The Collector's King Crimson Volume 5(2001.10.09)

 世の中は、テロだ、戦争だと物騒な状態ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか??
まあ、このサイトは、そんな話を書く気はありませんし、ましてやここのコーナーはThe Room Of Crimson Kingです。
ちょっと発売から時間が空きましたけど、Crimsonの新しいCollector'sシリーズを紹介するとしませう。
では(^^)/。


The Collector's King Crimson Volume 5 CrimsonCollector'sシリーズも、五セット目が登場しました。
今回は、Island Crimsonの初期も初期、最初の英国国内ツアーの初日のライブ、そんでもってLark's Crimsonの'Starless and Bible Black'発表直後の欧州ツアー後半のライブ、そんでもってDiscipline Crimsonの'Beat'発売後の米国ツアーでのライブの三点です。
ただ、今回も日本向けではDGMのクラブメンバー向けオリジナルから幾つか変更点があるのも事実ですが、なかなか興味深い音源であり音質的にも満足のいくものであることも事実です。
まあ、出来ればねー、クラブメンバー向けオリジナルと同じ内容でリリースして欲しいんすけど.....
ただ、情報によるとクラブメンバー向けオリジナルとは異なって、日本でのボックスセットのほうは、製造コストにレコード会社の利益やらなんやらを乗せるとCrimsonの現/旧メンバーに印税は廻らないそうで、そんなことも関係してるんでしょうかね??オリジナルを編集しているのは....
オリジナル盤との相違点は既に、Robert Fripp Fun Clubで詳しく書かれていますんで、このサイトでは実際の演奏内容や背景を中心に書いてみようかと思います。


Live at Plymouth May 11 1971 さて、まずはオリジナルCrimson解体後、レコーディングバンド化したCrimsonが再びライブバンドとして復活すべく、MelBozIanの三名を新しいメンバーに加え、リハーサル、そして独Zoom Clubでのテストケースライブの後に開始した約二年ぶりの英国国内ツアーの初日/Plymouthでのライブ音源です。
ちなみに、ライナーは最近何故かFripp翁やDGMと仲がよい(??)、Ianがかなりおもしろく書いています。
ただ、この盤、残念ながら先に書いたようにDGMのオリジナルの所謂編集盤となっています。
ところどころで曲の編集、MCだけでなく一曲まるまるカットなんて処理がされています。
まあ、最初に簡単に紹介すると、本来CD二枚組の音源だったのが、ラストナンバー(アンコール??)の'Groon'がまるまるカット、そんで'Get Thy Bearings'の冒頭のボーカルパート、ラス前のVCS3で加工したドラムソロがそれぞれカット、一部MCも編集されているそうです。
で、内容はというと、これが困った事にかなり充実した音源ときています。
音源の殆どはPeterが操作しているPA卓からのラインでのダイレクト録音です。
バランス的にはところどころかなり危ういところもありますが、やはり卓からのダイレクトですので音質的にはかなり状態が良いですね。
ただ、ちょっとライブ臭さが薄いのはしょうがないところでしょうか??
冒頭の'Cirkus'はライナーでIanが書いているように、色んな楽器が出たり入ったりしてPeterがバランスを取るのに四苦八苦しているのが良く判ります。
ただ演奏のほうはBozを含めて、初のCrimsonとしてのツアーでありながら、かなり良くこなれているのには感心します。
この当時のCrimsonは、未だFripp翁のコントロールが機能しているとも言えます。
興味深いのは三曲目の'Sailor's Tale'でして、殆ど初演と言っても良い新曲ですがテーマ以外はスタジオ盤とは違う展開、そんでもって中間部ではかなりジャズよりなインプロが聴けます。
'Drop In'の改作'The Letters'、ラス前の'Ladies Of The Road'の二曲は殆ど完成形と見て良いでしょう。
この当時は、'Lizard'から'Cirkus'以外に'Lady Of The Dancing Water'も演奏されていますが、ここではMelがフルートだけでなくオリジナルのトロンボーンの部分をバリトンで担当しているのはこの頃のライブならではです。
この'Lady Of The Dancing Water'からメドレーで'In The Wake Of Poseidon'から'Cadence And Cascade'がメドレーで演奏されています。
この後の'Get Thy Bearings'は、冒頭のボーカルがカットされていますが、DGMオリジナルではこの部分の音が欠けていたそうで、ブート音源を付けていたそうです。
まあ、音が全然違うそうなので、このカットはやむなしかな??とも思いますが、後半のシャツが脱げなくてコけたIanの後半のドラムソロが編集されてるのはちょっと残念。
この後、この時期ならではのBoz版'In The Court Of The Crimson King'はコーラス無しなのがちと残念(IanMelも唄える筈なのに...)。
最後に納められているのは'21st Century Schizoid Man'。
こちらは後半のユニゾンから突然音量が落ちちゃいますけど、これなんでですかね??
オリジナルテープのままにして補正はしなかったって事なんでしょうか??
さて、ライナーでIanも書いているように、このツアーからPeterが卓の前に座りPAミキシングの他にVCS3を使用してサウンドにギミックを付けています。
ドラムやボーカルのフィルター処理と擬音の追加を行っている訳ですが、加えてPAの方でもパンを多用した音の移動、極端なエコー処理でのギミックも行っており、これが所謂Peterのクレジットに付く'Sounds'って奴なのでしょう。
このころはPink Floydのアジマスコーディネーターによる4ch音像や擬音の移動が盛んに行われていましたので、このころのPAではそうゆうギミックがはやっていたのでしょう。
一番簡単なのはジェットフェイザーをドラムにかけるなんてのは、色んなバンドがやってましたね。
ただ、そうゆうステージのメンバー以外が行うギミック処理に、後にメンバーが難色を示し、結局PeterPA卓に座るのをやめてしまいます。
(といっても、ドラムソロでのVCS3でのフィルター処理はIslands Crimsonの解体まで続きましたが....)
そんなこんなが最初のこの面子でのUSツアー後のPeter脱退に繋がったんでしょうね....一応、Fripp翁の'まず君を首にする'の一言がきっかけだったのでしょうが、その頃、既にやめるつもりでいたんでしょうな、Peterは....


Live in Mainz March 30 1974 さて、二枚目は'Starless and Bible Black'発表直後の春に行われた欧州ツアー後半のライブ
この日の公演は、何故か最初の頃は公式の記録がなかったのは、今となっては何か不思議な話。
(今回のライナーに付いている'7437日のメモランダムには、はっきり書いてあるんだけど...)
このツアーの音源は、以前にこのツアー初日のUdine('74年3月19日)の音源を紹介した事がありましたが、演奏している曲目はかなり近いのですが、演奏のスタイルはかなり違っています。
特に、まとまった時間の即興を行うのではなく、既存曲の導入部としてインプロを展開しているところが、この日の演奏の特徴と言えます。
多分、音源自体はトップもしくはラストで演奏されたであろう'Lark's Part-II'もしくは'Schizoid Man'が収録されていないところから、フルレングスでは無いでしょう。
さて、そんな訳で、何曲かで導入部にインプロが入っているのが、'Dr.Diamond'と'Exiles'、そして'The Night Watch'の三曲ですが、いずれも演奏を引っ張っているのはJohnのファズベースです。
かなり、強引というか実はかなりの指癖で弾いている部分もあるのですけど、この当時、他のメンバーからベースがうるさいと愚痴られたJohnのベースはかなり強力です。
三曲目のインプロでフルートの音が良く聞こえるなー??と思って、もしかしてDavidが久々にライブにフルートを持ち込んだ???と思ったら、これ良く聴くとメロトロンのフルートトラックだったのは、ちと残念。
Davidは確かにLark's Crimson結成初期にはフルートを吹いていたんで、もしや??と思ったんですけど。
ちなみに、David絡みと言えば、Lark's Crimsonの初期のツアーではJohnDavidのツインバイオリンが聴けたなんて話(Johnがインタビューでそう言っていました。親戚に酷評されてやめちゃったそうですけど...)がありますが、これも聴いてみたいもんです(あ、ちと脱線^^)。
演奏の方は、さすがに'Starless and Bible Black'のツアーと言えば、かなり充実した演奏を各地で展開していた事もあり、この音源でも大きなミスは無く、バンドの充実ぶりが良く判ります。
アレンジ自体も例の'The Night Watch〜Concertgebouw/Amsterdam'の'73年後半にほぼ固まったとみて良く、アドリブ部分を除けばこの当時の音源のスコアは完成されていたと見て良いでしょう。
(ただ、Johnの得意技は相変わらず'Starless'で発揮されておりますが^^)
まあ、それでもインプロと作曲ベースの曲の比率はステージの度に変わっていたと言いますんで、だからこそこの頃の音源も皆注目するのでしょうね。
さて、この音源で一応セールス上の目玉となっているのは'Starless and Bible Black'ではConcertgebouw/Amsterdam音源から収録された本来は完全なインプロであった筈の'Trio'の再演でしょう。
かなり、オリジナルの(っつーて言いんだろーな、この場合....)'Starless and Bible Black'をなぞった演奏をしていますね、これ。
ただ、こんな場面を聴くとこの曲、ホントに完全なインプロで出来た曲だったのだろーか??なんて思ってしまいますが(意外とテーマは出来てたのかも知れませんね、この曲)。
ちなみにConcertgebouw/Amsterdam音源ではスティックを胸の前に組んで、一発も叩かなかったBillが我慢出来ないのか、グロッゲンを叩いているのは、ご愛敬??
この音源は、この当時猫の目のように曲順やインプロの長さを変えていた時の記録と言えます。
ただ、残念なのは、ツアー初日Udine('74年3月19日)で演奏した未発表のボーカルナンバーが演奏されていなかったらしいこと。
このツアー中に落としちゃったんでしょうね、あの曲....
まあ、'Dr Diamond'だって結局Crimsonでは正式レコーディングされないで、日の目を見たのはJohn WettonRichard Palmer-Jamesが出したデュオアルバム'Monkey Business'だったんですから、しょうがないのかな??これも。


Live in Berkeley, CA August 13 1982 さてさて、こちらはDiscipline Crimsonの'Beat'発売後の米国ツアーのCalifornia/Berkeleyでの'82年夏のライブ音源です。
'Beat'発売後ということで、'Discipline'発売直後と違い演奏曲目も増えています。
まあ、曲数的にも、演奏時間にしても一応トップビル扱いのツアーだったようにも思えます。
ただ、この当時のステージナンバーの'Lark's Part-II'が収録されていない点を見るとこの音源はフルレングスでは無い可能性もあります。
加えて、この日本版は、残念ながらRobert Fripp Fun Clubにも記載されているように、若干編集されています。
特に一番残念なのが一曲目の'Waiting Man'冒頭のBillAdrianによるシモンズデュオがカットされている事。
確かにこの部分は映像が重ならないと面白みが無いのかも知れませんが、個人的にはこのシモンズをステージにマリンバのように並べてメロディをしかも向かい合わせのBillAdrianが叩き合うところって、凄く気に入っている部分なんですけど。
それに、この時期のDiscipline Crimsonの曲でも一番気に入っている曲が編集されているのは、ちょっとなー???って思っちゃいますね、ホント。
さて、そんなところは置いといて、他の曲を聴いてみると、実はこの時期のCrimsonは非常に演奏が安定している、まあ逆に言えばライブ的な危うさという面白みが無いとも言えそうですが。
ただ、何故かこの曲はわざとなのかな???と思わせるのは'The Sheltering Sky'のFripp翁のソロが意外とつっかかった演奏なのですね。
スタジオ盤や他のライブでもこの曲の終盤のソロはひっかかりのある弾き方をしてはいますけど。
それと、'Discipline'のナンバーは遊びもちょっとありますけど、'Beat'の収録曲のほうは、かなり律儀な演奏のようも思えます。
でも'Neal and Jack and Me'のリズムは、'81年暮れの日本公演当時よりも、切れが良いですね。
'Neurotica'もそんな感じ。
この二曲は'Beat'収録曲の中でも、さすがに早く形になりステージで練って来たナンバーですんで、'Beat'発売後のライブでもノリの良さは他の曲より上なのも当然かも知れません。
それと、やっぱDiscipline Crimsonは元気の良い象さんの声が凄くかっこよいっすね。
'Elephant Talk'という曲はDiscipline Crimsonの為の曲、この時期のDiscipline Crimsonのまさにテーマソングなのかも知れません....
今の象さんはちと迫力が無いんで....


 さて、今回はThe Collector's King Crimson Vol.5をお送りしました。
現在のCrimson、つまり所謂Millennium Crimson11月中旬からLevel Five Tourに入ります。
ツアーにはJohn Paul Jonesと彼のバンドが同行する模様ですが、この組み合わせも楽しみですが、その組み合わせで日本まで雪崩れ込んでくれないもんでしょうかね??
それとご存じのとうり、伝記本'In the Court of King Crimson'もまもなく発売されますが、こちらは何とHelter Skelter社直販500部のみ歴代のCrimson各メンバーのいずれかの直筆サインが入るそうです(但しキング・クリムゾン友の会(All Person's Guide To King Crimson)によると、Andrew McCullochBoz Burrellの二人は連絡が取れないか、拒否されたとのことで可能性は低いそうです)。
Krimson News日本語版を見たとたん、筆者も注文しちゃいました。
一応、Helter Skelter社からの返信メールを見ると、なんとか500部に間に合ったみたいです。
物が届くのは11月とのこと、でもなー、英語の本、全部読むのきついなー、いつも読んでいる技術文書と違って微妙な口語体の表現が判るか???と思っていたら、日本語版も出るかもしれないとか(ニュース提供:キング・クリムゾン友の会)。
まあ、出るのが来年でも、年内は英語と格闘しましょうか?

 To Crimson