The Power To Believe JAPAN TOUR 2003総括(2003.04.29)

The Power To Believe Tour Book King Crimsonの'二年半ぶりのThe Power To Believe JAPAN TOUR 2003'が4/21大阪公演をもって終了しました。
既に幾つかのサイトでもライブレポートが出ていますが、結論から言えば二年半前の2000年のツアーよりも演奏内容、ステージングともに比べ物にならないくらい充実したツアーとなったようです。
特に福岡公演以降の西のライブでは、アンコールに'Red'、'
Elephant Talk'も加わったとの話も聞きます。
最終公演となった大阪のライブの評判が良いのですが、残念ながら筆者、仕事もあって東京公演三回の参戦のみとなりました。
そんな筆者が参戦した、東京公演初日4/13人見記念講堂公演、4/16及び4/17の新宿厚生年金会館公演のライブをレポートしていきましょう。
んでは(^^)/。


慎重な東京公演初日

 ちょっと早めに家を出て、会場に着きますとぼちぼち観客が集まって来ています。
ただ、前々回の時のようにダフ屋さんが一人も見あたらなかったのにはちょっと驚き。
どうやって時間を潰そうかな??と思っていると、会場正面でグッズの先行販売が行われています。
これは非常にありがたいことで、正直入場後の混乱した中で買うよりも楽ですし、物もちゃんと観れますものね??
とりあえず、毒ガスマスクTシャツとTour Book(CD付きです)を購入し、しばし時間を待っていますと、そろそろ入場の列が作られていきます。
この日の公演前日の初日松本公演ではキャパ2000の会場に観客800名と言うことで、例のカメラ/レコーダチェックは非常に念入りに行われたそうです。
この日も当然入場開始前に主催者側からカメラ、レコーダ、それと何とカメラ付き携帯の持ち込み禁止と、入場後に発見した場合の合法的つまみだし、そんでもってもしもフラッシュが一度でも焚かれたら即刻公演中断のお達しが行われます。
結局、JAPAN TOUR中はフラッシュを焚く強者は出現しなかったようですが....
そんなこんなで入場開始、持ち物検査が始まりますが、さすがに東京公演の時は入場者が多い事もあってか、松本公演で伝えられたようなボディチェックはありませんでした。
まあ、こちらも疚しいところはありませんのでディパックをガバッと開けて、'さーどーぞ、ドンドン見て下さい。あ、荷物の下にも何もないですよ??'と協力しましたら、差程時間もかからずに入場出来ました。
(でも、後で見たらかなり多くのカメラやら携帯やらレコーダが終了後に並んでいましたが....)
会場に入り、とりあえず機材を見てみますと、前回の公演よりもライティング関係の機材が増えている事、PAも前回より規模が大きいかな??という感じです。
立ち位置は前回同様、左にTrey、右にFripp翁、中央後方にPatのドラムブース、そして中央全面にAdrianの機材となっています。
Patの機材を見て、正直喜ばしかったのは、ちゃんと生のドラムキットがあること、シンバルもそれなにの枚数が揃っていたところでしょうか??
前回のV-Drum中心のセットは正直なところ感心しなかったのですが、今回は期待出来そうです。
Treyの方は、今回はWarr Guitar(フレット有りと無しの両方使用)のみでAshbory Bassはありませんでした。
面白いのはWarr Guitarを乗せるというか寝せるベンチが置いてあるところ。
さて、そんなこんなしているうちに定刻が来ます。
前回もそうでしたがCrimsonの場合、大体遅れる事が少ないので席に着いて待ってますと会場が明るいうちにFripp翁が一人で登場、気づいた観客が歓声を上げます。
既にこの時点で松本公演のセットリストは入手していましたし、公演はFripp翁のサウンドスケープソロで始まると知っていたので、筆者は驚きませんでしたが、翁のGuitarからサウンドスケープの音が流れ出すと外に居た観客も気づいて中に戻って来ます。
この日のサウンドスケープソロは11分も続きましたが、その後メンバーが三々五々で登場、所定のポジションに着きます。
ライブはサウンドスケープの後をAdrianが受け、ボコーダボイスで'The Power To Believe I: A Capella'からスタート、観客の拍手の後アルバム'The Power To Believe'同様に'Level Five'へ。
Patのドラムがシークエンスにオカズを乗せるようにそしてちょっと引きずる感じのリズムで曲が進みます。
今回の公演では先にも書いたように照明は前回と違ってモータドライブのプロジェクターライトが六台も使用されていました。
(もしかしたら八台??)
今回のライティングはかなり凝っていまして特に聴衆に向けてのライト攻撃が多数行われていましたが、まさかカメラやマイクのチェックをしていたわけでは無いでしょう??
ちなみにPatFripp翁、Treyの三人はイヤフォンもしくはヘッドフォンでモニターを行っていました(多分Adrianはフロアのコロガシ頼り、確認出来ず)が、もしかしたらPatが担当するシークエンスのためにクリックも聞いていたかも知れませんね??
既に'キング・クリムゾン友の会(All Person's Guide To King Crimson)'でも報告されていたように今回のライティングもPCとマニュアルの二段構えでしたが、多分、PCにはPatのシークエンスのデータも流れていたのかな??
人芸だけではちょっと無理かな??と思うくらい、曲調に合わせたライティングが今回は見物でした。
この日のセットリストはこちらですけど、曲自体は松本公演とほぼ変わらず('ProzaKc Blues'無し、'Eyes Wide Open'が'One Time'に差し替え)で、一応今回のツアーで用意された曲は松本公演分プラス差し替え用の'One Time'、そして西の公演で演奏された'Red'、'Elephant Talk'と言ったところでしょうか??
前回と比べて、曲的にもこの編成後のアルバム及びミニアルバム'
LEVEL FIVE'からのものが中心ということになります。
さて、この東京初日を総括してみますと、やはり東京初日ということでメンバーの演奏はかなり慎重だったようです。
ミスも少なく、かなり締まった演奏と言えましょう。
ただ、逆にちょっと小さくまとまりすぎた感も無きにしもあらずでした。
それと、曲調が似ているから差し替え用になっていると思われる
'One Time'と'Eyes Wide Open'は、このメンバーで演奏がこなれている'Eyes Wide Open'に固定しても良かったかなって感じです。
あ、そうそう'Dinosaur'に合わせて登場した四本の牙(布製、エアコンプレッサで大きく膨らむのでした)の演出なんかも、ちょっと笑えたりしまして。
(この演出は東京公演中は'Dinosaur'がライブの中間部でしたので同じように続けられました)
この日の演奏の目玉は、そうですね??やっぱしラスト前の21世紀の'Devile's Triangle'、'Dangerous Curves'でしょうか??
ちなみに、筆者、今回の'The Power To Believe'ってどうしても'In The Wake Of Poseidon'の構成を思い出しちゃうのですが....
あ、ラストの'Larks' Tongues In Aspic Part IV'のCodaはボーカル無しギターソロ版、つまり'Shoganai'バージョンでした。
やっぱし、米英連合軍ですんで、今の時期にあの歌詞は唄えないのかな??と下司の勘ぐり....
アンコールは計二回、最初の一回目が二曲でしたけど、'The Deception of the Thrush'でのベンチに寝せたWarr GuitarによるTreyのソロは良かったですね。
全体的に見ても、前回のツアー時よりも持ち曲も多く、前回はインプロが多かったのが、今回はきっちりとアレンジされた演奏が印象的でした。
まあ、多分シークエンス用のクリックを使用しているからなのかも知れませんが....


やっぱり苦手なTVカメラ??

 さて、筆者は4/15から続く厚生年金三連戦は仕事の都合で初日は行けませんでした。
どちらにしても、仕事を定時で終わって脱兎のごとく駆けつけないと時間的に厳しいのですが....
4/16はそんな脱兎のごとく開演15分前に会場に駆け込みます。
既にグッズは日曜の人見記念講堂で購入済みですんで、その辺の事は気にせず、二階席の入りなんかをチェックしてみます。
日曜日は二階席は後ろの方に空きがあったそうですけど、4/16はかなり埋まっています。
(と言っても今回のツアー、地方を含めて事前のSOLD OUTは一回も無かったそうです。ほぼ八割程度の入りが殆どだったようです)
そんな風に二階席を眺めていると、二階席最前列中央に某四人囃子公式WEBサイトのあの方を発見。
携帯でメールでも送ってやろうとしていたら、彼もこちらを発見して下に降りてきました。
ただ、この時点で開演五分前、'ほぼ定時に知らないうちに始まるよ??'と忠告すると自分の席に帰って行きました(^^)。
ちなみに、会場内に入ると確認出来ただけで左右及びPA後ろに計四台のTVカメラがあります。
今回のライブの後援はTV朝日とWOWWOWが絡んでいるのでTVでもやるのかな??と思っていましたら、どうも一応DVD用に撮ったみたいで、前日の4/15も収録したそうです。
日曜日はあまり前でもなく、しかも端っこの席でしたが、今回は一応アリーナです、と言ってもやっぱし端っこでした(^^)。
前回と違って、今回はくじ運に恵まれず、どうもあまり良い席が取れませんでした。
さて、定刻にFripp翁フラリと登場、そのままサウンドスケープソロに。
今回は、日曜日と違い、5分程度で終了しメンバーが三々五々に登場。
セットリスト4/13と変わらずでした。
多分、4/15TV撮りが行われたそうなので、セットリストは変わらず??
ただ、この日はちょっとミスが目立ちました。
'Facts Of Life'のイントロのやり直しはもしかしたらネタなのかも知れませんけど、笑えたのは'Dinosaur'。
イントロのサンプリングメロトロンの音が出ず(完全にAdrianのセッティングど忘れ、ちとあせってました^^)、Guitarの生音が会場に鳴り響いたのです。
やっぱし、CrimsonのTVカメラ嫌いと演奏に集中出来なくなるのは、ホントなのかな??
あ、そう言えばPAなんですけど、今回のPAはなかなかバランスも良くて、ここんとことの厚生年金PA最悪説をかなり払拭してくれましたね??
でも、やっぱし二階席張り出しからの反響後頭部直撃攻撃は少し来ましたが(^^)。


ようやく余裕の演奏??

 さあ、四回の東京公演も後一回。
東京最終日の4/17を迎えました。
この日も仕事を定時であがって、脱兎のごとく会場へ。
最終日は残念ながら二階席です。
それでも、前の二回と違って、場所がTrey側(それも端っこじゃない^^)だったのはちと幸い。
さすがに東京最終日ということもあってか、二階席もほぼ満席です。
(それでも当日券も出ていたようですが)
例によってFripp翁一人登場のサウンドスケープでスタート。
観客もさすがに慣れたのか、あせって会場外から戻ってくる人も少なくなりました(^^)。
あ、この日はTVカメラは無しでした。
この日はセットリストもいじって来てまして、と言っても冒頭は'Happy with What You Have To Be Happy With'が'The ConstruKction Of Light'の後に来ただけですが、その後に東京定番の'One Time'ではなく'Eyes Wide Open'と来ました。
正直、このメンバーの場合は'One Time'より'Eyes Wide Open'の方がしっくりきますね??
この後'EleKtrik'では、前日の'Facts Of Life'に代わってイントロやり直し発生。
こうなると、やっぱネタのように思えてしまいますな、ホント。
何せ、4/17は'Facts Of Life'がセットから落ちてますんで。
あ、ちなみに前回まで起こっていた'EleKtrik'ラストパート前に拍手を始める観客が居ませんでした、が何とこの日は'Dinosaur'のラス前のサンプリングメロトロンとTreyのデュオ部分で拍手する奴が居たのはびっくり。
駄目だよ、みんなちゃんと予習してこなくちゃ(^^)。
さて、セットリストの方は'EleKtrik'の後にアンコール要員だった'VROOOM'が演奏されるという入れ替え攻撃が続きます。
ちなみに、三日間ともなんだかなー??と思ったのが'VROOOM'のTreyのプレイ。
Tonyのパートと自分の以前のパートを要り交えながら演奏しているのですけど、正直TonyBassで演奏していたパートを演奏しているTreyはかなりきつそうでしたね??
まあ、元々Touch GuitarプレイヤーがWarr GuitarBassの真似事をやるのはツライのですけど、最近のTony復帰待望論は、そんなBass的なプレイがはっきり言って落ちるTreyのプレイに原因があるんでしょうな??
それと、Treyのプレイはどうもリズムが引きずるクセがありまして、Tonyのようなメリハリに乏しいのです。
まあ、Patとだとそれの方が合うのかも知れませんが....
(同じタッピングでも、今は亡きThe WhoJohnのは凄くリズミカルなんだけど....と言ってもあれはラウンド弦のベースだからか???)
それでも'The Deception of the Thrush'でのソロは相変わらず良かったのですが....
さてセットの方は'The Power To Believe II'と'Dinosaur'の順番入れ替えがあり、ラストの二曲は同じでした。
ただ、アンコールの方は'VROOOM'が外に出ちゃったので、一回目は'Oyster Soup'の代わりに'ProzaKc Blues'。
'Elephant Talk!!!'と叫んだ観客さん、見事にはまってました(^^)。
そんでオーラスは
'Oyster Soup'。
まあ、前回の猫の目セットリスト状態から考えると、曲順の変更が主でやっぱしAdrianの体調が良かった事が幸いだったんでしょうな??
アンコール前も含めて、何故か今回の日本公演はスタンディングオベーションが定番となっていますが、4/17も同様。
演奏終了後にFripp翁がステージ隅で引っ込む前に変な挨拶をしていましたが....


 今回のツアー、最初にも書いたように前回より全然良かったです。
東京公演中、大きなトラブルは4/15には発生した見たいですけど、筆者が参戦した三日間は特に無かったかな???
と思ったのですけど、Patのエレクトリックパートでエアドラムになった部分が何カ所かありましたか....
ちなみに、'The Power To Believe'でPatのパートが'TRAPS AND BUTTONS'になっていますけど、確かにステージ上ではかなり忙しそうでした(^^)。
まあ、'The Power To Believe'自体、かなりの時間をかけて制作されたみたいですし、最終的には色んな意味でPatのプレイは'TRAPS AND BUTTONS'に集約されたのかとも思えます。
あと4/17の'VROOOM'は後半、かなり珍しいコケ方をしました。
まあ、今回のツアー、同一メンバーで二枚のスタジオアルバムを制作、加えて'LEVEL FIVE'、'Shoganai'の二枚のミニアルバムを制作したわけで、曲的にも揃った形で出来たツアーなわけです。
当初、日本の某バンドを前座に据えるプランもあったそうですけど、今回は一時間五十分程度のライブが出来るセットが組めたのですから単独公演で正解だったかと思います。
多分、このラインナップでの日本公演はこれで終わりでしょうが、このラインナップのステージが最後にちゃんと完成されたのでFripp翁も悩む事なく次のラインナップに移す事でしょう。
(と言っても、それが行われるのは欧州ツアー後でしょうが...)
Tonyがどのような形で復帰するのか??Treyの運命は??Crimsonの明日は判らない事だらけなのです....
あ、新宿ではダフ屋さん、居ました(^^)。
それと、ブート屋との戦いですが、まあ5月になれば何種類か店頭に並ぶでしょうね??
ブート屋さん達もその辺は懸命でしょうから....


To Crimson