
“一人で生きる”という選択はすなわち、家族問題に帰着します。と言うより、この家族関係に投影
される依存的な社会関係からの<自立>が、その課題です。結婚という「社会契約」によって、私達
はその社会に所属します。この結婚というシステムにはいくつかの側面があります。法的な扶養
関係が生ずる制度的要素。依存的な役割分担を強いる機能的な要素。そして、様々なメンタリティ
が存在します。結婚は「二人の愛のゴール」であったり、「女の幸福」であったり、「一人前の大人」
になったりします。もちろん、時を待たずその“幻想”に気づきます。結婚は何より“男のための制度
(家父長制)”です。そして家庭内分業の固定化は、否応なく価値観の衝突を生みます。愛によって
克服はできません。なぜなら、もとよりそれが差別的な「従属関係」によって成立しているからです。
彼はあなたの“主人”です。彼はあなたを所有し、支配します。あなたは家政婦として、娼婦として
、保育士として、晩年は介護士として彼に“雇用”されます。あなたは“愛の対価”を期待します。
そのわずかな対価と引換えに“自分”を売ります。そうして愛と“私”を見失います。だからといって、
この関係から離脱することも困難な選択です。経済的な自立や子供の養育といった具体的な課題
から、孤独への恐怖や<アイデンティティ>の喪失という心の障害を克服しなければなりません。
とりわけ多くの女性にとって、妻であり母親であることが<アイデンティティ>の主要な源泉ですか
ら、と教育されてきたから、その選択は大きな喪失感をともないます。しかし一方で、非婚や離婚と
いう<自立>の道を選択する女性も増えています。自分を取り戻す挑戦です。
<自我>…
そうありたいという自己実現の欲求。欲望の人格化。人格は固有の価値観によって形成される。 <アイデンティティ>…
「自己同定」。「存在証明」。自分の<自我>や<存在>が“社会的”に認知され、それを認識できること。