前回は、'海の向こうの凋落劇'と題して米国の株価調整関連のお話をしました。
さて今回はお約束どうり、日本の状況についてお話してみようかと思います。
あ、ちなみに最近は風説を流すと罰せられるそうですが、このページは風説を流している訳ではありませんので。
では。
先日来、日本の株式市場も下落の一途をたどっています。
いわゆるネット関連株と言われる輩の下落はすごいもので、光通信(この会社をネット関連株とというのもかなり疑問なのですけど)なんかついに8000円割っちゃいましたし、ソフトバンクも25000円辺りで何とかうろうろしています。
SONYあたりも低迷してますし、NTTドコモも例のiモード騒ぎをきっかけとしたのか落ち込んでいます。
うーん、総選挙前に政府を景気回復宣言しちゃうなんと言っていますけど、やはり年初に言われていたように今年の半ばにもう一度'ガラガラポン'の騒ぎが起きそうな感じになって来ました。
最近の報道だと、先日制定された倒産関連の法案のおかげで総選挙後に倒産が相次ぐだろうと言われていますし、それを先取りしたわけではないでしょうけど、ついこの間消費者金融大手のライフが倒産してしまいました。
まあ、日経平均銘柄の入れ替えをきっかけとした機関投資家による株の入れ替えが、あまりに良いタイミングで市場の混乱の火を点けたとも言えなくもありませんし、同じ時期に米国の株価下落を受けて始まった、日本の株価の下落、いったいどこまで行っちゃうんでしょうか??
日本の経済状況はそんなに悪いかというと、まあ多分昨年に比べれば持ち直しつつあるようですけど、未だみんな信用してないって事なんでしょうね???
先日、業績の下方修正と会見を行った、光通信さん、大変な状況のようです。
でも、あの会見で重田社長、経営計画の見込み違いみたいなこと言ってましたけど、何言ってんだよ??この男???と思った人も少なくないんじゃないでしょうーか??
元々光通信の商売のやり方ってのは、ドコモの攻勢に圧されていた他の携帯、PHS屋の弱みに付け込んでバックマージンを多くせしめてやろうってもので、しかも携帯電話が一回り普及するとその先の収入源に不安があるわけです。
そんでもって代理店は儲からない仕組みを巧妙に用意して光通信本体を肥えさせるやり口、まあ見事ではありますが、これが次代を担う経営者と言われた時期もあった事を考えると薄ら寒い気さえしてしまいます。
最近、光通信におんぶされていた筈のクレイフィッシュも逃げ出したそうですねー。
前回のお話ではありませんが金の切れ目が縁の切れ目と言ったところでしょうか??
銀行さんもお金引き上げちゃったそうですし、うーんあとどれぐらい持つんでしょーね???
でも、ちょっと待って??
そんなよくよく考えると判りそうなカラクリにみんなで乗っかろうとしてたんじゃないのかね???
このサイトでも何度か書いているように、これからのネット社会では携帯やPHSに代表されるモバイル通信環境は重要な位置にあるのは事実です。
だから、今NTTドコモがトラブっている事も、KDDIがW-CDMAとcdma2000のどちらをとるか悩んだり(結局cdma2000に落ち着いたようですが)しているのも、ある意味これからの時代の為の産みの苦しみなのかも知れません。
でも、光通信の場合、完全に周囲が見込み違いで担いでしまったと思うんですよ。
結局、端末の乱売によるバックマージン稼ぎしか出来なかった企業の末路と言えましょう。
確かに、二年程前から何らかのネット系の商売で活路を見いだそうとした気配はありますが(あ、未だやってるのか....)、結局ものになりそうなものって無いんじゃーないでしょうか??
(ちなみに今年のビジネスショウで光通信さんのセミナーがあるそうですけど、何話すんでしょ??)
未来永劫続く商売の形態ってのは、なかなか無いものです。
どんな企業でも、その時その時の節目を乗り越える必要があるのですけど、最近の新興ネット企業を見ていると、そんな時を迎えた時に乗り越えられる企業って何社あるんだろうか(というより、そこまで続かないほうが多いでしょうけど)と思えてなりません。
光通信の姿はそんな状況を見せているように思えてなりません。
先日予想通りのニュースが流れました。
ソフトバンク、MicroSoft、東京電力が鳴り物入りで発足させた筈のスピードネット(株)のサービス開始が延期され、社長が責任をとって辞任したのです。
このスピードネットのお話は、発足当時からかなり疑問視されていました。
まあ、東電の光ファイバを使用して各接続サイトは無線で光ファイバに乗り込んで来ることで、高速のネット常時接続サービスを狙っていたのですけど、皆が疑問に思っていたのはソフトバンクが担当していた無線での接続部分だったのです。
実際、昨年の夏前には、この手法は無理だとの話が出ていましたし、スピードネットのテスト担当者もサジを投げたと言う話が伝わっていました。
結局、障害物の少ないところなら無線の回り込みや反射がないのだけど、都市部なんかだととても予定していたパフォーマンスが出ないので中継設備が当初の見積以上になる事がわかってしまい、採算がとてもとれないのがバレちゃったというわけです。
このため、スピードネット自体が無線と光ファイバの組み合わせをあきらめて、東京めたりっくなんかで実績が出来始めていたADSLのサービスに乗り換えるんじゃないかという噂も流れました。
最終的には、スピードネットは郊外での接続テストを続けて将来的なサービス開始の準備をするのと、ソフトバンクは辞任したスピードネットの社長を据えてADSLを利用した常時接続サービスを始めると言うことで話はまとまったようです。
(スピードネットの新社長はソフトバンクからとの事ですから、東電もサジ投げちゃったかな????)
でも多分一番怒っているのは東電サイドでしょう。
何せ、東電の送電監視用に張り巡らせてはいるけども、ある意味死んでいる資産でもあった光ファイバを有効利用して儲けが出せると踏んでいたのが、いわゆる'Last
One Miles'に使用を予定していたソフトバンクの持ち込んだ技術のおかげでパーになっちゃった訳ですから。
まさに'期待はずれ'の結果になっちゃったんですね。
そう言えば、このスピードネットが出来た頃、確かSONYさんも無線でのサービスに乗り出すなんて話があった筈(免許は取った筈)なんですけど、多分スピードネットより慎重なのか、スピードネットの結果を待っているのかのどちらかなんでしょうね??
これで、ソフトバンクさん、又苦しくなったんじゃーないでしょうか??
東証がんじがらめ???
さて、またまた日本の株価が大幅に下がっております。
その様は日本だけでなく、米国、南米、それにアジア各国も同じような状況です。
まあ、米国の景気の好循環が今後どのように軟着陸されるかで株価の動向も落ち着くかも知れません。
日本でも明るい材料は無いわけでも無いと思います。
ただ、いわゆるネット関連株と呼ばれるもののなかには、とても今年の夏の'ガラガラポン'を乗り切れないんじゃないかって会社も多いと思うのです。
単なる悪い噂だけかも知れませんが、リキッドオーディオやらデジキューブの闇社会トラブルとか、新興会社には良い噂が最近ありません。
(まあ、最初の頃にマスコミがはしゃぎすぎたってのもあると思いますけどね....)
元々東証のマザーズやら店頭公開株なんてのは、世に出回る株が少ないところに、公開時の幹事証券会社がロクに評価もせずに無茶苦茶な値段を付けて株式公開させていますから、確かに寄りつきの価格は高いのですけど、結局売り買いが成立しないケースが殆どです。
(証券会社やらアナリストやら会計士やらも踊りに踊っているようですが、音楽が止まったらどうするのか....最近フェードアウトになって来てますしね.....追い証が払えなくて夜逃げする投資家やらトレーダーも増えてるそうですけど)
何せ、利益なんか出てないか、出てるように見えても殆ど作った数字だってのがホントのところのようですし。
まあ、そんな新興ネット企業の創業者たちは当然多くの自社株を保有していますから資産価値は上がりますけど、それを担保にして金を借りているわけですから、ヘタに売れば株価が下がって担保価値が落ちちゃいますから、実は殆どがんじがらめにされているようなものではないでしょうか??
(こうなると下がった時にも売れないんですからね.....)
もうすぐ大証ではナスダックジャパンが取引を開始しますが、果たしてどうなることやら.....
(公開基準等は東証マザーズの二の足は踏まないとは申しておりますが....あ、ここも孫さんのソフトバンク絡みだわ....)
元々、筆者はいわゆる'ドットコム'企業という輩を信じていません。
そう言えば米国ではあのディズニーというブランドを持ちながらも、ネットおもちゃ屋のトイズマートが清算されました。
安売り合戦でとても会社を維持できなくなったとの事です。
以前書いたようにまだまだネット小売りが経済活動に占めるパーセンテージは非常に低いわけでその小さなパイを争う、最初はニッチ市場を手に入れても後発組との争いでシェアを維持できない、広告と物流のコストの見誤り等々、これらのビジネスモデル(この言葉、筆者は嫌いであります)の立ち上げを早くする事だけを意識しすぎて、維持/成長させる手段を果たして考えていたのか、大変疑問な訳です。
ちなみに、この辺のネットでの小売り、日本ではコンビニや鉄道、百貨店、メーカー、物流会社が次々に手を結んで進出しようとしています。
それに、ネットだけではなく通信販売や予約販売の一手段としてネット販売を含んだというスタイルを取っています。
多分、BtoCの世界では現状ではこれが正しい姿じゃないかと思います。
それは時間が経てば、段々ネットの利用の割合も増えるでしょうけど、最初からネットだけでやるのはあまりにニッチすぎると思えます。
まあ、失敗を見た後だから出来るという話もありますけど、今後このような大企業のモデルに何とか青息吐息で生き残った'ドットコム'企業が飲み込まれるんじゃーないかなんて思っちゃいます。
自分の首を絞めている???
最近の若い起業家の方々、みーんなIPO(株式公開)を目指しています。
何でそんなにIPOにやっきになるのでしょうか??
確かに株式公開によって資金調達が楽になる、創業者利益が入る、従業員のストックオプション提供が出来る、色んな利点もあります。
でも、ここのところの日本の新興企業の株式公開って前にも書いたように結局、自分の首を絞めているだけのようにも思えます。
それに気づいていながら、渋谷や恵比寿の一等地のビルに事業所を構える事にやっきになっているのを見ると、米国の悪い部分ばかり(というか華やかなところばかり)真似して喜んでいるだけのように見えるのは、筆者のひがみだけではないと思うのです。
(今時のシリコンバレーの地価のゆがみかたは、異常というしかありませぬ)
やはり、ネット社会の憂鬱はまだまだ晴れることはないのでしょう.....