Music Bazaar in Yaon(99.09.26)

多分、9/22の時点で皆があきらめていただろう。
何がって??、そう天気である。
日比谷野外大音楽堂で行われた、'Music Bazaar in Yaon'はそんな不安にさいなまれながら、9月23日の開幕を迎えたのです。
この日、久々に四人囃子が岡井、坂下、佐久間、佐藤、森園の5名で再演される事が
四人囃子公式WEBサイトで告知され、筆者も9月23日を指折り数えて待っていたのです。
が、9月22日時点で、秋雨前線と台風18号の来襲.....
しかし、奇跡が起こったのだろうか??9月23日当日は何と関東南部はドピーカンとなったのです。
公演中、主催者が話したジョーク(あの歳で、なかなかのジョークだったと思う....)は、あながちジョークではなかったのだろうか???
それとも、当日音楽を一生懸命楽しんでくれた障害者の人達のおかげなのかもしれない....
(ちなみに、そんななか九州をはじめとする台風18号の被害に遭われた方々にはお悔やみ申し上げます)
四人囃子の佐藤満氏のGONちゃんが散歩し、坂下秀美氏が障害者の手を取って席に案内する姿も見受けられた、そんなドピーカンの日比谷野外音楽堂で行われた'知的障害者を正しく理解する会'主催の'Music Bazaar in Yaon'をレポートしましょう。


 前述のように日比谷に着くと、とにかく晴れ渡った空に正直、昨日までの雨はなんだったのだろう??と思いながら、日比谷野音に向けて歩いていると、中から女性ボーカルをフューチャーしたリハーサルの音が聞こえて来る。
そんな野音は、定刻に少し遅れて会場、入場が開始されたのでした。
しばらく外で時間を潰し、未だ少し早いかな??と思いながらも筆者も入場してみると、何と客入れバンドが演奏をしている。
まずはハードコアっぽい感じの4人組(ボーカルのおっさんの強面が印象的....)、そしてやはりギター兼ボーカルを中心とした4人組(ちなみにこのバンド、リズム隊が非常にタイトで良いバンドでした)が演奏。
ほんと、ライブハウスやら昔々のフェスティバル形式のコンサートでは、無名のバンドがまず出てきて客入れの間、演奏してるっていう事を良く見ましたが、久々に客入れバンドの演奏の中、お客さんが三々五々で入場してきます。
開演前の客入りは5〜6割といったところでしょうか??
さて、本番が始まるとまずは若手の'THE 3PEACE' の演奏。
正直、全然知らないバンドなのだけど、一応メジャーデビューしているらしい。
聞いていると、詩は良いのだけど、演奏力と楽曲のおもしろさには正直欠けるかな???
ギタートリオなんだけど、リズム隊が今ひとつ。
そんななか、知り合い(ボランティア仲間と来ていました)とばったり出会い、ちょっと話をしていると次のステージの準備が行われています。
そしたら、主催者サイドの人間から'どっかで寝ている金子マリさん、ステージのほうにお越し下さい'なんて場内放送が入ります。
お、次は金子マリ??、てことは会場前のリハーサルの女性ボーカルは金子マリだったんだ??
(こういう複数のバンドが登場するコンサートは、普通逆取りという形で出演順の逆にリハーサルが行われるのです)
あれ???あのオベイション??あのストラト???、おい四人囃子には未だ早いんじゃないかい??と思いながら、知り合いと別れて自分の席に戻ると、何と四人囃子の森園氏が登場、パーカッション、ドラムス、ベースのリズム隊とキーボードをバックにJimi Hendlixのナンバーを奏で始めた。
うわー、うまいねー、あのワウの使い方も良いねー、などとしばし堪能しながらバックのパーカッションとドラムス、どっかで見たことあるなーと思っていたら、マック清水と上原ユタカ???、そりゃリズム隊になーんも問題はないわ、と感心する事しきり。
そして、下北のジャニス(懐かしーね、この呼び方)、金子マリ登場。
金子マリの歌を聴くのって何年ぶりかな??渋谷でのバックスバーニーの再結成ライブ以来かな??
もう、うまいのなんのって、ド迫力のマリのボーカルは、本当最高なのです。
森園氏のギターも良い調子、こりゃ四人囃子が楽しみだわいと思いながら、心地よい'ハード・ドライミング・ブルース・フューチャリング金子マリ'の演奏が終わり、再びステージの準備が始まります。
そう、次は四人囃子の登場なのです。


 ステージ上の機材は先の金子マリと競演した森園氏の機材以外は殆ど総入れ替えです。
真ん中にベースアンプが鎮座、その隣にドラムキットが置かれていたので(ちなみに森園氏の機材はドラムと反対側のキーボードの前)、満氏は筆者から見て一番遠い位置なのだなと、判る。
ちなみにキーボードにはハモンドのB-3があって、ちょっと安心。
やっぱ、坂下氏にはハモンドを弾いて欲しいのである。
さてさて、そんなステージの準備も終わり(ただ、かなり手間取ってましたね、おしたなこりゃ...)、秋の陽も落ちつつあるころ、四人囃子のメンバーが左右から登場、ステージ上左のキーボードブースに坂下氏、その前にオリンピックホワイトのストラトを抱えた森園氏(何故か金子マリのステージから4〜5本のギターが置かれています)、ステージ中央のベースアンプ前にオリムピックホワイト(だいぶ焼けたと思われる)のジャズベを下げた佐久間氏、ドラムキットの森の中に岡井氏、そしてステージ右にブルーのメタリックのギターを持った満氏の5名がスタンバります。
ちょっと客席を見回すと客入りも7割強にはなったでしょうか??
メンバー登場とともに、客席から声がかかります。
やはり四人囃子に期待しているお客さんがかなりいるのでしょう。
そんななか、スポットの点滅とともに一曲目の'空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ'でステージ開始。
イントロのリズムの中、森園氏のフレーズが宙を舞います。
ちょっと、リズムがズレてるな??、どうも森園氏はこの曲を遅めに演奏したがるみたいです。
そういえば、金子マリとのステージでは髪の毛を後ろに止めていた森園氏が髪留めのゴムを外し、風になびくシーンを見て、'おせっかい'の頃のデイブ・ギルモアのライブでの姿が何となくだぶってしまう。
ところで、音のほうは正直PAは不調、特にオルガンと満氏のギターがかなりオフ気味。
'円盤'が終わると客席から大きな拍手が起こります。
そして森園氏の短いMCで中村哲氏がステージに呼ばれます。
(ちなみに、哲っつあん登場時に一番の大声で叫んでいたのは多分筆者です^^)
やった、願いがかなったかも知れない、ソプラノとテナーを持って来ている、と言うことは???と期待をしていると、その期待を良い意味で裏切って、次に演奏されたのは何と'包'から'モンゴロイド・トレック'!!!!!!
哲っつあんのテナーが森園、満両氏のギターとともにテーマを奏でます。
'包'の頃は満氏と佐久間氏のツインギター、坂下氏がシンセでベースラインを演奏していたのと比べると、何かちょっと変な感じ。
でも、中間部の複雑なブレークやエンディング前の怒濤のリズムが佐久間、岡井両氏によりタイトに演奏されます。
ちなみに、テーマの切り替え前に何故か満氏がタクトを振るしぐさが面白かったね。
さて、哲っあんが共演している、そしてソプラノに持ち替えたって事は、そう当然次の曲は'なすのちゃわんやき'。
昔懐かしい森園氏脱退直後のフォームでの演奏です。
ただ、当然プリは居ません(^^)、ギターはエレクトリックを満氏、アコースティックを森園氏のオベイションという'89年の'FULL HOUSE MATINEE'フォーマット。
残念ながら、PAの不調は解消されず、相変わらず満氏のギターはオフ気味だし、そうこうしている内に森園氏のオベイションもどうもオフ気味、ちとクリッカブルノイズも混ざって来ました。
加えて変な低音のハムノイズが混じり始めるは、どうも岡井氏はハイハットにトラブってたらしいはで、どうも演奏の興をそぐような事が起こり始めます。
(注:このノイズ、多分アース不良じゃーないでしょうか??殆どノイズループしてましたし.....そういえば特定の周波数でブースともかかってましたね、これ)
モニタの返りも良くなかったのか、どうも'なすちゃわ'は消化不良気味でした。
さて、哲っつあんがソプラノを持ったまま、と言うことは次の曲は.....そう'泳ぐなネッシー'であります!!!!!
いや、あのテーマが流れ、ソプラノがむせび泣く、そして森園氏のボーカルが流れるとは、正直筆者感無量でありました。
まあ、相変わらずPAは不調なのだけど、この曲がこのフォーマットで聞けるとは.....
(実は、
四人囃子公式WEBサイトのaoさんと、哲っつあん出るなら、このフォーマットで'ネッシー'が聞きたいなーなんて話してたのです)
当然、オミットされた部分もありますが、可能な限りスタジオ版に近い形で演奏は続きます。
あのファンの間では有名な岡井氏苦悩の五拍子、そしてド迫力のブレーク部、テーマ前のコミカルなパート、全てが激しく、そして楽しく奏でられていきます(これでPAが完調なら.....)。
そして再びテーマに戻り、哲っつあんのテナーが素敵なオブリを繰り広げるなか、森園氏のボーカルが流れます。
最後の森園氏の悲しげでやさしげな声が流れ、曲が終わっていきます。
しかし、'なすちゃわ'と'ネッシー'を聞いて、この二曲でもしかして'76年の野音の呪縛がようやく溶けたのかも知れません。
四人囃子の歴史の中で、あの野音は一番問題を残したライブだったのですから....
さて当然、客席はヤンヤの拍手です。
その拍手を打ち消すように'一触即発'が始まります。
まさに、'気持ちのいい夕方に....'この曲が鳴り響きます。
客席も負けないような大歓声、やはり皆、この曲を聞けないと四人囃子を見に来たとは言えないのでしょうか??
ただ、この曲では、正直PAがひどすぎました。
坂下氏のシンセのメロディーは殆ど聞こえませんし、あのハムノイズが唸りを上げてしまいましたし、満氏のギターはせっかくのソロパートでも、結局オフ気味です。
森園氏も後半の戻りの部分でついに白のストラトがおかしくなり、最後のダブルチョークの前にリバースヘッドのストラトに持ち替えてしまいました。
正直なところ、欲求不満の残る'一触即発'となってしまったようです。
さあ、多分20世紀最後の四人囃子のライブが終わってしまいました。
あれだけトラブルに会いながらも、メンバーは観客に笑顔で答えてステージを後にしようとしています。
メンバー紹介も無しにステージを後にしようとした森園氏を佐久間氏が引き留め、メンバー紹介が行われます。
(何故か、坂下氏と佐久間氏を間違えてましたねー、深読みすればジョークかな??、あ、そういえば岡井氏のコールを忘れてたような気も......)
客席からも拍手と歓声が飛びます。
まあ、時間も考えれば、選曲的にはこういう結果になってもしょうが無いところでしょう。
確かに、他にも聞きたい曲もありましたし、出来れば満氏のボーカル曲も聞きたいところでした。
それにPAの不調やトラブルもありました。
でも、筆者の近くで見ていた、それまで演奏に集中していなかった障害者の女の子が、'円盤'や'ネッシー'の詩が始まった瞬間からステージを見つめ、顔が明るくなったのを偶然見た瞬間から、そんなことはどーでも良い、四人囃子の曲はまったく古くなっていないし人をひきつける魅力がある事を確信したそんなひとときだったのです。


 さて、正直トラブルも多くてライブの完成度は高いレベルのものではなかった四人囃子の演奏(ファンの人は怒るかも知れませんが、これは筆者としても客観的見た事実だと思っています)が終わり、次のステージの準備が行われていきます。
ステージ中央にコンガやティンパレスが据えられ、沢山のマイクがセッティングされていきます。
そう、やはりこうゆうフェスティバル形式にはサルサが一番!!!!とばかりに大儀見元氏の率いる'サルサ・スインゴザ'の登場です。
ペルー人のボーカル二人ともう一人のボーカルをフロントマンに、何とトロンボーン4本(だよね??筆者のところからそう見えたんですけど....)、ベース、キーボードにパーカッションが大儀見氏を含めて三名の大所帯。
ちなみに、ステージ左で見ていた白いベースボールキャップは大儀見氏のボーヤの筈(まっちゃんです^^)。
とにかく、サルサは楽しくなくちゃ!!!!とばかりに、ペルー人のボーカルがあおります。
たどたどしい日本語で踊りを、コーラスを観客に求めます。
気が付けば、アリーナ後ろには沢山の人が踊っていますし、他の観客も歌っています。
(でも、最初に要求したコーラスは歌詞難しすぎたね^^)
もう、楽しいの一言に尽きます。
でも、聞かせるところはきちんと聞かせるし、ホーンセクションも素晴らしい演奏です。
それに、大儀見氏、ティンパレスも良いねー、ホント楽しく、それでいて迫力たっぷりのライブでした。
(でもさ、大儀見さん、ちょっとあの髪型とあの顔は怖いよ、ホント!!!)


 さあ、ステージも最後、ジョニー吉長氏のセットです。
セッティングが進むなか、殆どセッティングの変更の必要のないキーボードブースでシンセサイザーでの演奏をしている初老(すみません!!!)のキーボードプレイヤーが.....
非常に気持ちの良い演奏です。
そしてセッティングが終わり、演奏が始まる前にジョニーから一言'キーボード、深町純!!!!!!!!!、ひえええええええええー、あれって深町純氏???
もう、これで決まりです、ジョニーのセットは素晴らしい演奏になることが約束されました。
そんな確信のなか、ジョニーのボーカルナンバー、そしてノブナガ(筆者、この人、良く知りません^^)の曲が演奏され、いよいよゲストが続々と登場します。
まずはミッキー吉野氏がゴダイゴの盟友、ギターの浅野孝己氏を伴って登場。
浅野氏がセッティング中、ミッキー吉野氏がハモンドを高速グリス、クラスター、そしてキース・エマーソンばりに揺さぶってスプリングリバーブを響かせます(B3で、あんな事するの初めて見たわ......)。
考えてみれば、日本で初めてロック系でハモンドを弾いたのは、このミッキーかスパイダースで有名な大野氏かといわれてるんですから、こりゃ期待出来ます、と思ったらビートルズナンバーをハードに演奏し、その後は何とプロコル・ハルムの'青い影'!!!!!、それも原曲に非常に忠実なアレンジで聞かせてくれました。
この後、元ウェストロードBBの永井'ホトケ'隆氏が登場、唾を飛ばしながらド迫力の'Come Together'。
さすがにウェストロード時代の三文字言葉攻撃は出ませんでしたが、一曲挟んで'おれの知り合いで唯一レコード大賞を取った男'と紹介された近藤房之助氏登場、アンプ直結の図太いギターとともに渋い声を聞かせてくれました。
(残念ながら、このころからまた例のハムノイズ攻撃が激しさを増します)
そして、'from YOKOHAMA!!!!'の声と共にエディ藩氏登場!!!!
貫禄ついたなー、エディさん、335(345かな???)が小さく見えるよ。
でも、演奏、ボーカルとも余裕たっぷり、ギターも派手なフレーズもエフェクトもなーんも無いのにピッキング一発で観客、納得しちゃいますよ、これ。
てな事言ってたら、なーんと今いくつなの????このおっさん!!!!とも言えるムッシュかまやつ氏登場。
マイクスタンドを振り回すは(おいおい、ロッドより年上でないんかい???このおっさん??)、最後はThe Whoなみに大車輪マイク回しはやるは、'年寄りは疲れるんだよ'の一言が、ぜーんぜん嘘に聞こえてしまいます。
直後にギターとキーボードのみで'どうにかなるさ'を披露、もうはっきり言って年寄りの余裕/貫禄勝ちとしか言いようがありません(平伏いたしました)。
さてさて、実はこの時点でかなり時間がおしててきたのです。
はっきり言って、完全に予定をオーバーしています。
でも、最後にこの人、ジョー山中氏を登場させないわけにはいきません。
いやー、久々のジョーのボーカルです。
でも、ぜーんぜん衰えていません、相変わらずのあの髪型です。
曲は、まず'Woman(Shadow Of Lost Days)'、フラワー時代からジョー山中の魅力が多分一番詰まった曲です。
ラストのハイトーンの超音波ボイスも健在、完璧な出来です。
バックもジョニー、深町、大儀見らと共に、いつのまにかミッキーがハモンドを操っています。
しかし残念ながら、時間がおして次の曲が最後になる様子が見て取れます。
観客席からは'メイクアップ'の声が飛びますが、別の方向から'サトリ'の声が....
その声に応え(まあ、予定どうりでしょうけど、タイミングが良かったんですよ、これ)、なーんとフラワー・トラベリン・バンドを一躍世界に(まあ、北米/カナダ中心でしたが....)、その名前を広めるきっかけとなった、あの'サトリ'が始まったのです。
いやー、石間氏のあの東洋風のギターフレーズが、そして和田ジョージ氏のブランデンブルグスタイル(あの当時はお祭りスタイルとかインディアンスタイルなんて言われましたが.....)のドラミングによるドラマティックなサウンドが、ジョニー達によって、より迫力を増して再演されます。
そして、ジョーのハイトーンボイス、もう何も言う事はありません。
後半のジョニー吉長氏のドラムと大儀見氏のパーカッションの怒濤の迫力、こんな演奏、聞かされるほうも困ってしまうと言うほど。
だけども、結局は時間の問題で、ここで演奏は終了。
本当はグランドフィナーレもあったらしいのだけど、さすがに会場の使用時間制限にはかないません??
観客も、筆者も含めて、やっぱ歳とって丸くなったのか、不満の声も挙がったけど皆あっさり引き下がったのでした。
('70年代だったら、暴動だな、こりゃ)
でも、今日のライブを楽しみにしていた障害者の人達に嫌な思いをさせてはいけません。
ここは、こんなエンディングも受け入れるのも良いんじゃないでしょうか???


全体的にみて、正直PAやら進行やら問題はかなりあったと思います。
でも、演奏や、特に素敵な不良になった方々に再び会え、そして障害者の人達が非常に楽しそうに演奏を聞いていた事、そしてその場に居られた事は、実は凄く素敵な事だったんじゃないでしょうか??
でも、さすがにあの堅牢な野音の椅子で五時間以上は、予想以上に体に来ましたね???
歳かな???そろそろ.....

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