「あの頃と同じで・・・」

1999年スプリンターズS〜3


馬服を着て〜ブラックホーク(1999/12/19atスプリンターズS)  スタートは良すぎず、かからず気負わず行ければ・・・。 レースははじまった。逃げたのはトキオパーフェクト。その後ろくらいをアグネスワールドが 余裕たっぷりに追走する。ブラックホークは私が考えていたよりも前にいた。 1200メートル戦でもこんなに前に行けるのかと私は驚いた。 トキオパーフェクトは早くも息切れのようだ。4コーナー手前でピンクの帽子のマイネルラヴがアグネスに馬体を合わせていく。 外枠が災いしたのだろうか、かかってしまっているようだった。この2頭のファンだったら、 頭を抱える展開だ。ブラックホークはその少し後ろを上がってきた。 が、直線に入るとブラックホークの伸びが思ったほどよくない。

 マイネルラヴを競り落としたアグネスが抜け出した。 このまま終わってしまうのだろうか。

「そんなの嫌だ!」

私の強い気持ちに反応するように、ブラックホークは加速する。
でも、このままじゃ届かない。もうだめだ、最悪だ・・・。何で勝てないんだよ・・・。

 私は頭を抱えてうつむきしゃがみこんだ。ゴールの瞬間は見たくなかった。 しばらくの間があって、隣にいた友人が「ノリちゃんがガッツポーズしてるよ」と 私の肩を叩いた。
「え・・・?それってエビショー状態じゃないよね?」 私はまだ疑っていた。だって50メートル手前までは絶対届きそうになかった。 人もざわついている。みんな確信が持てないんだ。
リプレイが流れる。ゴール10メートル手前でさらに加速するブラックホーク。 そしてゴールの瞬間、体制はブラックホーク有利になっていた。 わりとあっさり着順の出る掲示板。

 1999年下半期のご褒美を私は受取った。大好きな馬がやっとGIを勝つ瞬間を 私はうつむいて見逃してしまった。大馬鹿な私。  それでも、本当に嬉しかった。優勝後も馬服を邪魔そうに落ち着きなく動いている ブラックホークを見ていたら、じーんときた。「おめでとう、ブラックホーク。」 その言葉を何度も何度も心の中で繰り返した。

 夢を叶えてくれたのはやっぱりノリちゃんだった。私がしてほしいと願っていたレースをしてくれた。 そしてブラックホークにGIをプレゼントしてくれた。ありがとう、ノリちゃん大好き。


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