IMPROVISATIONS(2004.05.16)

 Crimson話も、箱物までお預けかなと思っていた今日この頃、何と箱物の発売が延期になってしまったのはご存じのとおり。
そんな中、いやはや、大変な音源が登場したものです。
ここのところ、Jamie絡みの音源もブートは勿論、DGMでの発掘、そんでもってブートの正規盤化でかなりの事、そのライブでの実像を知る事が出来るようになりました。
さすがにそろそろネタも尽きたかと思っていたら、とんでもない音源が出てきました。
それが、今回紹介するCDなのです。


 こちらが、今回発売された'IMPROVISATIONS'と題された音源です。
2CDの内、DISC-1の音源は既発のOxford音源、DISC-2は全くの初出のJamie参加初の英国ツアー初日、Hull公演からと来ました。
時期的には'Live in Guildford'音源の前後に当たります。
Oxford音源の方は、既発のものと思ったら、こちらも大間違いでして、既発のものも登場当初は、かなり注目され、そこそこ聴ける音源だったのですが、今回の音を聴いたら、もう既発のものは必要無しって感じです。
とにかく、二枚とも完璧な音質でありまして、レーベル名の'REEL MASTERS'って言葉には偽り無しです。
JamieBillDrumsPercussionの絡み具合、JohnBassのド派手な音、まだ好調だったCrossのプレイ、そしてFripp翁の歪みきったプレイを、くっきりと聞き取る事が出来ます。
そんな音質だけでなく、Beat Clubの時のようにスタジオでなく、ライブ会場で繰り広げられる観客をも触媒としたようなインタープレイの数々は、まさに近年のCrimsonブートの中でも出色の出来と言えます。
あえて言えば、テープの関係でしょうがワンステージ丸々収録で無い点でしょうが、この音質とは十分トレードオフしても良いでしょう。
2枚とも、演奏はステージ開始の'Lark's Part-I'から前半の山場として繰り広げられる(まさに)'IMPROVISATIONS'とも言うべき、自由自在のインプロが演奏され、そこから'Exiles'に戻る流れが収録されています。
'Lark's Part-I'についてはBeat Clubの段階でもほぼ完全にアレンジが固まっていましたが、このライブではOxfordの方はコーダ付きで演奏され、初日のHullではコーダ無しです。
'Book Of Saturday'もZoom Club音源のような曖昧さが無くなり、かなりスタジオ盤と同じ状態になってきていて、その辺も聞き所の一つでしょう。
'Exiles'の方もかなりスタジオ盤に近くなっていますが、残念ながらHull音源の方はその前に繰り広げられたインプロの煽りを食って、イントロしか収録されていなのはご愛敬(^^)。
この当時のCrimsonのインプロは、Jamie脱退後と比べると、アイディアがかなり自由というか、無理に曲を構成するような行為をせず、かなり濃い演奏が行われているのが特徴でしょう。
Jamie脱退後は、以外と共通項が見いだせるアイディアの元で演奏された節が後の音源発掘で明らかになりましたが、この頃の方がもしかしたら斬新だったとも思えます。
それと演奏を先導するのがJamie脱退後はJohnのベースの色が濃かったのですが、この頃はメンバー個々で主導権争いを繰り広げている感じでして、それをJamieのパーカッションの数々が誘発しているように感じられるのです。
まさに、ステージ上で人力SEとも化すJamieのプレイ、ここまではっきり、しかもオーディエンス録音で聴けるとは感無量と言ったところでしょうか??
ちなみに、MCMellotronと他の楽器のチューニングシーン(Fripp翁のMCは、もう今は殆ど聴けないのは残念)、Hullの方は'No Pussyfooting'による登場シーン、ステージ開始前の観客のざわめきも納められ('Epitaph'なんて叫んでいる観客も居ますが^^)、素晴らしい時間の記録が、ここに収められています。
ちなみにHullの方ではFripp翁が'Lark's Part-I'で始まり'Lark's Part-II'で締めくくるみたいな事を言っていたりと、やはりこの当時、復活したCrimsonがこれまでとまったく別のバンドだと強調したかったのでしょう。
さて、インプロの方は、さすがに日程もだいぶこなしたOxfordの方は20分以内で終わっていますが、初日のHullは何と30分!!!。
この辺はZoom Club状態をまだ引きづっていたのでしょう。
しかし、いつも思うのはまさかMellotronをこんだけうまくインプロで使うとは、驚きです。
(あ、Original Crimsonもこのワザは使ってましたが....)
それと、エレピの使用もこのツアーでは積極的で、Crossが色々、悪戯しています。
あ、Fripp翁がところどころでOriginal Crimson時代のインプロで使っていたワザを紛れ込ませているのも、この時期ならではかも知れませんね???
そう言えば、HullのインプロのFluteMellotron Fluteだけではなくて、もしかしてCrossの生??
こーなると、後はCrossJohnViolinデュオ音源が見つからないもんですかね(^^)。


 さて今回は、先日発売されたReel Masters音源を紹介しました。
この音源、一応、限定300セットとの話がありますが、さて本当かどうか....ちなみにナンバリングはありません。
それと、この音源、オープンテープで録音され、そのマスターの写真がジャケ中に使われています。
某誌の話だと、このマスターの実物の裏側には'Volume-1'と謳われていて、もしかすると他の音源もあるかも知れないとか....
いずれ、市場に出回るかもしれませんが、同じような高音質なら、それはそれで歓迎したいところではあります。
と言ったところで、また次回(^^)/。

To Crimson