ここのところ'70年代に一世を風靡したバンド達のライブ映像がDVDで発売されています。
まもなく来日する再結成されたFOCUSの'70年代のTVライブ、CURVED
AIRのスタジオライブ、珍しいところではVAN DER GRAAF GENERATORなんてののライブ映像も発掘されています。
そんななか、昨年来日し素晴らしいライブを繰り広げたという伊国のPFMの場合、昨年の川崎クラブチッタでのライブがDVDとCDで発売されました。
実は、筆者、昨年のその頃、忙しくてPFMのライブは行けなかったのですが、今回DVDを購入して見ましたら、ホントびっくり!!!、素晴らしい演奏が繰り広げられていたのです。
正直言えば、所謂再結成ライブのノリかな??と思ったら、そんなことは無い、近年の我らが四人囃子と同じように往年の演奏がより一層グレードアップされて繰り広げられているではありませんか??
しかも、殆どメンバーによるマニュアルの演奏。
そんな素晴らしい映像作品、素晴らしい演奏が収録されたDVDを今回は紹介しませう。
先にも書いたように、今回発売されたのは、2002年5月21日に川崎クラブチッタで行われたものです。
まさに、よくライブアルバムにあるような数日分のライブを組み合わせるのではなく、一日のライブのみで構成されていますので、当日のセットの流れやら音、演奏の質も非常に統一感があります。
昨年の日本公演は、かなりの強行軍で伊国を出発して大阪に降り立ち、その足で大阪で一日二公演を二日こなして、東京入り、川崎クラブチッタで三公演連続という、最近ではあまり見られないハードスケジュールだったそうです。
まあ、PFMも'70年代の米国ツアーではこれぐらいの洗礼は浴びているとは思いますが、すでに御年数十歳のメンバー達、そりゃきついと思うのですけど、この川崎最終日の演奏を見ていると、そんなところは微塵も感じられません。
さて、演奏の方を見ていくと、当日のセットリストを見ただけで、全盛期のPFMの世界が展開された事が良く判ります。
ところどころに新しい曲も挟んではいますけど、セットの中心はやっぱし、'74年の"The World
Became The World Tour"時代なのです。
冒頭の'LA CARROZZA DI HANS'からPremoliのMini Moogが独特の音色とポルタメントと手首の返しで表現するトリルでPFMの独特の雰囲気を奏でてくれます。
Premoliは元々Accordion奏者だったのですけど、その辺の手首の使い方もこの独特のMoogのスタイルに出ているのでしょう。
昔はライブでもAccordion ソロを披露していたのですけど、今回の日本公演では使わなかったのはちと残念ですが...
ただ、Premoliの場合HammondもPiano(今回のライブではKORGの鍵盤で代用...ちなみにPremoliのKORGのセットは我らが四人囃子の坂下さんと一緒です^^)も十二分な技術と音色感を持っています。
(訂正:Piano系はRolandでした。ちなみにOrganもRoland??)
今回の来日中、かなりPAなんかに神経質だったそうですけど、演奏中は映像を見る限り、余裕たっぷりに演奏している姿が非常に印象的であります。
さて、PFMと言えばどうしてもMauroやGregのViolinを思い出してしまいますが、そのパートはSpecial
guestのLucio Fabbriが十二分にカバーしています。
Lucioは本来は鍵盤奏者だそうですが、このPFMではViolin、Keyboards、Guitarと大活躍です。
残念ながらFluteや Piccoloは演奏しませんが、その部分は鍵盤や他のメンバーのアレンジでカバー。
特にPFMのお約束'ROSSINI'S WILLIAM TELL OVERTURE'ではMauroに負けないようなプレイを見せてくれました。
まあ、MauroはそんなにうまいViolin奏者では無いのですけど、あの熱いというか情念たっぷりのプレイはMauroだけのもの。
それにたいしてLucioは非常に楽しげに演奏している姿が大きな違いでしょうか??
さて、そんななか、一人静かに演奏しているのがBassのPatrick Djivas。
しかし、さすがに昔と同様、エライ馬鹿テクぶりは健在でして、面倒なリフだろうが、他のリード楽器とのユニゾンだろうがガンガンこなしていきます。
でもそんなクールなPatrick Djivasですが、'DOLCISSIMA MARIA'の中間部では元々MauroのFluteパートをSoprano
Recorderで演奏、観客の拍手を浴びています。
Di Cioccioのボーカルマイクに横から近づき、サングラスをかけた強面で斜に構えてRecorderを吹く姿は、Di
CioccioやMussidaが微笑むのも判るというもの。
ソロの終わりでDi Cioccioに背中を叩かれながら尻ポケットにRecorderをしまう姿もユーモラスです。
さて、'DOLCISSIMA MARIA'を聴きながら思ったのですけど、この曲、所謂PFM世界進出大作戦(Produced By Peter Sinfield)の時には'JUST
LOOK AWAY'とタイトルを変え、歌詞も英語で演奏されていました。
'COOK'にもその演奏は納められているわけですが、今回のオリジナルの歌詞での演奏を聴きながら、やっぱ、彼らは全て母国語で唄うべきだったんだと強く思ってしまうのです。
特にこの曲は伊国カンツォーネスタイルのちょっと悲しいラブソング、それをPeterの小難しい英語の歌詞に置き換えたってのはちょっと.....
当時のPFMの弱点はボーカルだって良く書かれていましたけど、多分 母国語で唄って世界進出出来ていれば、絶対にボーカルの評価は変わったと思うのですよ。
まあ、あの時代ですんで英語でないと米国市場で受け入れられないという問題がありましたから致し方ない策だったとも言えますけど、もしPFMが'80年代後半のワールドミュージックの時代に登場していたら、絶対にボーカルは母国語だったんじゃないかな??とはいえ、その時期なら演奏の方が受け入れられないかもしれませんけど....
時代は、常に全て自分たちに有利に働かないって事なんでしょうかね??
ちなみに'DOLCISSIMA MARIA'を含めて、Mussidaは素晴らしいAcoustic
Guitarを聴かせてくれますが、これが昔より余裕たっぷりで楽しげに演奏しているのが、非常に印象的。
Electricの方も素晴らしい演奏なんですけど、Mussidaの本質はAcousticにあると思いますな。
それとボーカルが無茶苦茶素敵です。
それは母国語で唄っているせいもあるでしょうが、それ以上に伊国人の唄は'年齢もしくは腹の大きさ'で決まるって話がありますが、Mussidaのウェストは絶対に唄をうまくしたと思います(^^)。
'DOLCISSIMA MARIA'だけでなくアンコール一曲目の'IMPRESSIONI DI SETTEMBRE'のボーカルはとにかく、伊国人らしい感情がたっぷり乗った唄いっぷりで、何度聴いても良いです。
さて、活動停止まで只一人PFMに止まったDi Cioccioですが、Drumの方は勿論、後期のたった一人のオリジナルメンバー時代と同様、フロントでボーカルを披露しています。
当時はこの姿から伊国のPhill Collinsなんて呼ばれていましたが....
ただ、Di Cioccioのボーカルは昔とあんまし変わっていないです。
それでも、'DOLCISSIMA MARIA'の後半は素晴らしいボーカルを聴かせてくれますし、最近のアルバムのナンバーなんかも良く唄い込まれているようです。
ライブの中盤はPhill状態です。
でも、Di Cioccioのホントの姿はDrumキットに座った時なんでしょうね??
特に'E FESTA'の後半のドラムソロ、そしてラストの'LA LUNA NUOVA'のカウントの取り方やらスティック落として背中からスティックを持ってくるところとかはやっぱしかっこよいですわ。
さて、そんなDi Cioccioのメインボーカル担当時には、PieroがDrumを担当します。
ただ、ステージ上で只一人緊張している姿がなんか初々しいですね、彼??
それでも、Di Cioccioの代わりを務めるのですんで、腕の方は確かです。
アンコールではDi Cioccioの脇でフロアタムとシンバルを叩いている姿が、ちょっとけなげですな(^^)。
今回、そんなPFMのライブを見ていて思ったのですけど、'70年代のPFMの本質って伊国的な唄とメンバー個々の馬鹿テクによるユニゾンミュージックだったのだな??と改めて判ったのです。
PFMの場合、ハーモニーやアンサンブルで聴かせるバンドではなくて、リードメロをメンバー全員で絡み合うようにユニゾンで演奏することで音を厚くする手法がそこかしこに出てくるのです。
ViolinとMoogは勿論、Guitarも加わり、果てはBassも加わり組んず解れず....
それはそれで、非常に独特の世界で、それがPFMの魅力なのでしょうね....
さて、今回はPFMの昨年の日本公演ライブDVDを紹介しました。
噂では今年の秋に再来日の話もあるそうです。
まあ、なんか今回日本で発売されたCDやDVDの売り上げいかんで決まるなんて話もあるそうですが、是非とも来日して欲しいものです。
そのときは、筆者も絶対に参戦しますから。
ついでに、我らが四人囃子と競演なんての駄目かな???
四人囃子とPFMって、非常に合うと思うし....
何せ、今年春の大物外タレ(さて誰だったかな??)と四人囃子の競演は、結局流れちゃったそうですけど、PFMとだったら会場規模やワリの面でも合うんじゃないですかね??
どうです??大二さん??