設備投資とIT革命(2001.01.28)

 ども、、またまたしばらく更新がストップしておりました、'The Age Of Digital'でございます。
まあ、先日来、色んなニュースが流れております。
例えば、セガさんのドリームキャスト生産中止とか、そうそう先週はMSのサイトがまったくアクセス出来ないなんて事件もありました。
昨年来、米国の株価も日本の株価も低空飛行を続けております。
で、ですね、2001年最初の'The Age Of Digital'ですんで、一応ちゃんとテーマを決めてお届けしようかと思います。
題して、'設備投資とIT革命'なんてお題でいこうかと....それじゃ。


景気の気の字はどう書くの??

 ニューエコノミーだなんだとはしゃいでいた筈のアメリカさん、何かここんとこ調子が悪いっすね??
ドットコムはどんどん潰れるは、パソコン屋は業績下方修正するは、ISP連中は業績悪化でリストラ始めるはと、これまでの権勢が嘘のように、悪い方へ悪い方へと向かっております。
まあ、日本語とはうまく出来てるもんで、まさに景気と言う字は、ホント良くうまくあてはまったもので、気持ちが萎えれば、勢い一発のニューエコノミーやらドットコムなんざ、ドカーンと吹っ飛んでしまうのでありました。
ちなみに、昨年まであれほどドットコム系企業の広告が目立ったあのスーパーボールのCM枠も、今年はドットコム企業の広告は殆どないそうです。
なにせ、NASDAQなんざ最盛期の半値、オールドエコノミーのNYダウは何とか形をなしていますけど、2000年期の決算が出そろったら、株価市場はどうなることやら、日本だって米国がクシャミすれば風邪引く体質は変わっていませんから、正直なところ日本でも2001年の3月以降がどうなっているか、ちと怖いくらいでもあります。
日本でもベンチャー企業って奴が特に2000年の春当たりから沢山出来てきましたけど、今年の春を無事に迎えられる企業が何社あるのか??正直言って賭けをやるにもオッズが悪すぎるってもんでしょうね。
いったい、何でこんな事になっちゃったのでしょう??
でも、冷静に考えると、いつかこうなるのは実はみんな判っていたんじゃないでしょうか??
おもしろいのは、最近の所謂エコノミスト連中の方向転換ですね??
あれほど、米国経済とニューエコノミーを押し立てていたエコノミストの皆さん、いつのまにやら実体経済論に終始するようになっちゃいましたし。
(と言っても、一部のエコノミストやら評論家はこの自体を当然来るものと予測していた方々もいるんですけど...いわゆる煽動エコノミストの連中はどうしようも無い連中ですね??)
で、米国の'90年代の栄華って奴は、実はあんまし新しい事が起こった訳でもないんですね??そう、どうもこれまでの経済循環と変わらなかったってのが本当のようなんですよ、これ。


IT革命の本質?????

 結論から言っちゃえば、米国の所謂IT革命って、実は設備投資が大きく行われた事による恩恵を与えていただけなんですね、これ。
確かに、コンピュータの利用やシステム化、そして省力化ってのは、これまでも色んな分野で行われてきた訳ですけど、実際目に見えて効果が上がったと言い切れる状況ってのは'80年代まではあんまし無かったんじゃないでしょうか??
ところが、ニューエコノミーって奴は、ITの導入により企業の効率化が高まる事によって、恒久的に富を生み出す流れが造り出せるだろうってのが、まあ荒っぽい言い方ですが、その主張な訳です。
で、どうなったかと言うと、確かに米国内部でそんな効率化はある程度認知される結果を見られた訳です。
(まあ、全てがそうだと言うわけでも無かったところに落とし穴もあったのでしょうけど)
で、どうなったかと言えば、皆'ITは素晴らしい、ITで効率化を図ろう、ITで儲かる体制を造ろう’と乗り出しまして、どんどんIT関連の設備投資が始まった訳です。
大体、経済が上向く時ってのは設備投資が大々的に行われる時なんですね。
そうやって設備投資が大々的に行われると、それに関連する企業の収益は良くなる訳です。
で、今回の主役は所謂ITのリソースを提供する企業、つまりネットワーク関連の企業、PCServerなんかのハード企業、それにOSを提供するMSさんとか、そんでもってハードの心臓部を受け持つIntelさんなんかがそんなリソースを提供する企業で、設備投資を行うのがドットコム連中と、遅れてなるかと意気込んだオールドエコノミーという訳です。
実際、ネットワークのCiscoさんとか、MSさん、Intelさんの業績って下方修正はされましたけど下方修正された数字のレベルは保っていましたし、Oracleさんなんか良い業績を挙げていたわけです。
ところが、それとは正反対に期待外れだったのがドットコム連中、こちらはいつまでたっても赤字のまま、さすがに投資家連中も、'いったいいつになったら黒になるんや???'と焦りだしたわけです。
こうなると、ドットコム連中への評価はどんどん落ちていくわけです。
そして、身売り、清算、倒産という道を歩んでしまったわけですな。
そうなると、そんなドットコムを対象に商売をやっていた、ISPIDC関連は火の車になります。
何せ、お客さんが続々と萎んで来ちゃいましたから、そうなるとISPIDCもおいそれと設備の拡充に動くなんて事は出来なくて、規模の縮小に向かっちゃったわけです。
ホントは、この次のブロードバンド関連で一儲けを考えていた方々が萎んじゃいますから、それに伴って通信関連もあおりを受けてしまいます。
あ、PC関連も'95年のWin95デビュー時に稼げなかった分を'97年以降、売りに売りまくったら、昨年当たりから需要が萎んじゃいました。
つまり、ビジネスユースもコンシューマの自宅への設備投資も一段落したという訳です。
(ちなみに、'95年のWin95デビュー時に米国でWin95が売れなかったのは、結局企業関連のシステムがWin3.1とか他のOSベースである程度構築が成功してしまったので、Win95に回すお金が無かったんですよね。コンシューマも似たような状況だったんです、これ。ちなみにWin2000が今、売れていないのも同じ理由。MSって企業会計しらんのかな??)
そうなんですね、実は'2000年前半までのIT革命の本質ってのは、実はこれまでの景気循環と同じで、別に革命だったわけでは無くて、単なる設備投資でしかなかったんですよ、これ。


おいしい蜜を吸うために....

 そんな状況ですから、甘い蜜を一番吸っていた筈の設備投資に関連していた企業、そうCiscoMSIntelDellとかも実はかなりヤバイ時代を迎え始めたとも言えなくもありません。
まあ、所謂PC屋の間では、1999年頃から脱PCってのが一つのテーマになってたんですけど、未だ明確なビジョンは出せていませんし、MSも例の'.NET'構想なんてのも新しい収益分野を生み出そうと躍起になっている証拠でしょう。
(でもねー、MSってPCベースでしか未だ物事考えれないからな....)
Intelも、高速CPUをどんどん出していますけど、実際のところは早くするには越したことはないのですけど、それがPCServer市場に新たな火を点ける事態には至っていませんよね。
(未だに、PentiumWを出した理由が、良く分かんないんですよー。何せコンシューマ及びビジネスユースで出てきているのに、そうゆう関係のアプリケーションだとP-4って凄んごく遅いんですよ、これ。浮動小数点演算が速いってのなら、ワークステーション向きなんじゃないかい??この石??)
さて、そんな中、日本はどうかと言うと正直なところ、所謂ベンチャーは2001年の春を乗り越えられるかって問題はありますけど、例の体の大きい総理大臣の肝いりで所謂IT関連の政府予算ってのがどーんとつきました。
つーことは、未だ設備投資する余地はある訳です。
特に、ネットワーク系のインフラについては、今までNTTが嫌がっていたADSLの普及が始まります(何せ、これまで味方だった郵政関連がNTTをやり玉に挙げ始めるなんて事態になりましたし)し、光系なんかの所謂ブロードバンド系への投資が進む筈です。
となると、米国的な民間主導のドットコム系の設備投資では無くて国が主導するネットワーク系インフラへの設備投資が始まる事は自明の理でしょう。
(しかしまあ、よくも省庁事に同じ予算を申請するもんです。殆ど国道と農道の関係と同じようなものが沢山あります)
そんなとき、日本でそんな設備投資による甘い蜜をもう一度って考えたのが、Ciscoさんなわけですね。
先日、何とソフトバンクの株を買うとともに、アジア圏でのインターネット関連の事業の為の基金設立等、かなり派手な動きを始めたってわけです。
まあ、日本だけでなくて、今後はアジア圏でもネットワークインフラの拡充が進むだろうし、そんなときCiscoが手をこまねいている訳はないでしょうし、それになにより、これからしばらく低迷する米国に代わる市場としてアジアを注目しても不思議は無いわけですね。
そう、まさに'設備投資の夢よ、もう一度'ってわけです。


 でも、本当はそんな設備投資が一巡すると、そのインフラを生かした商売が生まれて、それによって富が生まれ、それが収束すると低迷期に入るのが景気や経済の循環パターンな筈なんですけど、今回はその'インフラを生かした商売'って部分が米国ではうまくいきませんでしたね。
所謂ドットコム連中な訳ですけど、まあBtoBやらASPなんかが、それをフォロー出来るかが米国の今後のテーマでしょうね??
つまり、どんな経済でもキラーアプリは必要って事なんですな。
さて、そんな先行してコケかけている米国の状況は、素晴らしい研究材料です。
それを見て、うまい二番煎じを考え出せるかが、やっぱ日本側の課題なんでしょうね??
でも、くれぐれも、孫さんのタイムマシン戦略は、もう通用しないと思うけど....

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