予想どうりの不測の事態??(2002.04.21)

 ども、一月ぶりの'The Age Of Digital'でございます。
さてさて、やっぱ今回は、日々新聞紙上、TV、ネット上で話題になっているあのお話に触れてみようかと思います。
そう、みずほ統合ネタでございます。
既報のとうり、混乱の極みを迎えつつあるのか、どうかは筆者も断言出来ませんが、かなりの事が起こっているのは漏れてくるニュースから知る事が出来ます。
ここのところ、週末は一発勝負のシステム改変も行われていると聞いていますんで、多分、今夜も徹夜での人海戦術作戦が行われている事でしょう。
貸し布団屋が儲かっているとか、作業に従事している人は殆ど風呂にも入れないとか、五分離席すると捜索隊が飛んでくるとか、下手に帰らすと帰ってこない奴が出そうだから家に帰らせないとか色んな噂が飛び交っております。
なにせ、有名な'2チャンネル'では、ニュース系でスレッドが20、プログラマ板でも14のスレッドが、ほぼ常に1000超えて日々あらたなスレッドが立っております。
筆者も、この業界に足を突っ込んでいますんで、色んな話が入って来ていますが、やっぱ今回の事件の場合は憶測で書くわけにも行かないので、ある程度裏のとれているお話を。
特に、今回のこの事件ってのが、人災だったのか??そして事前にホントは判っていた事なのかって事を今回は中心にしようかと....
んでは(^^)/。


1+1+1=3/2??

 さて、今回のみずほさんの統合は、第一勧業銀行(以下DKB)、富士銀行(FBK)、日本興業銀行(IBJ)の三つがいっしょになった訳ですが、実際は一つの銀行になるわけじゃなくて、昨今非難轟々状態のみずほ銀行、みずほコーポレイト銀行、そしてその二つの銀行の持ち株会社であるみずほホールディングスの三つに生まれ変わったわけです。
ただ、実際の銀行業務を行うのはみずほ銀行とみずほコーポレイト銀行の二つなわけで、この二つに三行分の各口座が振り分けられる事になるのですな。
つまり、1+1+1=3/2=2ともう一個つー事なのです。
で、所謂存続行と言われるのは、みずほ銀行がDKB、みずほコーポレイト銀行がFBKさんだそうで、IBJさんは基本的にはみずほコーポレイトに吸収された事になるそうです。
ただ、みずほコーポレイト銀行ってのは、企業相手の業務を少数の店舗で行い、それ以外は全てみずほ銀行が抱える事になっています。
当然、人のほうも三行入り乱れての移動になったんでしょうね??
ところで、旧DKB、旧FBKに口座をお持ちの方には多分郵便で、今回の統合関連の案内が来た筈です。
それを見ますと、旧FBKの方は当然ですが、'新銀行コードと新支店番号はこうなります'ってのが書いてあった筈でして、しかも例えば給与振り込み口座にしているなら、勤務先に届けを出して変更しなさいってのも書いてあった筈です。
実は、筆者もみずほ銀行(旧FBKの支店)に口座を持っているのですけど、ここんとこ忙しくて記帳に行けませんから、とりあえずATM取引の明細書は残しています。
(一応、二重引き落としが無いかとワクワクしながらATMに向かっております^^でもこれって法的証拠にならないとか....)
ところがどっこい、ATMの明細書を見てみますと、何と銀行コードも支店番号も古いまんまなのです。
おーい、話が違うぞと....
つまりみずほさんの内部では、未だ旧新両コードが入り交じっているわけです。
贔屓目に見れば、4/1ATMトラブルでリレーコンピュータを経由したもんを、少なくとも元々所属していた口座はリレーを通さないようにしているのかとも思えますけど、なんか変??
ただ、旧FBKの口座の残高照会を旧DKB系の支店で行っていないので何とも言えないところもあるんですけど、こりゃかろうじて確実に処理出来る方法に変更しているのかもしれませんね??あの4/1のトラブル以来。
今回の統合で、みずほ銀行の銀行コードは'0001'になったのですけど、なんか話に聞くところでは支店コードについてはDKBの旧コード内の開いているところにFBKの支店を突っ込むという荒技だったそうです。
うーん、足し算して二で割って余りは別にするのは、かなり難しい話にしてしまったんじゃないでしょうか??
まあ、一応、現在のところATM関連は落ち着いているようですが、そんなコード体系がぐしゃぐしゃのままでいつまでも続けられるわけはないでしょうね??
連休中にでも最後の一発勝負が入るんじゃないでしょうか??


昨日の敵は今日の友??

 今回、漏れ聞く話では、旧三行のいがみ合いはかなりのもののようで、こんだけ口座契約者に迷惑かけているにも関わらず、再び主導権争いが内部では起こっているようです。
ホント、チャンとしたシステムになんかなるんかいな??と思わざる負えませんが、そんな内部のゴタゴタ状態を教えてくれる話でこんな事もあったそうです。
筆者の知り合いの技術屋さんの方が、今回の統合絡みで事前にハードの設置の作業に行った時の話ですが、彼はオフィス内のネットワークの物理的な再配線をしに行ったそうですが、そのとき机が数列あって、彼はその机の島の配線作業中に間にある机の島が邪魔なんで、とりあえず床下にまっすぐ線を埋めようとしたら、銀行さんに言われたそうです。
曰く'そこは、XXX銀行さんが来る場所なんで、迂回して下さい'と。
つまり、早い話が'そこはうちの銀行が担当している場所じゃないから触らないでくれ'って事です。
これ、別に合併話が決まった二年前じゃなくて、実際に合併する直前、つまり去年末か今年の頭の話だっつーから恐ろしいもんです。
他にも、三行の横の疎通が殆どなくて、システム開発のベンダーもどこに聞いたら良いか判らないとか、統合後は同じ部署になるはずの三行の部隊がお互いに口も聞かないとかとかとか....この手の話はもう数え上げたらキリが無いそうです。
中には、手に手を取って統合作業に従事していた部門もあるんでしょうが、こりゃ、ホントなら、これから一緒になる三行の部門が、直前まで三行でいがみ合ってたら、そりゃ決まるもんも決まらないから、間に合うわけはないっすよね??4/1の統合なんか....


それはどこの通帳??

 そういえば、やはり別の知り合いが遭遇した笑い話があります。
彼、元々旧FBKに口座を持っておりまして、今回の騒ぎの後に旧DKB系の支店に記帳に行ったそうです。
そしたら、通帳一杯になっちゃいまして、当然新しい通帳への切り替えが必要になったんだそうです。
窓口に持っていったら、'ちょっと時間がかかります'と。
10分、20分、そしてお昼休みも終わりの頃、'通帳預からせて下さい'と。
彼、とりあえず仕事に戻り、結局その日は音沙汰無く、翌日電話がありました、曰く'通帳出来ました'と。
取りに行って、どうしたのか確認したら'近所の旧FBK系の支店でやって貰いました'とさ(^^)。
同じ銀行になったのに、所謂業務は各々旧銀行毎に別々なんでしょうか??
うーん、どうも統合してみんな一緒になったのは、看板だけのようですね??これ。
ただ、実際傍目から見ても今回の統合で問題になっているのは、所謂システム上の問題だけではないようですね??
一番重要な日々の業務の運営方法が、てんでバラバラなようです。
逆に、これが一番の問題で、それが所謂250万件の振り替え遅延になっちゃったのではないかな??




今は影に隠れていますが....

 さてさて、どうもニュースを見ると一応話題になるときには、みずほ銀行かみずほホールディングスの名前しか出てきませんね??
でもでも、実は例の振り替え遅延やらは、かなりの部分でみずほコーポレイト銀行さんが絡んでいる筈なのです。
なにせ、大手企業向けの入り口出口はコーポレイトさんがやっているんすから。
そんでもって、こちらは旧FBKさんが中心なのですけど、システム的には三行統合で一番脇に追いやられそうだったIBJと日立さんがかなり咬んでいる筈なのです。
今回、例のMT騒ぎでは日立さんの'STEPS'絡みと言われていますんで、ホントはコーポレイトさんもかなり責められてもしょうがない筈なんですが....
ところが、週刊誌では内部抗争で旧FBK+旧IBJが巻き返しに出ているとか、いないとか....
今のところ、みずほ銀行とみずほホールディングスが矢面になっていますんで、旧DKB陣営に対してそんな事も可能なのかも知れませんけど、そんな事してる場合じゃないんじゃないでしょうかね??これ。


隠し砦の三悪人??

 しかし、今回のオー騒ぎ、いったいどうしてこんなになっちゃったのでしょう??
でもでも、業界を駆けめぐる情報を色々聞いていると、この事態は'予想どうりの不測の事態??'だったように思えてなりません。
実際、三月あたりに聞いた話では、現場では'とても統合なんざ無理'という意見が多かったそうです。
しかも、先にも書いたようにそんな状態でも三行のいがみ合いは続いていて出入りのベンダーも、'言われた事しかやらない'、つまり'言われたこと以外の事はやってないからそれでなんか起こっても知らない'って態度になっていたそうです。
(そうゆうベンダーに限って、コンサル業務に自信がありますなんて言っているそうですが^^)
他にも、三つの銀行を足して二つに割ったんで、当然口座もどちらの銀行に移るかをはっきりさせなきゃならない筈ですが、それさえもまともに決まっていなかったなんてのも伝え聞いています。
よく'合併まで二年もあったのに'なんて話もありますが、実際には確か一年くらい前に日経さんの雑誌のほうでも'このままじゃとても無理'って書かれた事があります。
まあ、結局統合と言いながら事実上の本格統合は先送り、勘定系のシステムは残してリレーコンピュータで繋ぐ事にした訳ですが、それさえこの有様です。
先日、三和+東海さんのUFJが統合しました。
こちらの方はたまたま使っていたシステムが同じだったので、うまくいったと思ったら、二重引き落とし問題もありましたし、今でもベンダーの人間は人柱状態になっているなんて話を漏れ聞きます。
さくら+住友さんのほうは、名前は一緒になったけど、実際のシステムの統合はこれからです。
随分前に統合した東京+三菱さんのほうも、実際には徐々に統合作業を続けていったそうです(今でもやってる??)。
この三つの統合はそれぞれかなり慎重にやっているように思えます。
ところが、今回のみずほさんの場合、かなり無謀な一発勝負に出たとも言えなくもありませんが、ところがそれでも一応表向きは段階的な統合に途中で方向転換していた筈です。
ところが、ところがこの状態、これって単に統合の方法を間違えただけが原因なんでしょうか??
いやいや、実は悪人は別にいると思うのですよ。
そう、統合前の内部対立と混乱をちゃんと認識していなかった方々です。
まあ、混乱後に国会でトンチンカンな参考人証言をしたお方も同罪でしょうが、きっかけは'隠し砦の三悪人'??
何せ、システムどころか業務も統合出来ていない状態で'統合だ'もないでしょう。
それとも、'裸の王様'だったんでしょうか???



 今回は、今話題の話を書いてみました。
しかしねー、今月25日の給与振り込み、ホント大丈夫なんでしょうかね??
なんてたって、企業に対して新旧どちらの店舗コードを使うかの通知もグシャグシャなんすから。
それに加えて、口座所有者には給与振り込み口座の支店番号と銀行名の訂正を求めています。
も一丁加えると、口座所有者への郵便での通知、引っ越していると届かない扱い(郵便は確か移転後一年は転送してくれる筈ですけど、今回のこの郵便連絡は、転送不要扱いになっているとかいないとか....実際、届いていない人も何人かいます、知り合いに...)になっているから、当然そんな手続きがいるなんて知らない人もいる訳です。
つまり、何をやればよいのか、だーれもわかんないんすから。
金融監督庁も日銀も監査だ、検査だ、査察だなどと言っております。
(つーても、監督官庁やらなんやらも、単に自分たちの責任逃れの為にやるだけでしょーし。システム関連の事がわかる役人が居るとも思えんわな....)
多分業務改善命令は出るでしょうが、それまでにどうにかなってるか、まだまだみずほさんからは目を離せませんな、こりゃ。
それとも、その先の命令が????

To Digital