ラジカセのデザインでございます。
角張ってます。 2002年、各メーカーから発売されているラジカセのデザインは二極に分かれています。立方体を基調とするデザインと、プラスチックが融けかかったような角のない流体様のいわば「メルト」なデザインです。ひどいものになると、突起も極力デザインの流れにまかせて無理やりなくし、あくまでもクジラの昼寝のような大雑把な形のものまであります。
どうしてこんなにまでも丸まっこいデザインが氾濫しているのでしょうか。確かに丸みを与えることにより、優しさと親しみがデザインに加味されるかもしれませんが、単にメルト好きのデザイナーの悪趣味を押しつけられているような気がします。あるいは大ヒットしたある機種をただただ模倣し続けているだけかもしれませんが。
デザインとは本来「計画を記号によってあらわす」ことであり、ラジカセのデザインとは、「ラジカセのオーナーが使う快適さ・満足感・喜び」を表現しなければならないはずです。もちろん生産性を考慮した範囲内で、という但し書きはつきますが。
ラジカセを購入して使う側の状況はさまざまですが、今この機械がどういう状況にあるか直感的にわかるものはとても使いやすいんです。たとえば音量ツマミひとつとっても、▲▼の押しボタン方式のものは液晶などの状態表示があるとしてもどうしてもわかりづらい。昔ながらのスライドボリュームや回転式ボリュームツマミなら、操作部と表示部が一緒ですから状況の把握が即座にできるんです。ラジオ・テープの切り替えスイッチにしても同様。
持ち歩かないラジカセはすでにラジカセではない。リモコンつきのラジカセなんぞラジカセではないっ。
現在、お菓子のおまけのフィギアもの収集がブームになっていますが、フィギアモデラーのようなモック職人的デザイナーがメーカーには少なくなってしまっているのでしょうか。コンピューターを使ったキテレツな造形に蹂躙されてしまった現在のラジカセよりも、人肌のぬくもりをもった、オーナーに至福を与えてくれる昔のラジカセのデザインの方が、ずーっと、いいなぁ。
メルト。わざとボカしてます。
   2002.11.20記。