Last One Inch??(2001.07.01)

 珍しく、二週続けての'The Age Of Digital'です。
先週のお約束ではバンクさんのブロードバンドサービスだけを書いたんで、じゃ他のは??というお話を書こうと思ってます。
ちと、支離滅裂になりそうで、本人も不安なんすけど....
では(^^)/。


やっぱし不安??

 さて、前回紹介したバンクさんのADSLサービスですけど、かなり色んなところで論議を呼んでいますね。
日経BPさんのサイトでは今回の発表をネタに緊急アンケートなんてのを行いましたけど、あの値段を付けた事への高い評価と、でもあんな値段でペイするのかっていう二つの意見が両論併記って感じになってましたね。
まあ、日経BPさんのサイトですんで、それなりの業界の人の意見が大勢を占めていましょうし、やっかみ半分の同業者の意見も多そうですけど、意外と至極まともなまとまり方とも言えますね??
ちなみに、今週のNEWS WEEKでもやっぱ同じ意見が載ってました。
笑ったのは、NTTさんがADSLサービスの値下げとFTTHサービスの発表の時のコメント。
まあ引用するのもなんですんで、筆者流に翻訳(??)すると、'ほー、やれるもんならやってご覧??でも俺っち達は手は貸さないよ。頼まれた分の仕事はしてやるけどね??'って感じですか??
まあ、とにかく孫さんもやるって言っちゃった訳だから、スピードネットみたいな事にはしないようにしないとね??
(ちなみに、日経BPさんのサイトでもサイト側のコメントとして'スピードネットの件が皆、トラウマになってる'みたいなのもあって、笑っちゃいましたけど)


ほかはどうなの??

 で、他のブロードバンド系のサービスはどうか??っていうと、有線ブロードバンドさんは一応3000ユーザの作業が終わったそうです。
まあ、これからってとこでしょうけど。
そうそう、NTTさんは自分たちでADSLをようやく引っ張る気になったみたいっすね。
でもやっぱ本命はFTTHのほうみたいですけど、さすがにこちらはまだまだ様子見って感じ。
インプレスさんのサイトでも'FTTHは壁が高い'みたいなお話が載ってましたけど、まだコンシューマ向けでは無いでしょうし。
おもしろいところではHOME PNA(既設の構内電話線でLANを構築するって奴ですな)を使ってのマンション専門のサービスなんてのもあります。
ただ、こちらはマンションの電話の集合施設からプロバイダーまでは専用線接続なんで、FTTHが使用できればかなりおもしろそうです。
ただ、個人住宅向けにはコスト的に考えても無理ですね、これじゃ。
CATVはどうかなっていうと、普及はかなり進んだみたいですけど、やっぱエリア内だけのサービスって問題があって、全国展開ってのは、かなりきつそうですね??
どうしても地域ごとのサービス展開なんで、一つの会社が全国を相手にするのは難しそうです。
(一部で地域CATV間を繋ぐビジネスをやってるとこもありますが)
そうやって考えると、やっぱxDSL系が一番コスト的にも、良いのかな???とも思えるんすけど、でも本来的なブロードバンドサービスで、音声/映像/データ、そんでもって双方向もって事になると、ADSLではちょいと貧弱ですね....
まだ、本命は出てないのかもしんないですね、こりゃ。


Last One MileからLast One Inchへ

 個人的には、今のブロードバンドの問題ってのは金、つまりコストに尽きると思うんですね。
それはどんな事かと言いますれば、サービスを提供する側のコストではなくてサービスを利用する側のコストの事なんです。
自宅にブロードバンドの線が来ました、さてそれを家族全員が家のどこでも使いたいと考えたとします。
その時、皆さん、どうします??ケーブルでLANを張る??それとも無線LAN??どれも一手間も二手間もかかるでしょう。
労力もお金もです。
それに、それを自分で出来る人だけとは限らないでしょうし、それを維持管理するのに知識が必要だったりすると思うんですよね??(それを狙ったサービスビジネスなんてのもありか??)
ぱそこんが爆発的に普及し始めた頃と同じ状況、いやいやもっと面倒な事になるんじゃないのかしらん??てのは気苦労でしょうか??
水道は蛇口をひねれば、水が出る事を知っているから皆が重宝するし、電気も電灯やTVをつけるのはスイッチを入れれば良いからお年寄りでも使える、でもブロードバンドサービスはそうはいかない(インターネットって言っても良いですね)ってのが、一番の大きな壁なんじゃないかと筆者は思うのですよ。
つまり、個々の家がブロードバンド環境に接続されるって部分では、かなりメドが立ったと思うんですけど、次はそれを家庭内で利用する時にどんだけ簡単に機器を繋げられるかって問題だと思うんですよ。
昔のTVみたいに一家に一台、居間にどーんと置いて皆で使うってのは、今の時代じゃ無理があると思えません??
何せ、インターネットは利用する側は個人が主体なんすから。
確かにブロードバンドになって、そのエンターテイメント性によって、再び個人から集団(家族)に利用する側を戻すかも知れませんが、それも今の家族構造から考えると、やっぱ利用する側は個人じゃないんかな??と思うんですね。
そうすると、家庭内からどこでも繋いでブロードバンドを利用するとなると、有線LANを張るとかは現実的な解じゃないでしょう。
家を改装する??それとも建て直す??いや、それじゃ駄目でしょ??
無線LANでってのも手ですけど、スピード的な問題が未だ大きくのしかかって来ますし(小電力無線では無理でしょうし)、もう一つ電波による他の影響なんてのも考えられます。
先にも紹介した電話回線を利用するHOME PNAなんかも考えられますけど、米国の大きな住宅と違って日本の場合、個々の部屋にRJ11の口があるとは思えませんしね??
じゃ、他に何か無いんかな??と考えると....


どこの部屋にもありそうなものは?

 さてさて、じゃどこの部屋にもありそうなものは??っていうと、一つあるんですよね、そう、電源コンセントなんすよ。
これってどこの部屋にもあるじゃないっすか!!!
ご存じの方もいると思いますし、時折TVでも紹介されたりもしていますが、この電源コンセントと家庭内配線を利用してネットワークを作ろうという話は、確か'95年頃に英国で研究が始まりまして、日本でも'96年頃から四国電力さんが研究をしてますね。
とにかく、単純に考えると家庭内でどこの部屋にもあって、しかも全ての電気回線はスター型のネットワークで家庭の配電盤に集合しているわけですから、そこをコアにしてデータのネットワークが作れれば、コスト的にも非常に安く済むでしょう??何せ、改築やら家を建て直す必要も無いんすから。
電力会社がこれに目を付けたのは、もう一つポイントがあって、電力会社さんは既に全国規模の光ファイバーのネットワークを持っているんですけど、それは殆ど電力設備の保守管理用にしか使われてないんであって、殆ど空いているんですよね、このネットワーク。
そこで、それを利用すれば、NTTと並ぶ有線系のネットワークが作れる訳です。
あのスピードネットも、結局'Last One Mile'って事で無線の部分だけが注目されたんすけど、ホントはその無線で入ってくるデータを東電さんの光ファイバーで伝送するってのがホントのミソだったんですね。
東電さんは空いた設備を有効利用出来るってんでスピードネットに出資したんすから。
さて、話を戻すと、そんな電力会社の光ファイバーとの接続を家庭内のコンセントからしても良いでしょうし、家庭内の回線設備として家庭内のコンセントを利用して別のブロードバンドサービスに繋ぐも良し、もっと突き詰めれば所謂デジタル家電の接続をコンセントのみで行い、給電とともにデータ通信を行わせれば、デジタル家電の普及にも役立つでしょう。
うん、こりゃ良いわい、と言っても壁がやっぱあるわけで、この方法は未だあくまで実験ベースで、実用ベースに無いんです。
他にも、データ信号が電気信号に与える影響とか(TVとかオーディオ関連は影響があるでしょうね...)もありますし。
ただ、意外とこれが一番現実的な解になるんじゃないっすかね??
少なくても物理層の解決の解にはなりそうな気がする訳です。
まあ、そんなこんなで色んな利点がありながらも、今一つ注目されていないというか、ニュースになりにくいのは、やっぱ研究している側も絶対的な自信がまだ無いからかも知れませんが....
(ちなみに筆者は電力会社の回し者ではありませんので^^)


 さてさて、今回はちょっと話がひん曲がった感じもしますけど、多分ブロードバンド接続の扉は開かれたと思うんです。
でも、今度はユーザサイドがそれを利用する時、いかに使いやすい状況を用意出来るか??って部分で、筆者はそこから'Last One Inch'なんて造語を創り出してみた訳です。
ブロードバンド接続は他にも常時接続故のセキュリティ問題なんて、越えるべき問題が他にもありますけど。
某教授が言っているような'全てのデバイスが有機的自立的に繋がり大きなネットワークを構築する'なんて世界を実現するには、周りはどうあれ、最後の最後でどのような接続形態になるかっていう物理的な解が、これからは求められていくんじゃないでしょーかね??

きょうのひとこと
'今度のOfficeはフリーズしても大丈夫!!'
ようやく、MSも自分の否を認めたんか??

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