初めて手に入れたPirate盤、つまり海賊版は'Pink Floyd'だった。
確か内容的には、'Echoes'がメインで'Fat Old Sun'と'Embryo'が入っていたと思う。
ちなみに、筆者が聞いた洋楽のライブ盤というと(多分、それ以前にも聞いたものがあるのだろうけど)、'Deep
Purple'の'Live In Japan'だと思う。
いや、もしかしたら'BB&A'かな???ありゃ、'URIAH HEEP'かな???
まあ、その当時のライブ盤でいけば、'Deep Purple'のライブは極上(オーバダブや差し替えが無いんだから)だったわけだけど、そんなものを聞いていながら、ある意味まがいもんに手を出すわけだ。
逆に、ライブ盤は全て'Purple'のクオリティと同じと思ってたのかもしれないが、やはりPirate盤に手を出したのは、恐いものみたさもあったのだろう。
当然、その当時'Pink Floyd'も大体出ているものは耳にしていたのだけど、実際そのレコード(当然、その当時はCDなんざー無い)を聞いて、実はぶっ飛んだ。
何がって、ライブ盤なのに歓声が入っていないのだ。
思わず、これはスタジオ盤だ!!!と疑うわけだけど、当然スタジオテイクと演奏が違う。
何せ、Guiterが2本入っていない(^^)。
演奏時間も違うし、リズムも変だ。
何なんだ??と思っていたら、その当時販売されていた音楽専科(ロック/ポピュラー系の雑誌)の特集を見ると確かにこの盤もライブだと書かれている。
早い話が、今となれば大した話ではないが、ミキサー卓からの俗に言う卓録、ライン録りだったのである。
当然、意図的なノイズマイクが使われていないから、歓声なんざ入っていないわけだ。
それに、曲間のMCもこのレコードには入っていないから、歓声というか観客の声は確認出来ない。
買った当時はそんなことも知るすべも無いのだから、かなり悩んだ。
大体、Pirate盤のライブは、6種類に大別出来る。
まーこんなもんだろーか??
4や5は、何やーという事になりそうだけど、実際4のパターンは正規ライブ盤と言われているものでも大手レコード会社から出ている事もあるから始末が悪い。
意外なのは3のパターンで、今なら録音機材を担いでいけば、確実に入り口で'お預かり致します'か、'こちらへどうぞ'とコンサートスタッフに言われそうだけど、'60年代から'70年代あたりだと、演奏者やマネージャーに誓約書を書いて、ステレオマイクを堂々と使って録音する(しかもオープンサンパチのつわものもいた??)録音マニアがかなりいたそうである。
(実際、そんな録音が元になって発売されたJazzのライブ盤も存在する)
結局、この辺のTapeは、何だかんだ言ってもトレードの対象になり、その孫なんかがPirate盤に使用される事があるわけだ。
最近は、DATやMDなんかがあるし、強者はポータブルA-DATまで持ち出すらしいので、隠し撮りのPirate盤の音もかなり良くなったけど、そのころ音がまともなPirate盤と言えば1か3、そして6のパターンだった。(中には他のパターンの名Pirate盤もあるけど)
で、歓声無しの'Pink Floyd'のライブは多分6のパターンだろうが、どうだったかと言うと、うーん、今一つだったのである。
それもあって,今では手元には無いのだけど、'Pink Floyd'の演奏って,基本的には雰囲気勝負なんですよね。
だから、それほどスタジオ盤とライブ録音って差異が無いというか、スリルに欠けるのだ。
なんてったって、曲の最後はスタジオ盤と同じようにフェイドアウトするなんつーのもライブでもやっていたし。
特に、'Echos'なんかはその色合いが強いと思う。
これが、混声合唱とブラス付きの'Atom Harts Mother'だったら、ちょっと違うのかも知れないし(合唱,ブラス無しの4人だけのライブバージョンって、何か変に間延びしてる気がする),'The
Dark Side Of The Moon'のライブでアレンジが段々出来ていく様なんかだったら十分スリリングだし,'うんうん,こうしてそうしてあーなったのね??'と想像も働いただろうし。
('The Dark Side Of The Moon'関連のPirate盤は、1972年の札幌公演を収めた'COLD FRONT'を持っているけど、こいつはなかなか、クールでスリリングな演奏だと思う)
うん、'Echos'も'The Return Of The Sun Of Nothing'の頃のライブだったら、その感じは味わえたのかな???
'Pink Floyd'って、アレンジが固まると,そこからはみ出す演奏ってなかなかしないところがあるじゃない???
まあ、初めて買ったPirate盤が,アレンジが固まっちゃった演奏を納めた'Pink Floyd'のライブだったというのが不覚だったのかも知れない。
これが実際にライブを見たなら、話は違って'Pink Floyd'の場合、ライトショウやアジマスコーディネータでの音像移動なんかに興奮したかも知れない。
やはり、ライブならライブならではのアレンジや演奏が聞きたいし、Pirate盤を買う理由もそこにあると思う。
特に、'60年代後半から'80年代初頭までって、今と違ってサポートメンバーなんか入れずにメンバーだけで演奏出来るようにアレンジをして、それがスタジオ盤とは違った演奏を味わせてくれた。
逆に、スタジオ盤を聞きながらライブではどうするんだろうなどと思いを巡らせていた時代だったんじゃーないだろーか。
今じゃ、ボーカルが音外さなきゃ、サポートメンバーやコンピュータを動員して、スタジオ盤と同じもん聞かされる事も多々あるわけだけど。
だからこそ、この時代のライブをたとえPirate盤と知りながらも手を出してしまうんだろうと思う,今日この頃なのでありました。