城北シーン(7)

東京の城北地区(板橋・北・豊島ほか)の風景をご紹介します。

 

薬師の泉  板橋区小豆沢3-10

都営三田線「志村坂上」から戸田橋方面に徒歩3分

くぐり戸 池 大型トラックが行き交う国道17号(中山道)に面して、こんな静かな庭園があるとは想像もつかない人も多いだろう。

うっかりすると通り過ぎそうだが、門のくぐり戸を抜けると、そこには安らぎの泉がある。

江戸名所図会にも登場するこの泉は、江戸時代には中山道の名所として、信仰と憩いの場所として賑わったという。
泉(1) 泉(2) 15世紀末にこの地の農民が、聖徳太子作と伝えられる薬師如来を本尊とする大善寺を開いた。

その後、八代将軍徳川吉宗が狩猟の途中に立ち寄り、清泉に因んで「清水薬師」と称すべしと言ったとか、言わなかったとか。

戦中戦後にかけて荒廃したが、板橋区が「学術的検討をふまえて」復元整備した。
滝 鯉と遊ぶ 小さな祠の中にある泉そのものは、地下水源が枯渇したのか、現在は殆ど水が出ていない。

庭園には人工の滝、池、休憩所もあり、池には大きな鯉が泳いでいる。

(98/11/8)


 

天祖神社 板橋区南常盤台2-4  東武東上線「ときわ台」南口から徒歩1分

ときわ台駅から川越街道方面にちょっと歩いたところに天祖神社がある。

天祖神社
境内末社  6つの神社
室町時代に建てられた(らしい)この神社の境内には、稲荷神社・北野神社・日枝神社・月読神社・伊勢神社・榛名神社の6つの末社がある。 「神様の長屋」と言えば分かり易いのだが、そんな言い方をすると「ばち」が当たるだろうか。 しかし、何故か祠は5つしかなった。
狛犬 空襲の傷跡 弘化3年に作られたという狛犬の台座には円形の傷がある。 これは昭和20年6月10日の空襲の際に、投下された爆弾の破片によって付けられた傷跡だという。
神社の由来を読んでいたら、人なつこいカラスがやって来た。

カラス
カラス 都会のカラスは人間が近付くと直ぐに逃げ出すが、このカラスは逃げる様子はなく、かなり人に慣れているようだ。 もしかすると、餌をやっている人がいるのだろうか。



(99/1/3)
こんにちは

 

お岩様の墓(妙行寺) 豊島区西巣鴨4-8  都営三田線「西巣鴨」から徒歩5分

誰でも知っている、最も有名な怪談と言えば「東海道四谷怪談」だろう。 そのモデルとなったお岩さんは、夫の伊右衛門との折合いが悪く、病身となり寛永13年に亡くなった。 それ以来、田宮家には厄(わざわい)が続いたが、日蓮上人の法華経の功徳により一切の因縁が取り除かれたという。

菩提寺である妙行寺は四谷にあったのだが、明治42年に現在の地に移転した。
お岩様の墓

この墓に塔婆(とうば)を捧げ、熱心に祈れば必ず願い事が成就するという。 今でも参拝する人は多く、線香の煙が絶えることはない。
赤い鳥居 お岩さんの墓が西巣鴨にあることは以前から知っていたが、何か「たたり」がありそうで、今まで取材を躊躇していた。 今回は思い切ってお参りしてみることにした。

墓地の中を歩いて行くと、墓地には不似合いな赤い鳥居がある。 鳥居をくぐって、ぐるりと回ったところにお岩さんの墓がある。
お墓の周りには沢山の塔婆が捧げられているが、その中には映画会社のものもあった。 おそらく四谷怪談の撮影に先立って、スタッフ達がお参りに来たのだろう。
このお寺に来る前に、ある人から「ウナギの碑」があると聞いていた。 きっとウナギに形をした石碑があるのだろうと思っていた。

実際には、観音様が乗った「うなぎ供養塔」があった。 これは、都内の全うなぎ商の菩提心により建てられたという。

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この他にも、清潔な仏水で洗えばその箇所が良くなるという「浄行さま」、魚河岸で犠牲になった生類の供養する「魚がし供養塔」がある。


(99/1/3)

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