出る出ると言われていながら、なかなか出なかったCrimson初のDVD'deja VROOOM'がようやく発売されました。
元々初夏には発売されると言われていたので、筆者もDVDプレーヤやプロセッサ、それにスーパーウーファーも購入して万全を期して待っていたら、何と秋以降に延期!!!!!
まあ、しょーがないかと映画ばっかり(近所にDVDのレンタル屋があったおかげ)見てましたら、ようやく秋に無事発売となったのでした。
内容的には'95年の日本公演の映像、つまりWOWWOWで放映され、その後Adrianが演奏をリマスターによって発売されたLD/Videoと素材は同じものです。
ただ、さすがにFripp翁、そんな簡単なものは出しゃしません。
色んな仕掛けが一杯の作品として仕上がっており、遅れた事も、まあ許せると言うものです。
今回はそんなDVD'deja VROOOM'を紹介しませう。
さて、DVDというのは先のマルチアングルのように、一枚のディスクにまさにマルチトラックの収録が可能ですし、PC系のデータドライブとしてのDVD-ROMとしての利用も可能です。
今回、CrimsonもこのDVDの性格を利用して色々なものを詰め込んでいます。
まずは'In The Court of King Crimson'と題した、Frippによる文字情報によるCrimson解説や評論家の辛辣なコメント集、あのCrimsonとEGマネージメント間の提訴騒ぎの顛末やら、CrimsonのTV出演資料、'deja
VROOOM'のジャケットも担当したPJ Crookの絵画集が収められ、先の文字情報類は何とAcrobatのPDFフォーマットが完全版で収録されており、それはDVD-ROM搭載のPCで見ることが出来ます。
次は、完全なお遊びなんですが、多分ファンには一番楽しいゲーム感覚のコンテンツが収録されています。
'21st Century Schizoid
BAND'と題されたこのコンテンツは、何と1969年、1971年、1974年、1996年の各時代のCrimsonが演奏した'21st Century Schizoid
Man'を、リズムセクション、ボーカル、ソロの三つで自由に組み合わせられるというもので、つまり'69年のFripp、Greg、Mikeのリズムセクションで、ボーカルはAdrin、ソロはDavidという組み合わせなんかが4×4×4の計64通りの組み合わせが作れるのです。
まあ、演奏は'21st Century Schizoid Man'のカラオケ(これ、ホントに存在します^^)と同じで、'テーマ→ボーカル→ソロ前→キメの早いパッセージ→テーマ→ボーカル→エンディング'という流れで、ソロっつーたって、ホントに長いソロパートが入るわけではなく、テーマ部分でミックスが大きくなる程度なのですが。
でも、この64通りの組み合わせ、なかなかおもしろいッスよ。
それに、'69年、'71年はマルチトラックでは無いので、組み合わせ時に元の音と組み合わせた音がバッティングしないようにうまくトリートメントされてたり、テンポが違うものも、うまいことデジタル処理で合わせられていたりと、努力の跡も伺えたりして。
個人的には'74年のBill、Fripp、JohnのリズムセクションにBozのボーカル、Melのソロの組み合わせが好きだったりして。
あ、それと忘れていけないのが、Crimson公式カメラマンのTony
Levinによる'Tony's Road Movies'。
こちらは、Tonyが8mmビデオで収めたツアー中のメンバーの様子が収められています。
'デイトナUSA'で無邪気に遊ぶメンバーやツアースタッフの様子(さすがに、Fripp翁は遊んでいません^^)やらリハーサル風景、街での散歩等、普段じゃ見られない映像が収められています。
残念なのは音声が未収録であること。
まあ、多分人前では聞かせられない会話ばっかだったんでしょーね(^^)。
この他、Fripp翁のサウンドスケープの映像/演奏が隠しトラックとして収録されています。
但し、このトラック、隠しトラックと言うだけあって、普通にDVDプレーヤを操作しても見れないところがミソです。
筆者も入っているのは知っていたのですけど、偶然に見る方法を発見(ってーほどの事もなくて、なーんだって話なんですけど...)しました。
こちらの演奏はDOLBY DIGITAL 2chのフォーマットで演奏は収められています。
さて、こんな凝った作品になった'deja VROOOM'、まあDVDで出来る事がとにかく色々と詰め込まれているのですけど、ちょっと残念なのは一つのとおした形でのライブ収録として見れない点でしょうか??
多分、マルチアングルや隠しトラック、データトラックを使用した関係からか、収録曲がチャプターマークで区切られるのではなくて全て独立して収められている関係から、一曲終わると次の曲へは必ずサーチが入って始まるのです。
同様にチャプターマークでは無いので曲の選択はDVDのチャプターサーチでは無く、いちいちメニューを呼び出して探さなくてはなりません。
この辺、一工夫あっても良かったと思うんですけどね????
Fripp翁は、ダブルトリオのCrimsonを始める際に嘘か真かは判りかねますが、何と二枚のCDを同時再生するシステムを欲したそうです。
そういう意味では、このDVDの5ch+1という音声フォーマットはダブルトリオのCrimson向きなのかも知れません。
確かに、5ch+1を使い切ったサウンド設計というのは、この作品では非常にうまくいっていると思います。
それと、このようなライブ作品ならバックチャンネルにエコー成分や観客の歓声をまわしそうなところを、演奏やサウンドスケープをまわす等、Crimsonらしさが感じられます。
まあ、大昔のPink Froydのアジマスコーディネーターでのマルチチャンネル再生なんかもありましたが、今のライブはようやくPAもステレオっぽいミックスになってきましたけど、やっぱライブの現場ではPAミックスってモノラルが基本なんですよね??
それからいけば、そのライブサウンドを2chから新たに5ch+1にしてしまったってのは、おもしろい試みだし、リスナーに演奏を中心に聴かせるミックスにしたのはCrimsonのこだわりもあったのでしょう。
まあ、このような5ch+1が今後普及するかどうかは未だ難しい面もあるかと思います。
確かに、最近は純オーディオ的な製品よりもAVアンプを中心としたもののほうが売れているとも聞きますけど、やっぱスピーカを6個も置いて再生するってのは一般家庭にとっては面倒くさい事かも知れませんからね。
ちなみに、筆者は昔はDigital Deleyを使用した6chの音場再生とか、DOLBY
SURROUNDでの5ch再生を純オーディオをベースにしてやってましたから、今回も環境を作るのには差程苦労はしなかったわけですけど、一般家庭にこれを普及させるには、何か工夫が必要でしょうね??
あ、それとこの'deja VROOOM'を見るとDVDの画像フォーマットであるMPEG2へのエンコードもだいぶ技術的に安定してきたみたいですね。
MPEG2ってのは超簡単に言えば、連続する画像の間で異なる部分だけ書き換えるって方法で画像を圧縮しているわけで、この書き換えの単位が小さくなればなるほど、画像も精細になるんですが、このMPEG2のデコードってヘタなデコードだと見ていてすぐ判ります。
例えば、筆者の保有する'97年に出たPAT METHENY GROUPの'95年日本公演を収めたDVDなんか、鍵盤の白鍵だけが浮き上がって動いているなんてのも見て取れますし、以前やはり映画ソフトで早い動きの場面ではっきり画が浮いちゃったり、止まったりするのが見てとれたりしましたが、最近発売されるDVDソフトはそれが無くなってきましたね。
まあ、これがあるのでノイズがあろうがLDを手放せなかったんですけど、この点がだいぶ解消されてきたのでDVDもようやく市民権を得られるようになるんじゃーないでしょうか??
まあ、Crmsonが次の作品がDVDやDTSフォーマットのCDとかになるかどうかは判りませんが、新しいものに意欲を見せるのがFripp翁やCrimsonの本質かも知れませんから、その可能性も無くもありません。
だから、ハードがどれだけ普及するかがやっぱし鍵なんでしょーね???
PS1: |
11月のテストケースライブは中止になったみたいですね。 ただ、デモというか'VROOOM'のようなサンプルレコーディングが現在行われているようです。 ちなみに、DGMのFripp翁の日記によると収録曲は'The ConstruKction Of Light'(仮題??)、そして何と'Larks' W'、'Larks' X'というタイトルも見受けられます。 レコーディングは、Fripp、Adrian、Pat、Tryの四人の模様。 (Billの名も見られますけど、これBill Brufordじゃ無いみたい....) ちなみにこのレコーディング後、2000年初頭に'THRAK'の時にようにツアーに入って、ツアーで曲を練り直すそうな.... と言うことは、本当のレコーディングは2000年の夏???? |
PS2: |
そういえば、次の新譜はProjeKctシリーズの四枚組ボックスセットとか.... (全部持ってるからなー、これ) あ、DGMボックスセットVOL.2も近日中に日本のみ発売されそうです。 |
PS3: | ProjeKct Xって何なんでしょうね???? |