第一回
BISCAYA(ビスカヤ)
スウェーデンのバンド。現在は存在しない。キーボードが大活躍するレインボー系様式美バンド。もちろん、ギターも活躍してる。本国でのアルバム・リリース
の半年後の1984年夏に日本でリリースされたデビュー・アルバム「BISCAYA」は、当時、美しきバラード「サマー・ラブ」で脚光を浴びた。1曲目の
「HOWL IN THE
SKY」はクラシックの要素も折り込んだスピード・ナンバーで、まさに様式美の王道とも言うべき曲だ。私の好きなナンバーである。他の曲もバラエティに富
んでいて、飽きのこない一枚である。当時はレコードしかなかった時代だ。その後、しばらくはCDで再発されることもなく、そのレコードは中古屋でもチョッ
としたプレミア物であった。
ところが1996年になってCD化されて、私を喜ばせた。BMGビクターさん、有難う!しかも、このCDにはボーナス・トラックがあり、
「BISCAYA」発売後に当時リリースされたミニ・アルバムの4曲が入っている。この4曲についてはポップな方向への転換が感じられるが、ファンとして
は嬉しい限りである。このバンドはいつの間にか解散してしまい、ガッカリしたが、メンバーのうち、名前がシーンに登場した人もいる。
キーボードのマグナス・ストロエムバーグは後にマディソンのキーボードを担当した。マディソンもスウェーデンのバンドで、ボーカルは後にイングヴェイのと
こで歌ったヨラン・エドマン(当時はゲラン・エドマンとして紹介された)である。ギターのパー・エドワードソンはなんかのスウェーデンのメタル・バンドの
プロデュースをしていたので、音楽業界には留まっているのであろう。活躍を期待したい。
フルレンス・アルバムは「BISCAYA」の一枚だけで、解散してしまったのは名残り惜しい。
第二回(これは度々更新中であり
ます。)
SILVER MOUNTAIN(シルヴァー・マウンテン)
スウェーデンのバンド。今は存在しないが、再結成プロジェクトとして1999年末か2000年初頭にはニュー・アルバムが出る予定であった。とはいえ、
2001年になった今、結局リリースされていない。中心人物であったヨナス・ハンソンがボーカル、ギター、アレンジに凝ってるからか...。ともかく次の
作品を期待したい。
1980年に結成されたSILVER
MOUNTAIN(シルヴァー・マウンテン)は、ミニ・アルバムをリリースした後、1984年に「Shakin'
Brains」というフルレンス・アルバムをリリースし、たちまち、日本で脚光を浴びた。そのサウンドはテクニカルなキーボードとギターをフューチャーし
たクラシックの影響もあるハード・ロック・バンドで、レインボーの影響もあるようだ。何故だか暖かいサウンドでもある。壮絶なピアノ・ソロのある曲もある
し、「1789」や「ALWAYS」も最高である。
当時の某雑誌のレコード・レビューで「これで音質さえ良ければ、すぐにレインボーなんか追い抜いちゃうよ!」と絶賛であった。当時は、ギター兼ボーカ
ル:ヨナス・ハンソン、キーボード:ヤンス・ヨハンソン、ドラム:アンダース・ヨハンソン、ベース:パー・スタディンというラインナップだった。その後、
ヨハンソン兄弟はイングヴェイ・マルムスティーンのバンドに加入したため、1985年には、新メンバーを迎え、アルバム「UNIVERSE」をリリースす
る。キーボードはゲストとしてエリック・ニールセンが参加。しかし、クラシカルで技巧派のキーボード・サウンドは消えうせ、その分、ギターが活躍してい
る。もともとヨナス・ハンソンのバンドであるのだ。クラシカルなサウンド自体は健在で、音質も格段に良くなった。ボーカル専任としてクリスター・メン
ツァーも加入した。そして、その10月にはジャパン・ヘヴィ・メタル・フェステバルのゲストとして、日本に来日し、ライブ・アルバム「HIBIYA〜
LIVE IN JAPAN
'85」を1986年にリリースした。この時は、キーボード奏者としてマッツ・オラウソンが来日した。マッツは今はイングヴェイのバンドにいる。あの頃は
金髪であったが、今は黒髪である。このライブ自体は決して良い出来とは言えなかったが、当時、スウェーデンではヘヴィ・メタル・バンドに対してライヴをす
る環境を与えていない(というより社会的な認知がされていない)ので、あまりライヴ経験が無かったための惨劇であった。アルバムのギター・パートは実は若
干手直しされている。私の手元に友人が録音したテープがあるが、違いは明らか。しかし、最後までファンと握手していたヨナスの姿は印象的でした。
その後、メンバーも替わり、解散したと思われていた矢先、1988年に「ROSES&CHAMPAGNE」で再登場した。オリジナル・
メンバーはヨナスとパーだけで、キーボードは前作に参加したエリックだが、他のメンバーは知られていない人達であった。このアルバムは、クラシカルな要素
は残しつつも、ポップな傾向にあるサウンドで、ヨナスいわく「この手のポップなサウンドはやったことがないんで、一度やりたかった」そうだ。ポップ色が強
いとはいっても、やはり彼等の特有のクラシカルなサウンドは健在で、このアルバムも好きである。
そして、スウェーデンでの活動に限界を感じたヨナスは、SILVER
MOUNTAINを解散させ、単身アメリカに渡り、スタジオでバイトをしながら、カムバックの機会を狙い、ヨナス・ハンソン・バンド名義で3枚、ソロ名義
で1枚、プロデュースとギターを引き受けたレガシー名義で1枚のアルバムを出した。1999年、6月にはヨナス・ハンソン・バンド名義「ROCKS」、ソ
ロ名義「CLASSICA」で各1枚出したのである。ソロはクラシックからの影響が色濃いインスト作品で、ヨナス・ハンソン・バンドは、よりアメリカンに
近くなったハード・ロック・アルバムだ。もちろん、SILVER
MOUNTAINの面影も若干だが残している。ソロは相変わらずで、速さと叙情さを持っている。涙物である。
とはいえ、「ROCKS」を聴きこんだ今、ボーカルのメロディラインは強烈に進歩したヨナスを伺えるし、ギターこそヘヴィだが、往年のSILVER
MOUNTAINが正常進化した姿かも?という認識を持っている。ただし、キーボードが味付け程度で多少入ってるだけなので、SILVER
MOUNTAINとは違うんだろうな。
ヨハンソン兄弟はイングヴェイのとこを離れた後も、精力的にアルバムをリリースしている。メタルであったり、ジャズであったり・・・。ヤンスはストラト
ヴァリウスやマスターマインドにも参加している。
「UNIVERSE」で歌ってたクリスター・メンツァーは、自らのバンド(クリスター・メンツァー・グループ)でアルバムをリリースしたが、その後、名
前は聴かない。良いボーカリストだったが...。
パー・スタディンは1993年にSNAKE CHARMER「SMOKE AND
MIRRORS」をリリース。ボーカルにはピート・サンドベリ、ドラムスには、アンダース・ヨハンソンがいた。美しき北欧メタルであり、BEATLESの
「Eleanor Rigby」をドラマチックにアレンジしカヴァーしている。
余談だが、SILVER
MOUNTAINは再結成アルバムを制作中である。パーマネントなモノではないが、ヨハンソン兄弟のパートは録音済みで、後はヨナス・ハンソンのパート及
びリミックスである。当初、99年末か年始には発表となるハズであったが、どうなったのであろう?これは前に述べた通りである。ヨナスのHPをチェックす
ると、NEW SILVER MOUNTAINとして載っていた。っていうか、早くリリースしてよって感じだ。それとも私のチェック不足であろうか?
第三回
PHENOMENA(フェノメナ)
これはバンドではなくトム・ギャレー(メルの弟)、メル・ギャレー(元WHITESNAKE)から始まったプロジェクトである。1985年に発売された
「PHENOMENA」は、メルの他に、グレン・ヒューズ、コージー・パウエル、テッド・マッケンナ、ジョン・トーマス、ニール・マーレー、リチャード・
ベイリー、ドン・エイリーが参加。
トムが創作したストーリーをロック・オペラに仕上げたもので、そのサウンドは、大仰でドラマチックでオペラチックで、物悲しく叙情的で、重厚なキーボー
ド・オリエンテッドなロックである。未だに、この作品を私は聴いている。全ての曲が最高である。「STILL THE
NIGHT」はWHITESNAKEのデヴィッド・カヴァーデイルが「STILL OF THE
NIGHT」を書く時にインスピレーションを受けたという。なお、「STILL THE
NIGHT」は後にジョン・ノーラムが自分のソロ・アルバムでもよりヘヴィなアレンジでカヴァーした。ボーカルは同じくグレン・ヒューズである。
1987年には2枚目の「DREAM RUNNER/PHENOMENA
2」が発売。前作よりもロック寄りのサウンドになった。グレン・ヒューズ、メル・ギャレー、ジョン・トーマス、ニール・マーレーの他に、レイ・ギラン、
マックス・ベーコン、ジョン・ウェットン、スコット・ゴーハム、山本恭司、新美俊宏、マイケル・スタージス、レイフ・ヨハンセンが新しく参加。
1993年になると、「INNER VISION/PHENOMENA
3」を発売。参加ミュージシャンは1作目から比べると大きく変わったが、キース・マレル、スコット・ゴーハム、ブライアン・メイ、マーヴィン・オライア
ン・スペンス、マイケル・スタージス、レイフ・ヨハンセンとなった。サウンドは変容し、ポップでメロディアスな旋律を重厚なキーボードでやさしく包んでは
いるが、グルーヴ感、躍動感が強調され、1作目の大好きな私にしてみれば、拍子抜けしたものだった。マイケル・スタージス、レイフ・ヨハンセンはAH-
HAのメンバーであり、マイケル・スタージスは翌年、新生ASIAのメンバーとなった。
もともと3部作構成とされていたので、このプロジェクトは、ここで終了するはずだった。しかし、私の記憶が正しければ、ベスト盤に新曲を加えたCDが近
年になって出てたような気がする。これからも続くのであろうか?
余談だが、1995年にマーヴィン・オライアン・スペンスが出したソロ・アルバム「Initiate/O'ryan」は、ほとんどの楽曲が
PHENOMENAの曲であった。アレンジは大きく変えており、PHENOMENAファンにしてみれば、非常に面白い作品である。ロック、AOR、ハウス
の要素が入っている。
PHENOMENAのお勧め作品は1作目の「PHENOMENA」に間違いない。BURRN!では90点をマークしていた。
第四回
WARLORD
すでに解散しているアメリカのメタル・バンド。アルバム自体はフルレンス・アルバムはスタジオ録音が一枚、ライヴ(スタジオ・ライヴ?)が一枚、シング
ルもある。
アメリカには珍しいドラマティックな大陸的なヘヴィ・メタルを奏でている。そこにハマった。メンバーの名前はモロ芸名で「サンダー」とか「センチネル」
とかいた。
解散後は、別のバンドに加入した人もいるが、サウンドはWARLORDのモノではない。やはり、WARLORDはWARLORDだけだ。オジーの
「Diary of a madman」に少し似た曲もあるが、僕はパクったわけではなく、インスピレーションであろうと思っている。
ボーカルはメロディアス、ギターはヘヴィで、ソロはメロディアス、ドラムは派手、キーボードは味付け程度だが、雰囲気を盛り上げている。
私の大学時代は、よくウォークマンで聴いていたものだ。