ブロードバンドはどこへ??(2001.06.24)

 ども、一ヶ月ぶりの'The Age Of Digital'です。
ここのところ、色んなニュースが飛び込んで来ましたが、正直忙しくてそいつをネタにしたお話をかけませんでした。
で、そんなところで、ここのところニュースも多いブロードバンドとそれにまつわるお話をしようかと思います。
では、行きませう(^^)/。


ブロードバンド、今昔

 さてさて、ブロードバンドってのは、皆様もご存じのとうり、これまでの公衆回線等の低速の回線(優先、無線を問わず)、所謂ナローバンドに対して、高速且つ高帯域の通信回線を指すわけですが、その方式ってのは色々ある訳です。
多分、本命は光なんでしょーけど、各家庭がその環境の域に達する迄には、所謂'Last One Mile'問題がありまして、そこのところをホントに光で直結するには、まだまだ至らないわけですけど、その過渡期を何とかしようと色んな技術が出てきた訳です。
特に、米国なんかでは、例の情報ハイウェイ構想が結局'Last One Mile'の問題である意味頓挫しそうになったとき、それを救ったのはCATVxDSL技術だったと言えます。
(と言っても、結局頓挫したよーなもんですが....ちなみにネットバブルの崩壊で米国のxDSL業者が窮地に立たされているのは、既報のとうりですけど)
ご存じのとうり、特にADSLは韓国で爆発的に普及して、一挙に韓国を世界ナンバー1のブロードバンド大国にしちまいました。
ADSLが何が有利かと言えば、とにかく既存の銅線の電話回線を使ってMbpsクラスの通信速度を確保出来る点な訳ですが、ただ日本の場合だとISDNとの干渉問題をタテに、NTTさんがしばらく黙殺してきたわけです。
実際には、そんな問題は言い訳みたいなもんで、NTTさんは結局ISDNを普及させることに血眼になってましたんで。
(あ、そう言う意味ではISDNとの干渉問題ってのは言い得て妙かな^^)
そんなこんなで、'90年代後半に登場したADSLを利用した通信サービスプロバイダは、みーんな苦戦する訳ですね??
さてさて、そんなこんなで日本では残念ながらxDSLの普及は今一つ進まなかったわけです。
ところが、結局NTTさんが方向転換、元々回線を押さえている強みもありますし、ISDNではユーザのニーズに応えきれない事を悟ったのか、自分たちでADSLサービスを始めちゃいました。
これには、中小のADSLサービスプロバイダーは怒り狂いましたよね??
曰く、'でめーらで始めるから、おれっちらをおざなりしやがったな???’って。
しかも、そんなADSLサービスプロバイダの雄でもあった東京めたりっくさん、資金がショートして大変な状況に陥ってしまったわけです。
で、そんな事を言っていたら、突然お金持ちが乱入してきました。
そう、孫氏率いるソフトバンク軍団であります。


Yahoo!、プロバイダになる??

 いやはや、孫さんも、しばらくなりを潜めていたと思ったら、なかなか派手な事をしてくれました。
何と、通信費込み月額2880円、最高速度8Mbpsでコンシューマ向けのADSLサービスを始めると発表しました。
これって、NTTさんなんかのほぼ半額以下の値付けです。
今年の81日から都市圏でサービス開始、年内に全国に展開し、日本の全世帯数の7割までサービス可能な体制にするそうです。
何せ目標のサービス加入世帯数が3000万つーんですから、こりゃ凄い。
ただこの価格、かなりの冒険でもありまして、ある筋の試算によると300万世帯以上にならないとブレークイーブンに届かないと言ってますけど、目標はその10倍ですものねー??
それでもサービス申し込みをネットを通じて行ったら、何と即日10万とか20万の申し込みがあったそーで。
これって現在のADSLサービス加入者数、既に越えちゃってんじゃないっすか??
凄いなー。
で、今回、このサービスを始めるに当たってバンクさん、二つ程、手を打って来ました。
その一つが、今回のADSLサービスをYahoo!のブランド名で始める、つまりサービス名を'Yahoo! BB'とし、サービス窓口にYahoo!を利用した点です。
これは、バンクさんとしてはまあ、賢い選択と言えましょう。
実際のサービスはバンクさんとグループ会社が出資して設立した'ビー・ビー・テクノロジー'が担当する訳ですが、その表向きの顔としてYahoo!のブランドを使うのは、一応Yahoo!をポータルとして利用しているユーザは2000万程度いると言うことなので、かなり賢い判断と言えますな。
Yahoo!について、筆者はあまり評価していませんけど、そんな事はこの際どうでも良くて、マーケティング的な見地から言うと、ソフトバンクがタダで使用出来るYahoo!のブランドとポータルとしての利用ユーザ数を考えれば、これ以上のマーケティング的な武器はあり得ないと言えましょう。


東京めたりっく買収が全てを決めた??

 今回のバンクさんのADSL進出のきっかけは、実は東京めたりっくの窮状とその買収がきっかけだったんじゃーないかと思えるんですね、筆者には。
東京めたりっくの資金ショート話は、今年の頭あたりからチラホラと表面化してきたわけです。
まあ、サービスを最初に始めたのは東京めたりっくなんかの所謂ベンチャーだったわけですが、残念ながら当初のNTTさんのやりようで、非常に苦戦、エリアの拡大に四苦八苦していました。
確か春前くらいですか??ADSLサービスに参入したNTTに対して、かなり食ってかかったのも記憶に新しいところです。
まあ、'ISDN10倍'、つまり640Kbpsを目玉としてサービス開始をしながらも、ここ12年のCATVNTT他の大手通信会社の参入と東京めたりっく以上の通信速度を打ち出した展開等々、コンシューマ向けのブロードバンドサービスは群雄割拠の状況を呈してきた中、どうも今一つうまくいかないめたりっくさんの苦悩は、大変なものだったでしょう。
で、結局金回りが悪くなり(まあ、これはネットバブルの崩壊で金融機関やベンチャーキャピタルがサイフを閉めちゃったのも含めて、風はめたりっくに向いて無かったのもありますね)、ついに白旗を上げざる負えなかったようです。
そんな東京めたりっくですが、それを多分疾風怒濤のごとく買収したのが孫さんだったのでしょう。
で、この東京めたりっく買収の内定が、今回の'Yahoo! BB'開始の発表を決定付けたんじゃないでしょうか??
今回の買収で東京めたりっくの経営陣はそうとっかえになるそうです。
しかし、現在のサービス体制なんかは残る訳ですから、それなりのノウハウをまんま、今回の'Yahoo! BB'に利用出来る訳ですよね??
そうじゃなきゃ、今回のサービスを始めるにしても、無理がある筈ですもの。
何せ、買収の発表が'Yahoo! BB'の翌日ってのもねー。
まあ、バンクさん、ブロードバンドでは'スピードネット'で一度大きなヘタを打ってますんでね??
ちなみに、このほかの名古屋とか大阪のめたりっく関連も、結局バンクさんの傘下に入るんじゃないでしょーか??
あ、そう言えばスピードネットでヘタ打った時に、無線が駄目ならADSLがあるさと言っていたな....


でもホントにうまくいくのかな??

 さて、そんなこんなで皆の注目を集める事にも成功しましたし、実際サービスの申し込みも順調なようです。
でも、ホントにうまくいくんでしょーか??今回のバンクさん??
何せ、先のマイライン騒ぎでもそうでしたけど、喧嘩を売られると必ず反応するのが最近の大手キャリアですから、NTT当たりは何かしら手を打ってくる事でしょう。
(ただ、マイラインの大戦争で、大手キャリアもかなり体力が落ちているようなんで、バンクさんには追い風になるやも??)
それと、今回使用するADSLモデムは、東京めたりっくでも使用したモデムと同じ規格のものになるみたいですけど、このモデム、ISDNとの干渉問題を持っているんで、速度的にMbpsクラスを出せるかどうか問題があるんですよね??
実際、問題があれば(一応、ケースバイケースのようですが)、規格の違うモデムを使用する場合があることをバンクさんも認めていますし。
そんな干渉問題が出てくれば、当然NTTさん、黙っちゃいないでしょーし。
そんで、一番の問題はやっぱ、以前同じような話でミソをつけた'スピードネット'と同じ事にならないか??って部分ですよね??
正直言って、バンク系のバンクが起こした会社ってのは、技術的な事については非常に非力です。
スピードネットの時はまさにそんな事実が表面化した訳ですけど、他の部分でも正直なところバンク系の会社で、バンクが新たに起こした会社で順調なのは、お金関係の会社だけでして、所謂エンジニアリング系やネットワークサービス系の会社は殆ど赤の字だらけなんすよ。
まあ、だからこそブランドとしてのYahoo!、そして技術面での東京めたりっくが必要だった訳でしょうけど。
ちなみに800Kbps以下の速度しか出ない場合は、ユーザが合意しなければサービスを行わないなんて言っていますけど、これもはっきり言って逃げでしか無いでしょう。
800Kbps以上を保証出来る技術をもってサービスを行うんじゃなくて、やってみなければ判らないって言いながら、しかも、サービス中止の責任をユーザの判断のせいにするなんてね??
それに、この800Kbps云々の部分は、実はバンクさんが用意するバックボーンの能力にかなり左右されると思うんすけどね....
で、先の話でも書きましたが、ホントに黒の字に出来るかって問題もあります。
ちなみに、孫さんは、黒にする為に有料のブロードバンドコンテンツの提供と、Yahoo!サイトを利用したBtoCでそれをカバーすると申しております。
でもですね、色んな人と話していると、別にYahoo!のサービス云々よりも、ネットワークの入り口としての安価なADSLサービスとして今回の'Yahoo! BB'を使うだけって言っている人も、かなり多いんですよね??
(実は、コンシューマもかなり賢く行動するんですよ、今は...)
と言うことは、あの価格付けでは実は無理があることを実は薄々感じ取っているみたいにも思えますけど、どうなんでしょーね??
どうも、バンクさんの花火、今一つ信じられないんだよなー.....


 さて、今後日本でも1Mbpsクラスのブロードバンド化はどんどん定着すると思いますし、その流れは変わらないでしょう。
ちなみにバンクさん登場前に、既に米国と日本のブロードバンドの利用コストはほぼ同じという調査結果もでたそうです。
確かに、月5千円程度で常時接続、そんでもって12Mbps程度の速度が利用出来るなら、筆者もそろそろADSLにしようかな???って思っちゃいます。
但し、常時接続ってのはそれなりのリスクもあります。
知り合いでCATVで常時接続している友人(ある程度のネットワークの知識を持っている人達です)に聞くと、ポートスキャンされるなんざ、日常茶飯事だそうですからね。
ブロードバンド→常時接続→そんでもってパーソナルセキュリティってのは、新しいネットワーク三題話になりそうですな、こりゃ。

PS: いや、バンク話で殆ど終わっちゃいましたね、今回。
出来れば、次回は他のブロードバンドサービスを含めたお話を書きたいと思ってますんで、ちょいとお時間を下さい(^^)/。

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