも一撃を命中させる。直撃でこそないものの、装甲の薄い猫たーぼには一撃が堪えることは疑いない。
 ここで距離を離す猫たーぼ。反撃のない遠距離からアーマーししゃもピアッシングを発射、だが初撃は外れ、二発目は回避、三発目も外れて命中せず。このあたりどうしても猫たーぼは攻撃性能に不安が出てしまう。
 改めて中間距離へ移行、予測できない座標から放たれる冷凍光線を猫たーぼは一撃、受けるもののその他は全て回避、このあたりは機体のみならずパイロットの熟練もあなどれず、反撃の七輪バスターを直撃させて状況を五分にする。だがトータス号は更に冷凍光線を発射、一撃が命中して猫たーぼの損害も徐々に大きくなっていく。遠距離戦でのアーマーししゃもはまたも外れ。

 つづけて中間距離、ここで遂に伝送装置に捕まった猫たーぼに高出力の冷凍光線の束が襲い掛かる。装甲の薄い機体に三本の圧縮された光条が突き刺さり、一気に猫たーぼの装甲を破壊してしまった。
 これでコルネリオ・スフォルツァとトータス号は史上二人目となる大会連破を達成。新システムを活かした高い実力を示すこととなった。

○トータス号(8分機動停止)猫たーぼH8× 28vs0

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総合成績

コルネリオ・スフォルツァ  トータス号      ヨ 3戦3勝通算16戦 9勝
山本いそべ         猫たーぼH8     猫 3戦2勝通算21戦15勝
静志津香          ぷにぷにエターニア  ド 3戦2勝通算23戦12勝
シャル・マクニコル     ドミニオンMk1   飛 2戦1勝通算26戦13勝
ネス・フェザード      ガルガンチュア    セ 2戦1勝通算24戦11勝
神代進           燃える漢の赤いホバー セ 2戦1勝通算21戦11勝
大宮笑           アプラ・シップヒータ ド 2戦1勝通算 7戦 4勝
ロストヴァ・トゥルビヨン  滅紫         ド 1戦0勝通算31戦21勝
テムウ・ガルナ       ミセリコルディア   セ 1戦0勝通算26戦15勝
ベアトリス・バレンシア   カルメン2号     飛 1戦0勝通算22戦 8勝
ジム            GMスナイパー    ド 1戦0勝通算 4戦 2勝
ジュンペイ・カマンダラ   オリジナルオージェ  セ 1戦0勝通算 9戦 1勝
アンドロポフ        **         * 0戦0勝通算 6戦 2勝
アナイス・ランゲマルク   **         * 0戦0勝通算 2戦 0勝


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