ブラックホークは3着だった。あまりにも予想通りの結末だった。ため息が出た。 普通に乗れば、恐らく2着か3着。エアジハードのみならず、他の末脚きれる馬達にも 差されてしまうであろうことは想像の範囲内だった。
もし、今回百に一つでも勝つ可能性があるとすれば、それはブラックホークが エアジハードよりも後ろで競馬ができた場合だけであろうと思っていた。 しかも、馬体を合わせずに、外から一瞬で抜き去る事ができた時だけだろうと思っていた。 前で競馬をすれば、標的にされるばかりでなく最後に脚がなくなることは、 惜敗続きのレースの中で嫌というほど見せつけられてきた。
だから、私の夢はスタートと同時にほぼ終わってしまった。 ブラックホークにいてほしかった位置には蛯名騎手操るエアジハードがいた。
しかし、私がため息をついた理由はもう一つある。ブラックホークは復帰後 2度も元の鞍上に負けているのだ。しかも完全に「相手はこの馬ただ一頭」という レースをされて・・・。
関屋記念では、元の鞍上でブラックホークの調教をつけた後藤騎手に差され、 マイルCSではスワンSを勝たせてくれた蛯名騎手に差される。 復帰後のブラックホークはいろいろなことがかみ合っていない。 関屋記念を勝てていたら、賞金のことを気にせずにその後のレースを 見据えた騎手の起用ができたのではないか。後藤騎手が調教をつけていなかったら、 京王杯AHで抜群のスタートを決めなければ・・・。 あのダービー卿CTから、彼の運命は少しずつ狂いはじめていたのかもしれない。
掛け違えたボタンを元に戻すには時間が必要だ。ゆっくりと少しずつでも。
次走となるスプリンターズSで1番人気に支持されるのは今回の鞍上武豊騎手。
もう、2度と同じ間違いを繰り返してはならない。
98年の京王杯SCでなぜかロイヤルブルーの勝負服を着ていた男があの馬の鞍上に 帰ってくれば、何かが変わりそうな気がするのだが。(そもそも京王杯SCで、あの男がロイヤルブルーの勝負服を着ていたのが ブラックホークを断ってのものでないと祈っている。まぁ、そういうことは 一ファンの私の知る知る由もないしね。)