The Room Of Pirate

Pirate盤再考〜CDとCD-R(99.05.30)

 先日、非常に興味深いインタビューがある雑誌に掲載されました。
ご存じの方も多いと思いますが、あのPirate盤、Bootleg盤擁護派(で良いんだよな??)の雑誌'Beatleg'が、Pirate盤/Bootleg盤絶対反対論者で有名な、かのKigCrimsonRobert Fripp氏にインタビューを申し入れ、そのインタビューを掲載するという無茶な行動に出たのです。
だけど、考えてみれば、Bootleg擁護派の雑誌とは言え、別にBootlegを制作/販売している訳ではなく、Bootlegによって公にされた様々なバンドの姿を報じている雑誌なのだから逆に、その当事者とも言える演奏者にインタビューを申し込んでもおかしくはない。
ただ、当然Fripp翁はBootlegが何故問題があるのかを話す訳だし、多分インタビュアーも自分達がBootlegを作っている訳でもないがかなり居心地が悪かったであろう事も、十分に想像出来る。
でも、それをそれなりに冷静に記事とした姿勢は雑誌の編集者として評価に値すると筆者は思うのです。
ところで今回は、そんなPirate盤やBootleg盤がアナログレコードからCDになり、また一つあらたなメディアとしてCD-Rが登場している、そんな部分について書いてみようかと思うのです。


CURVED AIR Vivaldi このPirate盤、何とCURVED AIRの'71年のライブ盤である。
ジャケットに記載されている日付と場所にはちょっと疑問が残る(筆者の保有するGIG LISTと場所が異なる)が、まあファーストアルバム発売後のツアーの音源であることは間違い無い。
曲目も、セカンドアルバムに収録される'Young Mother'と未発表曲一曲以外はファーストアルバムのものであり、ところどころライブアレンジが固まっていない部分もあって、かなり興味深い演奏が収録されている。
まあ、LDで発売された'Beat Club'の番外編盤で、何とライブ映像が収録され、このPirate盤でも収録されている'Vivaldi'のバイオリンソロの後半では何とアンプにバイオリンを直接近づけてのフィードバック奏法だったり、VCS3シンセサイザーはどうも鍵盤を使用していなかったり、Sonjaは暇なとき(??)にはOrganかエレピを弾いていたりしているのが確認出来るのだけど、このCDでも確認出来るのは、バッキングで鍵盤楽器をSonjaDarrylFrancisの三人で回しているらしい点が判ります。
で、今回、この盤を紹介したのは、この盤がCDでは無くてCD-R盤だという事からなのです。
ここ2年程でしょうか??CD-RPirate盤が目立つようになったのは。
筆者が初めて入手したCD-RPirate盤はKingCrimsonの'73年のJamieがいた時期のライブ盤なのですけど、入手したときにはついに出たか、というのが正直な感想だったのです。
考えてみれば、CD-RCD-RWというのは、データだけでは無くて音楽を収録する事も出来るし、メディアも安いし(というか、CDCD-Rも元々、盤のコストは無茶苦茶安いから...)、制作するための書き込みドライブやらソフトも安く入手出来るから、極端なことを言えば誰でもPirate盤が作れる時代になったのである。
(私の知り合いで車で聞く音は複数枚のCDからCD-Rに編集して落としている輩もおります^^)
ただ、大量生産には向かないからあまり儲からないかもしれないけどね。
(と言いつつも、CD-R盤は何故か価格がCDよりも1.5〜2倍くらいの値付けがされていますけど....)
最近では、PIONEERPHILIPSからオーディオ向けのCD-R機まで発売されてるし。
で、ちょっと考えると、これらのCD-R盤って殆ど日本で作成されている事が容易に想像出来るわけです。
まあ、テープトレードで入手した音源をCD-Rに焼くだけなのだけど、正直なところ市場性やこんなCD-Rで作成されているものでは流通コストを考えると海外で生産されているとは考えづらいわけです。
ちなみに、CD-R盤のジャケットって殆どぺらぺらの安い紙に印刷したもので、これは情けない出来が殆どである。
でも、アナログブートの頃も日本盤って存在してたわけだし、現在のCDでもそうだから、別に不思議な事でも無いわけです。
そう言えばCD登場後にCDPirate盤が出たとき、ある評論家がCDの場合は製造設備に金がかかるし技術的な問題もあるから、プレスには絶対に大手のレコード会社が絡んでいるなんて馬鹿な事を言ってた事あるけど、少なくともCD-Rの登場で、誰でもPirate盤を作れるようになったんだから、皮肉である。
(でも、CDも簡単に作れるんだよね.....じゃなきゃ自主制作レーベルなんか出来る訳ないじゃない^^)
多分、しばらくはCD-R盤って増えるんじゃーないかな。
何せ、枚数の問題さえ何とかすればすんごいコスト安く作れるし、何せ委託製造もしなくて良いからね。


QUATERMASS A PHANTOM PTERANODON さてさて、そんな私家盤的CD-R盤を横目にPirate業者も珍しい音源を色々発売してくれています。
例えば、このCDは何とQUATERMASSのライブなのです。
こんな、正直言ってB級バンドまでPirate盤が出るのかえ???と驚いてしまいました。
さすがに、CDの時代に入って、大物バンドの発掘もそろそろネタが尽きたのかな??とも思わせてしまうのですけど、実際普通のCDだって殆どのCDが発売後3ヶ月以内で製造は中止(一部のロングセラーは別ですけど....)され、その後一年も経てばカタログからも姿を消すというのが殆どの時代ですからねー。
そう言えば、'だんご三兄弟'はものの見事に3ヶ月でブームが終わりましたね(^^)。
とにかく今のレコード会社にとっては多品目を短期間に作って売るのが方針だろうし、実際アナログ盤の時代と違って、CDの場合製造ラインの変更って簡単ですからね。
まあ、Pirate盤の世界もご多忙にもれず、とにかく多品種に走った結果、まあファンとしてはうれしくもありながら、財布の中を気にする時代なのであります。
ちなみに、この盤、未発表曲も収録されていたりします。
で、演奏のほうは、この当時のOrganバンドそのものでしょうね。
ところどころでクラビコードらしきものをアクセントにしてるのだけど、まあ長時間の曲を飽きさせずにOrganトリオで聞かせるのって大変だなーって感じですね。
それを考えると、EL&Pって良くできたバンドなんだなーって思ったりして....(^^)


OSANNA IL PALEAPOLICE ついでにもう一枚。
こちらはもっと驚き、OSANNAの'72〜'73年のライブである。
収録曲も'PALEPOLI'まで入っている。
でも、気をつけましょう。
この音源、はっきり言ってひどいなんてものではありません。
前半は歪みすぎて音になっておりません。
特にBassの音がでかすぎて、多分カセットにしろオープンにしろ録音機材がぶっ飛んでおります(リミッター付いてなかったのかな???)。
Bassが入らないところは何とか音になりますが、Bassが再登場するとグシャグシャになります(^^)。
一応、二曲目の後半からそれなりにはなりますが....
ちなみに三曲目はTV音源だから、まあ良い音なのだけど、実は演奏のほうは前者の二曲のほうが良いんだから始末に負えない.....
ここ二年の間、MAGMAやらもかなり多くの音源が出ていますし、ちょっと前にはイタリアでは正規発売ながら内容はPirateそのものの音源も出回ってましたから、これからもこの手の音源も増えていくんでしょーね????
そう言えば、Eatrh & FirePULSERの音源も出ているくらいですから.....
まあ、CD-Rの登場でこれまで本当にテープトレイダーの間でしか廻っていなかった音源が私家盤として増えるでしょうし、業者も負けていないでしょうから、Fripp翁には悪いけど楽しませてもらおうかと言ったところなのです。
でも、著作権問題絡みの当局の動きも不気味だったりして.....

 To Pirate