誰が悪いのか??−オープンシステムの弊害(99.01.10)

 どうも、新年明けましておめでとうございます。
1999年の更新第一回は、'The Age Of Digital'から行ってみませう。
昨年の'The Age Of Digital'の最後の更新は、なーんかテーマも無いお話でした。
そこで、今回は'オープンシステムの弊害'について書いていこうと思います。
このお話は、昨年末から、筆者の仕事の上でも非常に考えさせられた問題なのです。
では。


 1990年の初頭からでしょうか??
色んなところで'オープンシステム'、'オープンシステム'って言われ出したのは。
'オープンシステム'てのは、早い話がデファクトスタンダードで動作/接続が可能なソフトウェアやハードウェア、そして周辺機器が提供される訳で、基本的にユーザは共通の土壌で提供されるものを選択して低予算で自分の望むシステムが構築出来るのです。
実際、この中心になっているのがIntel社のCPUアーキテクチャとMicroSoft社のオペレーティングシステムな訳です。
このほか、UNIXベースのものもあるわけですが、こちらのほうは周辺機器関連と通信関係が中心で、オペレーティングシステムのほうは、各社バラバラ(出元は一緒なんすけどね.....)なので、今回はちょっと脇に置いておきます。
今、特に俗に言うクライアントサーバシステムという奴らは、殆どIntel社のCPUアーキテクチャとMicroSoft社のオペレーティングシステムで構成されている訳で、それに乗った各メーカやソフトベンダー、SI業者がどんどんシステムを納品しているのが現状でしょう。
このときに多分一番重視されているのが、導入コストじゃーないでしょうか??
だから、当然その時々で、Intelベースの一番安いハードウェアとデバイスを選択し、OSはMicroSoft社のWindowsベース、そしてそのOSの上で稼働するアプリケーションも、まさに色んなものがまぜこぜで導入されているのが現状でしょう。
そんなわけで、ハードウェアはD社C社、UPSはA社、ネットワーク関連はC社B社、OSはMicroSoft、アプリケーションは、それこそO社S社やらMS社やら、そのSIを行うのはN社とか、ヘルプデスクはH社とか、もう何がなにやら解らない状態になっている訳です。


 米国の場合、こういう状況って別に珍しい事でも無い話で、こんな状況でのユーザサポートが大変だ!!!って事で、各種のサービス業務専門のベンダーってのが、サードパーティメンテナンスを行う訳です。
それと、米国の場合、そういうシステムを導入する会社というのは、俗に言うシステム部やユーザサポート部がそれなりに自分たちでクレーム対応や障害対応を行える体制も取りながら、尚かつサービス業務専門のベンダーをコントロールして、システムの維持を行っているようです。
これは、早い話、マニュアル社会で自己責任がはっきりしている米国だから出来る話なのかもしれませんね??
ただ、以前にも書いたように米国でも可能な限りのコスト削減に向けて、そうゆうサポート業務を自分たちの利用しているオリジナルのシステムも含めてサードパーティに頼ろうとする方向も出ています。


 さて、日本の場合はどうかというと、まだまだそうゆう割り切りが出来た状況とも言えません。
ユーザサポートの主体は、昔の汎用機時代はメーカが、今はシステム構築を行うSIベンダーがっていう風に変わって来ていますけど、基本は買ったところにサポートの主体を取って欲しいという事がまだまだ主流で、米国のようなサポート専門のベンダーがサポートの主体になっているのは、数は少ないですね。
ですけど、オープンシステムって実はサポートする側から見ると非常に面倒な代物です。
何故かと言うと、何か障害が起こった時、その原因がハードなのか、周辺機器なのか、OSなのか、アプリなのかを切り分けるのが非常に面倒なのです。
しかも、'悪いのはおめーだろう???'って文句をハードウェアベンダーに言ったら、本当に悪いのは周辺機器側で、対応の為の費用が倍になるなんてーのは、もう日常茶飯事でしょう。
しかも、OSの場合MS社に文句を言うと、'サポートはハードウェアベンダーに'って言われたり(実際、MSの日本法人の社長さんは、そう言ってはばかりませんな)、アプリケーションのバージョンを上げたら、他のアプリケーションが動かなくなって、どちらに文句言っていいのか判んなかったり.....
この障害の発生元の切り分けが、とにかく面倒になっている訳で、昔の汎用機やビジコンの時代のように、購入したメーカに'調べて治せい!!!'って言っていれば良い時代とは全然違う訳です。


 先日、筆者の会社でも、某社のサーバマシンと関連デバイスを導入したのですけど、非常に面倒な問題が起こっています。
詳しくは書けないのですけど、この場合もサーバマシンが悪いのかデバイスが悪いのか、2ヶ月経った今でも解決していません。
サーバマシンと関連デバイスはサーバマシンの供給元から同時に購入したわけですけど、サーバマシンの供給元は、'デバイス側が悪いんでしょう。デバイスの製造元に問い合わせて下さい'と何も調べずに言っちゃう始末。
当然、関連デバイスの製造元は、'他社製マシンとの接続には何の支障もない。サーバマシンの供給元に問い合わせて下さい'と、おっしゃる訳です。
こうなると、もうラチが開かない訳で、さすがに両社で話し合って何とかしてくれい!!!という事にしているのですが、さていつ頃治る事やら....


 これに似た話で、例えばソフトの世界でも良くありますよね??
あるソフトを入れたら、勝手にDLLが新しくなって、以前まで動いたアプリケーションがものの見事に使えなくなったとか....
で、オープンシステムの世界では、全てをひっくるめて、どのような組み合わせであろうと、こうゆう原因が特定出来ない障害が沢山あるのです。
色んなベンダーがオープンシステムだって事で、得意な分野を攻めているわけですけど、実はシステムとして構成した場合、その責任の所在がどこにあるのか良く判らなくなっているのですね??
こうなると、ユーザ側も何とかしなくてはなりません。
当然、ユーザの側も勉強して防衛しなくてはなりません。
それと、これからは契約なんかも考えないといけないのかもしれません。
これまでの汎用機時代のメーカ任せは出来ませんしね。
それと、SIベンダーを中間においたとしても、ハードやソフトは直接製造元のベンダーにって言う契約も多いでしょ??
まだまだ、日本のユーザは米国のような自己責任を前提としたシステム構築は難しいでしょう。
これからは、どうゆうサポートを受けられるかを十分に認知していくのが、ユーザ側の一番の防衛手段になるんじゃーないでしょうか??
ほんと、困った時に'誰が悪いか??'判んないだよ、オープンシステムって奴は.....

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