The Room Of Pirate

ACROSTICO IN MEMORIA DI DEMETRIO〜AREA(2000.04.02)

 昨年の11月から、'The Room Of Pirate'を全然更新してませんでした(^^)。
忘れてた訳じゃーないんですけど、ここんとこPirate盤、あんまし入手してなかったんですよね、これが。
まあ、Crimson関連ではもうまもなくあのハイドパーク公演の正真正銘のライブ音源が手に入る筈なんですけど、それはやっぱ'The Room Of Crimson King'向けのお話ですから、'The Room Of Pirate'の更新がまた延びちゃいます。
そこで、今回は随分前に入手したイタリアの'international POPular group'、AREAの音源を紹介しようと思います。
筆者は、イタリア物もそれなりには聴くのですが、正直気に入っているバンドやカンタトーレと言うとそんなに数は無いのです。
例えば、ありきたりですけどPFM(やっぱPFMはライブがサイコー!!!)、I POOH('UN PO' DEL NOSTRO TEMPO MIGLIORE'〜邦題'ロマン組曲'は、まさに傑作!!!!)、NEW TROLLS(ちなみに、ヌメロ・ウエノ氏の話によると、昔々四人囃子の森園氏もTROLLSの'CONCERTO GROSSO PER I'を新宿レコード辺りで購入してたとか...)、ORME(ドヘタなんだけどねー....)、LATTE E MIELE(ホントにベースレスでライブやってたんだよなー、こいつら...)、OSANNA(ちょっとオドロオドロしい....)とかで、何のことは無い、イタリア'70年代の代表的なのばっかしです。
さて、AREAもそんなイタリア'70年代を代表するビックネームの一つですけど、このバンドには少し思い入れもあります。
なぜなら、DEMETRIO STRATOSという天才的なボイシングアーチストが居た事、そしてその彼が1979年の6月に亡くなっている事があるからです。
ここ数年、イタリアでも活動を停止していたり、セミリタイアしていた色んなバンドやカンタトーレが活動を再開したりしています。
AREADEMETRIO抜きでしばらく活動していましたし、数年前にはイタリアのローカルクラブでAREAの名前で演奏をしていたという話も伝わっています。
しかし、中心人物であるDEMETRIOは既にこの世にいませんから、DEMETRIOのボイスをフューチャーしたAREAの再演は聴く事は不可能な訳です。
そんなDEMETRIOが亡くなる前年'789月の音源を紹介しましょう。


ACROSTICO IN MEMORIA DI DEMETRIO この音源、非常に丁寧な装丁がされていますが、当然、ブートです。
しかし、ジャケットと言い、ケース内側の写真と言い、このブートを製作した側もそれなりの思い入れがあるようにも思えます。
ちなみに、レーベル名称は'le matango'となっていますが、ちょっとジョークくさい裏ジャケの記述といい、もしかしたら日本製じゃーないですかね、これ??。
さてさて内容のほうはというと、あの名作'1978'発表直後のツアーの音源です。
当然、編成も'1978'同様四人編成な訳ですけど、'1978'の内容を考えると演奏が四人で果たして大丈夫かな??なんて考えてしまいますが、確かに'1978'の前作まではGuitarSynthesizer奏者がいて五人編成だった訳ですが、そんな心配はぜーんぜんありませんでした。
確かに編成としてはDEMETORIOのボイスを除けばkeyboardトリオになってしまうのですけど、それでも見事な演奏を聴かせてくれます。
その辺は、腕達者が揃っていたAREAならではと言ったところでしょう。
ARPを多用したシンセによるメロディーと鮮やかなピアノや、ウッドとの持ち替えも行いメロディーも担当するBass、相変わらずの変拍子の冴えと言い、素晴らしい出来です。
そこにDEMETRIOのボイスがのって、まさに初めてAREAの世界が出来上がると言う訳です。
トップの'L'ELEFFANTE BIANCO'は、AREAがライブでも良く演奏していた曲、ただいつもと違いオルガンを弾かずDEMETRIOのボーカルのみで先導されて演奏が始まります。
二曲目、三曲目はいずれも'1978'からのナンバー、特に'1978'のトップを飾っていた'IL BANDITO DEL DESERTO'はライブアレンジとなっていますが、かなり楽しめます。
二曲目の'INTERNO CON FIGURE E LUCI'もライブ向けのアレンジで、スタジオ版とは違い、DEMETRIOのボイスが先導する形で始まっています。
ただ、この曲、聴き方によっては、やっぱDEMETRIOのボイスパフォーマンスって、ちょっと笑いを誘うんでしょーね??
観客のざわめきが逆に面白かったりして(^^)。
四曲目は何と、AREAの公式ライブアルバムである'Are(A)zione'の即興曲'Area(A)zione'の'78年版と来ました。
(一応、MCでも'Area(A)zione '78'と言っています)
再び、'1978'からの曲が続き、ラストは昔っからのライブナンバー'COMETA ROSSA'、'LA MELA DI ODESSA'までが収録されています。
まあ、昔っからのナンバーって奴は、さすがにSaxGuitarも居ない四人編成ですから、そこはそこライブアレンジやフリーの部分も増えていますが、それでも四人編成でこれだけ濃い演奏を聴かせるのはさすがなところでしょう。
多分、DEMETRIOも当時病気の事も知っていたか、少なくとも体で感じていたんじゃーないでしょうか??
時折ボイスが出きっていない部分もあります。
でも、亡くなる9ヶ月前の一瞬の輝きのような、そんな演奏が聴ける音源なのです。


PARIGI-LISBONA
 さてさて、そんなAREAですが、1996年頃に未発表音源の発掘が初期に所属していたCRAMPSレーベルから行われました。
ここで紹介するのは、そんなオフィシャルブートの一枚、'PARIGI-LISBONA'です。
他にも数枚出たようですが、筆者はこの一枚だけしか購入していません。
まあ、音的にはオフィシャルとは言え、所詮は未発表の音源ですから、差ほど期待出来るものではありませんが、演奏のほうは多分五人編成期のもので、なかなか充実しています。
特にDEMETRIOのボイスとともにオルガンも冴えています。
ちなみに、タイトルにもあるように前半はフランス/パリでの演奏、後半はポルトガル/リスボンでの演奏となっていますが、どちらも多分共産党系の集会か何かでの演奏のようです。
AREAと言えば、特にCRAMPSレーベル時代は政治色がかなり強いバンドで、政治集会での演奏はかなり多かったのです。
特に、欧州のこの時期は左翼政党に傾いた若者、そしてバンドが多く存在していたのです。
ちなみに、イタリアのバンドって左翼色が強いバンドがかなりいましたし、そんなバンドを支援するのがやはり左翼色の強いラジオ放送だったそうです。
AREAも初期のライブと言えば、終了曲は'L'intermazionale'(最近、メーデーでも聴かれませんねー(^^)、いわゆる'インター'って奴です)がお決まりでした。
この'PARIGI-LISBONA'でも、ポルトガル/リスボン収録分では演奏前にバンドの紹介とともにアジテーションが行われていますし、終了曲はもちろん'L'intermazionale'。
そういえば公式ライブの'Are(A)zione'のラストも'L'intermazionale'。
まあ、そんな政治色の強かったCRAMPSレーベル時代を経て、各メンバーのソロや実験の後にAscoltoレーベルに移籍して創られたDEMETRIO参加の最終作'1978'は、純粋に音楽的な深さが加わっていたのでした。

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