1998年の夏、私達が白老Fで逢うことのできたダイナフェアリーの98に名前がつきました。 「ベレロフォン」(Bellerophon)。ギリシア神話に登場するペガサスに乗って 怪物を倒した英雄の名前からとったのだそうです。
調教は順調に進み、夏の札幌でデビューの予定だと聞いていました。 それも、ちょうど(!?)私達が北海道に出かけている週に・・・。 一緒に旅行する人達の協力を得て、私達は札幌競馬場で応援をする予定をたてました。
ダイナフェアリーの仔の中でも、当歳時に逢うことのできた馬がデビューするかもしれない。 考えただけでもドキドキします。特にフェアリーの仔を応援している私を含めた3人が 集まって、横断幕の製作がはじまりました。どんなメッセージを書きたいか。デザインをどうするか。あれやこれやとメールでやりとりを しました。寝不足、土日の仕事、背中の痛み、そういったものが気にならないくらい 私にとっては楽しく夢のある作業でした。強行日程にも関わらず、製作も順調に進み、 ハトメをつける以外は半日で完成。
あとはその日を待つだけとなってから、悪いニュースが届きました。 脚元を痛めてしまったようなのです。しかも日を追って届くニュースは一層深刻さを 増していきました。重症のようです。「打ちのめされる」という表現がぴったりな感覚・・・。
この先、彼がデビューをすることができるのか、今はわかりません。 どちらにしてもこの怪我が、これからの彼の競走馬生活に大きな陰を落とす事は間違いないでしょう。「1頭の馬が無事に育ってデビューする。」
そのことの難しさを改めて感じさせる出来事でした。 無事に出走するのは当たり前のことではない、という大切なことをうっかり 見落としてしまうところでした。 何もできない私は、祈りつつ待つ日々です。