損して得とれず??(2002.10.06)

 ども、'The Age Of Digital'でございます。
ここしばらく、更新しておりませんでしたが、ネタが尽きたわけではありません。
で、久しぶりに何の話にしようかなっと思ったんですが、やっぱ旬ネタのADSL話にしようかと思いましたが、それだけだとつまんないんで、ここのところやはり旬ネタになっているバンクさん話でもしようかと。
そんでは(^^)/。


12M続々...

 まあ、話の最初は旬ネタのADSL
先行していたYahoo BBさんを追いかけて、各社12Mサービスが本格的に始まりました。
一応、10月頭っからeAccessさん、そんでちょいと遅れてACCAさん、T-COMさんやら、そして大御所NTTもフレッツ12Mサービスを開始(一部では12Mすっ飛ばして年末から16M先行なんて話もあったのですけど....)、TV-CMも派手に流れています。
まあ、そんななかで一番の話題は低価格を売り物に乱入してきた'でんでんむし'こと平成電電というのもありますが、はっきし言ってここは無視しても良いでしょう(^^)。
(と言いながら、一部では非常に話題になっている平成電電ではありますが、こちらは機会があればそのうちに^^)
まあ、各社とも順調な滑り出し(では無いところも??)のようですが、そんななかYahooさんとバンクさん、あんまし良い話は聞こえて来ませんねー??
話題になっているのは、例のeAccessの幹部を訴えた話とか、むりくりモデム送付騒ぎとか、TTCとの相変わらずのつばぜり合いとか....
一番の極めつけはYahoo BB12M7.3M頭打ち??話でしょうか??
実際、12Mフルリンクとは言いませんけど、11M程度で繋がったって話も殆ど聞こえません。
で色んなところから出てきたのが7.3M頭打ち説です。
事実は分かりませんが、Annex Aexって規格ならもうちょい出ても良い筈なのですが....
一部では、Aexが使えなくなる可能性(NTTが接続拒否を出したって話も聞かれます)が高くなってきたんで(ついでにAnnex Aもやばい??)、Annex Cの設備を増やしてるんじゃないか??とか....
まあ、真実は判りませんけど、苦労しているのは間違いなさそうですね??
一応、IP電話では先行しているのはYahoo BBさんの唯一の強み、トリオモデムなんてもんも投入して来ています。
加入者数はなんだかんだ言って、NTTのフレッツとタメをはる伸び具合にもなって来ました。
でも、世の中はそんなに甘くないようです。
ここのところマスコミ各社はソフトバンク限界説がしきりに流しています。
アナリストもバンク株についてかなり警戒している発言が目立って来ました。
なんででしょう??


火の車??

 バンクさん、今年の3月決算で887億の巨額の赤字を計上してしまいました。
ここのところ、利益率は落ちていたのですけど、それでも何とか黒を保っていたのですけど、ついに本丸も危険信号を出しつつある状況になってしまったのです。
所謂ネットバブルの崩壊からバンクさんの時価総額経営は完全に破綻してしまいましたし、関連会社も一部を除いてかなり危険な状況になっています。
そんななか、ADSL事業に注力して再浮上を狙っていたバンクさん、そう簡単には行かなかったようですね??
8月にはそんな時価総額経営のキーファクターだったナスダックジャパンから本家ナスダックが手を引いてしまいました。
これはかなり痛手だった(一応、バンクさんの言い分としては投資額は大した額じゃないのでショックは無いと言ってはいますけど...)ようで、会社を作っては上場してその株価利益を利用して次の事業に等しするって事が出来なくなりました。
手持ちの売れる株も、時価が高いのはYahooくらいのものですけど、米国本家Yahooの株は一応売れる分は殆ど手放したとか....
そこで出てきたのがバンクさんが創るベンチャーの'打ち出の小槌'だった筈のあおぞら銀行株の売却話。
ホントは一定期間売っちゃいけないそうで、その時期が来たら、さっさと売っちまおうと考えているとかいないとか....
(と言ってもあおぞら銀行もあんましうまく行っていないようですが....)
そんだけ、金が足りないのか???確かに足りないでしょうな???
なんてたってADSLビジネスってのははっきし言えば、規模を大きくするなら設備投資がどんどん続く訳でして、投資の回収時期がいつかなんてのは全然はっきりしていないのです。
言ってみれば道路公団のプール制みたいなもんです。
そう言えば、Yahoo BBさん、最初の頃は損益分岐点は100万回線って言っていたのが、最近は200万回線になっているのは何かの間違い??


損して得とれ??

 Yahoo BBさんの戦略は、元々回線使用料が高かった日本のインターネット環境を高速常時接続を低価格で提供する事での価格破壊でした。
この戦略は一応の成功を見せて、日本のADSL接続料金は世界でも一二を争う低料金になりました。
ただ、ここでYahoo BBさんの期待を反して、他のDSL事業者も低価格競争にある程度付いてきてしまったのです。
確かに最安値はYahoo BBさん保ってますが('でんでんむし'はこの際無視します^^)、ISPの乗り換えを嫌ったり、メアドの変更を嫌がる人はYahoo BBは選択外になりますんで、他のホールセールス系DSL業者も一応競争の輪には、まだ足を残す事は出来るのです。
しかも速度競争についてはほぼ横並びですんで、後はサービスの確実性と言いますか、サービスの質でDSL業者を選択するユーザが事実上増えているんですな、これが(Yahoo BBは最初があれでしたんで、まだトラウマは消えていない???)。
確かに、Yahoo BBの場合、初めてネットを利用する人には常時接続環境だけではなくてIP電話も付いてきますんで、そりゃ良いかも知れません。
でも、確実に既にネットを利用している人の場合、乗り換えを躊躇する要素も多いってわけです。
そんな状態ですんで、Yahoo BBさんも盤石の状況ではないわけで、特にかなり無理矢理全国展開している事もあって、接続数の少ない拠点なんかのサポートコストを考えるとかなり、きついんじゃないでしょうかね??
元々、Yahoo BB自体も常時接続サービスはインフラに過ぎなくて、その上に流すコンテンツサービスでの収入を当初から期待していた筈です。
つまり、'損して得とれ'だった筈なのです。
ところが、こちらの方もかなり問題があって、回線は早くなったけど、そこに流すコンテンツが無いのです。
お隣韓国の場合、確かTV番組をネットで流した事がADSLの爆発的普及のきっかけでした。
ところが日本の場合、TV番組とか映画とかは二次使用権とかの問題で、おいそれとネットで流せないんですね??(特にコンテンツの権利を保有するTV局側が嫌がっています)
そうなると勢いオリジナルコンテンツって事になりますけど、これもどれだけの需要が見込めるかが見えないんで満足な制作費を使えるコンテンツの作成が出来ないっていうジレンマに陥っています。
結局、日本の場合(と言うか世界共通??)、ネットでの一番人気はアダルト系って事になりまして、さすがにバンクさんもそこに足を突っ込むのは二の足を踏んでいるようです。
もう一つ、これは各国共通でネットで得られる情報にお金をどれだけ出してくれるかって問題もありまして、なかなかコンテンツビジネスは立ち上がっていないのが現状です。
これは、Yahoo BBさん、バンクさんでも同じですから、結局いつまでも金蔓が出来ないって訳です。
'損して得とれ'、こちらも大きな'?'マークが付いちゃったんです。


 今回はADSLとバンクさんの現状のお話をしました。
バンクさん、来年以降、かなりの額の社債償還が始まります。
今年は何とかしそうですけど、来年以降はかなりきつそうです。
実際、株持っている人に来ている報告書だと、昨年、今年は何とかしたようですが。
そう言えば、株価の方も1000円台前半で推移していますけど、これが1000円を切ったなんて事になると、かなりの大騒ぎになるやも知れません。
まあ、株式市場の方、というか機関投資家達は折り込み済みでしょうが....
と言っても通信業界関係者、そしてバンクさんからお金借りているベンチャーの方々もしばらく寝付きの悪い日が続きそうですね??。

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