月の上にも〜月光下騎士団(98.07.01)

アンソロジー 1976〜1996 本当なら、もっと早くここで取り上げたかったのだけど、筆者がかまけて結局7月になってしまった。
この7月は実に2年ぶりに、今回取り上げるMoonRidersが約2年ぶりに正規の活動を再開する月なのだ。
今年の5月に久しぶりのシングル'恋人が眠ったあとに唄う歌'を発売、その前月までにベストアルバム'アンソロジー1976〜1996'(このジャケット、何とエウ"ァンゲリオンの貞本義行氏、Special Thanksにはタイトル補完委員会の文字が...)を発表、加えてメンバーのかしぶち哲郎のベストアルバムも発表され、この7月には久しぶりのツアーも行われる。
ベストアルバムのタイトルにもあるように、既に22年も活動しているまさに'日本最古のロックバンド'、それがMoonRidersだ。


火の玉ボーイ MoonRidersは1976年に'火の玉ボーイ'でデビューを果たした。
バンドの前身は'はちみつぱい'という、どちらかと言えばアメリカンロックの流れを組むバンドだ。
このバンドのリーダ'鈴木慶一'が'はちみつぱい'後期のメンバーの何人かとともに結成したのがMoonRidersである。
ちなみにMoonRidersと言うバンドは、これ以前にも存在していた。
それは、鈴木慶一の実弟である'鈴木博文'が在籍したバンドだ。
(ファンの人なら大概は知っているだろうけど)
元々'MoonRiders'という名前は、この弟'鈴木博文'のバンドの為に兄'慶一'が命名したものだそうだ。
(この'MoonRiders'もショーボートレーベルのオムニバスライブにライブ録音が残されている)
ただ、演奏は後の兄'慶一'のMoonRidersのものとは趣が異なっていた。
さて、この'火の玉ボーイ'だが、実際には元々'鈴木慶一'のソロアルバムとしてレコーディングが始まり、後に'鈴木慶一とMoonRiders'名義で発売されたという。
確かに、後年メトロトロンレーベルから出た再発CDは'鈴木慶一'名義で発売されているし、メンバーも、この後に発売された'MOONRIDERS'(通称'赤盤')をファーストアルバムと認識しているようだ。
だが、'火の玉ボーイ'からのファンの筆者にとっては、やはり'火の玉ボーイ'がMoonRiders'のファーストアルバムなのだ。
なんてったって、'あの娘のラブレター'、'スカンピン'、'髭と口紅とバルコニー'の3曲が収められているのだから。
ちなみに、結成20周年記念で発売されたCD-ROMと未発表テイクを収めた3枚組'Damn! moonriders'には、1976年の郵便貯金会館でのライブテイクが何曲か収められている。
何とか、この1976年のライブ、フルレングスのライブ盤で発表してくれないものだろうか....
先のベストアルバムもこの3枚組も自主レーベルから発売されているが、これはMoonRidersが様々なレーベル、レコード会社を渡り歩いている関係上、版権問題でメジャーレーベルからこのようなベスト盤が出せないというのも原因なのだけど、1976年のライブは大した権利問題は無いようにも思えるのだが.....
ちなみに、CD-ROMのほうも、早い話がPeter GabrielのCD-ROMのような趣だが、ジョークのほうでは、こちらのほうが上だろう。


恋人が眠ったあとに唄う歌 さて、2年ぶりのシングル'恋人が眠ったあとに唄う歌'なのだが、何となくここ数枚のアルバム発売前のシングルと趣が違って聞こえる。
どうも、今度7月に発売されるであろうアルバムの様子が伺えないのだ。
ここのところのアルバム発売前のシングルはその後に出るアルバムの雰囲気を想像させる内容だったが、今回はちょっと違うように思える。
だけど、カップリングされている'酔いどれダンスミュージック'がその鍵を握っていたりなんかして。
この'酔いどれダンスミュージック'は先のファーストアルバム'火の玉ボーイ'に収録されたナンバーで、今回はまったく趣を変えた重い、引きずるようなリズムのアレンジに生まれ変わり、再レコーディングされたテイクである。
個人的には、このアレンジのバージョン、非常に気に入ってしまったのだ。
今度のアルバムは、こんな風にMoonRidersにしては珍しい重いリズムが中心になるのかしら??などと考えてしまう....
ただ、これが'いや、今の時期だから'不況の嵐を....'って歌詞が合うだろ??'などと言われて裏切られるのも、実は筆者には楽しみでもあるのだ。
さすがに22年、この音楽業界をたった一回(しかも一人)のメンバーチェンジのみで生き残って来たのだから、こちらの予想なんか軽く吹き飛ばしてくれるだろう。
常に、時代の先を行き過ぎて売れない'日本最古のロックバンド'、だけどコアなファンを沢山抱える'日本最長の現役ロックバンド'、彼らのやる事は先が見えない。
まったく、困った6人である.....

 7月24日のライブには筆者も会場にいる予定(25日は取れなかった.....)、次はライブレポートでも書くか....

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