なにかと気になるについて。


いままでの車検

 車検とは本来使用者(以下ユーザー)が法令で定めた点検整備を行い、その上で国の行う定期的な検査を受けるものでした。 従来の車検は私達のような自動車整備業者がまず定期点検を行い、その結果により半年、1年先を見越して必要な整備をし、国の行う検査をしていました。

現在の車検

 それが外国からの圧力により規制緩和の名のもと現在の車検は、検査と点検整備を切り離し、点検整備を先にやらなくても合法的に車検を受けられるようになりました(前検査)、もちろん現在も点検と整備は義務ずけされていますので検査後に点検整備をする事になりますが。普通の人は『車検に合格したのになんで整備しなきゃいけないんだ!』と思いますよね、それは当然だと、でも実情は違うのです・・・。

 現在、車検証の裏側には、国の行う検査とはその時点での保安上の適合性を測るもので有効期間の安全性を担保するものでは無い、とありこれは国の責任を真っ向から否定して責任の所在はあくまでユーザーにあると唱っているのです。

実際の車検

 車検場の検査システムとは本来きちんと整備された事を前提に車を検査する設備なので、検査時間も短く(5、6分)、パッと見でわかるタイアやレンズなどで不合格になる事はあっても、オイルが汚く減っていたり、ブレーキが磨耗していても、はてはオートマが壊れてバックしない車でも(車検場の検査ラインは一方通行なので・・・)、とりあえず車検は通るのです、もちろんタテマエ上は不合格ですがそこまでの判定は出来ないのが実情なのです『そんなバカな』と思う方、一度ユーザ車検を受けてみましょう、もちろん代行業者にたのむのでは無く御自分で車検場へ行くのですよ!

車検の本音

 こんな車検は意味が無いと思いますよね、私も思いますが実は国にとって車検は重要な意味を持つのです。それは税金です、自動車にはいろいろな税金が掛かっています、自動車を買う時には消費税の他、取得税、重量税、自動車税がかかります。ガソリン、軽油など燃料にも税金が多く含まれてますし、高速道路も皆有料です。

 みなさんは車検の時諸費用として乗用車だと7〜8万円前払いしますよね、その中に重量税が含まれてますし、納税証明書は?とも言われると思いますがこの2つの税金は車検システムに大きく依存しているのです、つまり、車検が無くなると国税の重量税がとれないまたは徴集しずらい、地方税である自動車税の納税確認もできないなど国にとって減収につながるのです。

 
税金の疑問

 重量税について疑問もあります、例えば車検時に前払いで1年分、2年分と払いますが、廃車したときになぜ戻ってこないのでしょうか、2トンを超えるワゴン車などでは65000円も払いますが車検後に不意の事故などで泣く泣く廃車してもこの税金は戻ってこないんです、つまり規制緩和だの、ユーザーの負担軽減だのと言って車検期間を延長すると言うのは実は税収を上げることだけに他ならないのです。

 1部のワゴンRV車に乗る賢いユーザーはこれらの税負担を軽減する為に、乗用車からキャンピング車などに用途変更(構造変更)して減税処置を受けてますがこれも出る杭は打たれるようでキャンピング車の税率は上げられるようです。 

ユーザーの為の車検

 自動車のメカニズムに詳しい方でなおかつ自動車の整備を自分でやる気のある方はユーザー車検で検査を受け、点検整備も自分の責任で行う、それもひとつの方法ですね、規制緩和で自己責任が明確化されましたのですべての責任をおえるなら良いとおもいます。

 自動車のメカも整備も分らない、御自分で責任も取りたく無い、という方は安易にユーザー車検などに手を出さないのが賢明でしょう、やはり信頼のおける整備工場を見つけて、なるべく1人のメカニックに継続して担当させるのがいいやり方ですね、自動車も人間と同じで良い主治医を見つける事が重要です。

メカニックの独り言

 規制緩和から3年が経ちました、街角で最近こんな場面に遭遇します、ファンベルトからキュルキュルと音を出すうるさい車、バタバタと4気筒が3気筒になってる車、シャーシャーとブレーキのインジケータ音を出してる車などいわゆる整備不良の車が増えてます、先日飛び込みのお客さんが『急にブレーキがおかしくなった』と言うので路上へ出張、運転席に乗り込みブレーキを踏み込むとペダルが床までズッポリ、車の下を覗くと右前輪内側はブレーキオイルでベットリ、タイアを外してみるとブレーキパットがすり減ってライニングの台座しか無い、しかも鉄の台座がディスクローターを削りローターも半分程の厚みに、あまりに双方が薄くなりキャリパーのピストンが設計以上に外側に飛び出してついには外れてブレーキオイルがドバーと流出、たまたま前が空いていたので何とか止まれたそうで、恐い思いをしたらしい。

オーナーに『運転していて変な音してませんでしたか?』と聞いてみると『なんか最近外がうるさい』と思っていたが自分の車だとは思わなっかたそうで、なんとものんきな、事故にならなかったのが不思議でした。

こんな車の前だけは走りたく無いものですね。

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