◆第3回  西田式スピード指数の検証 - 距離指数

 距離指数とは、1秒の差をレースの距離毎にその重みを表したものである。西田式の本によると、「マラソンにおける1秒差と、100m走の1秒差は意味が違う」ということである。計算方法は、

1/(距離毎の基準タイム)×100

となっている。各競馬場、芝/ダート毎の基準タイムの平均を距離毎にとり、更にそれの逆数を100倍したものが距離指数と言うことになる。つまり、距離指数は距離による差のみを考え、競馬場の差は考えない。第2回で基準タイムの新たな作り方を決めたので、早速そのデータを使って距離指数を計算したのが表5である。1600mで約1になり、3200mではその約半分の0.51になっている。つまり、1600mの1秒差は3200mの1/0.51秒=1.96秒差に等しいということになる。

 当サイトを立ち上げてから、日に日に疑問に感じてきたのがこの距離指数である。過去の予想を見てみると分かるが、得てして短距離ほど高い指数が出ている。また、ダートは芝よりも高い指数が出る。これが何を意味するのか、最初はよく分からなかった。だが、色々考えた末、一応結論付けてみた。

 1.レース中、全道程を全力で走るわけではない。

 冒頭でマラソンと100m走の例えをしたが、42.195kmと100mでは約420倍もの距離差がある。競馬の場合、1000m〜3600m(JRA平地競走に限る)なので、3.6倍。マラソンと100m走の例えは、余りにも格差が有り過ぎるのである。
 また、容易に分かるように、長距離ほど前半〜中盤はゆったりとしたペース、後半全力走となる。前出の計算式では、全道程を全力(一定)のペースで走ることを前提としているので、このような単純な式では上手く行かないのではないかと思う。

 2.ダートは力を出し続けないとレースにならない

 これは単なる想像に過ぎないかもしれないが、砂浜を走る時と公園などの芝生の上を走る時の感覚を考えてみて欲しい。芝生の上を走る時は、地面を足で蹴って空中に飛んでいる期間が暫くあると思う。従って、軽いジョギングをする様なペースでは、地面を蹴って−飛んで−着地−また蹴って−飛んで−着地−・・・を繰り返している。従って、地面を蹴る時にある程度力が要るが、飛んでいる間は何もしなくても前に進む。楽にある程度のスピードで走り続けることができるのである。もちろん、この話は重、不良馬場では成り立たない話かもしれない。

 一方、海岸などのフカフカの砂浜を走る時は、右足で地面を蹴ると砂に足が潜り、左足を着いてから右足を持ち上げる様な感覚になるだろう。スピードを出すためには常に地面を蹴り続けなければならない。 これらを考えると、ダートでは道中息が抜けず、結果全部の道程を全力に近い力で走り、芝ではどちらかというと前半力を抜き、後半のみ全力で走るという形になると思われる。

 このような背景を考えると、やはり距離指数というパラメータには疑問を抱かざるを得ない。今回ははっきりとしたデータを余り示さずに感覚だけで説明してしまったが、ここでの結論としては、“今まで通りの距離指数の計算方法ではだめ”ということにする。

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