二つのX(2001.10.28)

 ども、ちょいと間が空きましたが、いかがお過ごしでしょうか??'The Age Of Digital'です。
さて、先月中旬の米国のテロ騒ぎから、ついに米国のアフガン空爆、そんでもって地上戦開始なんてニュースが流れたと思ったら、再び米国で炭疽菌テロなどという物騒な事件が起こり、日本国内でも便乗犯の'白い粉'事件なんつー、迷惑な事件が続いています。
まあ、米国のアフガンへの空爆により、本格的な戦争状態に入りつつあるこのご時世、おかげで日米欧の株式市場は続落、すわ??世界同時不況??なんて話もあながち絵空事ではなさそうな、そんな時、米国で、そして日本でも一つの'X'が世に放たれ、そしてもう一つの'X'もまもなく米国を皮切りに世に出ようとしています。
そう、ご存じ、MSさんの'Windows XP'と'X-Box'の事であります。
今回は、そんな二つの'X'を魚にしてお話をしてみようかと....


経験する??経験し続ける??

 さてさて、'Windows XP'、先週業界あげての大キャンペーンを打って、ついに登場しました。
何と、メモリー256MB無料配布やらウィルス対策ソフト無料添付なんつーおまけ付き、ゲイツ君をはじめとしたPC業界のお歴々も出席して、大々的な会見まで開くは、不況にあえぐIT/PC業界の救世主となってくれるのか??と注目を集めました。
ここんとこの米国のITバブルの崩壊、そしてPC業界の低迷(何故かDELLさんだけは景気が良いんですが...)で、我が日本でもその影響はかなり深刻で、日電、富士通、東芝、日立、そんでもってSONYまで第三四半期はガタガタ、通年の業績予想も下方修正の連続です。
リストラっつーか、早い話の首切りが襲い、某大臣のIT業界による失業者の吸収なんざ夢のまた夢(というか、元々この某大臣の考え方は根本的に間違ってるんで。IT業界で今、そしてこれからの失業者を吸収するなんざ、どだい、絶対無理なんですが〜理由は簡単、IT業界の欲しい人材はパソコンでワープロや表計算出来る輩では無いんだよー!!!、そんな人材は人材派遣業に沢山登録されてまんがな)という状況。
日本でも、既にOEM版の'Windows XP'がアキバでで売られしているわけですけど(盛り上がらない発売イベントだったそーな....MSさん、社員に動員かけたんじゃないの^^)、業界の期待と復活を一身に担った'Windows XP'、結局既報のように物の見事にコケちゃいました。
ちなみに報道では'Windows XP'発売当日にショップに並んだ人たちが沢山いたと思ったら、彼らの目当てはそのショップの目玉セールス品のDVDプレーヤで、'Windows XP'を持って出てきた人は一人もいなかったなんてのも伝わってきています。
まあ、まだまだこれからって人もいますけど、ある調査会社のレポートでは'Windows XP'の普及は2003年以降なんてのもあります。
実際のところ、この不況を脱するきっかけになって欲しかった業界人は沢山居たわけで、だからこそ、先にあるように業界あげての大キャンペーンを繰り広げた訳なんすけど、さすがに時期が悪かったってところでしょうか??
この時期が悪かったってのは、景気の落ち込みやら、例のテロ事件から戦争突入なんていうご時世等々もあるんすけど、実はもっと深刻な事もあると思うんす。
二年前に出した'Windows 2000'、昨年出した'Windows Me'と、MSさんはここのところ立て続けに新しいOSを世に出しています。
今回の'Windows XP'も、まずはホームユースとオフィスユース、そして来年にはサーバユースのバージョンが出てくる事でしょう。
でも、考えてみるとホームユースはある意味売れなきゃ切り捨てれば良いわけで、Windows史上最悪のOSと言われた'Windows Me'は、既に市場から駆逐されようとしていますけど(ホントに繋ぎでしかなかったんでしょうな^^、買った人はお気の毒...)、'Windows 2000'のほうはどうする気なんでしょ??
まあ、実際本気で'Windows 2000'に企業システムを置き換えようとしていたユーザは、'Windows XP'の登場をどう考えているんでしょうね??
逆に、'Windows 2000'での構築をやめて、やっぱ'Windows XP'にしようなんて事になると、またまた企業ユーザがお金を出し渋っちゃうんじゃないっすかね??(実際、そんな発表をした大手企業もあったりして)
しかも追い打ちを駆けるような例の新ライセンス体系と言い、MSさん、自分の利益が下がる事を何とか止めようとする施策ばかりで、自分で自分のOSの普及に足かせを掛けているようなものです。
MSさんとしては、'Windows95'登場時のような騒ぎを期待(と言っても、'Windows95'が発売当初から爆発的に出たのは、それをきっかけにPCが普及した日本であって、米国ではその二年ぐらい後でしたよね??売れたの...)していたようですけど、景気や市場動向、政治状況だけでなくて、MS自身のマーケティングのまずさが今回の'Windows XP'がコケた、そしてこれからコケる原因ではないんでしょうかね??
今回の'Windows XP'の市場ターゲット、そして市場への浸透のさせかた/スケジュールが正直言って'Windows 2000'の立場とガチンコしちゃってますし、それとこれはWin95登場当初やWin NT4.0登場当初の状況とまったく同じ間違いを犯しているように思えます。
(しかも、今回のほうが景気や市場動向、政治状況もよろしくないので、もっと大変かも....)
つまり、ビジネスユース側としてはようやく以前の版のOSでシステムを構築/運用を始めたと思ったら、新しいOSが出てくるは、古いOSのサポートは止まるはで、結局システムの構築への投資の回収に入ろうとすると、新たなシステム構築の投資が必要になるかもしれないって事なんです。
以前にも書きましたけど、ホントMSさんはその辺の事をどう考えているんでしょうか??
それとも、次は大丈夫、次は大丈夫って一生、まともに使う時間を与えずにユーザにOSを買わせて行こうとしているのかしら(多分、その気なんだろーな???)???
結局、MSは新しいOSを次々に投入し続けるって商売のカタから逃れられないんだろーか???


X-BOXの目指すホントの姿??

 そんなものの見事にとりあえずコケた'Windows XP'ではありますが、MSさんにはもう一つ大切なイベントがもう一つあります。
そう、先日のゲームショウでもとりあえず集客には成功した'X-Box'であります。
米国では11月、日本でも来年には市場にお目見えします。
まあ、発売当初にどれだけのゲームを揃えられるかがポイントとも言われていましたけど、最近の調査会社の報告では任天堂のゲームキューブやSONYPS2にも買い控えの動きが見られているそうですんで、その動きが'X-Box'有利に動く前触れか、それともこの不況の影響で娯楽に対するお金の目減りが'X-Box'にも同様に働くのか、ちょいと見物とも言えます。
ただ、先月もハードディスクの容量をどれだけにするかでもめてるとか、どうもパーツがうまく廻っていないとか、歩留まりで最初の投入台数が当初予定を大幅に下回りそうだとか、どうもネガティブな話しか伝わって来ません。
日本では先日のゲームショウではかなりの集客に成功したみたいですけど、来場者やゲーム関係者に言わせるとデモで出たゲームが所謂アクションシューティング系だけで、出るゲームが皆、その系統だけだと多分失速するんじゃないか??と評価する人が多かったみたいです。
まあ、PCゲームっていうとそうゆうシューティング系かアダルト系が受けてる世界で、それ以外は所謂クソゲーなんて日本では言われてますが、実際そうだと考えると、PCゲーム系からのノックダウンで'X-Box'用となるものも、その種類が自ずと限られる可能性が高く、そうすっと'X-Box'側としてもつらい部分がありそうですな??
まあ、例のWindows APIベースの開発環境がホントにこれまでのPCゲーム制作現場に大きな折り今日を与えるかどうか、まあお手並み拝見ってところでしょうか??
さてさて、で、実は筆者はそんな事はどうでも良いかな??って思っているんですな。
今回、'X-Box'は先のハードディスクの他、所謂ブロードバンド対応なんつーネットワークへの接続も目玉になっているわけです。
以前から言っているように、家庭のデジタル化やネットワーク化の切り口としてのPS2も含めたゲームマシンってのは、かなり可能性が高いと思います。
少なくとも、使いづらいPCなんかより遙かにマシでしょうし、セットトップボックスなんかよりも自然に家庭に入っていきそうな気がしてるんです。
(つーても、任天堂さんは結局、純粋なゲームマシンの姿を投入しましたが)
そうゆう家庭のネットワーク接続によるサービスのきっかけを皆、一生懸命探しているわけで、SONYさんなんかはそうゆう部分でPS2に期待しているわけです。
(と言いながら、ハードディスクやモデムなんかを出し渋っているようにも思えますが....)
日本でもADSLが爆発的に普及しそうですんで、そういう常時接続形態でのホームユースでのサービスビジネスってのは、期待できる数少ない分野とも言えるんじゃないでしょうか??
当然、'X-Box'に対するMSの期待もそこにあるんじゃないかというのも別に穿ったもんじゃないでしょ??
と言うことは、多分ホントの戦場はゲームソフトではなくてネットワーク接続された環境でのホームユースサービスになるんじゃないでしょうか??
多分、来年の春頃にはこの辺の話がホットになってると思います。
PCベースで一部のサービスベンダーがその辺に出てきていますけど、多分軌道修正も必要でしょうね??


PL法と近未来??

で、ここからが筆者が'X-Box'に期待するホントのお話。
つまり、今の今までMSさんは自分達の出してきた製品はマウスやゲームコントローラみたいなどうでも良い物以外の主力製品はみーんなソフトウェア製品でした。
このソフトウェア製品ってのは、実は非常にユーザに不便を強いるものでありまして、ソフトウェア製品で何らかの障害が起こり、それがユーザに迷惑を掛けたとしても、それは殆ど免責されてきたわけです。
所謂MSのサポートに連絡しても、'仕様です'の一言で、これまでは済まされてきたんです。
まあ、PCOSなんてのは、その仕様用途が実は非常に不明確なわけで、ユーザがどう使うかは、そのユーザの判断であったわけで、明確な製品の目的ってのは非常に曖昧なわけです。
まあ、所謂SI業界で何かシステムを構築した場合、ソフトウェア障害がありそれで何らかの損害をユーザが被ったとしても、システムやソフトウェアの検収後ならばホントは免責される事ではあるのですけど(と言いながら、訴訟騒ぎになることも....)、MSさんのソフトウェア製品の場合、そうゆう事は殆ど起こっていません、というか、法的にもユーザに何らかの不利益があっても裁判沙汰は起こせないんですね。
なんてたって、ソフトウェアは米国でも日本でもPL法の対象外ですから。
ところが、今回出てきた'X-Box'、こいつは立派なハードウェアであり、そこに入っているOSも含めて、全てMS製(まあ、製造は別の会社に丸投げしてるんすけど)なわけです。
まあ、ゲームソフトは別会社のものになるわけですけど、'X-Box'に障害が起こり、ユーザに何らかの不利益を与えた場合、さてPL法はどう作用するのでしょう??
まあ、'昨日までのゲーム結果が消えた'なんてーくらいならかわいいもんですけど(と言っても米国の場合は問題になりそう??)、先に述べたようにネットワークでのホームユースサービスで'X-Box'が障害を起こしたなんて時には、そうは言っていられないかもしれませんね???
特に、例の'.NET'なんかで始まるサービスでは'X-Box'用のソフトはMSさんが用意する筈ですし、そんなおいしい部分を他に渡すなんて思えませんよね??
となるとハードもソフトもMS製の世界で起こったユーザが不利益を被るような障害や事故で裁判が起こったら、これは見物だと思いませんかね???
多分、米国や日本のコンシューマ向け家電や自動車メーカが懸命に行っているユーザ対策なんて部分はMSが一番苦手にしている部分ですもの。
ようやくMSも自社製品に対して責任をとらにゃならん時代になりつつある、そんな近未来が見えて来る、今日この頃なのでありました(^^)。

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