産・婦人科医の健康アドバイス (平池秀和)
6.子宮頸がん・体がん検診
20歳になったら各自治体から無料子宮頸がん検診の券が送られてきます。
その後も何年か毎に同様の無料券が送られてきますが、
他のがんと異なり、何故それほどまでして無料券が送られてくるのかを考えたことはありますか?
その理由は他のがんと異なり、検診さえ受けていれば非常に早期から、更に、前がん状態から、
症状が全くない段階から発見可能な唯一の「がん」だからです。
その反面、症状がでてから子宮頸がんと判明した場合は、かなり進行していることがあります。
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< 子宮頸がん検診では、上記の膣腔の奥にある外子宮口に小さなブラシを当てて細胞を擦り取り、
それを検査して異常な細胞が有るか無いかを調べます。
1〜2日間は褐色の帯下(おりもの)があることもありますが、痛みはありません。
この様な簡単な検査で早期の子宮頸がんや更に前がん状態まで、
なぜ診断できるのかと不思議に思われますが、
その理由は、子宮頸がんの多くが扁平上皮細胞という種類のがんだからです。
胃がんとか乳がんは腺細胞という種類のがんで、検査ではがん細胞が発生した部位から
直接採取しなければ診断できません。
しかし、子宮頸がんではがん細胞の発生した部位が奥に隠れていても、
扁平上皮のガンなのでボロボロと落ちてきて外へでてきます。
そのために、この様な簡単な検査で、
正常か悪性か更に将来悪性になるかも知れないという状態まで診断できます。
しかし、子宮頸がんの内でも稀に腺細胞から発生した腺がんもあるので、注意が必要です。
下図は子宮頸がんとその原因とされるHPV(ヒトパピローマウィルス)感染との関係、
それと細胞診での結果による分類です
子宮体がん
子宮体がんは、子宮頸がんより奥に発生し、細胞の種類が異なり腺がんなので、
やはり前述のように、扁平上皮がんがほとんどの子宮頸がんほど初期では簡単に診断できません。
閉経後の性器出血とか、月経時以外での出血があれば詳しく調べますが、
初期では1度の検査では明確に診断できないこともあります。
疑わしい場合には、隠れている子宮体がん(腺ガン細胞)を見つけるために、
子宮内膜組織全体を掻爬・吸引して詳しく調べます。
しかし、子宮体がんは初期に見つかり、適切な治療を受ければ完治します。
無症状で子宮体がんを疑わせるのは、むしろ経膣超音波による子宮内膜の厚さなので、
卵巣が腫れていないかどうかを調べた時に、子宮内膜の厚さも調べます。
子宮頸がんも体がんも初期に発見できれば、完治できる疾患ですから、
初期に見つけることができた場合には、むしろラッキーであったと思ってください。