骨折から約半年、スギノハヤカゼが復帰するという噂を聞きました。 目標はもちろん高松宮記念。その叩き台として京王杯SCに出走するというのです。
シルクロードSに出走しなかったので、春はやはり間に合わないのかと がっかりしていたところに飛び込んできた朗報でした。 京王杯SCから高松宮記念は連闘となり、決して楽なローテーションではありませんが、 「連闘」はハヤカゼくんの得意技(!?)です。過去に97年の京王杯SCから高松宮杯、 同年のマイルCSからCBC賞の連闘経験があり、2度とも2走目の方が着順を上げています。 つまり"勝負気配の連闘"なのです。
ハヤカゼくんも今年で7歳になりました。今年が最後のチャンスかもしれません。 得意の中京コースをパンパンの良馬場で走るところがみたい。 状態さえ良ければ、きっと結果はついてくる。考えただけで嬉しくなってしまいました。
「帰ってくるハヤカゼくんに私ができることは何だろう?」
考えた結果は月並みですが「あなたが帰ってくるのを待っていたよ。」という気持ちを伝えること、 つまり横断幕を用意することだったのです。
横断幕を作ることそれ自体はさほど苦にもなりませんでした。お手伝いも含めてこれで4回目 ということで気持ちにも余裕がありました。ただデザインにはかなり迷いました。 勝負服を参考にしようと思ったのですが、色使いが"エア"の勝負服に似ていて 困ってしまいました。悩んだ挙げ句、それでも色は勝負服からとりました。 手順はローゼンカバリーの時とほぼ同じです。そしてできあがりの図はこちらです。
日程にも余裕があったので、レースの1週間前には作り上げることができました。 しわにならないように部屋の中に干して、毎日、レースの当日を楽しみにしていました。 ところが、金曜日のスポーツ新聞の出走馬名表欄に、ハヤカゼくんの名前がありません。 「どういうことなの?」と慌てて夕刊を買ってみたり、午前2時くらいまでいろいろなHPを うろうろとしたのですが、わかりませんでした。
翌日の昼頃、友人からの電話で「無理をせずに高松宮記念に直行する」ということがわかりました。 とりあえず、安堵のため息がこぼれました。来週が本番なのだから、と自分に言い聞かせましたが 「あぁ、競走馬が復帰できるかどうかなんて当日までわからないんだ」ということを 嫌と言う程思い知らされました。「あまり期待せずにじっくり待とう」と決めた私の元に、約1週間後に届いた ニュースは「脚の筋を痛め、放牧に出される」という悲しいものでした。 私は使われることのなかった横断幕をたたみました。
それでも、私は待ち続けます。待つことのつらさよりも、今は待ちたいと思える何かがいることの幸せの方が ずっと大きいからです。