The Room Of Pirate

Pirate盤の喜びと正規盤の喜び〜Caravan(98.09.23)

 最近、色々なバンドの過去のライブや放送向け音源がCDになって出回っている。
特に、BBC音源や'キングビスケットフラワー'等の音源が数々正規リリースされ、止まるところを知らない。
それも日本でも人気の高いBeatlesLed Zeppelin,Jimi Hendrixの超大物から、Uriah Heep等の中堅、そして何とBonzo Doc Doo Dah Band等のマニア向けまで出ているわけだ。
しかも殆どのものが輸入盤ではなくて、日本のレコード会社からリリースされている。
これらは、最初にも書いたように殆どが放送向け音源が元になっているのだけど、これらの音源は、実は10年程前はPirate盤のもっとも重要な音源だったんだな。
つい最近、そんな事を思い出させてくれる正規発売のCDに出会った。
それが今回のお話の主、Caravanなのである。


SONGS FOR OBLIVION FISHERMAN Front このCDがつい最近発売されたCaravanのBBC音源だ。
内容は1970年、71年、73年の放送用のスタジオセッションの模様を収めたもので、'HUX RECORDS LTD'からリリースされ、日本でも'BELL ANTIQUE'レーベルから発売された。
実は、CaravanのBBC音源の正規発売は、これだけでなく1991年に'Windsong'レーベルから、1975年の'BBC RADIO 1 LIVE IN CONCERT'のライブ音源が発売されている。
こちらは、後期Caravanの最後の輝きとも言えるような(ミスや器材のトラブルもあったようだけど)熱のこもった演奏が聞けるし、選曲もライブの定番'For Richard'やテープのSEを交えた大作'The Dab Songs Concerto'も聞く事が出来る事からも、正規盤ライブとしては貴重な音源と言える。
 さて、話を戻すと、今回発売されたCD'SONGS FOR OBLIVION FISHERMAN'に使用されている音源なのだけど、先にもあるようにBBSでのスタジオセッションである。
これらの音源は、元々Pirate盤で利用されたもので筆者もそれらの音源をPirate盤CDで所有している。


Living in The Grey and Pink Front 例えば、このCDは1970年、及び71年のBBCでのスタジオセッションを収めたものだ。
内容は、AMラジオからのエアチェックテープが元となっているので、ノイズもかなりあるが、初期Caravanの演奏を十分に堪能出来る。
特に、71年の演奏だろうアルバム'IN THE LAND OF GREY AND PINK'からの曲がオリジナルメンバーで聞ける事は、これを入手した当時には、かなり驚きと喜びだった。
何といっても、'Nine Feet Underground'が聞けるのだから。
先の'SONGS FOR OBLIVION FISHERMAN'には、このCDにも収められている曲が、4曲収録されているが正直なところ、さすが正規盤、音質面ではPirate盤は敵わない。
ちなみに、1970年、71年の音源はステレオミックスではなく、モノラルのみのようだ。


THE CANTERBURY TAPES Front 次に紹介するのが、'THE CABTERBURY TAPES'というCD。
このCDは、いわゆる'CABTERBURY MUSIC'の大御所のBBCでのセッションを収めたものだ。
Caravanの他にもHatfield and The NorthKEVIN AYERSの演奏が収められているが、Caravanの演奏は、先の'Living in the Grey and Pink'と同様に1970年、71年の演奏の他73年の演奏が収められている。
音は、どうもトランスクリプションディスク、もしくはかなりマスターに近いテープからのもののようで、音は抜群に良い。
さて、先の'SONGS FOR OBLIVION FISHERMAN'に収められた音源は、このCDにも収められている曲は'Living in the Grey and Pink'にも収録されている4曲以外に、1曲が見受けられる。


 さて、'SONGS FOR OBLIVION FISHERMAN'だけど、このように筆者が既に聞いた事のある音源も混じっている。
という事は、Pirate盤が必要が無くなったかというとそうでもなくて、今回の正規盤に収められていない演奏が収録されているから、未だ不要になったというわけでも無い。
しかし、このCDを発売した'HUX RECORDS LTD'は、出せる限りのCaravanのBBC音源は全て出すと言っているそーな。
そうなると、やはり先の2枚のCDは無用の長物になる可能性は無くもないわけだけど、それでも、この'SONGS FOR OBLIVION FISHERMAN'が発売されるまでは、十分に楽しませてくれたCDなのだから、おいそれとサヨナラも出来ないだろう。
(それに、中古屋に出しても、大した値段では引き取ってくれないだろーしね??)


 最後にものはついでだから、Caravanの正規ライブ盤を2枚紹介しておこう。

CARAVAN & THE NEW SYMPHONIA Front これは、1990年迄は正規盤で手に入る唯一のフルライブアルバムだった'CARAVAN & THE NEW SYMPHONIA'。
オーケストラとともに演奏を行った1973年のライブなのだけど、演奏のほうはまあまあ。
メンバー自身もドラムの音が大きいので、オーケストラに遠慮したとか、ギターも同様だそうだ。
それに、アレンジがかちっと決まっていないとオーケストラ側が困る事もあって、遊びは殆ど無しである。
アレンジャーは、Simon Jeffs等も名前を連ね、かなり力を入れたのだろうし、英国本国では話題にもなったようだけど、ちょっと食い足りない気もしないではない。
オーケストラが入るとまさにオリジナルどうりの演奏になる'A HUNTING WE SHALL GO'あたりが入っていると、ちょっと評価も変わるのだろうけど.....

CARAVAN LIVE Front こちらは、何と1990年にオリジナルメンバーで一時的に再結成されてテレビ出演した際の演奏を収めたもの。
この模様は日本でもWOWWOWで放送されたらしい。
Hatfield & The NorthGONGもこの時期に再結成されて同様にTVライブを行っている。
演奏のほうは、堅気の仕事をしている元メンバーが殆どだし、ブランクも長かったと思うのだけど、かなりきっちりとした演奏をしているし、選曲のほうも初期のものが多くて、ノスタルジックにならざる負えない。
でも、これも貴重な演奏だし、良いライブ盤だと思う。
正直、HatField & The Northの時と違いオリジナルメンバーを揃えたと言う事もあって、演奏がまとまっていると思えるのもあながち間違いでも無いだろう。
ちなみにこの後、BassRichard Sinclairは離れたけど、一時的に活動再開するというおまけまで付いた。
ねえ、その時にでも来日してくれれば.....
(GONGは凄かったんだよなー.....最初の日本公演)

To Pirate