Favourite Shirts!!!/Haircut One Hundred(2004.06.27)

 ここのところ、ちょくちょくライブに顔を出せるようになりました。
5月は先日紹介した、獨協医大OBの日比谷野音、Daimyoさん達のShowboatライブ、かのエンケンのデビュー35周年記念ライブ(コイツは凄かったですよー)、そんで6月には鼓絆のSTBライブ(これも凄かったんだわ...)等々、7月は7月でまた色々楽しみなライブがあります。
そんなこんなをレポートするのも良いのですけど、今日はちょっと趣向を変えて、筆者が'80年代に聴いて、えらく気に入ったアルバムを紹介しましょう。
実は、このアルバム、そのころは金が無くて貸しレコード屋で借りて落としたテープで聴いていたのですけど、非常に良く出来たアルバムだと思うのです。
んでは、そんなアルバムを....


 所謂パンクの嵐が収まり、ニューウェーブブームが起こった'80年代、そんなさなかにこのアルバム'Pelican West'も世に出ました。
ニューウェーブというのは言葉としては、何か一つのムーブメントではあったのですけど、そこで展開された音楽は実は非常に雑多なもので、パンクの流れを受け継ぐ者、テクノ、そしてファンカラティーノの流れにのった、このHaircut One Hundredのそんなバンドの一つでした。
今回再発のライナーにもあるとうり、このアルバム、本国英国ではかなり売れまして、一躍バンドもアイドル状態となったそうであります。
まー、ジャケを見てもわかるようにNick Haywardを筆頭にルックスも良いんで(一部問題あり??)、そりゃ売れますわな??と思ったら、このアルバム、非常に良く出来ていまして、当然のごとく曲も良いと来ています。
発売当時、聴いた感じは、こりゃ良く出来たプロデューサアルバム??なんて思ったのですけど、確かにプロデュースは当時の売れっ子Bob Sargeantなんですけど、それだけでは無かったというか、アイドル状態になってしまったとはいえ、このバンドが実は非常にちゃんとしたバンドだった事、殆どの曲はNickが手がけているのですけど、それがまた出来が良かったってのが、ホントのところのようです。
特に、曲の作りが非常にしっかりしてますし、リズムが非常にタイトで豪華絢爛、そんで曲の作りが良い事もありアレンジもきちんとしていてルーズな部分がまったく無いのであります。
目立つのはホーンセクションの使い方(特にトランペットのソロはかなりのもの)とギターのリズムカッティング、そして効果的なラテンパーカッション。
でも一番このバンドを良く支えていたのはLes Namesのベースでしょう。
Les Namesのプレイは、所謂'80年代のベースプレイヤーのスタイルでもあるのですけど、非常にオーソドックスなリズムの刻みの部分がこのバンドのリズムの要になっていまして、今回のCD化でもその部分の魅力が落ちていないのはめっけもんです。
個別の曲を取り上げてもトップナンバー、そしてこのバンドの評価を決定づけた'Favourite Shirts'、アルバムでも2曲目でありセカンドシングルにもなった'Love Plus One'(ここのストリングスも見事なアレンジです)、ホーンが大活躍する'Lemon Firebrigade'、ボーカルが素晴らしい'Fantastic Day'等々、ホント捨て曲無しで楽しめます。
まー、確かにちょっとノー天気過ぎる部分も無い事も無いと言うか(曲の途中で'アメグラ'状態になるとか....)、そんなところも含めて許してしまえるくらい、筆者は気に入っているんでな、これが困った事に(^^)。
ただ、一つだけ問題があるとすれば、'80年代の日本のレコード会社の売り方のセンスでしょうね??
いくら何でも直訳すればそんな感じにもなるかもしれないけど'Favourite Shirts'を'好き好きシャーツ'とか、'レモン消防隊'とか'海洋少年(うーん、あがたもりおの世界か??)'等々、日本語タイトルの付け方、もう少し何とかならなかったのかね(^^)。
まー、ノリとしては'ポパイ'や'ホットドックプレス'風だったのかもしれないけど、今見るとちょっとねー(^^)。


 さて、今回はHaircut One Hundredのファーストアルバム'Pelican West'を紹介しました。
Haircut One Hundred、結局一年程度でバンドの顔であったNickが脱退、セカンドアルバムを発表するも、人気はアッと言う間に終わってしまいました。
その後のNickのメロディーメーカとしての活躍はご存じのとおりで、このバンドで書いた曲の数々が偶然の産物で無かった事を示しています。
バンド自体は、たとえNickが居なくともちゃんとした演奏が出来る質を持っていたと思うのですけど、やはり一番大切なパーツが欠ける事がバンドに与えるダメージ、そしてそれを取り返す努力は並大抵の事ではないってのが、このバンドの短い活動期間から良くわかるってのも、これだけ陽気な音を展開したバンドから見て取れるってのは皮肉なもんでありますね???

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