砂漠はいま....聖ロック祭/頭脳警察+四人囃子=頭脳囃子(2001.07.22 2001.08.14訂正と追記)

PS: すんません、バッキングは四人囃子全員だったというのが事実のようです。
謹んでお詫び申し上げます...m(_ _)m
ということで、以下、自戒の念を込めて、自分でツッコミを入れてみました....
この色の文字がツッコミであります....

 先日、非常に貴重な音源、二枚が世に出ました。
一枚は、発表すぐに発禁処分となった頭脳警察のファーストアルバム、そしてもう一枚が今回取り上げる同じく頭脳警察の1973年/日比谷野音'聖ロック祭'でのライブ音源です。
この1973年/日比谷野音'聖ロック祭'でのライブ音源、何が貴重かと言えば、それは当時デビュー前の四人囃子のメンバーの内、ドラムスの岡井大二氏とベースの中村真一氏がリズム隊としてバッキングとして参加した音源なのです。
(と思ったら、なんと、四人囃子全員でバッキングに参加したというのが事実のようです!!!2001.08.14追記)
そんな、音源をレビューしてみようと思います。
では(^^)/。


1973.10.20日比谷野音"聖ロック祭"/頭脳警察 さて、こちらが"聖ロック祭"のライブ音源であります。
実際は、CDのプラケースの上に、紙カバーがかかっています。
(ちなみに、この紙カバー、異常に取りづらいんです^^)
タイトルどうり、四人囃子がバッキングを行ったと伝えられていた19731020日に日比谷野外音楽堂で行われたイベント/"聖ロック祭'でのライブなのですが、実際には先にも書いたとうり、四人囃子からはドラムスの岡井大二氏とベースの中村真一氏のリズム隊のみの参加でした。
(と思ったら、なんと、四人囃子全員でバッキングに参加したというのが事実のようです!!!2001.08.14追記)
頭脳警察は、ご存じのとうり、パンタとトシのデュオなわけですが、実際には、トシが一時離脱していて、ちょうどこの頃はトシが再度復帰した時期でもあったようです。
四人囃子リズム隊の他にも、ギターに寺田十三夫氏、そして何とキーボードには近田春夫氏という、今考えると凄い面子でのライブだったわけです。
(と思ったら、なんと、四人囃子全員でバッキングに参加したというのが事実のようです!!!近田氏と寺田氏は後半の'コミック雑誌なんかいらない'から'やけっぱちのルンバ'までゲストとして参加の模様 2001.08.14追記)
頭脳警察は前述のように正式メンバーはギター&ボーカルのパンタ、そしてパーカッションのトシの二人だけなわけですが、発禁処分となったファーストアルバムでは、確かにそんなティラノサウルス・レックスのような編成でのライブを収めたものとなったわけですが(後のブギスタイルは、まさにT.REX的でもあった訳ですが....)、その他のアルバムではスタジオミュージシャンを使い、それなりのサウンドメイクを行ってきたのですけど、今回のこのライブでは、そんなスタジオ盤のサウンドスタイルではなく、より強烈なスタイルをバンドサウンドで、ライブで実現したとも言えましょう。
特に、スタジオ盤ではあまり聞かれなかったオルガン(多分、YAMAHAのコンボオルガンでしょう)を中心とした近田氏のキーボードが加わり、デュオスタイルの絶叫/疾走型の演奏では無くて、リズム的にもかなりスリリングな展開がそこかしこに見てとれます。
(これも、オルガンは坂下氏で、多分使用しているのはエーストーンのスピネットタイプ〜所謂嘘ッコHAMMOND。近田氏は前述の後半戦でピアノを弾いている模様 2001.08.14追記)
(リハ不足のミスも聞かれますが、それはそれと言うことで)
残念ながら、音質的には完全に所謂海賊盤的な音質(オーディエンステープなんでしょうかね??元の音源は??)で、誉められたものではありませんし、所詮オフィシャルブートレグな訳ですが(当時のパンタのボーカルもマイクに叫び過ぎなんで、音が完全に割れちゃってますが)、それでもこのようなワンステージをまとめた音源は少ないので、そこは目をつむるのもしょうがない事と言えます。
それでも、トシのパーカッションがかなり綺麗に収録されているので、ブギスタイルのナンバーもトシのパーカッションが曲の色を変えて単なるブギスタイルに終わらせていないところもサウンド的なミソですね??
(良く聴くと、何となくウッドストックの頃のSANTANAなんかを思い出させたりして....あれもパーカッションが無ければ、ラテンじゃなくてブルースだものね???)
寺田氏のギターもミスはそれとして、パンタのかき鳴らすようなサイドギターをバックに、かなり細かいオブリやソロが聴けるのもポイント高いっすね。
(オブリやソロは殆どがモリさんの演奏なんです、これ。確かにフレーズの取り方、チョークの入れ方等々、スタイルはモリさんっぽい??2001.08.14追記)


 さて、収録曲を見ていくと、当時の最新アルバム'仮面劇のヒーローを告訴しろ'からの曲を中心に、代表的なナンバーが数多く収められています。
頭脳警察という名前は、例のFrank Zappa/The Mothers of Inventionのファーストアルバム'FREAK OUT!'に収められていた'WHO ARE THE BRAIN POLICE?'の日本語訳というのは有名なお話ですが、頭脳警察というと何となく、かき鳴らすギターと叩きつけられるようなパーカッションをベースとしたブギスタイルのバンドのようなイメージがあるんですけど、先のZappaなんかからの影響もかなりあって、それは'前衛劇団モータープール'や頭脳警察の一発芸として有名な'指名手配された犯人は殺人許可書を持っていた'なんて曲にチラホラ見受けられます。
パンタがソロとなってからも歌い続けた'さよなら世界夫人よ'なんかは、近田氏のキーボードのおかげで、かなりメランコリックなアレンジになっていますが、このアレンジは後のHAL時代のアレンジよりも良いような...
(いえいえ、オルガンは坂下さん!!!2001.08.14追記)
ハードなブギスタイルの'ふざけるんじゃねぇよ'とか、後には内田裕也も唱った'コミック雑誌なんかいらない'、サビの歌詞がカッコ良すぎる'歴史からとびだせ'なんかの疾走感溢れる演奏はこのライブでも白眉でしょう。
個人的には大好きな'やけっぱちのルンバ'のリズミカルな演奏、近田氏のオルガンが効果的なアレンジの'最終指令自爆せよ'も、この面子ならではの演奏なんじゃないでしょうか??
(いえいえ、オルガンは坂下さん!!!2001.08.14追記)
(某紙によると、
'コミック雑誌なんかいらない''やけっぱちのルンバ'の三曲に寺田氏と近田氏〜ピアノがゲスト参加したとあります。実際、良く耳を凝らして聴いてみると、'やけっぱちのルンバ'のソロ回しがギター二本、ピアノ、オルガン〜多分、寺田氏→近田氏→坂下さん→モリサンの順??〜で行われていますし、他の二曲でもリード二本、サイド一本、オルガンとピアノの同時演奏が確認出来ましたです、はい。2001.08.14追記)
そして革命三部作なんて言われた曲の一つ、'銃をとれ'(個人的には、冒頭の'アラブレッド'の部分が印象的)も、パンタとトシのみのでの演奏よりも、より二人をバッキングメンバーが自由にしているようで、その疾走感は快感とも言えます。
特にトシのパーカッションが凄く活きているんですね、これ。
この音源では'嵐が待っている'を挟んで、再度ラストに'銃をとれ'が収録されていますが、いずれにしてもこのラストナンバーが頭脳警察の常に全力で疾走する姿を現しているような感じです。
ちなみに、未だ'一触即発'発表の一年近く前の四人囃子リズム隊の演奏は、正直言えば多分リハ不足もあって、そこかしこにミスも見受けられます。
まあ、頭脳警察の曲はそれほど凝ったアレンジやリズムチェンジ、転調なんかは無いのですけど、やはりノリの良さというか、フロントの頭脳警察のメンバーをどれだけ気持ちよく疾走させてやれるかどうかがバッキングの使命とも言えます。
さすがに、四人囃子リズム隊はその辺のところは十分に心得ているのでしょう。
(だから、バッキングは四人囃子!!!リズム隊だけじゃないんです!!!2001.08.14追記)
岡井氏のまるでKeith Moonのようなドラミング、そしてブンブン唸りまくる中村氏のベースは、なかなか聞き物とも言えますし、特に岡井氏のドラミングは四人囃子でのドラミングとはちと違うスタイルで通しているのもこの音源の特徴でしょう。
まあ、先にも書いたんですけど、上物というか装飾部分での近田氏のオルガン(YAMAHAのコンボオルガンだと思うのだけど、FARFISAのような音も出てるんだよな....HAMMONDでは無いでしょう、多分...)が非常に効果的で、これが単なるブギスタイルにさせない、大きな武器だったんじゃないでしょうかね??このライブでは。
(いえいえ、オルガンは坂下さん!!!2001.08.14追記)


 頭脳警察っていうと、発禁処分になったファーストやその演奏活動の場(有名な三里塚の幻野祭とか...)なんかで、どうも過激なイメージが植え付けられたって感じがあります。
でも、実際にはそんなパブリックイメージにパンタもかなり実際は困っていたってのがホントのところのようです。
ただ、そのパブリックイメージを振り払うのは並大抵の事では無かったと思いますし、パンタもトシも、そんなパブリックイメージは、そのままにしとくしかないと思っていたようにも思えます。
まあ、ソロになってからもしばらくは、そのイメージを振り払うのに苦労していたようですが、それでも'マラッカ'や'クリスタルナハト'なんて傑作を物にしたのですから、パンタの音楽家としての気質は、そんなパブリックイメージではくくれないぐらい大きなものなんじゃないでしょうか??
ちなみに、頭脳警察時代の歌詞を見ると、確かに時代的背景を前提に読むとそんな革命だのなんだのという過激な発想から生まれたような歌詞にも見えますが、今の時代的感覚で読むとまったく違った発想から生まれた歌詞にも見えるのです。
逆に言えば、そんな時代によって読みとり方が変わる歌詞を書いたパンタという存在自体が、実は凄い事なんじゃないかとも思えるのです。
又、先のようなパブリックイメージでありながら、非常に風刺的な唄、まさにロックンロール的な歌詞、それにラブソングや前衛的な曲までものにしていたんだから、実に頭脳警察って存在、パンタの存在ってのは、日本のロックの歴史の中でも、まさに痛快そのものだったんじゃないでしょうか??

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