NEON GENESIS
EVANGELION2 (Fake)
アスカは太った。
それはもう、見事なまでにブクブクと。 (T-T)。
結婚後の事だし、実質責任の半分はこの僕にあるのかもしれない。
アスカがあんまりにも誉めてくれるものだから、つい嬉しくなって、次から次へと新メニューの開発を・・・
でも、例えそうではあっても、一言だけ言わせてくれ、アスカ・・・
その太り方は、絶対に犯罪行為、契約違反だよ・・・・ ううぅ。 (T-T)。
「ねぇ、シンジぃ。私ねぇ・・・」
「アスカ、今、食べたりしたら、また太っちゃうよ。お願いだから、大人しくしてて。大人しく普通にしてたら、きっと元に戻る(事もある)から」 (T_T)。
僕は、アスカに対してそう言った。
そう言うより他なかった。
僕は何とかしてアスカを痩せさせたくて必死になっていたが、TVにへばり付いたアスカはもう動かず、ゴロゴロとトドのように寝転がる彼女からは、何らかの運動をしようというような前向きな意志は微塵も感じられない・・・
そんな状況の中で、婿養子(みたいな立場)のこの僕に一体、
何が出来ると言うのだろう?
僕はもう、アスカがこれ以上太らない事を天に祈ることしか出来なかった。(号泣)
「ねっ、せめて夕飯まででも・・・ もう少ししたら、すぐに僕がご飯を作るから。だから今は・・・ 今だけは何も食べないで、アスカ」
(T-T)b
「・・・分かったわ、シンジ」
珍しく説得に応じ、お菓子のおねだりを断念したアスカを見て、僕は安堵感を覚えた。
(そう、今はこれでいい。大きな事は申しません! 何事だって、小さな事からコツコツと・・・ 目玉の大きい大阪出身の参議院議員だって、昔々に、そう言ってた筈じゃないか。(T-T)。 間食を止めさせる事が出来れば、何時かは奇跡も起こるかもしれない。いや、大丈夫、きっと今度も奇跡は起きてくれる。例えその確率は(天文学的に見て)少なくても・・・ お願い、起きてくれよぅ、頼むから。(T-T)。)
だが、そんな可能性の少ない一抹の未来図に酔いしれていた僕に対して、その時、アスカのカウンターパンチが、容赦無く襲って来た。
「お菓子を我慢するんだから、今日の晩御飯は何時もの二倍よね!シンジ!」
「へ!?」
何でそうなるのかが分からない・・・・
不意に発生するアスカの要望に対して、僕の返事は一瞬遅れてしまった。
そんな僕の態度をアスカは見逃さない。
「ニ・バ・イよね?」 (^ー^)b
気弱な僕に対して、畳み掛けるようなアスカの態度・・・・
いや、良いんだ。もう慣れている。
僕は、この年でもう、結婚とは人生の墓場であるという先達者達の文言を嫌と言うほどに、噛み締めさせられてしまった男なのだから・・・
(新婚当時は、そんな事あるもんか! ・・・と思ったぐらいの可愛さだったのに。アスカの馬鹿、馬鹿、馬鹿ぁ! ・・・ううぅ。(T-T)。)
NEON GENESIS
EVANGELION 2.01
西暦2029年、第3新東京市。
僕は、住み慣れたこの街を一人っきりで歩いていた。
このまま家に帰って、想像を絶するようなアスカの食事を(たった一人で)用意しなければいけないのかと思うと、いよいよにゲンナリして来る。
その足取りは、異様なほどに重かった。
・・・ここは、ミサトさんに見せてもらった公園・・・ なのか?
どうせ遅れついでだからということで何気無しに、その公園の階段を上ってみて、僕は初めて、その事実に気がついた。
前に来た時は車だったから正確な場所さえも覚えていなかったが、確かにあの公園だった。
あの当時と少しも変っていない。
展望台から見下ろしてみると、相変わらずの第3新東京市が、かなりの程度まで老朽化している事実が一望出来る。
形ある物は、何時か崩れる運命にあるんだなぁ・・・ やっぱり・・・
思い出の風景が一部老朽化してしまっている現実に、非常に得心の行ってしまったその時の僕は、思いっきり深呼吸をして、気持ちを切り替えることにした。
心地よい風が体を吹き抜けていく中、くだらないことを考えていた自分自身がとてもちっぽけな存在に思えて来る。
そう、駄目な物は駄目なのだ!
この大いなる時の流れに逆らおうなんて、なんと僕は愚かだったのだろう?
「・・・でも、アスカ。せめて10Kgぐらいはダイエットしようね・・・ じゃないと、また新しいスカートを買い替えなくちゃいけなくなるよ」 (T_T)。
なんとなくそう呟いてみる。
周りに誰も居ないから出来ることだろう。
飽きるほど景色を眺めた後、僕は(寂しげに)その展望台を後にした。
帰り際、長い階段を下りていく時、ふと思い立った僕は、手すりに尻を乗せ、そのまま滑り降りた。単純な子どものような遊びだが、なぜだか面白い。
酒もダメ! タバコもダメ!
博打なんて、勿体無くて、とてもとても・・・・
毎月、食費に相当な資金量を投入しなければならない碇(惣流?)家の家計を預かる者として、せめてもの金のかからない娯楽の王道だ・・・・
ああ、同じ頃、独身貴族の相田ケンスケ(28歳)は、第三歌舞伎町にて、思いっきり派手に豪遊しているであろうに・・・
この明らかなる生活水準の差は、一体、何処から?
(こういう時には、とりあえずドナドナかな? (T_T)。)
しかし、そういう縁起でもないメロディを口ずさんでいたからだろうか?
悪い時には、悪い事が重なるという物・・・・
その時、手すりを滑っている僕の目の前に、いきなり人影が現れて来た。
てっきり、誰もいないと考えて、大人げなく手すり滑りを行なっていたのだが、人に見られてしまっては後の祭りだ。
しかも、スピードを出し過ぎていたせいもあって、唐突に現れたその影を回避することが出来ない。まずいと思った瞬間には、もう激突していた。
「キャァァーー」
「あ!・・・ご、ごめんね、君? 痛かったかい? 大丈夫?」
「大丈夫なわけないでしょ。もう信じらんない。まったく何やってんのよっ! いい年した大人がっ!!」
ううぅ、ごめんなさい。(T_T)。全くを持って、そのとお・・・ えっ!?
あまりにも聞き覚えのある声にハッとなった僕は、そのぶつかった女の子の顔を真正面から眺め見た。
蒼い瞳に、ゲルマンな顔立ち、
その上、栗色の髪に、赤いインターフェイス。
こんなカッコをしている人間は、間違いなく世界で唯一人・・・・
「お・も・い! もう、早く、どいてよ!」
「・・・・(14年前の)アスカ」
「へっ!?」
「君は(14年前の)アスカなのか?」
「ちょ、ちょっと何よ、いきなり。そんなの当たり前でしょっ!」
その少女が(14年前の)アスカであるということを知った僕は、もう何も答えず、ただ黙って彼女の事を抱きしめた。
抱いている間にも、懐かしさが込み上げて来る。
形、大きさ、におい・・・
全て変わらない(太る以前の)アスカがそこに居た! (ひでぇ、言い方(^^;)
嘘じゃない! アスカだ!
この子は(痩せている)アスカだ。
神様、仏様、アラー様、ついでに、キリスト様、どうもありがとう。どういう法則だか分かりませんが、僕の願いを聞き届けてくれたんですね?
分かりました。もう二度とこのアスカは太らせません!
食餌療法もきっちりきっかり、やらせますっ!!
思いがけない幸運に喜んだ僕は、アスカの名前を呼び続けながら、抱きしめる手に力を加えた。
しかし、(当然の事ながら)当のアスカからは、予想外な反応しか返ってこない。
「ちょっと、何すんのよ。エッチ、痴漢、変態!!」
そう、彼女は、さっきから僕の背中を殴り続けているだけなのだ。
どうにも様子がおかしい。
通常体重に戻った事を照れている・・・ という様子でもなさそうだ。
僕は、恐る恐るに訊ねてみた。
「どうしたの、アスカ? 昔の姿に戻れた事が嬉しくないの? そりゃあ、太っててもアスカはアスカだけど、僕は、やっぱり、そのスタイルの方が嬉し・・・・」
「何、訳分かんない事言ってんのよ、バカッ!」
すぐさま、股間に蹴りを入れられた僕は、その場でうずくまりながら、のた打ち回った。
ふと気づくと、僕の胸倉を掴んだままアスカが立ち上がっている。
そのままの状態で、僕の両頬に往復びんたを炸裂させるとアスカは、こう言った。
「どさくさに紛れて、乳は揉むは、尻は触るは・・・ アンタ何様? 最近問題になっている新手の痴漢?」
思わず、ブルブルと必死に首を横に振る僕に対して、彼女は冷ややかな姿勢のままに言葉を続けた
「どこの誰だか知らないけれど、私のふくよかな胸を触り賃として一万円。神々しいまでの輝くお尻は5千円。 あっ! アンタ・・・ 私の首筋にまでキスしてたわね? 特別料金を加算して、合計3万円! 勿論、消費税は別計算よっ!」 (安いかな? (^^;)
「そ、そんな・・・」
「まぁ、アンタ結構、顔はまぁまぁみたいだし、私が可愛いからってのは分からなくもないんだけど、いきなり襲おうっていう呆れ果てた了見が、何だかとっても気に入らないのよねぇ。反省するんだったら、まぁ許してあげない事もないけど、今度こんなことしようとしたら、良い? 三倍料金よ!!」
ジト目で睨みながら嬉々として僕の財布から3万3千円(税率:10%)を抜き取っていく彼女は、呆然としている僕をよそに、きびすを返してさっさとその場から立ち去って行く。
訳が分からない。
キツネにつままれた状態とはこういう事を言うのだろうか?
手に残るアスカの感触を胸に、僕は憮然としたまま、いつまでもその場に立ちつくすことしか出来なかったのだった・・・
「はぁ〜、これから授業な訳ですか? 碇先生」
二日酔いの抜けきれない顔で何かを喋っている山城教頭先生の話も上の空に、僕は昨日の出来事を思い出していた。
(あれは確かに、アスカだった・・・ ように思ったけどなぁ・・・)
「援助交際、オヤジ狩り・・・・ はぁ〜、最近の中学生なんて、何を考えているのか全然分からんような連中ばっかりですよ。碇先生も、十分気をつけてくださいね。大人しそうな碇先生は、どちらにせよ、奴等の格好の餌食になり兼ねませんから」
(けど、家に帰ったらアスカはちゃんと居たもんなぁ・・・ 冷静になって考えてみれば、あれは夢だったのかな? フフ、でも、ちょっとアレだったけど、結局トータルでは良い夢、見させてもらったっていう事なのかもしれないなぁ・・・ なんだか昔のアスカを見ているみたいでとっても可愛かったし・・・)
「・・・碇先生?」
(まぁ、いいや。明日は明日の風が吹く・・・ よし、今日も一日頑張ろう!)
「碇先生っ!!」
「ハッ、ハイ」
「貴方の教室を通り過ぎてますよ、思いっきり」
教頭先生の冷静なツッコミに、思わず照れ笑いを浮かべつつ、僕は逃げるように自分の担任のクラスへと入って行った。まったく恥ずかしい話だった。見られたのが校長先生でなくて、これはどれほど救われた話なのだろうか?
少なくとも、ほんの些細な事でも教育委員会に報告されて、ボーナスの査定に響いていた事だけは、ほぼ確実だったろうに・・・
(T_T)。
やがて、一時間目の授業が僕の授業だったと言う事も重なって、そのまま教室で授業の準備に移っている段階になってから、僕はある重要な事実をすっかりと忘れてしまっていたのだという事に、ようやくにして気が付いた。
あれ?
そう言えば、朝の職員会議では、今日から一人、転校生が僕のクラスに転入して来るって言われてなかったっけか?
ええと、写真は間に合わなかったけど、名前は確か、琉条・・・
「すいませ〜ん。道が分からなくて迷っちゃいました。2年A組はここで良いんですかぁ?」
ひょこり
そう、全くひょこりといった感じで、彼女は軽やかな印象を巻き起こしつつ、
僕の教室の扉の前に現れた。
お互いにその姿にビックリして指を差し合う過程の中で、いち早く気を取り直した彼女は、ニッコリと微笑むと片目でウインクをしながらこの僕に近づいてきて、教室のみんなには聞こえないように、そっと小声でこう囁きかけて来た。
「金づる見〜つけた! そっかぁ、アンタ、この学校の教師だったのね? じゃあ、教員続けている限りは、これで一生、私の奴隷決定!って感じじゃない。淫行教師、教え子に暴行未遂!? おそらく週刊誌と教育委員会が喜びそうなネタよねぇ・・・」
「・・・あっ、あ、あのう、そのう、琉条さん?」 (T_T)。
「フフッ、そんなにビクビクしなくても大丈夫よ。私は、十分、適度に可愛がってあげるつもり・だ・か・ら。微妙なラインは心得てますってば、先生!」 (^^)b
『琉条(りゅうじょう)・アスカ・ホーネット』
それが、僕と彼女との(唐突な)二度目の出会いだった。 (T_T)。ヒ〜