BCL255でございます。
画像はでかいサイズのままで置いてあるのでアップで見たいかたは画像をクリックしてみるとよろし。
もしかして当時のBCLラジカセのなかでも、設計者がいちばん頑張った機種かもしれません。美しい。カッチョイイ。音がいい。
私は20数年、この機種に逢えずに過ごしてきました。カタログで一目惚れ、電気店のショーウインドウの中に置かれているのを見たことはありますが、実際に触れられることはありませんでした。
そして、先日、やっと手に入れることができました。荒野の少年イサムがお父さんとやっとの思いで逢えたような感動です。おー、川崎のぼるっ。
一見、ソニーのデザインにかなり影響を受けているような感じを受けますが、当時のソニーのラジカセのデザインがもはや究極の美でしたから、「美」を探求すると似てくるのかもしれません。アイワはラジカセの父。メンツにかけても負けられないのです。
スライド式のバリオームが中央あたりに並んでいると、LLラジカセ?と思っちゃうのですが、これはBASS・TREBLE独立のトーンコントロールです。カセットホルダーの下にツイータがついています。このツイータ、かなりの高音が出てます。今聴いてもいい音です。。
テープ操作系ボタンの感触はソニーの1980と東芝アクタスシリーズを足して2で割ったような感触です。フニュッガチャッです。メカニカルポーズボタンの感触は最高です。ああ、何度でも押していたい位。
スリープスイッチが、右上にプッシュボタンとして独立してついています。おそらく当時アイワのサービスセンターには「ラジオが鳴らないんだけど」という問い合わせが結構来てただろうなぁ、と思います。スリープスイッチのオンオフに関するインジケーターは何もなく、しかもプッシュスイッチの場所が、けっこう間違って押してしまいそうな位置にあり、また地味な黒色のスイッチなんですもの。スリープスイッチがオンになってますよ、と知らせるインジケータをつけるか、あるいは一般的な「テープ・ラジオ・スリープ」切替スイッチ方式のほうが間違いにくかったんじゃないかなぁと思います。
それにしても、特筆すべきはこのラジカセが短波帯を3バンド持っているということです。SW1が1.6MHzから4.5MHz、SW2が4.5MHzから12MHz、SW3が12MHzから28MHz。ピッチ可変のBFOもついています。十分SSBも復調できますぞ。
惜しむらくは、ツマミやボタン類がプラスチック成形のみでそのあとの化粧が全く施されていないため、少々安っぽい感じに仕上がっているということです。機能的にかなりコストがかかってそれどころじゃなかったのだと思いますが、本当に残念。チューニングノブとBFOピッチツマミだけが金属化粧を施されています。テープ操作系ボタンとボリュームツマミも化粧して欲しかったなあ。
テープ・ラジオの切替スイッチ(モードセレクター)も、ちょっと安っぽいです。そういえばメーターも小さいのを使ってます。設計者と部品づくりの現場とがかなり予算配分に苦労した跡が見え隠れしているようで、想像力をかきたてられます。
でも、でも、私はこのラジカセ、大好きです。BCL少年達の夢を具現化してくれた、最高峰に位置する、アイワの名に恥じない素晴らしいラジカセだと思いますよ。
ツイータレベルを高めに設定しているような気がします。かなりメリハリのある高音が出ます。
フィルムダイヤル部の造形も美しいです。このラジカセのメインは短波だぞ、という主張が、短波帯の文字のみの黄色の印刷に現れています。
チューニングノブの下に見たことのあるようなツマミが・・・・。そうです。スカイセンサー5800で採用されたギア比を2段階に変えられるスロー・ファスト切替ツマミです。ファストだとフィルムの端から端まで3.6回転なのに対して、スローだと22回転。5倍から6倍ほどのギア比の差をつけています。そのためスローでは近接した放送局でもかなり楽に選局が可能となっています。いやな戻りもありませんし、思っていたよりもかなりきちんと作られています。ここもコストかかっているんでしょうね。ほんとありがとうアイワの技術者さん。
贅沢な高音・低音独立のトーンコントロール。
メーターの左横に「オートリプレイ」と書かれたかなり重めのスイッチがついています。あいにく私の持っている255ではベルトが切れていてカセット部は不動のためこれが何なのかは不明です。テープが終了すると巻き戻ししてまた再生になるオートリピート再生のことでしょうか。
問題のスリープスイッチ(笑)。もっと派手な色にしてくれるだけでもよかったのに。
左側面の中波のビートキャンセラーは3段になっています。普通は2段です。地味にこんなところまで気を使っています。この機種は、設計担当と部品担当がよっぽどケンカしながら作ったんだろうなぁ、と思います。逆に言えば、それほどにまで開発担当者達の意気込みを感じるラジカセなのです。
背面に、FM用と短波用の外部アンテナ端子がちゃんとついています。頭が下がりますね。担当者の方とぜひ一緒に飲みたいです。単1電池5本、7.5ボルト稼働となっています。電池フタの指あて部分もちゃんと指のカーブにそった形にプラスチック成形されていて、このラジカセの設計者の人柄がしのばれます。アイワ魂ここにあり、です。
sensonicさんから、以下のメールをいただきました。
3度もヘッド交換をして使っていたsensonicさん、感動しちゃいました。良いオーナーに使われていた255も幸せだったでしょうね。
お探しのモデルがみつかるといいですね(・∀・)。
本当にこういうメールは嬉しくてたまりません。本当にありがとうございます。
私は大阪のsensonicといいます。このラジカセは特に懐かしいですね。
AIWAのTPR-255(通称BCL-255)を発売直後(たしか1976年)に購入し、1994年8月まで使用していました。中学生になり初めて買ってもらったラジカセでした。BCLなんて全く知らずにとにかく見た目のカッコ良さに一目ぼれでした。買ってから取説を読んでBCLの世界に嵌まったのもこいつのおかげでした。
使っていての弱点や問題などもありましたが、最後は親父の工場でラジオとして動いていました。
●欠点●
● ワウが比較的出やすい。
● アジマスがずれやすい。
● ハードパーマロイヘッドが磨耗し易い。買ってからメカが高額修理になる(1983年までで3回交換)
● 電池の消耗が激しい。(でもあの当時2800mWの大出力は他に無かった)
● テープオートリターンを使用するとテープが伸びる。 
● ポーズからの立ち上がりが遅い。しかもワウになる場合がある。
○長所○
○ ラジオの感度が良かった。ラジカセのレベルではなかった。友人のクーガやICF-5800と遜色なかった。
○ 音が良かった。短波帯を長時間ワッチしても雑音が少なかった。

他にもいろいろ思い出しました。
ヘッドを交換に電気屋に出すのをやめて住所を手がかりにアイワのサービスセンターまで直接持ち込み修理に行ったこと。その後ショールーム兼用になっているのに味を占めて夏休み中毎日製品を触りまくっていたこと。(受付のお姉さんは修理報告書の和文タイプを打つのが本業らしいとわかったこと)。そこでシンセサイザー音楽に嵌まってしまったこと。リニアトラッキングアームのプレーヤーやアンプ内蔵スピーカーも触れさせてくれた。ダブルニードルメーターのデッキなんて抜群にかっこよかった。当時のデザイン力や製品はSONYとタメを張れていたと思います。そのサービスセンターも1985年にカセットボーイの修理に訪れた際には製品も置かなくなり、さびしくなっていた。そして現在。そこには今はもう何も無いです。平屋の建物は無く、マンションがあります。

BCL255では当時のカタログと現物には違いがあります。
短波帯の文字の色がオレンジ色になっていて、緑色の文字色が黄緑色になっていました。メータのスケーリングも違っていました。今思えばカタログは試作品で写真を撮っていたのですかね。

いまアイワの最後のラジカセ磁性流体ツィーター採用(1993年頃)モデルを探しています。手元にはBCL専用で買ったクーガー2200と1997年に中古で買ったステレオジルパッブIIが現役です。
あとTPR-840ですが、高校時代友人が購入して使用していました。その前に使用していたICF-1980より音が良かった記憶があります。ただ本体の強度はSONYの勝ちだったようで。同じ様に落とした場合AIWA製はケースが割れてしまいます。肉厚が薄いためでしょうね。(その分安価であったが)。
2001.6.3記。
2004.5.23、sensonicさんからのメールを追加。