いやはや、なかなか涼しくなりませんねー。
正直、残暑が堪える今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか??
さて、今回の'The Room Of Pirate'、パイレーツ盤の世界では昔からあるいわゆる盤起こしという奴について、Crimsonとも関係の深かったブリテッシュジャズの大御所、keith
Tippettをおかずにして一考していこうかと思っております。
盤起こしってーのは、早い話が正規発売されていたけど廃盤になっちまったLPなんかを、そのLPからコピーしてパイレーツ盤のLPやCDにしちまったものです。
パイレーツ盤の世界では、随分前からこれは良く行われてきたわけですけど、まあオリジナルを持っている人には用はないのでしょうけど、馬鹿高い中古のオリジナルなんざ手が出ない時なんかは、それなりに重宝する場合もあります。
でも、やっぱパイレーツ盤ですから正直オリジナル盤と比べれば音もジャケットも見劣りがするものが殆どな訳です。
ひどい時なんか、ジャケットが上下逆とか、ダブルジャケット全面に印刷されたものが、左右でずれてるとか、そんなものだってあるわけです。
筆者も、正直言って盤起こしは、過去に販売されていたパイレーツ盤LPの再発盤起こしには手を出さざる負えないのですけど、正規発売されたLPの盤起こしパイレーツは殆ど手を出していませんでした。
でも、今回紹介するKeith Tippettの場合だけは、正直盤起こしに手を出さざる負えなかったのです。
では、その辺の話を交えながら....
Keith Tippettと言えば、先にも書いたように俗に言うプログレファンにはCrimsonへのゲスト参加が有名でしょう。
彼は、1947年に英国ブリストルに生まれ、ジャズピアニストとして'67年にロンドンに進出、Pat Evansが始めた新鋭ジャスプレイヤーの育成を目指したBarry
Summer Schoolに参加、その才能を認められてミュージシャンズユニオンの奨学金を得ています。
そして、そのBarry Summer Schoolで他のパートでベストプレイヤーに選ばれた、後にSoft
Machineに参加するSaxのElton Dean、CornetのMark
Charig、TromboneのNick Evansらとともにリーダーグループ'The
Keith Tippettt Group'を結成、イギリスジャズシーンにて注目を集めました。
Marquee Clubでもギグを行っていて、その当時からCrimsonとも親交があったそうです。
そして、なんとGiorgio Gomelskyのプロデュースで作成され'70年10月に発売されたのが、'You are here...I am there'と言うわけです。
このバンドのおもしろいところは、リズムセクションについては特定のメンバーを置いていなかったところが挙げられますが、この当時のKeithはリード楽器の絡み合いに注視していたからのようです(後にこれがリズム指向に変化するのですが....)。
さて、筆者の所有するこの'You are here...I am there'は、盤起こしのCDなのです。
何せ、オリジナルLPは入手するのは非常に難しい上に、昨今(と言ってもこの盤を購入したのは随分前ですが...)のブリティッシュジャズの再発ブームにあるにも関わらず、未だに正規CD化されていないのです。
で、この盤ですけど、ヒスノイズも少なくジャケも(元々ライナー部分は文字が小さいのであきらめれば...)良い出来と言えましょう。
さて、そんな風にファーストは正規CD化されていなのだけど、何とセカンドアルバムは、ちゃんと正規CD化されているのです、
こちらは'71年1月にオリジナルは発表されています。
多分、この辺を考察すると多分権利問題が絡んで、ファーストがCD化出来ないのでは??と思われます。
ちなみに、ファーストの曲は全てKeith Tippettの書き下ろしなのですけど、これは英国の Arts
Councilからの要請で書き上げたものとの事です。
この辺が正規CD化の際の権利問題の壁となっているのかも知れません。
ちなみに、セカンドアルバムの'Dedicated To You, But You
Weren't Listening'のほうは、Eltonらも曲を書いています。
まあ、このセカンドアルバムあたりまでは、まだアンサンブル重視の演奏を繰り広げていますが、ところが次作ではアンサンブルも重視しながら、より自由奔放な演奏を求め、しかもそれをビックバンドでやっちまおうという凄まじい意欲作をCrimsonのFrrip翁をプロデューサとして迎えて録音したのでした。
それが、'71年夏に発表された、この'CENTIPEDE'の'SEPTOBER ENERGY'なのであります。
なんてったって、50名以上のロック、ジャズ・ミュージシャンを起用し、ビックバンドを自由自在に動かし、その上でソロプレイヤーがやはり自由奔放なソロを繰り広げるというこの作品、英国ジャズ協会の協力を得られた事により実現した何と二時間にも渡るジャズ組曲なのです。
(レコーディングでは、ある程度時間を短くしてはいますが....)
最初は、チャリティ公演として企画され'70年冬に計8回の公演が行われ、その後Fripp翁をプロデューサに迎えて、スタジオレコーディングが行われたというわけです。
参加ミュージシャンの中には、既にCrimsonを脱退していたIan
McDonaldや後にCrimsonに参加するBoz、そしてSoft
MachineのRobert Wyattなんかの名前もあります。
この当時、英国ではロック、ジャズの各フィールドのミュージシャンはかなり交錯し、お互いのフィールドを越えた共同作業が多々行われていたのです。
さて、筆者が保有するのは、当然盤起こしのCD。
で、これなんですけどねー、ジャケやなんかは良いんだけど、音がかなり苦しい。
特にヒスノイズが厳しいわけでは無いのだけど、全体的に音圧のレベルが低いので正直聞きづらいです。
でも、この盤起こしCD、かなり高額だったんだけどねー。
(以下、2000年1月23日加筆)
と思っていたら、何と、VoicePrint Japanから正規CDが'99年11月に発売されちゃいました。
正直、発売の予定なんざ知らなかったんですけど、たまたま行ったレコード店に鎮座しましましておりまして、白状すると、パイレーツ持ってるからどうしようかなー???っとも思ったんだけど、何せパイレーツ盤の音があれでしたんで、あきらめて購入したら、何とこいつが大正解!!!
何せ、音が桁違いに良いのです。
音圧レベルも分離も素晴らしく、おかげで曲も演奏も素晴らしい状態で、まさに生まれ変わったかのようです。
(当然、パイレーツ盤との比較ではありますが....)
ちなみに、日本語ライナーにも先のパイレーツ盤の事も載っていましたが....
これを聞くとこの作品がどれだけ衝撃的だったか良く判ると言うものです。
ただ、これリマスタリングがされたのかどうかは不明なんですけど、聞く限りはCD向けの作業はされているように思えます。
それと盤起こしでもなくて一応マスターを使用したんじゃーないでしょうか??
いずれにしろ、この盤は必聴です。
さて最後に紹介するのは、正規盤であります。
あのDisk Unionが権利問題をクリアして、Keith Tippettが本格的にフリージャズの世界に踏み込んだと言える'BLUEPRINT'の日本盤を発売してくれたのです。
ちなみに、Disk Unionさんはその後Keith Tippett's ARKの'FRAMES'をデジパック仕様で発売したりもしています。
ちなみに'BLUEPRINT'なんですが、この作品もプロデュースしたFripp翁にも影響を与えたパーカッションのFrank
Perryの参加もあって、かなり濃密な作品と言えましょう。(CrimsonにJamie
Muirの参加をFripp翁が決めたのも、Frank Perryの演奏を目の当たりにしたからと言われています)
で、ホントはこの後、KeithはFrankとともにトリオ編成でより実験的な'OVARY LODGE'というバンドを結成、すんごい演奏を残しています。
で、その'OVERY LODGE'の特にファーストは名盤の一つなんですけど、こいつも悲しいかな正規CD化されてないのです。
ちなみに、筆者も買い損なっていて、盤起こしのCDを購入しようかどうしようかと悩んでいたら、先日ショップで見たら中古でしかも値段が倍になっていたのです......
PS: |
'99年にこのページを見て連絡を頂いた、Yacco-Jakko Jacintaさん、 メールのFromアドレスに返信したんすけど、もし届いていなかったら お知らせ下さい。(2000.01.23追伸) |