World In Motion





成長

11.2.1

 面白いチームだった。
 それが一番の印象である。ザッケローニに率いられた新生日本代表は見事、アジアカップ決勝戦でオーストラリアを破り、優勝を果たした。毎回毎回、かなりのドラマチックな展開は、勝ったから言えるのだが「大変楽しかった」。フィクションならば最終的には大団円が待っているであろう事を頭の隅で認識しながら楽しむのだが、そうではないのだ。
 新監督ザッケローニは短期間で代表選手達の信頼を勝ち得ているようだ。ピクシーもプライドの高い選手の人心掌握に長けているが、やはりセリエAでの監督経験の長いザックも同様、本田のようなタイプの選手をして「あの人のためなら」と思わせてしまうのは見事としか言い様が無い。これだけで選手は体を張る事が出来る。
 本田、香川、長友、長谷部、松井、内田、吉田。海外組がこれだけいるのだ。日本もずいぶん国際的になったものである。そして、岡崎も海外に渡る。こうした事が代表の強化にも繋がる事が、今回の結果で証明された事も嬉しい。どの選手も逞しいのだ。
 本田は強靭なキープ力で、人を生かすプレーに磨きがかかった。MVPに疑問の声を上げる人は多いが、格の違いを見せつけていたではないか。
 香川は最初噛み合なかったが、どんどん調子を上げ、ドイツで見せていたような鋭い切れを披露してくれた。まさに「お金のとれる」プレイだった。本当に怪我は残念。じっくり治して、またあのプレイを存分に発揮して欲しい。
 長友は本当に凄い。何なのだ、あの体力は。連続して延長戦を戦っているのに、最後のあのアシストで見せた走り。いくら交代でDFからMFに上がっていたとは言え、あそこまで走られたら相手は音を上げるしかあるまい。「世界一のサイドバック」、本当に君なら出来ます。(書き終えたらニュースが。何と、インテルに行くんだねえ、凄いわ)
 長谷部がますますキャプテンらしくなってきた。審判とのやり取り、インタビューでの的確かつ冷静な受け答え。もう生まれついてのキャプテンとしか思えないではないか。
 DF陣も闘莉王や中澤が不在の中、よく頑張ってくれた。どうしても観ている方はヒヤヒヤしてしまうシーンも多かったし、事実先取点を取られるシーンもあったが、今野はクレバーなカバーリングとしつこいマーキングの両方を使い分けて、今や立派なセンターバックになったと思うし、吉田も退場を食らうという良い勉強をしたものの、当たり負けをしない高さとロングパスの正確さはやはり買いたい。もちろん、元グランパスという事でも応援したい選手だ。内田もドイツでプレーする事で、それまで弱点だったフィジカルコンタクトが格段に強くなった。持ち味の攻撃力も体が強くなった事で説得力を増すのだ。
 今の日本代表は、このままさらにチームとして成長して行けば、もっと面白いチームになってくれるだろう。どうか、順調に行きますように…


前進

10.7.5

 4年ぶりでございます。
 それにしても、前回の文章をざっと読んで「ここからは少しは前に進んだのだろうか」と少し疑問に思いながらも、ある程度の結果を出した今回の日本代表に対してまずは「お疲れ様」と言いたい気持ちである。
 やはり前回の反省があったのだろう。バラバラになって、本番に入って崩壊したドイツ大会の日本代表。今回は皆が本当に一つになっていたと思う。もちろん、心の奥底で不満を抱える選手もいただろう。しかしここでそれを出してしまっては前回の二の舞になってしまう事は明々白々。ぐっとこらえてチームのために尽くした…大人である。まあ、実際にも平均年齢の高いメンバーではあったが。
 最後のパラグアイ戦については、少々惜しい印象だった。もっとやれたのではないか…と。確かにパラグアイの守備はしっかりしていたが、オシムさんもおっしゃっているように「リスクを持って攻める」事もなければ、前に進まないのだ。PKまで行ってしまったのは、何となく予想はしていたものの残念ではあった。
 しかし、今回は皆で「戦っていた」事は伝わってきた。とりあえずはそれだけでも良いかな、と納得してしまう自分もいるのだ。前回(と言っても4年前だが)書いた「日本に欠けていたもの」の幾つかは解消されてきたのではなかろうか。
 穿った見方をすれば「付け焼き刃」で今回前進してしまった日本代表だが、やはり「結果」は何よりも重要だろう。「本番」での成長ほど身になるものはない。あとは置き去りにされた「課題」をどうするか。選手たちの成長以外にはあり得ないだろう。どんどん海外に出て行ってほしい。でもJリーグも応援しよう。これも大切な事。


挫折

06.7.17

 悪い予感の方が幾つも当たってしまったのが今回のワールドカップだった。
 これまでも負けるときは脆さをこれでもかとばかり露呈していたではないか。それでも「本番さえちゃんとしてくれれば」と優しく許してきた。事実、アジア予選にしてもアジアカップにしても一度はピンチに見舞われながらも何とか乗り切ってきた。その度に「選手達は精神的に逞しくなった。もう大丈夫だ」と思わされてきた。そう、「思わされて」きたのだ。
 実際にはあの通り。成長と退行の間を行ったり来たりする日本代表選手達は、本番で最も悪いところを出してしまった。一体これまで何のために、と悔やまれて仕方がないが、世の中思い通りには行かないということも気付かされてしまった。これが現実と認識するしかないのか。
 つまりは日本代表は「不安定」だ。その一言に尽きる。いかにもまじめな日本人気質、と言えなくもないが、こんなところで国民性が出てしまうのも困り者だ。今後は良いプレイで「これぞ日本のサッカー」と言えるものを出して欲しい。
 それにしても、このワールドカップでは上に行くチームはどこもファイトしていた。中田の言う通りで、ファイトする事はワールドカップに於ては至極当たり前の事なのだろう。日本に欠けていたもの…それはあまりにもたくさんあるような気がしてくる。
 そして中田英寿の引退。これまでサッカーを楽しむ事が出来たのは、このヒデのおかげとも言っていい。それにしても物凄くびっくりした。まだあまりにも早過ぎるではないか。しかし中田らしい引き際だ。この引退を他の日本人プレーヤーがどう考えるか。はっきり言って、目を覚まして欲しい人間は多い。ここから新たに日本の船出だ。逆に、これから面白くなってきたとも言える。


突破

05.6.12

 まずは出場おめでとうございます。
 紆余曲折あったが、何はともあれワールドカップへの切符は手に入れたのだ。さらに世界で一番乗りというおまけ付きだ。何だか気分がいいではないか。ドイツでもそのように報道されたようだし。
 戦力的には当然勝てる相手に当然勝つ、ということは結構難しい。ましてやワールドカップ予選ともなれば尚更だ。勝てたから言えることかもしれないが、やはりキリンカップ2連敗はいい薬になったに違いない。チームが一丸となって、勝利を目指す。これまた当然のことのようでありながら結構難しいのではないか。選手は皆「一対一で負けないように」と口にしていた。ようやく勝利への渇望、意欲、強い意識が全員に芽生え、育ったのだ。今までは中田英だけが言っていたことだが。
 前半はそれでもイライラされられる展開ではあった。ただ、守備が良かったので安心して見ていられるものではあった。後半開始から大黒が投入されて流れは良い方向へ向かった。ペアを組む柳沢共に裏に飛び出す動きが卓越している二人だから、何度もチャンスを作って得点のにおいを感じさせるようになった。
 惜しい場面を何度も見せられた末の柳沢のゴール。それにしても柳沢があんな泥臭い、スライディングシュートを決めるなんて。ゴン中山のようではないか。やはりイタリアに行って良かった、と思わせるゴールだった。
 また、大黒も再三の飛び出しがようやく実り、痛快なゴールを決めてくれた。最後にキーパーを躱して落ち着いたシュート。この「落ち着いて」と言うところが大黒の良さだと思う。もっと使って欲しい選手だ。
 あとは本番に向けて、だが中田英の言うように「今のままでは」厳しいことは確かだ。ジーコはあまり選手を入れ替えたりしないので、ケガでも無い限り例えばアテネ五輪世代が食い込むことは難しそうだが、もちろん今の選手での熟成はあと1年でやって行くのだろう。
 いや、それにしてもドイツへ行きたくなってしまったな。


勝ちは勝ち

05.4.10

 勝つ事が重要なんだから。
 「薄氷」という単語がこれほど連発されたこともあるまい。確かにオウンゴールによる得点のみ、という結果を見ればそうなのかもしれないが、あのシーンは起こるべくして起こったものだろう。中澤の迫力あふれるプレッシャーに相手(司令塔だった!)は慌てて蹴ってしまったのだ、自分のゴールに向かって。
 確かに前半は見せ場らしい見せ場もなく、俊輔のコーナーキック連発も功を奏さなかった。これでズルズル悲観的になってしまわないか、少々不安ではあった。しかし、後半になって三都主がようやく本領を発揮して上がり出してからは攻撃の形が出来ていったのだ。もうバーレーンは冷や冷やしっ放しだったのではないか。「こりゃいつかやられる」と。
 そこであのオウンゴールだったのだ。いいじゃないか、別に。
 …とは言うものの、当然不満は残るわけだ。フォワードは何をしているんだ、とか、中田はまだ本調子じゃない、とか、俊輔がボールを良くない形で取られた、等々。全くその通り。イラン戦で意外に(失礼)動きの良かった柳沢をスタメンで使ってはどうかと思ったのだが、そうはならなかった。調子は良かったらしい大黒はベンチにも入れなかった。中田英は…まあ、悪いなりにも要所で締める上手い働きをしていたと思うのだが。
 2位でも通過できるとは言え、「予選を余裕綽々で通過して当然のようにワールドカップ出場」というのが世論のようになってしまっている。考えてもみよう。予選をやっとの事で通過した事が一回あるだけなのだ、これまでの日本は。前回は予選免除なのである。そう簡単にワールドカップに出られると思ったら大間違いなのだ。
 システムがどうの、中田や俊輔がどうの、とマスコミはうるさいったら無い。特に低俗週刊誌などの報道には怒りすら覚える。負けて欲しいのか、貴様ら。


一敗

05.3.29

 うーん、残念。
 今回も何とか追いつく事になるのではないか、と見守っていたのだが結果はご存知の通り。イランも昔に比べるとそんなに強いような印象はなかったのだが、決めるべき時に決める事が出来たのが勝利に繋がった。逆に日本は相変わらずと言うか、シュート自体が少な過ぎた。攻め入ったシーンは決して少なくはなかったにもかかわらず、だ。小野のようなミドルシュートを、皆もっと打ちまくるべきである。早く打ってしまっては勿体ないとでも思っているのだろうか。実際そうかもしれない。
 中田自体の出来は決して悪くなかったように思う。確かに好調時に比べればまだまだかもしれないが、やはり存在感の有るプレイを随所に見せてくれた。ボールを奪われるシーンも合ったが、これは味方のカバーが遅い為だろう。俊輔が守備に追われてしまったのは勿体なかった。
 「連携」と言ってしまえばそれまでだが、選手それぞれがクエスチョンマークを頭上にちらつかせながらプレーしていたように見えるのはもどかしいものであった。全体的には「物凄く悪い」というわけではなかったので、場合によっては勝利がこちらに転がってきてもおかしくはない試合だった。
 仕方がない。次だ。もう明日だ。後になって「あのイラン戦での敗北がきっかけでチームは甦った」と言われるようであれば良いと思う。


一勝

05.02.13

 疲れた。疲れたよ、全く。
 確かに慣れてからの北朝鮮はなかなか手強かった。相手のゴールはおそらくセンタリングのつもりが引っ掛かってスーパーゴールになったものだろうが、そこに至るまでのダイレクトプレイは「ほお、やれば出来るんだな」と思わせるものだった。まあ、後になってから言える事ではあるが。
 開始僅か5分で得点を取った事は、もの凄く盛り上がったものの、何となく嫌な予感もした。「ドーハの悲劇」の時もそうだったからだ。今の代表は違う…と思いながらもやはり予感は半分当たり、それからは何だか攻撃も中途半端で、イライラさせられるものだった。小笠原や鈴木の激しいチェイシングでそれ程良いパスが北朝鮮の間で繋がるシーンは少なかったが、これでは後半疲れてしまうのではないか…と心配したのだ。
 そんなこんなで後半。結局決められてしまって、長い長い時間が始まったのだ。高原が登場し、さらには俊輔も登場してきて攻撃は多彩になった。高原は得点の香りのする動きをしており、俊輔もさすがのキープ力を発揮した。しかしなかなか点が取れない。まずい、まずいぞ。このままでは。後を考えれば引き分けはまずい。とにかく勝っておかねばならないのだ。もう大量点は望まない。とにかく勝利だ。
 大黒が入った。その時思ったのは「久保とかいればなあ…」という後になってみれば、彼に対してもの凄く失礼な事だった。しかしその大黒が最後、見事に決めてみせたのだ。あのシーンで彼が見せてくれたのは「とにかくゴールへボールを入れる」という単純明快なアクションだ。これぞゴール、というまったくもって感動的な得点だった。それもロスタイム。昔はロスタイムに悲劇ばかり起こっていたような気さえするが、今の日本はこれだけの力がある。勝ったから言うわけではないが、時間が迫ってきていてもそのまま終わる気は何故かしなかった。不思議な事だが結果、勝利を収めている。繰り返すが、今の日本にはこれまでに無い「安定感」のようなものが感じられるのだ。しかし、次は何せイラン。しかもアウェー。実力差はほとんどないと思われるので、あとは精神論じみてしまうが「勝利への渇望」が勝負を決めるだろう。


突破

04.10.17

 ずいぶん色々言われてきたジーコ・ジャパン。代表監督になると「神様」でも治外法権ではないわけだ。やれ「戦術が無い」「『黄金の4人』に固執し過ぎる」など、言いたい放題であった。確かに見ていて「大丈夫かな?」と思ってしまうことは幾度となくあった。それは確かだ。
 しかし、結局は「勝てば官軍」なのだ。今の日本代表は強い、と素直に思える。やはりあのアジアカップでの経験だろう。まさに四面楚歌と言えるアウェイの状態が彼らの闘志に火をつけたのだ。そこから彼らは間違いなく「闘う集団」になったと思う。
 今回のオマーン戦も、マスコミが盛んに「危ないぞ、危ないぞ」と騒ぎ立て、かなりナーヴァスな状態になっているのではなかろうかと案じてはいた。
 しかし、最初こそバタバタしたものの(その癖はまだ直っていないのだが)得点シーンなどは憎らしいばかりに落ち着いたもの。あとは逸る相手を上手くいなしての勝利だ。
 まだまだ不十分なところはあるのだが、これだけ「自分たちの力」で建て直して勝利を掴む事が出来るということは、大変頼もしくなってきた。これがジーコが当初から目論んでいた「自立」なのだろうか。海外で活躍する俊輔、小野の落ち着き振りは言うまでもないが、全員が本当に逞しくなっていた。これで時折落ち着かなくなる事さえ無くなれば、日本代表はかなり世界の中でも良いレベルに躍り出る事が出来るのではなかろうか、と思わせるここ最近の試合振りである。
 これで中田英が戻ってきたら、どうなるんだろうと期待させられる。中田の復活は結局誰か(俊輔か?)を振り落とすだけではないか、という声も聞かれるが、そんなことはあるまい。「サッカーを良く知っている」人間が一人でも多くなる事なのだから、もはやポジションなど関係ないだろう。きっと上手く行く。そう確信できる。


ブランク

04.9.26

 何とも照れ臭いくらいに途絶えていたこのコーナー、どう書いていいものやらという迷いもあるが、やはりここ最近サッカー界も(野球ほどではないにしろ)色々な事があった事だし、以前のように徒然なるままに書いていこう。
 まず、オリンピック。サッカーファンなら残念でたまらない結果で終わってしまった。いや、結果がこうなることは十分覚悟はしていたつもりだった。何せ相手が相手だ。それでも、必ずや彼らならば好ゲームを繰り広げてくれるに違いない、という期待があったのだ。
 内容が良くなかったことが残念なのだ。「オリンピックという魔物」などといった決まり文句があちこちで見られたが、本当にそうだったのかはわからない。しかし、本来の彼らならばもっといい勝負が出来たはずなのに、と思うと悔しい。彼らはその何百倍も悔しいだろうから安易に悔しいと言う単語を使いたくはないのだが。
 それにしても一番安心して見ていられた那須がミスを…もう誰もが言っている事なのでくどいのだが、どうしてもそこに話は行き着いてしまう。彼自身にはもの凄く「経験」になったとは思うので、今後のさらに大きくなった那須には期待したいが、あの時点では何だかマイナスの意味での「象徴」っぽくなってしまった。とにかく勝負なので、「次だったら…」という意味での「次」はない。あの時のパラグアイとのゲーム、イタリアとのゲームは後戻りはできない。
 まあ、我々にとっても「マイアミの奇跡」といったような「カミカゼ」的な信仰がどこかにあったわけで、それに少しでも期待するのは良くないな、という反省にはなった。やはりこれも実力、と割り切って前向きにこれからの代表を応援していこうではないか。
 そんなわけでいよいよフル代表だが、まあこれは次回と言う事で。


スポットライト

03.8.29

 逆転勝利と言うのは見ていて大変気持ちが良いものだ。FC東京のサポーターには悪いのだが、勝たせていただきました、グランパスは。しかし、ミスからの歯車の微妙なずれ、というのはどのチームにもあることで、今回はグランパスはその恩恵にあずかることが出来た、と言える。
 とは言え、先取点を取られてしまったのが不思議なくらい良い形で前半は攻めていた。右サイドバックに入った酒井が効果的に攻め上がってチャンスを作っていただけに、後半いきなり点を取られ、さらには追加点も取られてしまったのでは「もう駄目か…」とあきらめそうになってもおかしくは無い。
 今回は選手交代がぴたりと的中したことが大きい。特に岡山だろう、やはり。いつの間にか「ミスター・グランパス」と呼ばれるもうすぐ30歳を迎える地元出身の男。確かに往年のグランパスで残っているのは彼くらいになってしまった。サテライトでくすぶっていた彼を引き上げたのはベンゲルだった。そして彼の持ち味を完全に引き出したのはストイコビッチだった。当時スポットライトを浴びていたチームメイトの小倉とは同期で、いつも仲が良かった。
 いつか代表にも入れるのではないか…と期待もしていたが、いつの間にかベンチスタートが定番となってしまっていた。プレイエリアの広い彼を3バックのサイドアタッカーとして使うのは難があったような気がする。しかし、3バックが普通となってしまったグランパスに彼の居場所はそこしかなかったのだ。
 ネルシーニョ監督はやはり4バックにしていきたい意向があるのだろうか。だとしたら岡山にも活躍の機会は増える。そして早速その期待に応えてくれた。前目のボランチに入った彼はとにかくボールに触れ、どんどん前に出てチャンスを演出した。マルケスがそれに応えて素晴らしいプレイでゴールに切れ込んだ。
 逆転の3点目。ゴールを決める前の岡山の走りをリプレイで確認することが出来た。そう、あの動きなのだ。決して無駄走りにはしない動きの量と質の高さ。それが点につながった。最近こういう動きができる選手がグランパスにはいなかったのではないか。
 ヒーローインタビューではむしろ不機嫌そうな表情をしていた。そりゃそうだ。まだまだこんなもんじゃあないのだ。もっともっと活躍してチームを勝利に導いていくことが出来る選手なのだ。日本人選手の中ではベテランなのだから、もっと大きな顔をして、そしてそのプレイでチームを引っ張っていって欲しい。やっぱり名古屋の人間としては、彼にはずっとグランパスにいてもらいたいから。



一つ負けただけで

03.8.11

 「負けない」グランパスが遂に負けてしまった。
 とは言え、いつかその日は来るだろうことは予期していた。あまりに多い引き分け、その内容は前向きな物もあったにせよ、「勝てたのではないか」というものもかなり見受けられたからだ。いくら勝ち点「1」が加えられるにしても、「0」から「1」ではなく「3」から「1」だったとしたら「負けない」ことが果たして良いのかどうか、分からなくなってくる。
 新戦力のマルケスは良い選手だ。フォワードと言うよりはアシストの得意な1.5列目の選手、というタイプだが、いかにもフォワードといった風情のウェズレイとは良いコンビなのではないか。あとは藤本を始めとするミッドフィルダーの選手が安心して前に出て彼からの球だしを期待していいのではないか。そうすればもっともっと生きる選手だと思う。
 ベルデニック監督は遂に解雇と言うことになってしまった。確かに以前から選手との確執が伝えられていたし、ヴァスティッチを巡ってフロントと対立していたことは知っていたから、ひょっとしたら…とは思っていたが、またやっちまったか、フロントは。最近はジョアンカルロスにしろ、良い監督を連れてきてはいるのだ。次もネルシーニョだし、まあ悪くはないのだが、方針が首尾一貫していない印象をどうしても受けてしまう。ヨーロッパの監督とブラジル(南米)の監督はやり方も違うだろうし、また一からやり直しなのか、と思わされてしまうのだ。それはまあ、日本代表も同じ(トルシエ→ジーコ)なのだが。
 ベルデニックは良くやったと思う。吉村や中村直志といった選手をレギュラーに育て、そのままにしておいたら腐ってしまうところだった滝沢の能力を十分に活かした。あと若いが安定したプレイを見せる山口慶もベルデニックに見いだされた才能だろう。
 グランパスがいつも惜しいところまで争いながら結局破れてしまうのはいつものことのように残念ながらなってしまっている。ベルデニックでも駄目だった。果たして次は…しかしいい加減に選手は混乱しないだろうか。



今から上手く行ったって

03.6.15

 結果が悪ければ当然批判はされてしまう。確かになかなか勝てない最近の日本代表に苛立ちを覚えてしまうことは確かだ。それでも今はチームを作っている時期ではある。何せジーコの方針は「選手任せ」だから、そう簡単に上手く行くはずは無いではないか。
 それでもこの前の韓国戦にしてもアルゼンチン戦にしても、内容的にも不満が残る出来だっただけに、不安を感じてしまうのは致し方ないところか。韓国戦では技術とか戦術とか云々する前に「戦う姿勢」の問題を感じてしまったし、アルゼンチン戦では久しぶりに力の差をまざまざと見せつけられての敗戦だ。「日本が強くなったと言うのは幻想だったのか」と頭を殴られたように感じてしまった人も多かったのではないか。
 そして先日のパラグアイ戦。残念ながら見ることが出来なかったのだが、そういう時に限ってなかなかの好ゲームだったようだ。大幅にメンバーを替えて臨んだこの試合。注目の大久保を先発させ、俊輔も久しぶりに登場、さらにはアレックスを左サイドバックに回すという一見奇策とも言える布陣。アレックスに守備を期待するのは無理があるので、これはほとんど「3バック」ではなかろうか。ビデオにも録り忘れたので、スポーツニュースしか見ていない状況ではなんとも言えないが、大久保の惜しいヘディングシュートもあったこのゲーム、とりあえずは前のアルゼンチン戦のショックを少しは払拭することができたのだろう。
 それにしても大久保が今、元気だ。こういう選手がどんどん出てこないとチームは活性化しないだろう。見る限りあまり先輩方に遠慮するようなタイプには見えないので、図々しく働いて欲しい。外れていたコンフェデレーションカップにも負傷のゴン中山に代わってメンバーに入った。これはチャンスである。活かしてくれ!



10年一昔

03.5.13

 長いようで短いようで…まあ、一言では言い表せないのがこのJリーグの10年だ。
 思えば、自分は前からのサッカーファンではないので「Jリーグ以後」の「にわかサッカーファン」である。Jリーグで注目し、「ドーハの悲劇」でがっくりし、実際に競技場に足を運んで感動して、そうして遅ればせながらサッカーが大好きになった。だから10年と言うこの歳月を長いとも短いとも言えないのだ。早いと言えば瞬く間に過ぎたかもしれないが、逆に「サッカー以前」の自分を思うと隔世の感さえある。やはり10年と言うのは色々あるものだ。
 良く取り上げられる、Jリーグ開幕戦での「マイヤーのゴール」や、「ジーコのハットトリック」といったネタも妙に遠くかすんで見える。そう考えると、本当にサッカーと言うのは毎年毎年、言い尽くせないことがギュッと詰まっているのだ。進歩しているのだ。
 そう言った中で、井原、北沢、福田といったJリーグ、あるいは日本代表を盛り上げてくれた選手達が最近引退してしまったことは痛い。これも時の流れなんだろうか。特に北沢は年が同じなのでやはりある種の感慨があるのだ。もっとも、ゴン中山は元気だ。カズだっている。だからサッカーは面白いのだ。
 そう言えば「あの」ワールドカップから早いもので一年が経とうとしてる。あれから「ちょっと」サッカー熱が自分の中でおとなしくなってしまっているような気がする。いや、このコーナーの更新具合から見てそれは明らかだろう。これはいかん。と自分を叱咤激励したくなる、Jリーグ10周年でありました。



新しさと古さ

02.11.21

 残念、いい試合をしていたのに…
 と多くの人が思ったに違いない、日本対アルゼンチン戦。あれだけ頑張っていたのにたった4分の間に2点取られてしまった。さすがにチャンスを逃さないサッカー強国の意地が感じられた時間だったが、結構日本はこのゲーム、攻めまくっていた。ただ、肝心のゴールに結びつかなかったのだ。これはまあ、日本代表のゲームでも、Jリーグでも、似たようなシーンはよくあるものだ。ただ、「決定力不足」というこれまた使い古された言葉は使いたくはなかったのが今回のゲームだろう。いつものイライラされられるゲームと違い、見ていて面白かったのだ。
 監督のクビがかかったゲームとも言えるアルゼンチンにとって、日本とのゲームは「たかが」親善試合ではなかった。ほぼベストと言えるメンバーを揃い集め、逆に中田英、小野、稲本を欠く日本(監督までいないのだ)に対して本気で牙をむいて襲いかかってきたのだ。
 ホームにもかかわらずいくぶん不利な条件(メンバー)でスタートしたが、なかなかどうして、よくやっていたという以上のものがあった。
 最も目を引いたのが高原。現在本当に調子がいいのが手に取るように分かる切れのある動き、体の強さ、ゴールに対する意欲。点が取れなかったのが不思議なくらいだった。相棒となった鈴木もベルギーでの経験が決して無駄ではない活躍だったと思う。ゲンクでは中盤としての出場も多いためか、サイドに流れてのチャンスメークや、精度の高いクロスが際立っていた。この二人はフィジカルが強いので、頼もしく写る。
 中田英の代役としての小笠原も及第点だろう。質の高く、頭の良さを感じさせるプレイが随所に光っていた。あとはもう少しゴールに絡んでくれると言うこと無しだ。福西、中田浩二の両ボランチは攻撃参加をもう少し見たかった。二人ともチームでは的確な攻撃参加が持ち味なので、慣れてくればきっとやってくれるに違いないのだが。相手がアルゼンチンということでちょっと警戒していたのかもしれない。
 そして俊輔。ポジションチェンジをしながらの「にくい」パスやサイドチェンジなど、トルシエ時代と違って自由を与えられた彼はやはり凄いものがある。ゲームを重ねるごとにどんどん良くなっていくような気がする。
 ジーコ新監督(いなかったが)初勝利!と言うわけには行かなかったが、やはりこのチームは面白い。今年は代表のゲームはこれで見納めだったが、来年が楽しみで仕方がない。



やはり行かねば

02.8.11

 初めて豊田スタジアムへ行った。先週行われた「名古屋×鹿島」戦だ。
 豊田駅までは意外に遠い。地下鉄から連結の名鉄電車は各駅停車、なかなか着かない。本当は余裕をもって出たつもりだったが、かなりキックオフ直前ということになった。
 中に入ると、おおこれはさすがワールドカップのために作られただけあって凄いぞ。三階席だったのだが傾斜がかなりきついのでフィールド全景を見渡すことができ、俯瞰映像のようだ。素晴らしい。しかも瑞穂のように陸上競技用のトラックがないので、近くに感じる。ますます素晴らしい。
 試合も見ごたえのあるものだった。キックオフ後、有利に進めていた鹿島が先制する。しばらくその後の名古屋の動きは硬い硬い。いつものように点を取られた後の悪い癖が顔を覗かせ始めていた。しかし、新外国人FWヴァスティッチの見事なアシスト(DFを股抜き!)で山口素がシュート、同点に追いつく。そうなるとまた名古屋は乗ってくる。現金なものだがこれが名古屋の良いところ。サイドから中央から、良い攻撃パターンを繰り出してくる。そうして後半ウェズレイのゴールが決まると勝負あり。鹿島の誇る攻撃陣も今回は形なしだった。まあ柳沢、小笠原、そして本山などが好調だったらそう簡単には勝たしてもらえなかっただろうが、とにかく良い形で勝ったことは素直に喜びたい。その後の2試合もこの勝利で波に乗って勝つことができたと思う。特にヴァスティッチとウェズレイのコンビが良い。この二人が交互に前へ行ったり真ん中へ入ったりサイドに流れたり、と縦横無尽の攻撃パターンを作り出すことで相手を崩しているのだ。ファーストステージ、優勝はともかく3位を目指すことができる位置に着いた。
 ところでゲーム後の豊田。本当なら駅まで15分くらいのはずが、みな同じ方向へ歩くため、のろのろと40分くらいかかってしまった。「夜風に吹かれてのんびり歩いて行くか」などと思ったら大間違い。バスを待ったほうが良かったのか分からなかったが、着いたら汗だくの腹ぺこ。ハンバーガーを買ってその辺に座って貪り食い、「これを逃すともう30分来ないよー」という駅員の声に慌てて電車の飛び乗り、当然座ることもできず延々と各駅停車。うーん。あとはアクセスが良くなれば申し分ないんスけどねえ…



楽しめる

02.7.16

 喧騒は去り、また普段の生活に戻った日本にも、Jリーグがあるのだ。
 しかし新聞のテレビ欄を見て愕然。生放送はBS1の1試合のみだったのだ。つまり民放ではゼロ。これはいくら何でも…と思ったのだが、今回デーゲームが「市原×名古屋」だけということで、しかも日曜にもゲームがあるのだった。まあ仕方がない、許してやる。とは言え、今後もこうしたことがあるに違いない。
 私はと言えば、ラッキーなことにスカパーで「市原×名古屋」戦を見ることができた。二人の新外国人も揃ってスタメンだ。前半、これほど痛恨、と言う言葉が相応しいことなないだろう、という楢崎まさかのキャッチミスによる失点。これはいかん、悪いムードになってしまう…と思っているところに更なる失点。前半でもはや終わりかと思ってもおかしくない事態となってしまった。
 だが後半、すぐさまPKで一点を返す。これで「おお、まだいけるぞ!」とイケイケになるものの、また失点。これはシュートした大柴のナイスゴールだが、再び意気消沈しかかった。それでもペースはグランパスに傾いていき、良い形で2点を取って同点に追いつくことができたのだ。これはかなり面白いゲームだ。何せここまで3-3。こんなに得点シーンが見られることはサッカーではあまりない。そして延長戦、これまた物凄く良い形でのVゴール。まさに絵に書いたような逆転劇。いやあ、何と面白い試合だったことか。Jリーグも面白い。自信を持って言い切ることができる。



サッカーを楽しむ

02.6.30

 何か夢のような一ヶ月間。いよいよ決勝戦を迎えてしまった。
 日本の敗退からは世界のサッカーを楽しもう、とばかりにリラックスして見ていたが、まあ韓国の躍進や、審判の問題など色々合ったが、今回残念だったのは日本以外に好きなチームを見つけることが出来なかったことだ。4年前はオランダが好きだった。今回出場さえ出来なかったのもショックだったが…そう考えるとやはり韓国は監督がヒディング(4年前のオランダ監督)だけあって、良いサッカーをしていたように思えた。
 さてさて決勝戦。
 個人的にはドイツを応援していたが、残念ながらブラジルが、ロナウドがカーンから2点を取るという結果で優勝となった。まあ、復調したロナウドはやはり凄いとしか言い様がない。いざというときのシュートの上手さ。なかなか枠に飛ばない日本のフォワードも少しは何か盗んで欲しい、などと思ってしまった。
 それにしても明日からはワールドカップはやらないんだなあ、と思うと言い様のない寂しさに見舞われる。早くも「ワールドカップ症候群」か?確かにそうかもしれない。「祭りの後」という感じだ。もっとも、そんな悠長なことは言っていられないのだ。日本はベスト16という結果を手に入れた。またこれからだ。まずはJリーグ。代表だった選手も、選ばれなかった選手も、レベルアップすべく精進して欲しい。またせっかくこれまでサッカーに興味の無かった人達の関心を呼び起こしたのだから、出来るだけそうした人達をつなぎ止めるべくJリーグも盛り上げていくことが4年後にも繋がっていくと信じている。



ちょっと心残りな

02.6.18

 何だかいつもの日本だったなあ、今日は。
 さすがにトルコはよく日本を研究し、また尊重していたのだろう。中田だけ密着マーク、ということをせず、日本が得意とするボールへの早い寄せ、そして好守の切替の早さ、ということを実践したうえでの結果だと思った。そう、これまでは中田にマークがついていたため、稲本が自由に動けた、という要素もあったのだ。よって稲本が攻め上がっても簡単に取られてしまう。正直な話、トルコのサッカーについてはよく知らなかったので、こんなにまとまったチームとは思わなかったのだ。
 そうなると、ボールを徒に回すだけでフィニッシュになかなか持っていけない、これまでの日本が顔を覗かせる。また、点がなかなか入りそうにないいつもの日本サッカーだ。また悲観的な気分になってしまい、結局本当にそのまま終わってしまった。これまで冴え渡っていたトルシエ采配も、森島の投入の遅さ、三都主(アレックス)を何故前半で引っ込めたか、など少々疑問が残った。
 どちらが勝ってもおかしくはないゲームではあった。惜しい場面もあった。しかし負けは負け。ただ責めることは止めにしよう、今回は。ベスト16、という結果は上出来である。ひょっとしたらグループリーグ全敗の可能性だってあったのだ。それを思えば、よく1位で突破できたものだ。ベスト8を狙うのは次の目標にしよう。そう一朝一夕にできるものではないのだ。また長いようで短い4年間がスタートするのだ。
 などと書いてはいたが、韓国が何とイタリアを破ってベスト8を決めた。「何と」では決してないことだ。何せ今の韓国はハッキリ言って強いし、見ていて楽しいサッカーをする。これがあの、言い方は悪いが走ってばかりのパワーサッカーが持ち味だった国と同じとは思えない。さすが名将ヒディングとしか言い様がない。真っ赤なスタジアムはもはや興奮のるつぼと言う表現すら陳腐になるくらいの状態だった。イタリアの方はクエスチョンマークを周りになびかせながらのグループリーグ突破だったから、こうなっても全く不思議ではなかった。いや、それにしてもホームの力というのもあらためて強力だと思い知らされた。日本は韓国を抜いた、と思い込んでいたがとんでもない。韓国は強く、上手く、スピーディーでタフなチームとなってワールドカップの舞台に現れたのだ。
 というわけで日本が敗退してもワールドカップはまだまだ続く。しかし、開幕前は盛り上がりに欠けるなあ、大丈夫かなあ、と思っていたのにこの盛り上がり。ちょっと町中を歩けば人々の会話の中心に。居酒屋などは看板に「日本戦放送につき、3時より営業」の但し書きが。コソコソとではなく、公然と仕事をさぼってテレビの前にかじりついてもOK。いや、全く当初の不安は杞憂に終わったが、ワールドカップが終われば、また元の日常に戻る。もちろん、その中で「ようこそサッカー地獄へ」と歓迎したくなるような新しいサッカーファンも大勢存在するに違いない。しかし、殆どは何事もなかったかのように忙しく不景気な毎日に埋没していくのだ。今回の日本代表の戦いに勇気を与えられた人もたくさんいるだろう。しかし、多くは与えられた、と錯覚しただけで元の弱い自分に逆戻りしていくのだろう。何か今から寂しい気持ちになってしまった。



更なる感動

02.6.15

 終わってみれば2-0という結果だったが、ゲームとしても大変面白かった、というのも実感だ。
 驚くべき点は何もない。日本のサッカーを、トルシエが育てたサッカーをしていた。しかし、前回のロシア戦にしても今回のチュニジア戦にしても、破綻が見られなかったことが大きいだろう。
 攻撃に関しては選手達の良い点ばかりが光った。それぞれの特徴が出るサッカーをしており、特に後半入った市川を、これまた中田英がうまく使っていた。2点目のゴールは、そんな市川の頑張りにヒデ自身が応えたものだったような気さえしてくる。やはり市川の突破とセンタリングはレベルが高く、よく間に合った、と思わせてくれた。
 森島のゴールも、またバーに嫌われた惜しいシュートも、あまりにも彼らしくて良かった。今回本当に全員が全員の持ち味を発揮している。こんなことって、そうそうあるもんじゃあない。しかも本番でだ。何て素晴らしいんだろう、と感嘆せずにはいられない。
 守備にしてもこれだけ集中が途切れなかったことは惜しみない拍手を送りたい。宮本が、中田浩が、松田が、本当に頼もしく見えた。安心して見ていられた。「あ、危ないな」というシーンも難なく切り抜けていた。こんなにうまくいって良いのだろうか、と言いたくなる位だ。
 また、トルシエの選手交代のタイミングも当りまくっている。今回はいきなり後半当初から稲本や柳沢を替えて「おお?」と思わせたが、結果はこの通り。以前は選手交代のタイミングや人選に疑問符だらけで、「育成は良いが、采配はヘタ」という評価がまかり通っていたものだ。きっと選手達と同様、トルシエ自身も監督として成長しているのだろう。選手が成長したから安心して監督も交替を任せられる、という面もあるのだろうが。
 ああ、それにしても何と気分が良いのだろう。「一勝一分け一敗」でリーグを2位突破、というのが大方の予想であり、自分もそんなもんだろう、と思っていた。しかしこんなに良い結果とは。これで欲が出てきてしまった。こうなったら、突き進むところまで突き進んでくれい。



感動

02.6.10

 「勝った…」決まったときは選手達のように雄たけびを上げるようなことはせず、それまで緊張しきっていた肩の力がふっと抜けた感覚を心地よく味わっていた。
 いやあ、全くたいしたもんだ。こういう試合運びをすれば勝てる、という見本のようなゲームだったではないか。「全員で守って、全員で攻める」言うことは簡単だが、これまでなかなか実践できずにいた。稲本の2戦連続ゴールはその結果だ。確かにこのワールドカップでの稲本の動きは凄い。まさに縦横無尽という言葉が相応しい。これぞ世界水準のボランチ、と言った趣だ。
 「守り」に関しては危ないシーンを次々と切り抜けていた。誰かが抜かれても必ずカバーリングがしっかりしていたので、ハラハラしながらも安心して見ていられた。やはり前回のベルギー戦での失点という体験を活かして、集中して全員で対応できていたのだ。それにしてもこれまでさんざんこき下ろされていた宮本が、今度は褒めちぎられるわけかな。何かそういう記事が出ていないうちから頭に浮かんで少し不愉快にもなったりする。
 「攻め」も柳沢、鈴木の2トップは精力的に動き回り、チャンスを作りだしていたし、中田や小野の安定感は相変わらずだ。二人とも今回は主役にはなってはいないが、その働きは彼らならではのもので、本調子ではないのかもしれないがそれでもこれだけのことが出来る、と言うことが素晴らしいではないか。
 まあ、とにかく勝った。我々はしばし勝利の美酒に酔いたい。しかし、まだ次がある。集中集中!



大忙し

02.6.9

 何と言って良いか判断に苦しむゲームとなった。
 勝ち点1を素直に喜ぶべきか、勝てる試合を落としたことを嘆くべきなのか。とにかく、非常にタイトなゲームとなることを予想していたので、前半のような膠着した面白みの無い展開はある程度理解できた。それにしてもこんなに硬くなることはないのに、と言いたくなる程日本代表の滑り出しは良くなかった。ベルギーも同様、慎重な出だしだったので、やはりどの国も初戦のプレッシャーというのはあるのだな、と思っていた。
 やはり後半ゲームは動いた。それにしてもああいうオーヴァーヘッドが決まるとは…まあこりゃ仕方がないか、まだ時間はあるし、点を取られてガタガタにならないようにしてくれよ、と願っていたらなんのことはない。小野の柔らかいパスを鈴木が懸命に足を伸ばしてのゴール!本当につま先がギリギリ届いた、という感じの非常に彼らしい得点だった。失点の直後の得点は大きい。これはもしかしたら…と思っていたら本当に、稲本がこれまた彼らしいパスカットとそのまま前に出てのドリブル。あれはそう簡単には止められない。その通り、最後のシュートもやたらとカッコよく見えた。
 目茶苦茶興奮したことは間違いないが、あまりにも立て続けに取ってしまったので、「もう一点取ってくれ」と願った。まだ時間はたくさんあるので、早く取らないと逆に取られてしまう危険があったのだ。そんな不安が結局的中してしまう。見事に取られた…幻のゴール、幻のPK献上などその後も色々あったが、ゲームセット。いやあ、興奮した。終了直後はやはり「勝てたなあ」と言う思いが強かった。「ニッポン、初の勝ち点1をゲットしました!」なんて言われてもねえ…しかし、まあ負けなかっただけでも、と思うことにした。終わってしまったことなのだ。次のロシア戦、これも絶対に負けてはいけない。
 他国のゲームも目が放せないものが多く、スカパーを導入して本当に良かった。以外に民放でも放送があるのだが、やっぱり「タイムシフト」で再放送をしつこくやってくれるのがうれしい。こうなったら「スカパーで全部録る!」とばかりに大量のビデオテープを使って録画しようとしているが、さすがに全部は難しそうだ。
 やっぱり盛り上がったイングランド×アルゼンチン。引き分けを予想していたが、イングランドが勝ちを収めた。優勝候補と言われていたが、やはり本番はなかなかそれを許してくれないようだ。それがワールドカップの面白さなのだが。初戦のボロボロさを見て今回は駄目か、と思われたクロアチアが選手を入れ替えて何とイタリアを破る健闘を見せた。このグループもよく分からなくなった。フランスは結局2戦目は引き分けに終わり、予選リーグ突破さえ怪しくなってしまった。いや、本当によく分からないものだ。それに、他のグループもスペインが意外に(?)早く予選突破を決めたほかは、混沌としている。ひょっとしたら地味なチームばかりが勝ち上がることさえありうるわけだ。いや恐ろしい。
 そんな中で、ブラジルは相手が中国ということもあるが順調に勝っている。さすが、ここは本番以前はボロボロに言われていたが、段々良くなってきているようだ。結局かなり良いところまで、あるいは優勝だってありうるチームになっている。中国も見ていたが名将ミルチノビッチ監督の下、やりたいサッカーが見えていて印象は良かった。ただ、あともう少しと言うところがまだ完成されていなかったのが見ていて惜しい!と思わせた。このまま彼に監督を任していれば、かなり良いチームになってくると思う。またライバルが増えるわけだが。
 ライバルといえば韓国は綺麗に勝った。得点者が二人ともJリーガーというところはうれしい部分だが、正直言って、いつの間にか韓国はこんなにうまいサッカーをするようになっていたのか、と驚かされた。ここもまた監督は名将ヒディング。やはり大したものである。最近日韓戦をしていなかったのだが、このチームに勝つことはかなり難しいと思わせた。やはりライバルだ。
 さて、ロシア戦まであともう少し。みんなでエールを送ろう!



始まった

02.6.4

 本当に始まってしまった。何かまだ、現実感に乏しいような感じだ。
 しかし、ゲームを見ていると「選手の交代をお報せします」などと日本語のアナウンスが英語の後に入ったりするので、「ああ、日本でやっているのだな」とあらためて感嘆したりもするのだ。
 まあ、それにしても驚きの連続。フランスがまさかの初戦敗退。見ているとこのチームの悪いところが全て出ていたような気がした。ジダンの不在や心配されていた守備陣のスピード不足が例に挙げられよう。ジダンの控えがタイプがかなり異なるジョルカエフ(ボールをこねてばかり)しかいないことは考えてみると大きな不安点だ。とは言え、ジダンが復帰したフランスはやはり恐いと思うが。
 さらにはドイツ。予選でもたついたことから、逆に本番では結構良いのではなかろうか、と何となく考えていたのだが、実際に初戦サウジに8点も取って完封してしまった。まあサウジも気の毒とも言えるが、この日のドイツは基本に忠実で、しかも肉体的にも精神的にもハイレベルだった。キーパーのカーン以外にスター選手が少ないドイツ(4年前はあれほど騒がれたビアホフだが、歳のせいもあってか控えだ)だが、やはり常に上位に来るだけのことはある。今回も来そうだ。
 しかし、サウジアラビアがああいった大差での負け方をすると、同じアジアとしてちょっと悲しい。さらには、また「アジアの枠が多過ぎるのではないか」という声が高まってしまうことが恐い。次からのゲームでの奮起を是非とも期待したいところだ。
 イタリアはやはりビエリの強さがどうしても目に付いてしまう。あれだけ頑強なフォワードがいれば攻撃は随分楽、と言うか悩まなくてもいい。うらやましい限りだ。
 他にも、スペインの攻撃はまだエンジンがあまり掛かっていない印象もあったが、それでも魅惑的だったし、イングランドとスウェーデンはやはりどちらも強かった。ブラジルはまだ苦労しているが、ロナウドのあのゴールを見れば王者復活の日は近く、以外に決勝トーナメントに向けてどんどん本調子になっていくような気にもさせる。
 さてさて日本代表。何か先にこれだけ世界レベルのゲームを見せつけられると「大丈夫なのかしらん」と少々不安にさせるものがあるが、まあここまで来たら信じるしかない。そう、我々が信じなくてどうするのだ。いよいよ明日(もう今日か)本番。そう、待ちに待ったワールドカップなのだ。
 



さあ本番だ

02.5.20

 メンバー発表にトルシエ不在、と言うのも一種の演出のような気がしないでもない。
 それはともかく、ゴン中山の代表復帰。これも「出る選手はもう99%決まっている」というトルシエの強気な科白がまたしても三味線だったのか、と唸らせるものだ。もっとも高原の病気がなければ、という要素もあるのだが、個人的には、いやかなり多くの人が素直にうれしい、と感じていることだろう。是非途中出場で出して欲しいものだ。その時満員のスタジアムが地鳴りのような歓声に包まれるわけだ。こりゃあ、相手はびびるぞ、きっと。とにかく34歳であれほどのヴァイタリティ。そしてキャラクター。やはり代表にはこの人が欠かせない。背番号「10番」は微笑ましいが。
 秋田の復帰は正直ビックリした。そういった意外な顔が少しは出るだろうとは踏んでいたが、まさか秋田とは。彼もいわゆる「精神的支柱」という使われ方しかしないのだろうか。それとも、ロングボールを跳ね返し、屈強な体格の外国選手をはじき飛ばし、リスタート時の強烈なヘディングで得点をゲット…という前向きな使い方をするのだろうか。フラット3に適性があるのかどうかは分からない。オフサイドトラップを失敗しそうなイメージはあるし…ただ、それを補って余りあるメリットが彼にはある。ピッチに出ない可能性は高いが、やはり見たい選手だ。
 俊輔落選、は予想していたとは言え、最近の好調ぶりを見ているとやはり残念。中山が結局着けることになった「10番」が似合う選手であることは間違いない。しかし、やはりどう使うか…と問われれば「中田の控え」としか言い様がない。その役はボランチも出来る小笠原が担うことになった。もはや左サイドも小野、三都主、さらには服部がいるのだ。自慢のフリーキックもバレーボールのようなルールがない以上、それだけでメンバーには入れにくい。俊輔にとっては悪い時代に生まれてしまった、と思わざるをえない。現在のユース世代が今一つ地味なことを考えると本当にそれは後々浮き彫りになってくるような気さえしてくる。まあそこまで心配しても仕方がないかも知れないが。
 名波もケガさえなければ、とかあそこまで重用されていた波戸が落ちるとは、とか全体的には納得できるメンバー編成だったにしてもこうした感慨を持たざるをえない状況、と言うのはまったく日本代表も層が厚くなったということだろうか。
 とにもかくにも本番まで時間はなくなってきた。いよいよだ。何かドキドキしてきたぞ。



「らしく」なってきた

02.4.3

 やはり代表のゲームがあると気分も盛り上がってきて、一気にワールドカップモード!になってくるものだ。
 それにしても先日のポーランド戦。「やっぱり中田ヒデ」といった感じで翌日の報道は埋め尽くされていたが、まあ実際その通りだったから何も言えない。やはり凄い、彼は。それまでのヒデに対する報道はやれトルシエとの確執がどうだとか、パルマで干されて試合勘がどうだとか、そういったネガティヴなものばかり、いかにもマスコミが好みそうなゴシップっぽいネタのオンパレードだったのだ。
 それがどうだろう。結局は中田大絶賛。もっともそうさせてしまった中田はやっぱり凄い。恐れ入りました、の大活躍だったわけだ。特に目を見張ったのがその運動量。ボールの無いときの動き、持ったときの動き、どれをとっても素晴らしかった。例えばパス&ゴーというサッカーの基本と言える動きから彼の得点は生まれた。また、右サイドの市川を積極的に使うパスとそのフォローに回る動き。これも特筆に値する。さらには、同じ「海外組」の小野との連携。時々ポジションチェンジをしては、効果的なパスを互いに出したりしていた。小野の目立ったプレイがもっと見たかった!という声は当然あったし、自分もそうなのだが、やはりあの小野のプレイが現在における彼の真骨頂だろう。役割をしっかりこなし、それでいて自分のプレイを出す。まさに手本のようだった。二人とも本番まで取っておいてくれ、と言いたくなる位良かった。
 欲を言えば「三都主と中田」のプレイも見てみたかった。その前のゲームでの三都主は消化不良気味で、このゲームで中田が市川に繰り出したようなパスから三都主がドリブルで…といったシーンが容易に想像できるからだ。まあこれは次回に持ち越しか。
 こういうゲームを見せられると楽観主義者ではない自分も「これなら決勝トーナメントなんて、軽い軽い」などと思ってしまうもので、まあいい加減としか言い様がないが。
 ところでグランパス。弱い。弱すぎる。見ていて点が取れそうな気が全くしてこない。どうしたらいいんだろう?



今年は何の年なのだ

02.3.10

 ワールドカップの年になったというのに、何かもう一つ盛り上がらないな。
 と言うか、このコーナーも全く更新していなかったではないか。まずい。しかし、やはり予選がない、というのはテンションを高めていくことが我々サポーターにしても難しいことが分かる。やっぱり最終戦で岡野のゴール!という、あの大感動を思うと現在の状態は少々歯がゆいものがある。
 代表戦も随分行われていない。ようやくウクライナとの対戦があるのだが、「これでメンバーがほぼ固まる」という大変重要、且つ興味津々なことにもかかわらず、何か物足りなさを感じてしまう。まあ、「トルシエ対中田の確執」「小野のオランダでの活躍」「川口イングランドで干される」「高原、西沢無念の帰国」といった個人レベルでの話題はあるにせよ、小野以外はマイナスな話ばかりだ。こんなことでいいのか!と声を荒らげたくもなる。
 言い方は悪いが、ウソでもいいからもっと盛り上がらなくてはならない。おりゃあ!とここで叫んでも意味はないのだが。ただ、ホームというのにチケットの取れなさといった問題が立ちはだかる。何かで「ワールドカップチケットプレゼント!」と出るたびに、そうした懸賞に応募することをあまりしない自分は「そんなにガメているんだったら、普通の販売に回せ!」と愚痴の一つもこぼしたくなってしまう。そうだ、どうせ見に行けないんだったら、テレビを大画面、ハイヴィジョン、プログレッシブ対応にして、WOWOWだのBSデジタルだの、DVDレコーダーだの、もっと高いAVアンプだの一気に買い揃えてやろうか、いっその事。こうなったらヤケだ。
 …まあ、あまり自暴自棄になっても金を無くすだけで良くないのだが。
 さて、Jリーグの方も先週からスタートしているが、我がグランパスは既に2連敗。どうもまだ新監督の采配が浸透していないようだが…って、いい加減に監督が替わったくらいで右往左往しないで欲しいよ、大人なんだから!と言いたくもなる。やれやれ、久しぶりだというのに今回は怒ってばかりだ。



英雄去りて後

01.8.12

 いささか前の話になってしまうが、ピクシーことストイコビッチが引退して日本を去った。
 引退前後で特集がテレビや雑誌で組まれ、はたまた「ピクシー本」が何種類か発刊される、といった「ちょっとした現象」になったことは、彼がいかに日本サッカー界に貢献したかを表しているが、まあそのようなことは誰でもわかっていることなので深くは触れない。個人的には7年間も日本にいて活躍していたピクシーがいなくなってしまった、その事実がもたらす欠落感が頭の中を覆っている、それだけである。
 よほどグランパスの一人ひとりが自覚しないと、上位を狙うのは難しいだろう。さらにはジョアン・カルロス監督までが解任、ということになった。またしても監督関係でゴタゴタがあったのか。もはやあきれてものも言えないのだが、確かにカルロス監督では少々「いっぱいいっぱい」だったことは確かだろう。意外と昨年の騒動(大岩、望月、平野の解雇)は尾を引いていたのだ。選手達もきっと「自分が監督やフロントにどう思われているのか」という不安感が常に渦巻いていたに違いない。やれやれ、どうやらこのチームは「ファミリー」からは最も程遠いようだ。
 しかし、三浦新監督の元、ナビスコカップ、セカンドステージ開幕戦、と勝ち続けているのは幸いなことだ。それぞれが生き生きと動いて点を取っている。新人の中村が点を取っており、今後が非常に楽しみな選手が出てきたことも特筆したい。
 話は変わるがぞくぞくと海外へ出ていくプレーヤーが出てくるものだ。今度は高原。あのマラドーナも在籍していたアルゼンチンのボカ・ジュニアーズだ。イメージでしかないが、高原に合っているような気がするので、意外にスタメンは早いかもしれない。彼のポテンシャルならば、何かやってくれそうではないか。



2人とも外国語は大丈夫?

01.7.11

 とにかく中田のパルマへの移籍、そして小野がオランダはフェイエノールトへ、さらには稲本はアーセナル、といきなり移籍市場が賑やかになってきた今日この頃、サッカー界が盛り上がってくれることは喜ばしいことである。
 中田の活躍は予想されることとして、小野は?稲本は?というところだが、2人ともそれぞれに合ったサッカースタイルとは思う。ただ稲本はいきなりアーセナルという、超ビッグクラブへの入団ということで、活躍を危ぶむ声も多い。実際いきなりスタメンは厳しいだろうが、何せまだまだ発展途上だ。元々穴の少ないタイプで、さらにそれぞれの要素がぐんと伸びれば恐ろしいプレーヤーになるであろうことは十分に想像できる。厳しい環境に身を置くことは、物凄く学ぶことが多いだろう。最近は余り見られないのが残念だが、サイドに思いっきり散らすロングパスや、先日のキリンカップで見せたボランチの位置からスルスルと上がってきてのシュート、といったテクニック面と、フィジカルを活かしての激しい守り、全てのレベルが上がれば本当に世界的なプレーヤーになれる素材だと思う。ベンゲル監督が日本に来ていたときにしっかりその将来性(あるいは現時点でのレベル)を見据えての獲得であろうから、期待してよいのではないか。
 小野の場合、キリンカップ、特にパラグアイ戦での活躍が目に新しい。先頃のコンフェデレーションカップでの復調から、かなり「小野らしさ」が出るようになった。彼のプレイは見ていて本当にワクワクするので、この復調はうれしいし、一度はケガのため断念していたフェイエノールトにセカンド・チャンスで行くことが出来た、というのはやはり彼が世界的にも「通用する、あるいはさらに伸びるプレーヤー」という証でもあるだろう。いやあ、早くオランダでの小野が見たい。
 キリンカップも忙しくてリアルタイムでなかなかゲームを見ることが出来なかったが、順調にチーム造りは進行しているように見える。せっかく招集した広山を出さなかったことについて色々言われているが、正直自分も見たかった。彼がどれだけ力を発揮できるのかを。元々彼のインテリっぽいキャラクターや、それとは裏腹なガンガンサイドに切れ込んでいくプレイスタイルは個人的に大好きだったので、海外で成長した彼の姿は楽しみだった。しかし、練習でフィットしていればきっとトルシエも使ったはず。出なかった、ということはそう言うことなのだろう。まだまだ活躍のチャンスはあるはずなので、楽しみは後に延ばすことにしよう。



予行演習の終了

01.6.10

 余りにも駆け足にゲームがあったので、人試合毎にレビューする、ということができなくなってしまった。このコンフェデレーションカップ、結果的には潜在的サッカーファンを引き出すことにまずまず成功したと言えるのではないか。まあ、後はここから1年、本番に向けてどれだけ彼らをつなぎ止めることが出来るか、だが。
 さてゲームの方は全試合を通じて、様々な成果があった。まずは小野の代表復活だ。カナダ戦における素晴らしいフリーキック。それからの小野は得意のワンタッチパスや、ダイレクトプレイ、そして「これぞ小野!」と言える3点目の森島への弧を綺麗に描くパス。左サイド、という俊輔の不調もあって回ってきたポジション。小野は内心どうだったかは分からないが、代表のピッチに出ていることを噛みしめるようにプレイし、結果を出した。これでまた選手層が厚くなったわけだ。小野にとってはちょっと遠回りになってしまったが、ようやく間に合った、と言えよう。
 瞬く間に「シンデレラ・ボーイ」と化した鈴木。もう彼のブラジル留学から「鹿島→市原→川崎→鹿島」といった、渡り鳥のようなこれまでの下積み時代のことは知られていようが、鹿島に帰ってきて、遂に力を発揮、その体の強さを活かしたプレイは見るものに「何かしてくれる」期待を感じさせる。それはまた、「ゴン中山の後継者」が遂に登場した、という感も起こさせてくれるのだ。是非高原と組ませてプレイさせたい。点が取れそうな2トップではないか。
 グランパスファンにとってはちょっと残念なのだが川口能活の大活躍も、やはり彼は華のあるキーパーと言わざるを得ないだろう。何せ全試合通じて失点は「1」なのだ。もちろんディフェンスも含めての話なのだが、能活のファインセーブが一体どれだけの失点を防いだことになるのだろうか。やはり「当たっているとき」の彼は凄い。しばらくは川口が正キーパーになるのだろう。
 全体的には、ここ最近の反省の活かされた試合運びが予想以上に出来ていたことが、今回の準優勝という結果につながったことは間違いあるまい。こんなにボールタッチの少ないゲームはあまりなかった。やはりスペイン戦の守備的サッカーは入念な練習だったということだろう。あとは今後。結局ホームで飛車角落ちのフランスの勝てなかったのは事実。それでも完成されたチームだからフランスは強い。日本も選手層が厚くなってきた。完成されたチームになれば日本だって強いのだ。


攻撃か守備か

01.5.4

 そりゃあ、攻撃と守備は表裏一体、どちらかに偏るのは良くないに決まっているのだ。しかし、これまで「攻撃サッカー」を掲げていたトルシエが、いくらフランスに大敗したからといって、5バック的な守備偏重システムを採るというのは、当然各所から反発が巻き起こっている。「これじゃあまた以前の岡田ジャパンに逆戻りだ」といったような。
 しかし、今回はテストケースと受け取りたいものだ。基本はあくまで今までの「攻撃的サッカー」なのだ。ただ、いくら何でも守備が悪すぎたことも事実。決してそれはディフェンダーだけの問題ではなく、全員の意識の問題でもある。確かに最後、ロスタイムで得点されるという「またかい」とツッコミを入れたくなるような負け方ではあったが、「守備の意識」という点ではこのゲームでは貫かれていたのではなかろうか。
 問題は当然ある。今回の戦術を前回までの攻撃主体の戦術とどう組み合わせていくか、ということだ。相手によって変えていくのか。そうなのかもしれない。だとしたら少々残念だ。それではまた、加茂、岡田時代と何ら変わりはないし、何のための「攻撃サッカー」だったのか、と言うことになる。弱い相手をいたぶるための「攻撃サッカー」か。それに何の意味があろうか。
 状況によって変えていくのか。これは難しいし、今までのトルシエの苦手とすること、つまりゲーム途中での戦術変更や選手交代を考えると現実的ではなさそうな気もする。そうするとやはり…
 とにかく、残された時間は1年を切った。繰り返しになるが、まだ1年ある、とは思うが、もうあと1年しかないのだ。選手達もトルシエに振り回されてばかりいないで、「こういうときには自分たちはどうすればよいのか」を自発的に感じ取って欲しい。それがこれまでの試合の成果になるのではないのか。



たまにはこんな負けも

01.3.30

 「すっきりするくらいの負け方」とはよく言うが、さすがに愕然とさせられる物だったことは間違いない。いくら何でも5-0はなかろう、と。
 しかし、最初の2点の取られ方があまりにも良くないものだったこともあり、メンタル的にもすっかりフランスに呑まれてしまった感があった。結果として、やはり新聞・雑誌では「どうなるトルシエ・ジャパン?」「フラット3の崩壊」という文字が踊ることになる。まあ当然といえば当然かもしれないが。
 しかしあそこまでやられては、果たして参考になるのか、という気にもなってしまう。確かに「これもサッカー」で、結果としてこの先同じようなことが起こる可能性はあるだろう。だから何だと言うのか。考えてみれば、フランスはワールドカップと欧州選手権の優勝チームである。そりゃ、もの凄く強いわさ。ヘタに去年良い勝負を演じてしまっただけに、「今回はこの前以上に」などと気負ってしまったのが、良くなかったのではないか。もっと良い意味で気楽にやればよかったのだ。ゲーム前、稲本は「ジダンを絶対に止めてやる」と意気軒高だったが、最初こそその言葉を思い起こさせるトライを見せていたが、結果はあの通り、途中交代という屈辱を味わうことになってしまった。
 中田だけが普通にやっていた。その結果彼だけがフランスと互角に渡り合う存在であることをクローズアップさせることとなり、彼以外のメンバーとの差を目立たせてしまった。これは中田がやはりワールドワイドな舞台に身を置いており、フランスとの対戦も何も気負うものがないことも意味するだろう。そう、他のメンバーだって「普通に」やっていればもっと良いゲームができたはずなのに。これでしばらく日本人の海外移籍が遠くなってしまいそうなのが残念だ。
 とにかく、これまでアジアカップ優勝などで浮かれていた部分は吹き飛んだであろうから、浮き彫りになった課題を、クリアしていくしかないだろう。まあ、まだ1年以上ある、という言い方もできるのだから。1年しかないが、1年もある。そう考えてやるしかないじゃないか。



TOTOはまだ買ってないのだが

00.3.18

 まさかTOTO関連の雑誌があんなに発刊されているとは驚きだ。笛吹けど踊らず、みたいなことにならないことを願うばかり。
 開幕したJリーグ。初戦のレッズ戦に行けなかったのは残念だが、2戦目の市原戦もどうにか勝つことができ、いつもスタートで出遅れるグランパスとしては上々の滑り出しと言えよう。
 しかし、ちょっと驚いたのはピクシーの1トップという4-5-1の布陣。MFタイプのピクシーであるので、当然そのトップ下の二人がFW的な役割でどんどん飛び出していく、ということは理解できるが、かなりレベルの高い戦術ではないか。しかも、期待された岡山は市原戦ではサブ。うーん、何か気になるな。これから強い相手と戦うのがどうも不安を感じる。
 さらには守備面。どうも海本と古賀の連携がまだ今一つだ。古賀はまた、気の小さい性格が出てしまい、悪いところが時折顔を見せる。解説者の誰かが「失敗してもおれのせいじゃないよ、みたいな図々しい顔をしていればいいんですよ」と言っていたが、その通りである。実力はあるんだからもっと堂々としていて欲しいものだ。
 しかし、市原戦でのVゴールが森山によるものだったことは嬉しい。ごっつあんゴールっぽいものだったが、逆にそれがまた彼らしい。これで波に乗ってくれると良いのだが。この他のゲームでもカズの得点や、武田の勝利を呼ぶドリブル(プレースタイル変わった?)、といったベテラン勢の活躍が目に付く。代表は若返りが著しいが、ベテランというのは味のあるプレーをしてくれる。伊達に年はとっていないのだ。
 代表といえば24日にはフランス戦がある。中田英、俊輔、小野といったゲームメーカーをずらりと招集して、一体スタメンはどうなるかも期待が高まるが、今度フランスにボロボロに負けてしまったのでは、前回の善戦が全く水泡に帰してしまう。どんな形でも良いから勝って欲しいものだ。そろそろ「勝ちにこだわる」時期だろう。楽しみだ。



準備は万端か?

00.3.1

 優勝争いに加わりたいところだが…
 また惜しいところで優勝は出来ず、といった感じが今年も漂っているようなグランパスだ。
 先日のガンバとの練習試合もそう感じさせるものだった。まあ、変わろうとしているところなので無理もないかもしれない。スタメンはどうやら大森を右に持っていくようだが、左の時と比べると攻め上がりが少なかった。まあ、酒井とのコンビを磨く必要はあるかもしれないが、酒井も守備は大の得意なので、うまくいけば安心して飛び出せることだろう。この点はあまり心配していないが。左サイドの平岡直起はどうか。このゲームでは少々焦ってミスをする場面も目に付いた。古巣ガンバを見返そう、という気持ちも強すぎたように思う。ただ、この人はあまり頭脳的なプレイをするタイプではないのかな、という気がする。感覚だけで飛び出しているような印象を持ったのだ。まだまだこの位置はスタメンはわからない。センターバックはまだまだコンビの熟成が足りないが、まあ二人とも能力はあるのだから練習を積んで磨いていって欲しい。
 中盤はダイヤモンド型と言うか、トレスボランチと言おうか、左からウリダ、山口、酒井、という3人を配した。そしてトップ下に岡山というMF陣。これは面白そうだ。主に山口はより守備的になるが、あとの二人がどれだけ前に言って絡むかが鍵だろう。そして岡山。この位置は普通司令塔的なパサーが務める場合が多いが、ドリブルで崩したり、豊富な運動量であちこち自由に動き回ったり、FWより前に出てシュートを狙ったり、と彼ならではの特性を生かしたポジションだ。機能する時間もあり、これからが本当に楽しみなものだ。
 FWは一人はピクシーとしても、あとはウェズレイ、森山、福田といずれも期待が出来るプレーヤーばかり。誰をスタメンにするか、監督は嬉しく悩めるだろう。先日の練習試合では森山は消化不良気味だったものの、1度だけ、鋭い往年の動きでシュートをしたシーンがあった。ああいうシーンが連発するようになれば、森山の復活は近いだろう。本当に楽しみだ。
 いずれにせよ、開幕はもう少し。残念ながら開幕レッズ戦のチケットはあっという間に売りきれて手に入れられなかったが、よーく先日の敗戦を糧にして、今年こそは…



不安以上の期待を

01.1.22

 またまたグランパスの選手獲得がちょっとした話題だ。
 以前の呂比須や楢崎の時とは比較にならないが、またまた積極的に選手をとっている。まあ、それ自体は悪いことではない。今回は「弱点補強」という本来の意味合いでの補強になっているからだ。
 ディフェンダーに海本と西沢を獲得したのは大きい。特に海本は神戸に於いて堅守の要になっており、それが認められて代表まで登り詰めた人間。ディフェンスの脆さを解消できなかった後半のグランパスを考えれば、きっと活躍してくれるに違いない。西沢は古賀との争いになるか。古賀の奮起を期待したいところだ。
 そして中盤には五輪代表でお馴染の酒井が加わった。ボランチも右サイドもこなし、守備のうまさも折り紙付きなので、これまたレギュラー入りを期待したい。ボランチには山口、右サイドMFには岡山がいるが、誰を起用するか多いに迷ってしまう贅沢な陣容になってきた。特に岡山はこれでまた、控えに回される確率が高まってしまった(特に彼の場合、流れを変える存在としても使いやすいこともあるが)ので、かなり気合いが入っているだろう。ようやく層が厚くなった、と感じることが出来る。
 前にも書いたが、三原の復帰もさらに層を厚くさせてくれる。起用法としては今のところウリダの控え、といった感じもあるが、何せピクシーが第一ステージで引退。出番はすぐにやって来るだろう。天皇杯鹿島戦の時、一人少なくなったにも関わらず獅子奮迅の活躍をしていた姿を見れば、期待したくもなるというもの。復帰組では「寡黙」な中谷もいる。何故か小川を解雇してしまったので左サイドDFには当然必要だろう。大森は右をやりがたっているし。
 復帰の目玉、森山のカムバックには驚いた。考えてみると、移籍の時もフロントが戦力外にしたのではなく、本人の希望だった。呂比須が移籍(後味が悪いね)したり、小倉が新生ヴェルディに完全移籍したこともあり、FWはかなり層が薄くなっている。ピクシー、ウェズレイ、福田、原…くらいしかいないのだ。フロンターレでは殆ど活躍できなかった森山、彼は自分で切り開いてゴールするタイプではないので、正確なパスの来ないチームではつらいものがあった。特に前半戦、ピクシーのパスを受けてのゴールを期待したいものだ。31歳、といつの間にかベテランの域に達してはいるが、カズや中山、と何故か日本のFWはベテランがまだまだ元気なのだ。カムバック賞を獲得できるくらいの活躍を望んでいる。
 ここで予想布陣。4バックとして。
 GK…楢崎
 センターバック…海本、古賀
 右サイドバック…石川(大森)、左サイドバック…大森(中谷)
 ボランチ…山口、酒井
 右MF…岡山、左MF…ウリダ
 FW…ピクシー、ウェズレイ
 控え…本田、西沢、三原、福田、森山



終わり、か。

00.12.25

 名古屋の天皇杯は終わった。名波じゃないが「弱すぎる」。
 是非とも来期の補強に期待したいところでもあるが、少々不安ではある。ピクシーは前半しかいないのだし、そろそろ戦術を変えていかないとJ2落ちの危機にさらされることは間違いないだろう。
 ひそかに期待しているのは鳥栖から戻ってくる三原である。彼の鳥栖での活躍はベストイレブンに選出されたことでも明らかだ。グランパスでレギュラーを奪い、遠慮しないでプレーでチームを引っ張っていく選手となって欲しいのだ。
 さて何かと話題(?)の日韓戦。トルシエはこの因縁の対決を、完全に「テスト」の場としていた。観客もスポンサーもマスコミも、全くお構い無しである。痛快ですらあった。5人の交替枠を使い切ったが、その中には期待された「カズ」の姿はなく、スタンドからは「カズカズカズゴ〜ル」の大合唱。レポーターのラモスはまた怒りまくり。まあ当然かもしれないが、俊輔がケガで交替を余儀なくされてしまったので予定外だったのではなかろうか。それともやはり「コーチ」としての役割を既に負わされてしまっているのだろうか…それは現役選手にとってはつらい話でもあろうが。
 ともかく、ゲームも名波の調子が悪いこと、稲本の不在が何とも痛いものだったことが明らかだった。攻めが単調、サイドチェンジが少ない、前の選手を追い越す動きが無さ過ぎる…といった、アジアカップは出来ていたことが出来ず、負けても仕方がない内容だった。またしても韓国が持つ「気迫」だけが目立っていた。しかし、例え本番でも調子の悪いときはどうするか、といった問題に直面するのだから、こういうときのシミュレーションはしっかりしておくべきだ。そしてもっともっと選手層を厚くする必要がある、ということだろう。言い方は悪いが前に好調だった人間ばかりを頼りにするのもどうかと思うのだ。調子が良ければいつでも働くことが出きる…皆がそういう状態になればあれこれメンバーで悩む必要はない。その時絶好調な人間で固めればよいのだ。



ストーブリーグ

00.12.15

 天皇杯の最中ではあるが、とりあえずJリーグは終わった。順当に鹿島の優勝で。
 グランパスは結局再開後は失速してしまった。ここに来てやはり選手層が薄くなっていたことが響いてしまった。そうした中で原竜太が伸びてきたことは良い要素だ。彼は面構えがなかなか良く、何処か昔の武士を想起させる。これからも長所をどんどん伸ばして行って欲しいところだ。しかし、後何人かそういう選手が出てこないと、ベテランの多いこのチームはつらいだろう。
 そういった中での呂比須に対する戦力外通告。コーチへの転身を打診されたそうだ。彼はかなり怒っているようだが、無理もない。フロントはまたしても「やってしまった」。「彼の人柄を見込んで…」とのことだそうだが、確かに呂比須の人柄は好ましいものかもしれないが、日本で言う「お人よし」では決してない。その辺りを勘違いしているとしか言い様がないのだ。また、グランパスのフロントは…と、懲りないものである。
 グランパス以外でも移籍・引退の報道はこの時期盛んだが、「ミスター・フロンターレ」中西哲生の引退、という情報が入ってきた。本当ならば残念なことだ。J1昇格の立役者だった彼だが結局今シーズンは数試合しか出場できず、チームは低迷し、さぞ悔しい思いをしていたことだろう。確かにたまに出場したゲームでも、彼はあまり良い働きが出来ていなかった。彼なりに覚悟を決めていたのかもしれない。そう言えば日曜朝の番組にもここ最近コメンテーターとして出演していたのも、その布石かもしれない。弁は経つし、頭も良いのでテレビの仕事もいいだろう。もし引退が真実ならば第二の人生、頑張って欲しいと思う。
 「元グランパス」の移籍情報も多く、例えば小倉はどこへ行くのか?とか、フロンターレで活躍できなかった森山はどうするのか、など、興味は尽きない。「そろそろ引退か?」と思っていた浅野も移籍先が決定し、一安心だ。また、京都がJ2に降格してしまったので望月、平野の動向も気になる。望月はともかく、京都でも最近出番がなかった平野はちょっと気掛かりだ。もう全盛期は終わってしまったのだろうか。そうでないことを祈るばかりだ。サガン鳥栖では三原、矢部が中心選手として頑張っているが、グランパスに戻って頑張って欲しい気もするし、鳥栖でガンガンやって欲しい気もするので、これは微妙なところである。
 そしてまたグランパスに戻るが弱い時代からずっと名古屋を支えてきた両サイドバック、小川と飯島の解雇はある程度予測はしていたものの残念だ。しかしただでさえディフェンダーの層が薄いのに、大丈夫なんだろうか。大森や古賀が伸びてきたとはいえ。
 こういったことを書いているうちに、代表について書けなくなってしまった。日韓戦など、「カズ・ゴン」コンビ代表復活のことなど、また次回ということで…



総括?

00.11.1

 いやあ、疲れた。しかも時間が時間だし。
 寝不足を引きずりつつ仕事をしている方も多いことだろう。この決勝のサウジ戦は耐えて耐えて耐え抜いて勝ち取った優勝となった。この前のサウジはやはり偽物だったか、と思わせるくらい、監督が替わって全く別のチームになっていた。思い出すのはアトランタ五輪予選決勝。あのときの相手もサウジで、耐え抜いて勝ったのだった。今回は終了のホイッスルとともにバッタリと倒れ伏したオールバック(あまり似合わない)の川口だが、あの時のあどけなさを残した彼は、ぐしゃぐしゃに泣きはらしていたことを思いだす。奇しくもキーパーは両方とも川口だったのだ。何か因縁めいている。
 得点を決めたのが望月だったのも興味深いものがある。「他に誰かいないのか」などとネットなどで叩かれながら右サイドレギュラーだった彼も、遂に明神の成長でその座を明け渡さざるを得なかった。しかし稲本の出場停止で出番が回ってきた。気合いを入れて臨んだのだろうが、いきなりPKを与えてしまう。これが幸いにも外れたのが彼をこの日のラッキーボーイにしたのだろう。前からゴールに絡む動きは得意なだけに、こういう得点は特別驚くことはないが、代表初ゴールが優勝を決めるものだったことは、移籍問題などで色々あった彼にとっては格別のものだろう。
 名波に関してはもう色々なところで絶賛されているのでこれ以上私が言うことは何もない。全試合フル出場、本当にお疲れさまでした。あなたのお陰で、日本は優勝できました。
 あとはこれで、もっと選手層が分厚くなれば、ということだろう。まだまだ日本代表は成長過程だ。控えメンバーをさらに磨き上げ、厳選し、誰が出ても結果の出せるチームになれば言うことはない。トルシエは試合運びに難があるかもしれないが、チーム作りにはやはりこの人しかいない、という気がする。多分駆け引きだろうが、また辞める辞めないなど言っているそうだ。あまりそういうことをせずにして欲しいなあ、と言うのが正直なところだけど。



価値のある夜更かし

00.10.27

 夜遅くまで起きていた甲斐があったというものだ。
 「ドーハの亡霊」を見事に蹴散らしたジャパン、準決勝は前回の対戦では引き分けている中国が相手だ。まともにやれば勝てるはずだが油断は禁物。
 出だしから攻撃しまくったジャパン、中1日での疲れを逆に吹き飛ばす勢いなのか、それとも後半どうせバテるのならば今のうちに…という戦略なのか。とにかく1点は焦る相手のオウンゴールを誘うことになった。しかし、一旦歯車が狂うと目に見えてマイボールにすることが出来ず、足が止まって相手ボールばかりの状態を自ら作ってしまった。結局追いつかれて前半を終える。
 後半開始直後、中国は「ここが勝負だ」と思ったのだろう。激しいプレッシャーを掛け、ボールを奪って一気にゴールを決める。嫌な流れになったと思った。
 だが中国の時間もここまでだった。程なくして西沢の同点ゴール、そして明神が逆転。勝利。そこからの試合運びはアジアでは1ランク上のものだったと思う。結果的には中国は試合を盛り上げる役目を負わされてしまったのだ。
 前回「点を取られるのは良くない云々」などと述べたが、考えてみると今のジャパンは「取られたら取り返せ」というサッカーなのだ。ある程度の失点は仕方ない、と割り切って攻撃しまくるのが正しい姿なのだ。これで良いのだろう。本当に攻守のバランスがとれてきた。「意図のない、適当なパス」というものが本当に少ないのだ。それが見ていても面白い要因だ。
 最近「誰が、どう」ということを余り書かなくなったのは全員のレベルが上がったからだ。次は決勝。また少し夜更かししなければならないので、損をさせないように。

あっけにとられる2

00.10.19

 やっぱり一点は入れられてしまった。こういうことを無くしていかない限り日本がサッカー強国になることは難しいだろう。
 …などと無理やりにでも欠点でもあげつらわないと書くことが無いくらいのゲームだった。ウズベキスタンと言えば、そんなに弱くはない、いやこのアジアカップ優勝の経験さえあるチームである。いくら最近はインパクトが弱くなったとは言え、この8-1という点差での圧勝はもはや開いた口が塞がらないものだった。
 何せ、フォワード2人がハットトリックである。得点力不足?確かに相手守備陣は人数を掛けている割には(だからこそか)当たりが軽く、マークが甘く、そのためにやすやすと点が獲れた、ということだ。強いチームならそうは行かないということは誰もが分かっていることだが、素直にこの大量点を喜ぼうではないか、今回は。FWそれぞれの持ち味も出せたし、森島、俊輔も然り、だ。
 次回のカタール戦はかなりメンバーを替えてくるだろう。小野のスタメンもありそうだ。モチベーションの維持は大変とは思うが、気を抜かないように願うばかり。また大量点をよろしく。今のうちだからね。



あっけにとられる

00.10.16

 今回はあまりコメントすることもないのだが…
 アジアカップの初戦がサウジアラビアとは、なかなか最初からハラハラするゲームになるだろう…との予想は見事に外れることとなった。一体サウジはどうしてしまったのだ。あの鬼のようなカウンターはどこへ行ってしまったのだ。あのカウンターのために「日本は中東勢が苦手」という意識を植え付けられたうえに、実際にやられまくっていたではないか。しかし、結果は4-1。何だったのだ、一体。
 メンバーは大体予想通り。望月の位置に明神が入っていたくらいか。明神は左の俊輔とのバランスをとる意味もあったのだろうか、サイドバック的な働きをしており、それはさすがというべき守備力だった。攻撃、と言う面では望月だろうが、場合によって使い分けることが可能になったわけだ。
 今回は特に名波が目立っていた。久しぶりに彼を見たが、「あんなに運動量があったっけ」という働きぶりだった。ちょっと上がり目のボランチ、という位置に留まらない縦横無尽の活躍はお立ち台に呼ばれて当然だろう。稲本は名波をフォローすべく、今回は守備的ボランチとしての役目を全うしていた。
 そして今回の俊輔。左サイドではあるが、森島が半分フォワード的なタイプなので、積極的に真ん中に出てパスの配給役をしていたのは良かった。名波という「ボランチ、左、ゲームメイクおよびゲームメイカーのフォロー」という素晴らしいプレーヤーを得たことが今回もの凄く大きかったのではなかろうか。この二人が入れ替わり立ち替わり攻撃のリズムを奏でたのである。それは心地よいものであった。
 柳沢の好調さは、「本当ならば彼はこの位はやれる」という認識を持たせてくれた。やはり現在のトルシエ・ジャパンには必要な人材だ。後ろからのパス(昔のDFが蹴るクリアーのような球ではない、意図を持ったパスだ)を的確なポストで繋ぐ、またそれを返してもらって…という動作が正確にこなせるのだ。願わくはこの好調さをもっと持続させて欲しい。
 小野をもう少し見たかった。俊輔とのコンビはワクワクさせてくれるものがやはりあるのだ。あの落ち着いたゴールシーンは彼ならではだったが、もう少し彼自身のパスで…という場面が欲しかった。もうかなり完全とは言わないまでも良くなっているような感じだった。しかしそう考えると層が厚いね。これで中田英もいるんだから。
 それにしても最後のオウンゴール。「ああ、やっちゃった」の典型的なものだったが、どうもお約束のように最後の詰めを欠いているのは日本代表の悪い癖だ。これは何とかしよう。



課題はクリアするもの。

00.9.23

 果たして今回の敗戦が2002年の「課題」として糧になるのだろうか。
 一言で言えば「気持ちの悪くなるような」ゲームだった。どうも最初から調子がおかしかったのだが、それが尾を引いてしまったような感がある。もっとも、日本らしいパス回しで相手を崩すシーンもあり、「良い時間帯」というものも確かにあるにはあった。実際に今回だって2点取っているのだ。決して悪いゲームではなく、むしろ今大会の「好ゲーム」としてセレクトされても良いくらいのものだった。
 しかし、こんなに消化不良を感じたのは久しぶりのことだ。何もPK戦で敗れてしまったことは、まあ「ジャンケンで決まるより幾らかマシ」と個人的には認識しているのであきらめるとするが、結局は言い尽くされた「決定力不足」というタームを出さざるを得ない現状を思い知らされることになってしまったわけなのだ。まさに得点のチャンスは山ほどあり、何度「うわー」と叫んだり、叫びそうになったことか。かなり惜しいシュートもあり、まさに「得点しなければ何の意味もない」という事実を最後に思い知らされることになる。
 それにしても中2日で進められた今回のゲーム、後半になっての双方のコンディションにその疲れは明らかに表われていた。延長になるともはやボロボロで見ていられないほどだった。しかし、今回のニッポンは疲れが見える前からいつもの彼らではなかった。何か夢の中で「もがいてももがいても足が進まない」という、あの感覚を思わせるプレーヤー達の動き。今回の解説松木氏の「ブラジル戦の後はどのチームも気が抜けてしまったかのようにいつものプレーが出来なくなる」という言葉が重くのし掛かってきたが、これは偶然か、あるいは多少の真実も含まれているのだろうか。
 このゲームで「中田パッシング」が久しぶりに出てくるのだろうか。確かに今大会で中田は本調子ではなかったし、このアメリカ戦ではシュートを外しまくり、パスミスを連発し、最後はPKを失敗した。今や「良いときの中田」の凄さは誰でも知っているのであり、今回の不調は彼自身を責めるものではない。誰でも不調はあるのだ。ただ、その時期が余りにもタイミングが悪かった、とは思う。しかし、彼にとって重要ではないゲームなどないのであって、「エースのつらさ」を実感することになっただろう。ちょっと94年のワールドカップ決勝での、ロベルト・バッジオのPK失敗を思わせる、そんな場面であった。そうすると中田のリベンジ(しまった、もはや死語だったか?)は、本番2002年ということにしよう。
 とにかくこれで、五輪サッカーは終わった。メダルも残念ながら無しだ。ブラジルもイタリアもナイジェリアも負けた。切り替えて、次に繋げるしかない。と、いう月並みな言葉しか出てこないのも歯がゆいのだが。



自信。

00.9.20

 負けたことは残念で堪らないのだが、まずは決勝トーナメント進出なのだ。
 「残念」と言うのは、今回のブラジル相手ならば、今回の日本のメンバーとコンディションをもってすれば十分勝てるゲームを展開していたからである。「中田のいない日本」であっても、全くそれを感じさせない安定感を見せていた。俊輔を真ん中に置き、三浦を本職の左に配置したフォーメーションは彼らの望むものであったろうから、二人の活躍は容易に想像できよう。
 前半5分の得点は確かにさすがブラジル、を思わせるものではあったが、後は一進一退、前回のアトランタのように川口能活が雨あられのシュートを浴びまくって目立つ、というシーンもなかったのだ。「これでブラジル?」と思わざるを得ない。確かに南アフリカに負けたのも理解できる話だ。前評判の高かったロナウジーニョやアレックスも「こんなもんか」という感じで、他国の要注意プレーヤーと何ら変わることはなかった。Jリーグでストイコビッチなどと渡り合っているのだし、逆に南アフリカのマッカーシーの方が怖かったではないか。
 それでもかなり感慨深いものがある。あのブラジルに、あれだけ対等に渡り合い、後半では攻めまくっていたのだから。日本の攻撃にタジタジとなるブラジルDF。素晴らしいではないか。それが現実に目の前で繰り広げられたのだ。小さな体で相手を翻弄した俊輔、強引に2人のDFの間を抜きにかかった高原、左サイドを何度も突破した三浦。もう彼らには何のコンプレックスもない。だからこそ、1-0で負けてしまったことは返す返すも残念なのだが、恥じることは何もないゲームだった。中2日のタイトなスケジュールで両者ともかなり疲れが見えたので、最良のコンディションでまたゲームをさせたい気もする。それでも決して負けない、と信じることが出来る今回のゲームだった。
 さて決勝トーナメント。まだまだ連戦は続くので選手達は大変とは思うが、ここまで来たら一戦一戦勝ち抜いて欲しい。



勝利の味は?

00.9.18

 勝ったとはいえ、なにか前回の時ほど素直に喜べないのだが…
 今回のスロバキア戦、メンバーは右サイドに三浦アツを配した以外は南アフリカ戦と同じ。キックオフ直後こそ、ロングパスから柳沢の裏への飛び出し、そして惜しいシュート、といったなかなか良い展開が続いたが、「点は取れるときに取っておかないと…」とよく言われる通り、その後はあまり良く無い状況になってしまった。この日の解説、木村和司氏が「中田(英)、まだ本調子じゃないですね」と言った通り、それからも中田はパスミスをしたり、いつもなら堪えられる当たりで倒れてしまったり、と明らかにコンディションは悪いように見えた。しかも後半、今大会二回目となるイエローカードまでもらってしまう有り様。次のブラジル戦は出られなくなってしまった。
 試合が動いたのは三浦アツを本職の左サイドに回し、俊輔を真ん中のポジションにしたときだ。それまで余り目立たなかった三浦が左サイドを駆け上がり、良いセンタリング。そこに飛び込んだのが中田。自分の調子の悪さと、チーム状態にいらだっていたのだろう、得点を決めてあれほど嬉しそうにしているヒデを見たのは初めてだ。
 そしてカウンターから高原のシュート、そのこぼれ球を「よくそこまで走っていた」と言いたい、稲本が決めて2点目。勝利は確実かに思えた。しかし、本山が登場したのは良いが俊輔に替わって、というのが謎だった。その「?」がチーム全体に微妙な影響を与えたように、スロバキアに押しまくられ、一点献上してしまった。長いロスタイムを終えて、ようやく勝つには勝ったが、何かすっきりしない、と言うわけだ。おそらく俊輔の交代は、中田が次出られないことに対する彼の負担を考慮して、休憩させた、と考えたい。
 さらにすっきりしない原因は、ブラジルが南アフリカに敗退したことである。これで2勝したにも関わらず決勝トーナメントがわからなくなってしまったのだ。4年前と同じではないか。しかし、こんなことを言っていても仕方がない。とにかく次だ。次のブラジル戦、勝利を願おう。



本番。

00.9.16

 いやはや、ハラハラさせてもらった。さすが身体能力の高い南アフリカ、しかしそれだけではなくて、シンプルながら的確な攻めを展開されてしまったのだ。何となく楽勝ムードが漂い、やれメダルだ何だと騒いでいた方々は、冷や水をざぶりと浴びせられた気分になっただろう。
 さて、ゲームは1トップという予想もあったが、結局2トップでスタートした。これまでの前哨戦でうまくいっていたので最初から行くかな?という期待もあったが、まずはオーソドックスに来たのだ。
 心配されていた中田ヒデの調子。まあ、だんだん良くはなってきているようだが、まだパスの精度に難があった。そうすると、やはり俊輔に期待がかかる。しかし、俊輔は左サイドに張り付かざるを得ず、しかも守備に忙殺されてしまった。確かに左サイドをやったことで彼の守備意識は高まっており、この日も何度もピンチを彼の守備で救われた。しかし、やはり彼の魅力は攻撃。この日の解説、松木氏(そういえば、オヤジギャグ出なかったな、今回は)の指摘通り、ヒデとのアンサンブルが奏でられる時間があまりにも少なくなっていた。
 1点を先行されたあとは、ちょっとばたついた感じがあったが良いところでフリーキックとなった。いつもなら入るのに本番になると…というのはもはや昔の話か。さすがの俊輔のキックだった。
 後半も幾度となくピンチを招き、本当に心臓に悪いシーンが続いたが、ようやくヒデからのこの日ベストのパスを高原が落ち着いて決めて見せた。パスも凄いが決めた高原も凄い、という典型的なゴールで見事逆転。それにしても絵に書いたような美しいゴールだった。こういうシーンをもっと見たい。たくさん出れば日本も「強い」というイメージが出てくるだろう。
 ところで気になったのは今回の実況。うるさすぎだ。あんなに騒いではかえって興ざめで、「サッカーがわかっていない」と言われてても仕方がないだろう。やはりサッカーはNHKだろう。次回はNHKのアナウンサー、ということでホッとしている。



期待。

00.9.3

 前回から随分間が空いてしまったが、色々なことがあった。
 「三選手移籍問題」は、結局望月と平野が京都へ移籍、まずまずの働きを見せてはいる。しかし、J1残留にはかなり厳しい戦いが続いていることは確かで、彼らももっと死に物狂いになる必要があるだろう。まだ、できるはず、というのが現状だ。そしてしばらく行き先が定まらなかった大岩も、ようやく磐田に決まった。ここは優秀なDFが多いので、レギュラーになれるかは分からない。だからこそ磐田を選んだのだろうからこれまた必死になって欲しいところだ。
 3人のいなくなったグランパスは結局フロントの思惑通り(?)、快進撃を続けている。岡山が得意な夏、という季節もあるが怒濤の運動量を発揮、一頃の不調を忘れさせる働きを見せてくれている。思えばレギュラーで生え抜きはもはや彼くらいになってしまったし、地元ということもあるのでこのまま日本代表も目指して頑張って欲しい。そして新加入のストライカー、ウェズレイ。彼もヒットだ。あの当たり負けしない屈強な体つき、それでいて意外としなやかな身のこなし、そしてゴールへの強い意欲。他のストライカー、特に福田などには是非とも見習って欲しい存在だ。さらにはユーロ2000から戻ってきたピクシーが「一体どこにそんな体力があるのか」という獅子奮迅の活躍ぶり。何せ35歳、引退と言われているにも関わらず、である。しかもあまりキレない。大人の落ち着きを加えて円熟のテクニックを見せつける、もう「参りました」と言うほかはないものだ。このまま好調を維持して欲しい、と切に願う。
 そして五輪代表。「小野落選」には少々驚いたが、現在のコンディションを考えれば仕方がないだろう。それにトルシエは複数のポジションをこなすことの出来る選手を選んだ。ゲームメーカー専門家の小野は中田、中村の陰に隠れた形となってしまったのだ。また、ケガをする前の周りをアッと言わせるプレイが復活することを信じよう。
 9/2に行われたクウェート戦は、「いつでも点が取れそうだ」という出だしだったが、段々と嫌な予感が兆してくるようなゲーム展開となった。しかしそれは杞憂に終わり、後半は怒濤の得点ラッシュという、とりあえずは良い形で終わることが出来た。
 しかし、中田英をゲームメイクの位置に配した前半から、中村を真ん中にした後半の方が良かった、という事はちょっとばかり気になった。確かにゲームの2日前に来日したというクウェート選手達の疲れははっきりと見て取れた。点をやって当たり前、というくらいヨレヨレだったのだ。それにしても中田も疲れていたのだろう。得意の力強いドリブルや、正確なロングパスもあまり少なく、あれほどミスパスの多い中田もここ最近では珍しいくらいだった。結局は中村の、「サイドから中央に来られて幸せ」という態度がにじみ出るようなプレイで、次々と得点をおぜん立てしたことが目立つ結果となった。しかし、「中田不在」でもやれる、という手応えは掴んだことだろう。そこに好調さを取り戻した中田が加わって本番は鬼に金棒…となれば言うことはないねえ。



新たなる船出

00.7.8

 しかしまあ、これほど事件の起こるクラブもないね。
 もはやあきれてしまったが、グランパスの事件だ。大岩・望月・平野の3選手への「戦力外通告」。主力の3人を切る、ということには流石に驚かされた。まあ、確かに3人とも癖の強いタイプなのでどの監督も苦労するとは思う。現に田中前監督にしたって、何かあった、と聞く。「やはりあの清商トリオか」という気もする。
 それにしても、監督も大人げない。そう言えば鹿島を辞めたのもジョルジーニョとの確執と言われている。自分の意見を絶対曲げないタイプなのだろう。そして3人も言いたいことを言う性格が、まさに水と油だったのかもしれない。
 しかし、何と言っても今回の主犯はフロントにあることは間違いない。以前から契約の時など、言いたいことを言ってきた3人を、快く思っているわけはなかった。今回のことは渡りに船だ。資金もある程度持っている球団としては、彼らを放出して新たな選手を獲得すれば済むことだ、と考えたのだろう。どうやらこれまでの情報だと3人が元の鞘に収まることはなさそうだ。ある程度時間が経ったのでこれだけ冷静に書いてはいるが、どうにもやるせない事件ということだけは確かだ。
 そうした中での8日ヴェルディ戦。放送がBS(NHK)で良かったと思った。民放ならきっとまた大げさにそのことをあげつらい、煩くて試合に没頭できないだろうからだ。残りの選手達は頑張っていた。よく前からのプレスを実践していた。ピクシーは無念さを滲ませながら(彼は直接フロントに3人の慰留を求めていた)、普段に増して勝利への欲求が高いプレイを見せていた。岡山などはもう攻撃に守備に走り回り、どこにでも顔を出していた。望月や平野、そして自分の役目を全てこなそうとしていたのだ。一人三役だ。最後、衝突して負傷退場したのが心配だ。点こそ取れなかったものの、この日のゲームはまさに彼の頑張りに引っ張られていたことは確かだ。ヴェルディに比べると少々守備に不安を残したものの(新加入の平岡はまあまあだったと思うが、ホミルドは相変わらずプレイが雑)、引き分けで終わった。内容としては、どちらが勝つかわからない、チームとしてはヴェルディの方が上のような印象だったので、まあ良かったのではないか。
 もう嘆いても仕方がない。新生グランパスは動き出したのだ。3人が一刻も早く新天地で活躍することを願って止まない。


焦燥。

00.7.2

 もうサッカー協会には期待しないほうが良いのだろう。
 全く、彼らは何のために存在しているのか、さっぱり分からないのだ。そんな政治のような世界など、ここには必要はない。とにかく日本代表をサポートしてくれ。それだけが役目だ。
 こういった大根役者どもの茶番劇はともかく、セカンド・ステージが始まった。またしてもグランパスは2連敗、しかも磐田戦では1-5という大差で惨敗だ。これはボタンの掛け違いとか、一度狂った歯車は云々という使い古された表現をいくらでも使われてしまう、嫌な状態である。それにしても勝てない。選手達は何か難しい事をしようとしているのだろうか。守備の時は相手にとっておいしそうなスペースだらけ。対して攻撃の時はスペースもなく、作らず、ボールの出し所もなくただただ回すだけ。これで点が取れたらおめでたいことくらい素人でもわかることだ。そしてディフェンスラインからの押し上げもない。だから取られたとき何も出来ない。悪いほうへ、悪いほうへ流れは進んでいく。これでは勝てるわけが無い。
 誰がどう、ということでもないだろう。確かに望月は玉離れが悪く、平野は体調が悪い。岡山は無駄走りが多くて、ロペスは消えているし、中盤に下がってはミスをする。福田は気合いだけが空回り。とは言ってもこれらも全体の流れが悪くなって来て目立つことだ。結局望月と平野を外して臨んだ磐田戦も大敗してしまい、若手に自信を植え付けることも出来なかった。原あたりがもう少しかき回してくれると良いのだが…彼は中盤に置いた方が良いのかもしれない。途中から宮原が初出場した。彼なりには頑張っていたと思う。パスをしたら走る、という基本はやっていたし、シュートも果敢に打っていった。ただ、まだ遠慮がちなところがあり、もう少し高校時代のように出しゃばったプレーをしても良いのではないか。もっともウリダも同じタイプなのでバランスをとる必要はあっただろうが…今回の負けはバランサーの山口がいなかったことの方が望月や平野の不在より大きかったと言える。
 まあ、あれこれ書いたが、とにかく負けを恐れるあまり、消極的なプレーが目に付きすぎる。とにかく勝たないと、直らないのかなあ。


ゲームメーカーの存在

00.6.12

 グランパス、ファーストステージは12位。
 これをどう受け止めて良いのか。優勝候補、ということでこの順位はマスコミでも盛んに取り上げられた。勝負というのはほんのちょっとしたことが分かれ目となる。見事にそれが出てしまったわけだが、早く膿は落としてセカンドステージに臨んで欲しい。ピクシーが欧州選手権に出場したり、となかなか厳しい要素があるが、ウリダの復活はうれしい。ぐちゃぐちゃボールをこねくり回さずに、素早い攻撃をすればおのずと勝機は見えてくるはずだ。
 さて、最近の日本代表。ハッサン国王杯では久しぶりに期待を持たせるゲームをしてくれた。
 何と言っても得点。「得点力不足」という言葉を忘れさせるに十分な二試合6得点という結果は、トルシエ続投の良い後押しになったはずだ。調子の良いチームで活躍している選手がその通りの働きを代表チームでもする、ということは一見簡単に見えて難しい。好調セレッソの森島と西沢は見事期待通りの仕事をしたわけだ。こういうことが頻繁に起これば代表は強い。あとはコンスタントにその力を発揮できるかどうかだ。
 そういったことが試されるのが今回のキリンカップだ。この勢いをいかに持続させるか。特に、深夜の放送だったハッサン国王杯に比べ、今回はホームなので日曜の昼間の放送。これは良い試合を披露する必要があるのだ。
 しかし、スロバキア戦、結果は1-1のドロー。またしてももどかしさの残るゲームに終わってしまった。
 もちろん、時差ボケ(ホームにも関わらず)や連戦の疲れ、欧州組の不参加といった悪い要素はあった。今回はその克服もテーマの一つだったはずだ。しかし、選手の多くはやはり疲れを隠せなかった。良く頑張っていたのが俊輔、三浦(淳)というマリノスコンビだ。俊輔はまたしても芸術的なフリーキックを決めて見せ、三浦は左サイドで度々チャンスを演出するばかりか、守備でも貢献した。まあ、どのマスコミでも言っていることだし、誰が見ても分かることだからこれ以上は言わないが、逆に言えば他に見るべき部分が無かったことでもある。
 また、これも当然良く言われていることで俊輔の(中西との)交替。さすがにこれには驚いた。「誰がゲームメークするのか」。どうやらフィジカル的な理由のようだが、強行日程を組んだサッカー協会に対する当て擦りでもあるらしい。確かに選手もこの日程にはかなり不満を漏らしていたとの事だ。とは言え、さすがに俊輔のいないチームは面白みもなく、点も獲ることが出来ず終わった。何とか一点欲しかった自分(だけではないが)としては、この交替は戴けなかったが、もう少し俊輔以外のメンバーにも頑張って欲しかった。ガツガツ行って欲しかった。貪欲にゴールを狙って欲しかった。目立とうとして欲しかった。それが残念である。


茶番劇の結末は

00.5.14

 ま、というわけでトルシエの首は繋がった。とんだ茶番である。こんな馬鹿馬鹿しいことはない。サッカー協会もそうだが、当然天下の大新聞も、である。しかし、このことでマスコミがどういうものであるかが、少しは分かってもらえたかもしれない。自分もより一層それを感じた。
 協会については、多くをコメントする気にもなれない、もう笑うしかない、そんな気分である。これでトルシエにもしこりが残っただろうし、選手達もそうである。自分たちをバックアップするはずの存在たるサッカー協会がプレーの邪魔をするのだから。とにかく協会は選手のことを第一に考えてくれ。過去名選手だったか知らないが、訳の分からないプライドは捨てて、バックアップに努めてくれ。言いたいことはそれだけである。
 笑うしかない、というのは先日のグランパス対フロンターレ戦もそうである。名手・楢崎のまさかのキャッチミス。しかし、楢崎の今までの活躍を見ればそれを責めるのも酷な話だ。たった一つのミスも許されないのがキーパー、とは言え…。やはり2点目が取れないのがこういうところに来てしまうわけだ。さんざん攻撃しておいて、常に有利な状況を作っておいて、「1点」というのはあまりにも効率が悪いというものだ。いくらピクシーがいないからと言っても、これまでの決定力不足を考えれば大して変わらなかったように思える。どうしたら良いのかねえ…。フォワードを変えたり、外から呼んで解決できる問題でもないような気もするし。
 ところでフロンターレに前節からだが中西が出場しているのはうれしかった。今回はボランチとしてだった。髪の毛を丸め、気合いの入ったコーチングでチームを鼓舞する姿は、やはりこういうプレーヤーが必要であることを感じさせる。ただ、やはり元々上手い選手ではないのでミスもあったが、久しぶりの豊富な運動量と気合い溢れるチェイシングは見ていてすがすがしかった。今後も是非出場して欲しい。


確か五輪は今年のはずでは

00.4.28

 まあ、結果だけを見れば仕方が無いかもしれないが…
 御存知の通り、トルシエ監督は解任ということだ。A代表での実績がどうしても良くなかったのが痛いし、協会との不協和音が解消されることが無かったのも不利に傾いただろう。もう決まってしまったのならば、あれこれ言っても意味はないが、彼の果たした功績は計り知れないものがあることは異論は無いのではなかろうか。
 「フラット3」とか色々戦術面でのことが話題に上るが、それはあまり重要ではない。やはりトルシエの功績は選手の意識改革だと思うし、それが選手によってうまく行ったり行かなかったりで批判と称賛のネタともなった。改革に成功したのはまだ大人になりきれていないユース年代だったことはある意味当然だった。しかし、当初は反感を抱いていた選手達も、最近では理解するようになっていたのではないか。それだけに残念である。
 ユース世代をA代表に引き上げる、といったそれまでの監督ならば逡巡したであろう仕事(岡田監督も市川を候補にはしたが)を成し遂げた功績も大きい。例え稲本が優れた選手でも、トルシエでなければA代表にまでは現時点ではしなかったのではあるまいか。もはや推しも推されぬ代表のボランチに成長したのだ。
 まだまだ書ききれないほど彼の成し遂げたことは多いのだが、世の中結果が全てである。しかし、ワールドユース準優勝は胸を張れる実績である。次の仕事はすぐ見い出せるだろう。
 それにしても、しばらくは(新聞によるとベンゲルが来年就任するまでは)暫定監督になるようである。これでいいのか。選手達が気の毒でたまらない。
 
  …とここまで書いて、自宅の新聞以外は正式に「解任」と断定してはいないことに気が付いた。はてさて。真実はいかに?それにしても、もしこの解任報道がガセだとしたら、天下の大新聞の威信はどうなることなのやら。また、自分にしても一つの情報ソースから取り乱してここまでコラムを書いてしまったことに対して深く反省する次第だ。いつも「少ない情報からは勝手に判断しない」と自分に言い聞かせていたのに。「マスコミを盲信するな」と伝えていたつもりだったのに。いや、恥ずかしい。


泣き虫の変身

00.4.23

 何とか、持ち直し始めたかな…
 もはや1stステージの優勝は絶望的だが、先日のセレッソ戦では良い形になりつつあることが伺えた。まあ、チャンスが多過ぎたので3点も取れた、という言い方も出来るくらい、相変わらずの決定力不足も前半には見られたが。しかし、もう点を取るべき人間が取った、ということで次に大きく繋がるだろう。
 特にこのゲームで目立ったのは古賀だ。正直言って、彼のボランチ起用というのは疑問があった。大勢の人がそう思っていたのではないか。彼はフィジカル的には強いがボール扱いに難があるし、パス出しがヘタだ…しかし、果たして本当にそうだったのか。これまでは調子が出せなかっただけだったのではないか、とまで思うようになった。それ程このゲームでの古賀は光っていた。以前まで「ただちょっと前の方で守るだけ」だったのが、チャンスには積極的に前に出てピクシーと絡んだり、得点に繋がった効果的なサイドチェンジのロングパスを決めたり。凄いではないか。これまでに2点取っている、というのも大きいだろう。まさに今「自分の居場所を見つけた」といった趣さえある。思えば、ボランチあるいはボランチも出来る選手(浅野、喜名、伊藤卓)を移籍させてしまい、せっかくチームにフィットしたウリダをケガで欠く、という状況で普通なら大森(彼はボランチもDFも出来る)と古賀は逆にするところをあのような形にしたところに、カルロス監督の非凡な面を見た気がする。彼の素質を見抜いていたのだろう。持ち前のフィジカルを生かし、さらに弱点である「気の弱さ」を何とかすれば、きっと「化ける」はずだ、と…この調子ならば浅野以上の大型ボランチに成長しそうだし、また、現代サッカーに必要な「ディフェンダーの攻撃力」を身に付けて五輪代表のDFレギュラーも十分狙う位置に付けたと思う。鳴り物入りで入団してずっと伸び悩んでいたが、やっと才能が開花したか、という感じだ。ウリダが復活してきても譲らないつもりでいて欲しい。
 他チームで気になっているのはフロンターレ。苦しんでいるチーム状態はともかく、中西哲生が全く出場できないでいる。控えに一回入ったくらいだ。奥野(元鹿島)の加入で座を追われた形だが、何とか頑張って取り戻して欲しい。何せやはり彼こそがフロンターレのキャプテンだからだ。監督が替わらない限り無理かもしれないが、腐らずに出場を狙って欲しい。しかし、彼のような「熱い」プレーをする選手はなかなかいないので、こうしたチーム状態では必要だと思うが…グランパス時代のように途中交代のボランチでも良いから出してくれないものなんだろうか。まだ老け込む歳ではない。彼の姿を見たいのだ。


敗けて知るサッカーの奥深さかな。

00.4.1

 やはりチームというのは不思議な生き物のようだ。
 そうでなければ、優勝候補として何人もの解説者・評論家が推していたグランパスが4連敗するわけはないではないか。それまでの連勝街道がウソのような連敗ぶりである。
 もっとも、何となくそんな嫌な予感は頭の片隅に澱のように存在していたことも確かだ。「いつまでも勝ちまくるわけではないよ」と。あまりに勝ちまくったため、その間はイケイケであったものの、一回敗北を喫したりすると何かが狂ってくるのではないか。つまり、バブル時代に業績を伸ばしまくった企業が、バブルがはじけてからはあまりに急激に業績が悪化してしまうようなものだ。良い時代に現状把握をしっかりしていなかったのである。
 確かにサッカーチームをバブル企業に見立てるのはいささか無理があることは否めないが、それまでしばらく勝ち慣れなかったチームが監督が交替しただけで急激に連勝したのだから、納得しないでもっと「何故か?」とそれを考えるべきだったのである。そうすればよくなくなっても戻すことも可能なのではないか。
 カルロス監督が優秀な監督であることには異論を挟まないが、それで試合に勝てるのとはまた少し別のことである。「カルロスが監督になったから連勝できた」というのはマスコミが連発したセリフだが、あくまで連勝のほんの「一因」でしかない。4連敗は今更何を言っても動かす事は不可能な厳然たる事実なので、選手達はそれを取り返さなくてはならない。しかもどんどん怪我人や退場者で条件は悪くなっていく。ここがカルロス監督の本当の腕の見せ所だろう。
 そんな中アビスパ戦での新人・藤田の活躍は久しぶりの明るい話題だ。最初のボールタッチが良かったためか、恐いもの知らずな良い面が出た。しかし、結局一発退場を喰らって味噌をつけてしまったが、今後期待できることは確実で、層を厚くする意味でもこうした若い選手をどんどん起用していくべきではないか。思えば、期待されながら結局移籍したり、辞めて行った若手選手が何人いることか。まだ登場していない宮原、今年入団した原を早く見てみたいと思う。


チャイナ・シンドローム

00.3.16

 確かに「攻撃の形」はまあまあ出来ていたかな、とは思うが…
 この中国戦は親善試合と言いながら様々な意味合いを持っていた。まずはトルシエが進退問題に対して、ある程度の「結果」を出すことでそうした論調を黙らせる必要があったこと。そして中田と小野は並列して使えるのか?ということ。一度は小野を右サイドに置く、ということも試したが、どうやらうまく行かないことがわかった。素人目に見ても小野はサイドの選手ではない。いくらトルシエがゲームメーカータイプをサイドに置きたがるとしてもだ。最後にヨーロッパ帰国組がわずかな時間でチームにフィットするのか?ということだ。選手が海外に出ていくことはこれからも増えそうだ。サッカー大国なら当たり前のことが日本でも当然のように行われるわけである。「時間がなかった」というのは単なる言い訳に過ぎなくなる。
 果たしてゲームは、中田がやはり目立つことになった。もう言うことはない、という感じだ。城にしても得点こそなかったが、「流石スペインリーグ」と思わせるいい動きをしていた。もっとも、やはり得点はなかったのだが… とにかく、結果はスコアレス・ドロー。中国は完全にカウンター狙いだったが、随所に技術の高さを見せており、順調に行けばかなり強いチームになりそうな印象を受けた。
 この結果がトルシエの進退についてどういった影響を与えるのかはまだわからない。しかし、このゲームもまだ「練習」「攻撃のパターン作り」「中盤の実験」という域を出なかったように見えることも事実だ。少し遅いのではないか、という気もする。しかし、「何だか分からないけどとにかく勝ったー」という以前の親善試合に比べれば今の方が意味があって良いのではなかろうか。
 選手個人を見れば、中田は文句なし。まあさすがに疲れていたけど。名波も安定感が増した印象を受けた。しかしあくまで左足に拘ってるね。城は顔つきが変わった。やはり外へ出ると人間が変わる、というのは本当だな、という感じ。望月はどうも調子が悪かったのか、ミスが目立ったが、守備面では頑張っていた。もう少し中に入る動きが欲しかったが…グランパスでの様なでかい態度がもっと欲しい。稲本はこの位のレベルの相手なら1ボランチでほぼ完璧にできることを証明したと思う。小野はそれ程目立たなかったが、随所に光ったプレーを見せ、復活はもう少しだろう。松田は本当に成長している。以前の子供っぽい表情から随分大人になってきたのはプレースタイルも同様だ。
 
 さて話は変わってJリーグも開幕した。
 優勝候補の筆頭、グランパスは見事鹿島に敗北を喫してしまった。うーん。ゲームを見ていない(大体なんでテレビ中継が無いのだ)ので細かいことは分からないが、失点もセットプレーだけ。攻撃をさせてもらえなかったようだ。うーん。やはりプレッシャーもあるのかなあ。次、次。

再びトルシエについて

00.2.26

 またトルシエが解任か留任かの話題で持ち切りだ。
 自分としては「日本人で行くつもりならば絶対留任させるべき」と言う意見だが、例えばアルディレスやジョアン・カルロスという名前が出るならばちょっぴり心が動くのは確かだ。やはり成功を既に治めている人というのは圧倒的に信頼感がある。例えば岡田監督のように全く実績が無い人間の場合とは大きな違いがある。(という意味では岡田さんはよくやったといえるが)
 しかしやはりトルシエ・サッカーの完成型を見たいことも事実だ。これでまたブラジル型にでもなったら良くはないだろう。特に五輪世代以下はトルシエのやり方がかなり身に付いているわけでもあるし。大きなスパンで見た場合、トルシエは間違ってはいない。2002年にはかなり良いチームに仕上げているのではないか、という気にさせられるのだ。もうあと2年「しか」無いのである。ころころ監督を替えている場合なのか。
 ただ、やはりその過程でも結果が重要であることは間違いないことだ。もう少しA代表は結果を貪欲に求めることが必要だろう。勝ちを積み重ねることで得られることは数知れないからだ。大体ゴールがなかなか入らない、なんてことは監督と無関係なのだから。
 


凡戦だろうか

00.2.13

 だからA代表になると…
 などと言われないようにしたいものだがトルシエ氏、何故言われそうなことになってしまうのか。
 先日のメキシコ戦・香港戦は見ていないので何とも言えないのだが、A代表となると相変わらずの得点力不足。五輪代表のメンバーが多くラインナップされてはいるが、なかなかうまく噛みあわないようだ。一体その違いは何なのか…
 と、言うわけで今回のアジアカップ予選。格下相手とは言え、その消化不良の二戦をどう噛み砕いているか…に焦点は絞られる。
 結果は3-0で順当なものだろう。しかし、全てセットプレーとPKから。その練習にはなったが、流れの中から点は取れず終い。見ていてもイライラが募る、退屈なゲームとなった。
 確かにマレーシアはがっちりと守備を固め、そう簡単には点を取らせない、という意気込みが感じられた。キーパーもまあまあ良かった。しかし、それにしても、である。まだ攻撃については練習中にしても余りにもワンパターンだったし、だいいち小野が精彩を欠いていた。判断の早いダイレクトパスを得意とする彼がボールを持っては迷っていた。澤登ももう少し攻撃に絡んで欲しかった。
 ただし、中村俊輔の動きは目立った。左だけでなく、真ん中や右に流れては攻撃の起点を作る。時には、と言うよりかなり頻繁にシュートも打っていた。次回は是非真ん中に置いて試してみたいものだ。しかし、以前は左サイドに固定されるのを嫌った彼が、例え左サイドのポジションでも自由に動くことが出来るようになった、ということは素晴らしいことだ。他には稲本、中田浩二が今回は特に目に付いた。グランパス勢が今回誰も出なかったのは残念…


執念

00.1.17

 ようこそ、フロンターレ。
 「魂の叫び」とはフロンターレキャプテン、中西哲生のHPを元に編集されたスポーツ・ドキュメントだ。金子達仁氏が手がけている。以前書いたように中西は元グランパスで、「守備のスーパーサブ」としてベンゲル監督に重宝されていた。しかし、その後出場機会の減っていた彼は解雇、フロンターレへと行ったのだ。守備的MFからリベロへと、ポジションは変わったが(こちらが本職だが)相変わらず活躍していたので、うれしく思っていた。しかし、実際の彼はそこでメンタリティーを大きく変える経験を積んでいたことはこの本を読むまで知らなかった。
 何度もJ1昇格のチャンスをギリギリのところで逃す。毎試合の勝敗が大きくのし掛かるプレッシャー。何よりも「勝つ」ことに対する執念を教えられた、と中西は言う。「勝つことに対する執念」については本書に書いてあり、他でも金子氏がよく主張していることなので、ここでくどくど取り上げることはしないが、現在の日本人が(スポーツ選手だけでなく)忘れかけているものだ。
 この本には「我が意を得たり」という内容が詰め込まれているので紹介はこれくらいにしておく。是非一読をお進めしたい。タイトルも大変自分好みなのだが。中西哲生と言う男、風貌も濃いめでなかなか絵になるルックスだが、プレースタイルは不器用だがひた向きである。早くJ1でのゲームが見たいものだ。心配なのは、監督が替わっているのでゲームに出られるのだろうか、と言うことだ。特に同じタイプの奥野(アントラーズ)を獲得しているのも不安な要素。せっかく何度も挑戦してやっと掴んだJ1昇格。出られないのはつらい。実力でレギュラーをつかみ取って欲しい。
 


まずは優勝万歳!

2000/1/2

 格別の勝利の味。千両役者が最後は決める。トーレス有終の美。
 いやあこの天皇杯決勝、本当に年の初めからいいモノ見せてもらいました。正直言ってかなり厳しいゲームになると思っていた。グランパスが自分たちのプレーをさせてもらえないんじゃないか、そして広島の鋭いカウンターに…なんていやな考えばかりが頭をよぎったのだ。
 実際前半はかなり広島が押していた。予想外に広島は攻めの姿勢を見せていたこともあって、藤本が目立ちまくっていた。ただ相変わらず楢崎が絶好調なのと、グランパス最後のゲームとなるトーレスが気迫のこもったプレーを見せていたのでそれ程ひやりとする場面はなかった。
 そして後半。やはりジョアン・カルロス監督のハーフタイムでの指示は的確だ。早々と待望の先取点が入る。ピクシーの「ここしかない」というクロスにロペスが飛び込む。絵に描いたような得点シーンだ。勢いづいていつものグランパスの攻撃、パスが繋がりだす。
 二点目はもう圧巻。前回の準決勝と同じくキーパーをあざ笑うようなフェイントを何発も繰り出してのピクシーの「お金を出す価値のある」ゴール。凄すぎ。
 幸先の良いスタートを切ったグランパス。天皇杯優勝は二回目である。しかし、リーグ優勝はまだないわけで、これからが本番だ。この日大活躍だったトーレスはもういない。今後課題は山積しているが克服していって欲しい。監督は申し分ないのだから、行けるはずだ。


元日の楽しみ

99/12/28

 まずは、グランパス天皇杯決勝進出を喜びたい。
 思えば、もう4年前になるのだ。また相手は広島である。これもまた因縁だなあ。きっと広島は雪辱を誓っているに違いないので厳しい戦いになることは間違いない。しかも、今回の広島は特にカウンターに長けている。久保がいないことが救いかもしれないが、逆に彼がいなくてもここまで来れたわけだから恐ろしい。やはり藤本の存在が驚異だ。彼は好きな選手だが、今回だけは彼の阿波踊りは観たくないものである。とにかく、退屈な元旦の楽しみが出来たことはいいことだ。きっと良いゲームになるだろう。
 それにしてもトーレスが突然の移籍とは痛い。彼も年齢的にこれが最後のチャンスだと思ったのだろう。以前のバウドと同じことになってしまったが、とにかく新たな選手の獲得が急務かもしれないが、フロントには的外れな選手を獲らないことを祈りたい。
 ただ、これは「現有戦力の育成」の良いチャンスとしても捉えたい。「Jリーグ優勝」という命題を抱えた中でのことなので難しいかもしれないが、例えば古賀などはいい加減に一人前にならなければならない。素質的にはもう大化けしてもいい頃だ。ただし、それ以外にセンターバックの選手がいないのも問題だ。時々飯島などを使ったりしているくらいだし、DFも出来そうな浅野は解雇(東京ガスに移籍決定!良かった!)されてしまった。今年加入した長身FW冨永をコンバートしているらしいがこれも未知数。どちらにしても移籍などでセンターバックは獲得が必要だったはず。攻撃陣は申し分ないのだからもう少しDFを強くしたいところだ。恐らくトーレスの移籍が早く決まっていたら井原の獲得にも動いたかもしれない。まあ、これ以上こんなベテランだらけの高年棒チームにすることもないが…一時期噂のあった中西(市原)の話もまた浮上するかもしれない。だが、もっとマイナーでも良い選手はたくさんいるはず。アントラーズの奥野なんて良かったけどフロンターレに行ってしまったしなあ。とにかくレンタルで良いから獲得を切に望む。手っ取り早くヴェルディに貸している西ヶ谷を戻すのが良いかもしれないが…いるのか、彼は。どうしてしまったんだろう。
 そう言われてみると、グランパスから移籍やレンタルで活躍している選手がいないなあ。今年の伊藤卓は…?確かサンガだよね。河野…?中谷も期待されていたのにケガ…本当はこちらを悔しがらせるような活躍をして欲しいんだけど。
 「最近随分目立っているあいつ、あのチームにあんな奴いたっけ?」
 「ああ、前グランパスだってさ」
 「バカだねえ、出さなきゃ良いのに」
…なんて事を言われてみたいじゃないか。


明日の行方

99/12/12

 この時期恒例とも言えるが、選手の契約問題。
 不謹慎な話だろうが、妙にこういった選手の移籍、解雇という話題は気にしてしまう。雑誌も必ず何らかのページを設けている。そして、このインターネット時代、そうした情報は随分スピーディーにファンに伝わるようになった。
 それにしてもちょっと驚きだったのは井原である。いくら何でもまだやれるだろうに…と思う人は少なからずいると思うが、これが今の現実なのだろう。ただ、恐いのはあまりにも代表にしてもJにしてもチームを若返らすことに腐心していることだ。球団はベテランを「(年棒が)高い、(スピードが)遅い」という風にしか扱っていないのだろうか。
 ただ、「井原でさえ安泰ではない」というイメージを植え付けた部分もあることは否定できないことだ。マリノスは思いきったことをしたものだ。…本当に井原はもう力を失ってしまったのだろうか?確かに20代後半の安定感に比べると少し判断の遅れが目立つかな、という気はしていたが。それでもまだ井原は調子を取り戻して第二の黄金期を迎えることが出来ると思うので、新天地で頑張って欲しい。
 丁度木曜日にやっているテレビ番組でもその井原や武田について特集していたが、やはりこうした有名選手の去就云々はネタになるのだろう。本人のインタビューも多く、自分たちにも色々考えさせることの出来る、良い番組だった。
 グランパスからも球団創設メンバーの浅野が遂に解雇されてしまった。カルロス新監督からはかなり期待されていたのだが、肝心なときにケガをしてしまったのが本当に痛かった。もの凄く真面目にサッカーに取り組んでいた人で、静かな性格ながら闘志溢れるプレーで若手を引っ張っていた。特に印象的なのは弛れたゲームになっていたとき、浅野がミドルシュート一閃。ゴールを決めた彼は喜ぶどころか、かなり怒りに身を震わせながら何事か怒鳴ったのだ。それは、それまで不甲斐ないゲームをしていたチームメートや自分に向けられたものだったのだ。この人もあの闘志があるかぎり、まだまだやれる。
 そして小倉。ようやくと言うか、レンタル移籍が認められたようだ。これでいい。1ファンとして彼のプレーはどこでも良いから見たいのだ。それにしても何故彼は控えには入らなかったのだろうか?森山も広島で頑張っているし、出来ればよくテレビ中継をするチームに行って欲しいが、外国かもしれない。とにかく前園同様、年齢的には一番良い時期なので早く復活を、と願って止まない。


天国と地獄

99/11/27

 それにしても、Jリーグで最も人気のあるチームなのだよ。
 浦和レッズのJ2降格が決まってしまった。マスコミ的にはいいネタかもしれないが、ショックである。レッズは自分にとっても地元グランパスに次いで好きなチームだったし、サポーターの方々も大変良い方ばかりなので、知ったときはにわかには信じられない気持ちだったのだ。
 もちろん最近の状況はギリギリのものだったが、「それでもあのレッズが、そんなことはないだろう、最後は残るに決まっている」と頭のどこかでは思っていたに違いない。だからショックを受けてしまったのだ。選手・サポーターの皆さんの無念を思えば、私なんぞが感想を述べるのはおこがましいと分かっているのだが、どうしても残念に思えてならない。Jリーグ開幕当時、レッズとグランパスは共に「お荷物チーム」と呼ばれていた。しかしグランパスはベンゲルによって、レッズはオジェックによって変身を遂げたのだった。いわば同士のような、良きライバルだったのだ。どの位置に居ても順位争いをしていたような気がするのに。瑞穂でしばらく見られないのが寂しい。
 確かにこれでJ2は盛り上がるだろう。テレビ中継もBSはやるかもしれない。しかしやはり割り切れないものがある。
 気を取り直して我がグランパスは何と10連勝してしまった。そして2位。もうちょっと早くから勝っていれば…とは誰もが思うことだろうが、「たら、れば」は無しだ。それでもまだ優勝は出来ないチームのような気がするし。何せ大勝はあまりしなかったし、完封も少なかった。いつもギリギリ。かなり連携の悪い時間も多かった。ちょっとしたタイミングで負けていたかもしれないゲームがあった。天皇杯はころっと敗退してしまう可能性もある。気を引き締めてくれい。
 そして代表候補発表。カズの候補ではあるが復帰はやはりうれしい。まだ老け込む歳ではないはずだ。グランパスからも久々に平野が。最近調子が良いので頑張って欲しい。ああいった個性派は結構トルシエは好きなはずだ。しかしGKが10人とは…正GKを迷っているのか、力を見てみたいだけなのか…何せアントラーズから2人(高桑、曽ヶ端)だし。珍しいよね。お、大岩もいるではないか。なかなか厳しいだろうけど、チャンスはそんなに無いと思うので、しっかりアピールして欲しい。


阿波踊り

99/11/14

 やはり決まったとは言え、勝たないとね。
 アウェイでのタイ戦は最初こそミスなどで苦しんだが、また平瀬が点をとると勢いづいた。もう平瀬には脱帽だ。本番までこの調子が続くかどうかは分からないが、とにかく今No.1のFWである。結果を出しているのだから。そう言えば、ゴン中山だって決して上手くはないじゃないか。これからじっくり上手くなっていけばいい。
 後半は面白かった。久しぶりの市川、初出場の北嶋、と当然のようにトルシエは控えメンバーを試したのだ。市川はやはり右サイドでボールを持つとワクワクさせてくれる。エスパルスでもレギュラーを奪ったし(安藤はそれで移籍したしね)、五輪でもレギュラー争いは加熱しそうである。北嶋は何度も惜しいシーンがあったがモノに出来ず、加藤久氏に「Not his day」(…)と言われてしまった。逆にそれで目立ってはいたので今度チャンスがあれば絶対決めないと、第2の平瀬にはなれない(二人とも高校選手権の得点王だからね)。
 あとは藤本。彼は何故あの中で浮いているのだろう?いやプレーじゃなくて。分かった、彼は老けているのだ。とても22歳以下には見えないな、藤本主税。でもあのプレースタイルは個人的には大好きなので、是非頑張って欲しい。
 ところで話は変わってフロンターレ川崎、昇格おめでとう。本当は前回書くべきだったんだけど。主将の中西哲生は元グランパスで守りのスーパーサブとして人気のある選手だったのだ。全力でフィールドを駆け回って攻撃の芽を摘むプレースタイル、面白く明るい性格と、実は帰国子女で当時のベンゲル監督の指示を伝えるバイリンガル、という隠れた一面も持つ、グランパスには欠かせない存在だったのだ。そんな彼が戦力外、と伝えられたとき、誰もが悲しみ、地元の番組で特集が組まれるくらいだった。そんな彼がまたJ1に戻ってくる。グランパスとの対戦を楽しみにしているはずだ。ベテランになり、ポジションも運動量豊富なボランチからリベロへ変わったが、彼の熱いハートは変わりそうにない。「お帰りなさい」とあらためて言いたい。


中田のウィンク

99/11/6

 いやな予感とそれを振り払おうとする自分。まさに前半から後半の途中まではそんな展開だった。チャンスは作るものの点が取れない。そうこうしているうちに何と点を取られてしまう…このホームでのカザフスタン戦はやはり簡単にはオリンピックは行けないのか…という何とも言えない気分を醸し出し、国立を覆った。
 …とまあ、こんなことは結局大勝してシドニー行きは決定した今だから冷静に書けるんだけどね。本当に試合後に言っていたように「1点の重み」というやつが彼らを支配していたことが分かるゲームだった。とにかくいつでも点は取れる状態だった。はっきり言っていわゆる「カザフの時間」というものは存在しなかったのではないか。曽ヶ端は集中を切らさないようにすることが難しかったのではないか。それが前半1点取られてしまうのだからサッカーは恐ろしい。もし、このまま負けるようなことがあったら「これもサッカーです」などと言われていたに違いない。まあ、こんなことは結局…(以下略)。
 そんなわけで同点ゴールが決まった瞬間はテレビの前で思わずガッツポーズをしてしまった。トルシエほどの派手なやつではないが。そして逆転。それにしても平瀬は今一番波に乗っているFWとしか言い様がない。様々な欠点をモノともしない、長所を最大限に生かし切っている、と言う感じだ。こういうのを見ると、オールマイティ型のFWはただの器用貧乏に見えてくるから不思議だ。
 早めの選手交代も実を結んだ。久しぶりに登場した酒井は攻撃に守備に相変わらずの安定したプレイを見せてくれた。本山が登場して真ん中に入った中村はまさに水を得た魚。逆転ゴールのアシストは圧巻。そして入って当たり前のようなフリーキック。中田の笑顔が目立ったことも印象的だった。
 また、ゲーム後も興味深いシーンが多かった。まず中村の涙。あれはアナウンサー(フジの青●)もまさにマスコミの典型のような手法で泣かせてしまったのは腹が立ったが、「サイドのこととか…」と言って声を詰まらせた俊輔の心情を青●アナは知っているのかいないのか。
 前半から交代させられてしまった遠藤もインタヴューでかなり過激なことを言っていたが、心配なのはまた低級なマスコミが「トルシエ、選手との確執!」とか書きそうなことだ。遠藤の言ったこと(「今回は屈辱的だった…」)は正直なものである。それは今日のことをバネにしてリベンジを誓った、ということである。屈辱はピッチで晴らせばいいだけのことである。こういう風に「安泰な選手は誰もいない」と思わせることはもの凄く重要なことだ。むしろ心配なのは、2002年のボランチとして将来性豊かな遠藤をマスコミが潰すようなことがあっては…ということだ。
 トルシエもずいぶん興奮していたが、半分は我々を煽る計算があるのではないか。だとしたらこの人、かなりの策士である。と共にこれが監督として一番正しい態度(グローバル的に)ではなかろうか。
 屈辱的なのは遠藤だけではない、福田もまた点を取れずに交代であった。何か福田のツキは全て平瀬が吸い取っているような気さえしますな。まあ、今回(この予選)は運が悪かった、と言うしかないかな。
 何はともあれ、シドニー行きは決まった。後は本番での結果だ。楽しみである。


ホームでタイ撃破!

99/10/17

 硬いね、硬すぎる…一体何を慌てているんだ…ヒヤッとする場面こそ無かったものの、前半の試合運びは国立を埋め尽くしたサポーターも、テレビの前の皆さんもイライラの募る展開だったと思う。
 確かに、このチームは今までの代表とは違い、バックラインからロングボールという攻撃もかなり正確だ。しかしそれにしてもそれが多過ぎる。タイのディフェンスも頑張っており、FWの福田や高原がなかなかポストになれない。中盤もボールはキープしていたが、決定機が訪れない…それでも前半で点は取るだろう、そんなふうに思っていたのだが、事実いつでも取れそうだったのだが結局0で45分を終えた。中田英の不在のせいではないにしても、彼がいれば…とちらりと思わせるものは十分にあった。ドリブルでマークを引き連れて…といったプレーがほとんど見られなかったのだ。「全く、中田から何も学ばなかったのか!」と言いたくなるような前半だった。
 ところが平瀬を最初から投入した後半のいきなりの得点シーンである。やはりこのチームには何かあるな…と単純に信じてしまうようなものを感じずにはいられなかった。
 その平瀬は2得点1アシストの大活躍。トルシエ采配大当たり、というわけだ。平瀬個人もそうだが、このチームの切り替えの早さには恐れ入る。普通なら前半のイライラでお終い!となりそうなものなのに、本当にメンタルが強い。それがもの凄く頼もしく映る。失点に繋がるミスは戴けないものだったが、それ以外は文句の言いようの無い、安心して見ていられるゲームとなった。GKの曽ヶ端も積極的に前に出ていたし、稲本は完全に不調を脱したようだ。初出場のサンフレッチェ藤本〔自分もかなり好きな選手の一人〕も少ない時間ながらアピールできていた。解説の松木安太郎氏(BS)が必殺ギャグ(←1度特集したいくらいだね)を繰り出す余裕の展開になったのであった。
 ちょっと個人的に心配になったのは平瀬に取って代わられた福田。自分がグラファンなので特にそうなのかもしれないが、とにかく得点を取りたがっていた彼が前半一杯で替えられたのは非常に残念だ。それ程動きが悪かったわけではないだろうが、高原がどちらかというとオールラウンダーなので致し方ないところか。きっと次は…と負けず嫌いの彼のことだからリベンジ〔あ、流行り言葉使ってしまった〕を誓っているに違いない。これがプラスに転化すれば問題はない。選ばれなかった柳沢、吉原も含めてFW争いはますます熾烈になった。良いことである。


五輪代表最終予選・初戦!

99/10/9

 「受験生」とは良く言ったもんだ…この日のカザフ戦は少し硬いかな、と感じさせる内容だったにせよ、結果は2−0。快勝とは行かないまでも、いい勝利だったように思う。
 それにしてもあのピッチは日本選手にとってかなりやりづらかったのは確かだ。実況(衛星)が「四つ葉のクローバーまで生えてますからね」なんて事を言っていたが、成る程あれは草っ原と言ったほうが良いような芝だった。ボールは変なバウンドをするわ、転ぶわ、どたどた走らざるを得ないわ…皆苦労していたし、それに慣れているカザフの選手が俊足に見えたりした。
 そんな中でピッチをモノともしない日本選手…やはり中田だ。こう言った部分でも彼の非凡さと経験がモノを言った。1ゴール1アシスト。結果にも表れている。確かにいつもの「イタリア仕様」スルーパスは余り出なかったが、あの芝では当然だろう。後半のキーパーまで抜いて撃とうとしていたシュートは決めて欲しかったが…
 稲本・遠藤の両ボランチはまずまずだろう。遠藤はちょっとあの芝に戸惑った場面が見られ、自慢のミドルシュートももたついて撃てなかった場面があったが、動きは良かったと思う。稲本もボール奪取能力の高さを発揮、ただ取られるとすぐ手などを使ってしまいイエローをもらう場面もあった。彼はそうした傾向が前から見られるので特にカードには注意したい。恵まれた身体能力に頼るのも分からないではないが…
 中村があまり目立つことが出来なかったのが残念。やはり左サイドは向いていないのかな…中に入ってのパスなどはさすがなので、こういったサイドプレーヤーも面白いとは思うが。でもサイドは突破力が要るかな。うーん。雑誌「ナンバー」のインタヴューは必読。
 そしてフォワード。柳沢がいくら体調不良(本当であると信じたいが…)とは言え外されてしまう現状なので競争が激しいが、今回出場した4人(高原、平瀬、福田、小島)は目立つことなくゲームは終わった。中田のミドルやドリブルで切れ込む姿ばかりが攻撃で目立ってしまっていては「おいおい、お前らもっと頑張らないと」と思ってしまうことも確か。次に期待。
 ディフェンスは特に問題はなかったと思う。完封だし。ちょっとオフサイドがとれない時間があったがまあ大丈夫だろう。
 最後にトルシエ。今回の采配はタイミングなど全く問題なし。理に叶っていたと思う。とにかく反対派の多い彼なので勝ち続けるしかないのだ。もっともこれからも勝つだろうが。
 


9/27の韓日戦

99/9/30

 27日の韓日戦はまた日本の勝利に終わり、彼らの世代においては韓国に対する苦手意識と言ったようなものはあまり関係がないように思わされた。
 逆に韓国五輪チームはどうもぱっとしなかった。例えば韓国人Jリーガーの方々は皆強烈な個性を感じさせるが、あのチームはストライカー(李東国)以外は11番、19番が目立つくらい。まだこれからなのか解らないが、いくら強い日本五輪代表とは言え、韓国フル代表には全く歯が立たないような気がする。あの濃い軍団はやはり特別なのかな。特に今年のJリーグがファン・ソンホンやホン・ミョンボの活躍が目立ち、やっぱり彼らの迫力には日本人は素直に学ぶべき点が数多く見受けられる。
 この日のゲームに話を戻すと、トルシエがまたオプション・メニューを展開するのにうってつけの展開で、概ね満足だったのではないか。柳沢が退場にならなかったらもっと選手交代があったのかもしれないが。柳沢もそんなところではなくもっとプレー自体に鬼気迫るものを見せて欲しかったのに、残念だった。どうも最近彼はついていないし、それがプレーに現れてしまっているようだ。
 それに対して福田、平瀬は自分の特徴を出しており、良かったと思う。まだ平瀬には「どうなんだろう?」と言う不安がつきまとうが、結果は出してきている。これがどんどん彼を成長させているようだ。福田もストライカーらしい鋭い動きを見せ、激しさも出した(オフサイドへの抗議は余計だが)。途中交代で使ったほうがいいかもしれない。
 個人的には小笠原にもう少しやって欲しかった。まだ彼はわき役的なタイプなのかもしれないが、技術はあるのでもっともっと目立って欲しい。
 DFでは中沢のスピードや体に使い方のうまさに目が行った。もう彼で決まりかな。残念だな、古賀。もっとグランパスで頑張るように。


Jリーグも面白い

99/9/16

 あまりゲームを見ずにこんなことを書くのもなんだが、今Jリーグはもの凄く面白いのではないか。少し前まであった「どうしようもない凡戦」というものが非常に少なくなっている。これは当然のことながら「J2降格」という危機にみな必死で戦っているからだ。現に、今最下位のベルマーレにしたって、一戦一戦が重要なのはみな分かっていて、それが見るものに伝わる試合を毎回展開している。実施されるまでには賛否両論あった入れ替え制だが、今のところは成功と言ってよいのではないか。
 さて、一度は最下位にまでなったセカンドステージの我がグランパスだが、ようやく3連勝、ジョアン・カルロスを招いた効果が現れたようだ。もちろんまだ彼の戦術の効果というのではないかもしれないが。しかし「采配の妙」というのはさすが、という感じだ。ただ、何せグラ初めてのブラジル人監督、戦術が大幅に変わってしまうのでは?という懸念もあるにはある。
 しかしそれ程心配には及ばない、と個人的には思う。ピクシーはヨーロッパ人とはいえ、あのテクニックはブラジル人的である。スケールこそ小さいが、ウリダだって似たようなものだ。両サイドバック(小川、石川)にしたって、機を見て攻め上がるスタイルはブラジル的だ。中盤もこれまでのブラジル代表のポジションにうまくはまるキャラクターが確実に存在する。逆に今までブラジル・スタイルにしなかったのが不思議なくらいだ。ロペスだっているのだから。
 それにしても2年近くケガで出場できなかった小川の復活は素直にうれしい。しかも得点まで挙げるとは。やはり彼は攻守のバランスが良く、安心できる選手だ。グランパスが最初から強ければ代表にだって選ばれていてもおかしくない選手だと思っていた。去年活躍した中谷も頑張って、またレギュラー取りに必死になって欲しい。
 ただ、心配なのは小倉である。彼はブラジル人好みのテクニックを持ってはいるが、今のところピクシー、ロペス、福田に続く4番手という立場で、控えにも入れない。地元の彼が抜けるのはつらいが、やはり移籍を考えたほうが良いのかもしれない。彼のプレーをみたいのだ。あのワクワクさせてくれるようなプレーを。…とはいうもののやはり惜しい存在であることは確かだ。プレーだけでなく、彼にはリーダーシップを強く発揮できる選手である。絶対に将来のキャプテン候補であって欲しいのだ。そのあたり、自分の心情もかなり複雑である。
 そう言えば、森山の活躍もうれしい。広島でまずまずの活躍を見せ、同時に帰国したカズの陰に隠れてしまってはいるものの、彼らしい動きがゴール前で炸裂しており、もっと取り上げられてもいいのではないか、と思うほどだ。
 グランパスのことばかり書いてしまったが、とにかく今Jリーグはどれを見ても面白いはず。衛星放送が受信できて、家で暇な土曜日は是非Jリーグを見ることをお奨めしたい。


五輪代表とフル代表

99/9/12

 中田が加わった五輪代表。中田も名波もいないフル代表。何かやる前から興味の注がれ方が決まってしまうようなゲームになったが、果たしてそうした興味を裏切らない結果となってしまった。
 五輪代表は最初中田のパスに少し戸惑いを覚えていたようだったが、それを一生懸命追いかけるフォーワードの姿に、「これならそのうち合ってくるだろう」と期待させるものがあった。フル代表で比較的合っていたという城に比べても彼ら(平瀬、福田、小島)は足が速く、中田と相性が良くなるのではないか。
 しかしむしろ面白かったのは、後半になってくると、中田も使われるようなプレイが増えていたということだ。中田も一生懸命走っている。それはペルージャでの中田を彷彿とさせた。フル代表での中田のイメージはどちらかというと中央でまず一旦ボールをキープして…というものであったが、ここでの中田は楽しそうと言えるほど、動き回って、後輩達に混じってプレイしていた。最近プレイ中に笑みを見せることなどめったに無かった彼が、アシストした遠藤に笑いかけて肩を抱いた姿はいかに彼がこの仲間達とのプレイを楽しんでいたかが解る。何せ決して中田が「目立った」ゲームではなかったのだ。このチームはやはり本当にうまい。稲本が復調して、得意のタフなプレイを見せてくれたのがうれしい。個人的に期待している小笠原も途中からではあったが、パスにドリブルに非凡なものを見せていた。相変わらず酒井は安定感抜群。中村もサイドからのプレイに戸惑いが無くなり、平瀬へのパスは最高だった。…にしてもこのチームの中盤は本当に凄いね。
 
 実はフル代表のゲームは見られなかった(ビデオ予約も忘れた)ので、コメントのしようがないのだが、ゲームメーカータイプが澤登だけ、しかも途中交代出場とあっては一体どうやってゲームを作れというのか。奥、三浦(淳)といった選手はどちらかというと使われて真価を発揮するタイプで、伊東や福西にしてもいい選手だがゲームを作れるかというと、疑問がある。ケガで辞退した望月などがいればまだマシだったかもしれないが、大して変わらなかったような気もする。期待された柳沢もそれに合わせてかピリッとせず、盛り上がりに欠ける試合になったことは確かなようだ。
 要するに彼らは「さらし者」になってしまったのだ。五輪代表が前日だったこともあり、いっそうそれは強められた。この屈辱に耐え、あきらめずにアピールし続けられる者だけが代表に残るだろう。


トルシエについて
99/8/29

何かと話題を提供してくれるトルシエさん、彼については各マスコミにかなり激しい非難の論調で語られているが、果たして本当に彼は「NO」なのだろうか。
自分はどうかというと、けっして「NO」ではない。何かマスコミは彼に個人的な恨みでもあるかのように攻撃している(中田にも同じことが言える)が、あまりに感情的に過ぎるような気がするのだ。いつも噛みついていたセル★オ氏などはもはや親の仇状態である。ずっと彼の批判精神は好きだったのだが、今回のトルシエ批判はどうも戴けない。とにかく全否定。一体どうしたというのだろうか。
 さて、自分は何故トルシエを否定しないかというと、


1.日本人では絶対出来ない選手起用・育成。これは例えばボランチ専門と思われていた酒井(ジェフ)を右のMFにコンバートしたこと。運動量豊富な彼は、ピンチには4バックのように守備に戻り、攻撃の時は数多くのチャンスを演出した。本山についても少し違うが当てはまることだ。特にトルシエがいなければ本山などは腐っていき、いつの間にか引退していたはずだ。


2.強いメンタリティー
あの大げさなパフォーマンスでの練習や指導は選手に「勝つ意識」を強烈に植え付けるものだ。確かにユースと違ってフル代表は受け入れられなかったものだ。トルシエはもう少し日本のことを(ベンゲルの様に)勉強するべきではあるが、年長組であるフル代表の考え方は固まってしまっており、これじゃサラリーマンとなんら変わりはない。


3.選手に対する気遣い
これは意外に思われる方もいるとは思うが、伊東(輝)の様に褒めて伸ばす選手と、名波や稲本のように貶したり、メンバーから外したりしてそれをバネに伸ばさせる選手を分けている。上手いやり方だ。


と、いったように、彼のやり方にはどれもリスクが伴う。これくらいリスクを冒せる監督はまず日本人ではいないはずだ。確かに2002年までトルシエで行くのか?という問いには迷わせるものがあるが、現時点では最高の監督だと思う。