TRK1280(パディスコ1280)でございます。
画像はでかいサイズのままで置いてあるのでアップで見たいかたは画像をクリックしてみるとよろし 。

このラジカセは「かつひと君」が持っていました。松下のMAC-ffが大ヒット商品になったことを横目で見ながら日立が満を持して発売したのがコイツです。当時日立はテレビ部門ではキドカラー(希土類の元素が名前の由来だと思う)なる商標をもって「ポンパ」戦略を繰り広げていたと思います。ポンっとスイッチを入れるとパッとすぐ画面がつく、といういかにも反応の良い語感のキャッチコピーでございます。高級テレビには超音波リモコンが付いていたと思います。周波数の違う超音波を4つ出せる機械式リモコンで電源(切入)・音量(大小)を操作できたと記憶しております。で、このラジカセも右上のポケットに入ったワイヤレスマイクが青いボタンをポンっと押すとパッと飛び出してくるので、ラジカセ界のポンパだなぁ、と小学生当時思っていたのでございます。
ちょっとアングルを変えて斜め上から見たところです。フィルムダイヤルが使われております。当時、ソニーのスカイセンサーシリーズのフィルムダイヤルがカッコイイと少年達の間で評判だったのを敏感にリサーチした結果、日立が出した結論だったのでしょう。
スピーカー部分が凸状に飛び出しているデザイン。筐体はキッチリしていて好感がもてる造りです。
これがワイヤレスマイクです。松下のものは平べったいカタチなのですが、日立のは上から見ると正方形に近い直方体です。
松下はロッドアンテナを採用しましたが、日立はリード線のアンテナを採用。しっぽのようにつけて使いました。パディスコを持っている子は必ずこのリード線の短いワイヤーアンテナをなくしてしまっているはずです。ぜぜぜ・絶対なくすに決まってる(そんなに力まなくてもいいのですが)。
コンデンサーマイクロフォン、という文字が誇らし気で泣けてきます。
上の写真のオレンジ色の部分は「ワイヤレス・インジケーター」で、ワイヤレスマイクのスイッチのオン・オフでテープ走行を制御するというもの。スタンダード(マランツ)のラジカセでも同様の機能がついたものがあります。ラジカセの内部でカチッとリレーの小気味よい音が鳴ります。今冷静に考えてみるとそんなに使いでのある機能ではないと思うのですが、当時は子供心にスゲーなぁ、欲しいナァと思ってカタログを穴のあくほど毎日ながめていたものでした。
左横の外部端子群のなかに(見づらいですが右端の金属がちょっとのぞいている丸い穴)「専用外部タイマー」を接続するための端子がついています。松下のワールドボーイシリーズにもついているアレです。ゼンマイ式の。持っている人はかなり少ないと思います。見たこともないです。


見にくいですが、下の写真でハガレそうになっているシールに何と書いてあるかといいますと
「FF・REWの際は、カセットテープが巻き終わったとき、STOPボタンを必ず押し、動作を止めてください。」
とあります。フルオートストップ機構が付いていなかったため、早送りや巻き戻ししたままモータが空回りしているうちに電池がなくなってしまったり機械部分に無理な負荷や意外な摩耗が生じたりして問題になったのかもしれません。
一時停止(ポーズ)ボタンは機械式ではなく電気的にモータを止めるだけという安直な方法を採用しています。松下のMACffもそうでしたが。スイッチの入切で「モウォーン」と牛さんのような鳴き声を出します。しかもポーズボタン入の間もピンチローラはキャプスタンに接しているわけですから長時間ポーズオンしておくと機械的ダメージがかなりでかかったと思われます。ソニーの場合はほとんどメカニカルポーズだったのですがネ。それにしてもなんで1280なんていう中途半端な型番なのでしょうね。手元に資料がないのでわかりませんがTRK1200という機種の改良型だったのでしょうかネ?

ちなみに裏側に、3IC・12TRANSISTOR、とあります。

当時出ていたBCLラジオ「パディスコ3000」と並べてみました。バッチリ、クリソツであります。かなり共用部品多かったみたい。で、3000のアクセサリーポケットに1280のワイヤレスマイクを入れてみようとしたのですが、サイズが合わなくて入りませんでした。何故かちょっと悲しかったです。