3.My Audio History




★小学6年の時、ラジカセ(モノラル)を買ってもらう。これでAMラジオからエアチェックなどしたものだ。よくやるようにテレビの前において「静かにして!」と言う自分の声が思いっきり入っていたりした。まだ流行りの歌謡曲を聴いていた。


★公立高校に合格したらコンポを買う約束を取り付け(これもまたよくある話)、勉強もそこそこに当時のミニコンのパンフレットなどを眺めていた。FMを聴くようになるが何せモノラル。


★晴れて県立高校に合格、約束通りミニコンを買ってもらう。アイワのミニコンポである。20万位しただろうか。考えてみるとかなりの出費なわけだ。ただミニとは言え、単品としても売っているものではあった。


★高校ではオーディオに詳しい友人、先輩などもおり、色々アドバイスをもらう。「FMレコパル」という雑誌を買っていたので、情報もそれなりに得ていた。レコードも小遣い少ない(月3000円)くせに、毎月のように買っていた。どうやってやり繰りしていたのか。確かに100円もなしに学校へ行っていたような気がする。ジュースも買えないから水ばかり飲んでいたような記憶が。


★最初のグレードアップはスピーカーケーブルだ(渋い!)。確かテクニカの当時出たばかりのPCOCCのものだったような…いや、違うな。それは二度目だな。おそらく300円/M位のものだろう。今まで聴いてきた音はザラザラしていたことが解った。


★そして遂にハード面でもグレードアップを。スピーカーである。今でも名機とされるヤマハのNS-10M!これはちょうどそれまで使っていたスピーカーとほとんど同じ寸法であった。おそらくアイワの方が意識していたのかもしれない。とにかくあの黒い精悍なボディと白いウーファーコーンはカッコ良かった。音はスピーカーコードの交換で感じたことをさらに強烈にした感じだった。ウーファーも同サイズでありながら締まった、パンチ力のあるものだった。これが一番使用年数が長いだろう。
 余ったスピーカーを使ってレコパルに載っていたスピーカー・マトリックスをやってみた。なかなかいいサラウンド感が味わえた。


★それから1年後。CDプレーヤーの値段が段々下がってきて、ヤマハのCD-X3(¥49800)が登場した時点でこれに決めた。感動したなあ、あの時は。ミニコンのレコードプレーヤーではどうしても物足りない部分があったが、CDは安くてもそこそこの音(当時の自分からするともの凄くいい音)が出るのだ。考えてみると、このCDの登場がオーディオを変えたわけだ。「気軽にいい音」を楽しむことが出来るようになり、「CDラジカセ」なるものも登場するようになり、さらにMDの出現で決定的なものになる。
 まあ、それはともかくこのCDプレーヤーの登場は自分にとっては逆にオーディオへの興味をさらに深いものにしていったのは間違いない。



 
★大学へ進学後、最初のグレードアップはアンプであった。当時、ローコストアンプでは評価の高かった、パイオニアAー616(¥64800)に決定。ボリュームノブから延びるシャフトの太さが上から見え、それがカッコ良かった。音は格段のレベルアップを果たし、表現力が上がり、コクと艶が出てきた。ミニコンのアンプはテレビの方へ持って行き、ビデオとつなぎ、そして古いスピーカーとともに簡易AVとして使う。しかし、さすがにミニコン用アンプ、ボリュームにガタが来てつまみを動かすとノイズが出てきた。そのうち音が出にくくなって来るという老化を迎える。

 
★その1年後、カセットデッキとCDプレーヤーを購入。CD-X3は結局3年使用。つまりフルサイズのコンポへ一気に移行しようと思ったのだ。デッキはアイワのXK-007に決めていたが、CDの方がかなり迷った。当時普及価格帯(6万前後)では機種は多かったが、決め手が無かったように思う。店に行って店員に相談、その店員はしきりにオンキョーの製品(¥59800)を勧め、それに負けて購入。思えば彼は販売応援に来ていたオンキョーの社員だったのだろうか。型番は忘れてしまったが、トレイが頑丈にできており、機能はかなり豊富、どちらかというとハイ上がりの音だった。デッキは現在まで使用。昔ほど使ってはいないが。



★社会人となり、当時の上司がかなりのオーディオ通。アパートに行くといきなり真っ黒に塗られた長岡式のスピーカー(D-7?)がドーンとあったのだ。その影響もあってスワンaを制作。その頃ちょうどスーパースワンが登場したころで、当然そちらに興味はあったのだが、FE108スーパーが入手できず、やむなくFE108Σでスワンaということになったのだ。ゴールデンウィークに会社の広い場所を使って二人で作ったのだった。
 ベージュ色に塗られたスワンを当時乗っていたカローラFXに無理矢理乗せて帰り、ワクワクしながらつないで鳴らす。…びっくり。その音は凄すぎた。音の生々しさが違った。低音の爆発するような迫力が違った。周りの空間に広がる雰囲気が違った。もう感動の嵐だった。びっくりしながらそれまで持っていたCD取っ換え引っ換えしながら感動を味わったのであった。これが僅か10Cm口径から出る音なのか…自分の手で作っただけに感動も倍になるというものであった。



 
★その後、その上司からアンプ(ソニーTA-F222ESJ)を譲り受ける。定価は¥49800なのでグレードダウンかとも思ったが、当時かなり人気があったのと、長岡先生お墨付き、スワンを鳴らすのはぴったりと云う触れ込みで使うことに。音はA-616に比べるとはるかにロック向き、元気の良い音で生き生きとスワンを鳴らした。まあ、ソースによって一長一短ではあった。しかしこれも昨年まで使用。


★またまた今度はCDプレーヤー、テクニクスSL-P1200を譲り受ける。これは低音に力があり、アンプの個性とうまくマッチしていたように思う。また、ジョグダイヤルが付いており、あまり遊ばなかったが、ちょっとしたスクラッチなども出来た。


★2年ほど前、アナログプレーヤーを会社の先輩から譲り受ける。デンオンDP-70Mという20年前のもので、最初は「やっぱり駄目かな…」と云う感じだったが、カートリッジ(テクニカAT-15Ea)を替えてからはなかなかいい音を出すようになって一安心。まだまだ現役であった。ところでカートリッジを買いに行ったとき、初老の店員の方に「DJをやっている人?」と言われ、少しうれしかったりした。


★ほぼ同じころ、上司からチューナー(ソニーST-S222ESA)を譲り受ける。しかしこうしてみると新品をほとんど買っていないな。カートリッジくらいか。それまではミニコンのチューナーをずっと使っていたのだ。どうせFMの音なんか同じだろうと思っていたが、そんなことはなく、「まだラジオも捨てたものじゃないな」という音になった。


★そうして散々御世話になった上司が転勤。最後にまたCDプレーヤー、ヤマハのCDX-10000という超名機を受け取る。真剣に「いいのかな?」と思った。御自慢のプレーヤーだったからだ。二階に持って行く時、腰が砕けそうになるほど重い(確かに引っ越しには向かないな)そのプレーヤーは、さすが87年製とは言え、繊細かつ緻密な音を出した。味付けはないが、ソースを選ばないプレーヤーだと思う。


★そうして現在のアンプ、オンキョーA-929に至る。やはり定価にして3倍以上だけのことはあった。全体的に音が豊かになった感じ。元気一辺倒だった音が落ち着きと色気を伴ってきたとも言える。残念だったのはスピーカーが一つしか繋げなかったこと。デスクトップ用スピーカーを繋げていたので、どうしてもスピーカー端子は2つ欲しかったのだ。アンプを買った中古屋(ハイファイ堂)に相談したところ、スピーカーセレクターを勧められる。ラックスのAS-5(3)(←本当は「3」はローマ数字ですが、多分ウィンドウズだと文字化けするので)というやつを購入。これで4つまで繋げる。ただ、接点が増えるのは本当は良くないんだろうけど。
 ちなみにデスクトップ・スピーカーはハードオフ(ブックオフの電器屋版)で買ったタンノイのCPA-5。タンノイのイメージと違ってずいぶん粗っぽい音だ。買ったばかりの頃は特にガシャガシャだった。エージングでだいぶ良くなったものの、ハイ上がりで低音不足。サイズから仕方がないかなとも思うが。今度自作で何か小型のものも作ってみたい。



 
★それまでスピーカーケーブルはベルデンの727を使っていたが、モンスターケーブルのZ1Rに替えてみた。すると高音が伸び、それまでトーンコントロールのミッドバスを少し落としていたのがフラットでちょうど良くなる、と言ったような違いを感じた。727は低音の迫力はいいが、高音だら下がり、と言った趣だったが、Z1Rはバランスよく、つややかな感じになった。


★そしてD-105に至る。FE88ESは本当にいいユニットだ。これでFE108FESが出ようものなら買ってしまうのではないかと今から恐ろしい。そしてそれでスーパースワンESを…ああ、どこへ置くのだろうか。