5.グレードアップ!(中級者編)

 ここではある程度オーディオを揃えている人に向けたグレードアップのお奨めである。30代以上の人、あるいはCD世代ではない人には良いのではなかろうか。


 1.テーブルタップ


  大抵のアンプにはサービスコンセントが付いており、そこにCDプレーヤーやデッキの電源を繋ぎ、連動させて使っていると思う。自分もついこの前までそうでした。
  ところが!実際にはこれは音にかなり良くないことが解った。確かに1本のコードでCDやデッキに分配しているわけで、効率が悪いのだ。
  そこでテーブルタップ。「初級者編」でも解説したように、OAタップも良いのだが、出来れば専用のものを使いたい。
  自分が使ったのはCSEというメーカーのP−22というタップで、定価は¥15000。ハードオフにて¥9500で手に入った。「たかがタップにそんな金をつぎ込むなんて???」と言うなかれ。確かに自分も使うまでは半信半疑、もしあまり変わらなかったら…と不安があった。
  ところが!そこから出てきた音は今までとはまるで違うものだったのだ!まさに驚天動地、たかがこんなタップでこれほどまでに…と言うほどの変わりようだったのだ。つまり電源とは実はもの凄く重要なものだったのである。
  何が違うのか?特に低音域での迫力が段違い。パワーだけでなく深みも加わり、アンプを換えた以上とも言える立体感だ。それが僅か¥9500。これは安いとしか言い様のないものだ。ある程度のシステムを持っている人ならば、是非購入することをお奨めします。アンプが泣いてますよ。
  最近電源周りのアクセサリーがかなり多く出ている。このCSEではP−22は最もロープライスゾーンに位置するもので、¥39800というものもある。実は立派なオーディオ機器の一つなのだ。アンプを換えようか?と思っている人もその前にいかがだろうか。本当の実力を出すはず。  

 ごちゃごちゃしていて分かりにくいが、これが感動のテーブルタップ。今はCDプレーヤーの後ろに置いてあり、あまりよい場所とは思えないので、下に置いてみるつもり。でも片づけないと。




  2.ケーブル類


  ここではスピーカーケーブルと、アンプとCDを接続するピンケーブルについて述べたい。
  まずスピーカーケーブルはそれなりのものを選びたい。¥800/mから¥2000/mまでが適合範囲だろう。逆にそれ以上高いものを選ぶ必要はそれ程ないと思う。この中でお奨めは日立「MTSX-212」で、¥1000/m(定価)だ。音の泡立ちが違うし、余計なキャラクターもない。外観はピンク色をしているので好みが分かれるが、中身はいい。線材の太さもそれ程ではないので扱いやすいこともお奨めの理由だ。逆に低音がもっと欲しい、という方にはベルデン「スタジオ727」が最適。厚みが出てくる。値段は¥1800/m(定価)。ただしこれはかなり線材が太い(多い)ので扱いが難しい。買ってから「しまった、スピーカーの端子に入らない!」なんて事の無いように。「たかだかケーブルにそんなに遣うのはどうもなあ…」とか「アンプとスピーカーが離れているので長くしないといけない、よってメートル当たりは安くしたい」という方はオーディオテクニカから¥1000/m以下で買えるケーブルは何種類も出ている。普通の電気屋でも大きいところでは売っているので買いやすいだろう。
  さてピンケーブルはこれもまた百花繚乱で値段も千差万別なのだが、経験上はスピーカーケーブルに比べるとそれ程大きく変わらないので、あまり高いものに手を出す必要はないだろう。しかし、ホームセンターで売っているようなレベルではさすがに心許ない。やはりオーディオテクニカから出ているものがラインナップが豊富だ。¥3000/m以上のものにはしたい。自分の使っているのは¥8000/mのやつで、なかなか気に入っているが、¥5000とどれくらい違うか?と問われればかなり微妙なものだ。まあ、その微妙なところを変えたくなるのがオーディオファンなんだけど。




  3.スピーカー


  やはりハードのグレードアップはスピーカーからだ。
  選び方は雑誌などの媒体を参考にすることと、店頭で実際に見て確かめることは当然のことながら重要だ。もちろん試聴もするのだろうが、これが結構曲者。何せ自宅とは全く条件が違うのだから。大抵の店のレイアウトはスピーカーが所狭しとぎっしり並べられている状態だ。これではまず本当の実力は発揮できない。また、それを動かすアンプやプレーヤーも違うのだからまるで参考にならないのだ。家でセッティングして「あれ、全然違う!」というのは良くあること。まあ、とにかく音は鳴るな、位に考えておいた方が良かろう。
  それよりも大切なのは大きさや予算であることは言うまでもない。あと、国産か海外製品か。現在市場に出回っているスピーカーは「小型の海外製品」が主流だ。三菱がダイヤトーンのスピーカーの生産をやめてしまったこともあり、最近どうも国産スピーカーは元気がない。それにどこか画一的な国産品よりもデザインも音も個性的な海外製品の方が、以前に比べて安価になってきたこともあり、面白いことは確かだ。
  メーカーならではの個性が強いのが海外製の特徴だ。代表的なメーカーを挙げてみる。


  JBL ⇒⇒ アメリカの代表的なメーカーで日本でも特になじみ深い。音は完全にジャズ・ポップス向けの明るく前に飛び出すような感じで音楽を楽しむにはうってつけ。まさにアメリカン・サウンドと言った趣だ。特にドラムのアタック音などにはハッとさせられる。クラシックなどは向かない。
  タンノイ ⇒⇒ こちらはヨーロッパ代表。JBLとは逆にクラシック向けのきれいで厚みのある音を出す。弦楽器の美しさにしばし、時を忘れる。ただ、最近はオールマイティにこなす小型機も豊富だ。
  ボーズ ⇒⇒ こちらも日本でおなじみ。よく天井に設置されているスピーカーに「BOZE」のロゴを見かけることも多いと思う。小型だが小気味よい音が特徴。独自の理論を取り入れており、やや伝統的とも言えるスピーカー業界の中ではハイテク指向が窺える。

  

  
さてお奨めは、と言われると色々ありすぎるし、人によって好みも違うので言いづらい。それに全て試聴をしたわけではない。やはり予算、と言わざるを得まい。
  特に小型に絞って国内外のスピーカーを紹介してみよう。

ケンウッド LS-SG7 ¥21000pair
タンノイ mercury m2 ¥38000pair
デンオン SC-E515M ¥33000pair
ALR/JORDAN エントリーS ¥54000pair
タンノイ revolution R1 ¥55000pair
B&W DM601S2 ¥56000pair


  
上記に挙げた機種は幅が13cm〜20cmなので扱いやすいと思う。



  4.電源ケーブル


  「ケーブル類」の項でも述べたが、ケーブルが音に与える影響は計り知れない。最近特に「流行っている」のが「電源周り」であることも前に少し触れた。以前は高級機、外国生産機によく見られた電源ケーブル着脱式という方法が、10万円以下の普及機でも見られるようになったのだ。そうしたこともあって、「電源で音が変わる」事が次第に明らかになったわけである。ここでは順番が少し狂ってしまったが、その電源ケーブルについて述べたい。
  何故狂ったかというと、最近やっと電源ケーブルを換えることが出来たからだ。前から色々考えていたのだが、結局キャメロット・テクノロジー(米)の「パワーマスター500」というケーブルを購入したのだ。以前のテーブルタップに続いて電源周りなわけだが、これまた一般常識人や昔のオーディオファンさえ「何に一体金を使っているのだ」と言うことにもなるだろう。しかしこのケーブルも十何万するものも存在する、大変注目されているジャンルなのだ。
  しかしテーブルタップですっかり味を占めてしまった私にはそんな声は馬耳東風。何度でも言うが下手にアンプやCDプレーヤーを買い替えるより良いはずなのである。
  そしてアンプの純正ケーブルを外して新たにキャメロットを接続。UAの新作「Turbo」をターンテーブルに乗せる。そして…


  

 これがキャメロット。黄色いプラグがいかにもアメリカって感じだ。

  ふむふむ、きれいな音になったな。また一枚ベールを剥がしたようだ。一体何枚あるのやらベールって奴は。テーブルタップで出たコクを少し食べやすく、まろやかにしたような…ただ、タップの時ほどの驚きはなかった。やはりあれはアンプから電源を取ることがいかに良くないかということだろう。ただ、明らかに音は違う。特にジャズなどのアコースティックなものにはもの凄く真価を発揮した。音の泡立ちが違うのだ。中低音から中音にかけて、リアリティが増したのだ。スネアドラムがいいのだ。JBLで聴くことの出来る、あの「ドラム缶を放り投げたような」音が聴けるのだ。この辺はさすが同じアメリカ製か。それにしても何をやってもとにかく音は変わるね。



  5.インシュレーター類


  十円玉だってスピーカーの下に敷けば良くなる。とにかくオーディオ機器は安定させることが第一。アナログプレーヤーの時代には当然だった。和室だったりしたらもう大変。何せ「どっこいしょ」と立ち上がっただけで針がとんだのだ。振動対策は必須だったのだ。これもCDの出現であまり気にしなくなったのも事実だ。
  今は振動対策、と言うより「チューニング」と言ったほうが正しいだろう。「味付け」と言ってしまっても良いかもしれない。とにかく自分の好みの音に試行錯誤しながら近づけていくのである。そこにはある種、求道者っぽいものが…
  ま、それはともかく、電源ケーブルの交換で音は良くなったものの、逆に「アクの強さ」みたいなものが減退したように感じたので何とかしようと思ったのだ。エージングされるのを待とうかとも思ったが、気の短い私、手っ取り早くローコストで手に入る、オーディオテクニカ「メタル・スピーカー・ベース」をハードオフにて手に入れた。
  こうしたインシュレーターの類いは主に「硬い」のと「柔らかい」ものに分けられる。当然「メタル」なので今回は硬いモノである。一般的に「硬い」タイプは響きを良くしたり、大人しい音を少し派手目にもって行く、と言う時に使われる。さてこれをD-105の下に三点支持(前に2つ、後ろに1つという三角形をかたどる)にしてセット。効果のほどは…
  いや、これも大成功と言っていいだろう。弦楽器(…と言っても私の場合ギターくらいか)に艶やかさが加わり、明るく、音が散乱するような感じになった。これでかなり好みの音になった。もしかしたら丁度ケーブルがエージングされたのかも…とも思ったりもするが、まあいいでしょう。
  逆に音をもっとゆったりと落ち着いた感じにしたい、と思ったらゴム系の柔らかいものを敷けばいいわけだ。見た目通りな訳である。