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’98年 天皇賞(春) レース回顧 |
着 順 | 馬 番 | 馬 名 | タイム | 斤 量 | 指 数 |
1 | 5 | メジロブライト | 3236 | 58 | 70 |
2 | 9 | ステイゴールド | 3239 | 58 | 68 |
3 | 10 | ローゼンカバリー | 3240 | 58 | 68 |
4 | 4 | シルクジャスティス | 3241 | 58 | 67 |
5 | 3 | ダイワオーシュウ | 3241 | 58 | 67 |
6 | 14 | シグナスヒーロー | 3242 | 58 | 67 |
7 | 8 | マウンテンストーン | 3244 | 58 | 66 |
8 | 2 | ユーセイトップラン | 3244 | 58 | 66 |
9 | 12 | イシノサンデー | 3245 | 58 | 65 |
10 | 1 | ファンドリリヴリア | 3249 | 58 | 63 |
11 | 7 | テンジンショウグン | 3252 | 58 | 62 |
12 | 13 | マイネルブリッジ | 3252 | 58 | 62 |
13 | 11 | マイネルワイズマン | 3253 | 58 | 61 |
14 | 6 | メイショウヨシイエ | 3256 | 58 | 60 |
レースの1000m毎のラップタイムは、63秒4−66秒5−61秒9と、超が2つ付く位のスローペース。大逃げを打った1番のラップがこのペースだから、大きく離された主力馬たちの位置ではこれより更に1秒以上遅かったはずで、レース前に予想された”超スローペース〜上がりの競馬”そのものになった。特に1000m〜2000mは13秒台3回、14秒台1回と、特に遅く、ここ10年で最も勝ちタイムが悪かった平成6年(ビワハヤヒデ優勝)の時よりちょうど1秒遅い勝ちタイムであった。
勝馬の70という指数はG1と思えないくらい悪い。当HPで使用しているスピード指数は、長距離戦ほど低い指数が出る傾向にあるが、昨年の99という指数は別格としても、色々非難された昨年の菊花賞の勝馬の指数でさえ74だったのだから、異例の低指数と言える。
とはいえ、勝馬の強さにケチが付く訳が無く、鞍上の好騎乗もあり超スローペースでもキッチリと折り合って、最後の末脚を爆発させて快勝。重賞の連勝を伸ばし、遂に念願のG1初制覇となった。
2着の9番は伏兵的存在ながら、勝馬と同じ34秒3の上がりタイムで2着に入った。勝馬とは位置取りが少し違っただけで、道中も勝馬とほぼ同じ位置だがやや後ろだった。その位置取りの差だけで、これが逆だったら9番が勝っていた計算になる。
上位人気の1角10番は3着。道中殿(シンガリ)からレースを進めたのは、有馬記念の時と同じ作戦。まともに行っては2強に勝てないという判断から採った作戦だろう。メンバー中最速の34秒2の末脚で追い込んだが届かなかった。とはいえ能力の高さを十分見せたと言えるだろう。
1番人気の4番は、直線伸びきれず4着。最後の直線は外に出して勝馬と併せ馬の形にしたかったのだろうがそれが出来ず、馬場の悪いところを通らざるを得なかったにしても、負けたのはそのせいだけではないだろう。入れ込んでおり、道中も折り合っていなかったが、騎手も認めている様に完全に力負けであった。
菊花賞の時と同様、”史上最低の天皇賞”などと非難されているが、単に勝馬のタイムだけでレベル云々言えるかどうか疑問である。タイムはそれ以上出せないタイムなのか、それともまだまだ縮められるタイムなのかを見極めなければ意味がないと思う。
昨年の菊花賞馬マチカネフクキタルの時に言われた様な、”こんな馬は菊花賞馬として相応しくない”などといった論争が再び起こっている様だ。短距離系種牡馬が主流を占め、純粋なステイヤーと呼べる馬が少なくなった今日の日本の競馬では、3200mでレースを行うこと自体に疑問が持たれる。短距離主体のレース体系に大幅変更したJRAが、この点をどう考えているか聞いてみたいものである。