
3周年のお礼に代えて
2000年7月14日
明治時代、日本にはじめて西欧式のお茶を飲ませる店ができたとき、「カフェー」と呼ばれていた。その後「喫茶店」になり、最近再びカフェがブームになっているそうだ。言われてみれば確かに、昔からある古いタイプの喫茶店は減り、洒落たカフェが目に付くようになってきた。
従来、私が好きなタイプの喫茶店は、テーブルは大きく、ゆったりしたソファーがあり、スペースも十分あるような店なのだが、このような造りにすると数百円のコーヒーではとても採算が合わないこともわかる。ヨーロッパスタイルのオープンカフェであれば店の外にもテーブルを出し、隣のテーブルと少々くっついていてもあまり気にならない。店にすればこのほうがずっと効率がよいのだろう。
またそれとは別に、最近、うまいコーヒーを飲ませる店が増えてきた。このような嗜好品は、うまいといったところで好みによる部分が大きいため評価が難しいのだが、アメリカから入ってきたチェーン店で、安くてうまい店が増えている。店の雰囲気同様、飲み物自体がおいしいに越したことはない。そのような意味でも、おいしい店が増えてきたのはうれしい。
私の最近のお気に入りはカフェ・デュモンド(阪急インターナショナルホテルの地下)のカフェオレ、ここでは必ずベニエとセットにする。それにスターバックスも関西各地に増えてきたので、見かけたらたいてい入る。食事をしたいときは神戸のハードロックカフェも利用する。このような店は、安い値段で十分おいしいコーヒーを出してくれるので、一人で本を読みたいときにも気軽に入れる。
京都も最近、喫茶店が様変わりをしている。新しくオープンした店でも、古い民家をつぶして新たに建て直すのではなく、古い部分をうまく利用して、レトロ調のカフェに仕立てている。造りは古いのに、逆に新鮮で洒落て見える。
「マジェイアのカフェ」を開いて、7月11日で丸3年になった。「カフェ」という名前をつけたのは、私自身が普段行きつけのカフェで本を読んだり、何かを考えたりするような気分で、同じことをネット上でもやってみたかったからだ。
それともうひとつ、本当はこっちのほうが大きいのだが、私自身の心の軌跡を記録しておきたいということもあった。記録するだけなら公開することもないのだが、ひょっとすると、読んで共感してくれる人が一人でも二人でも出てきてくれたら、それはうれしいことに違いないと思っていた。どれだけの数の訪問者が来てくれるのか、当初はまったく想像もできなかった。年に一人か二人でも、同じようなことに共感してくれる人が現れたら、本当にそれだけで十分であった。そのため、訪問者の数は問題ではなかった。
しかしこのような私自身の心の軌跡を書いているだけのものなのに、予想外に大勢の人が来てくださった。現在でも一日に数百名の訪問者があることがわかっている。この一年間だけで、いただいたメールの数は五千通を越えている。
ホームページを開設する一年ほど前、期間にして半年ほどではあったが、あることで随分落ち込んでいた。そのとき私自身の魂を納得させ、救うために考えたこと、気づいたことを書いただけのものにすぎないのに、驚くほどの反響をいただいた。これは私自身にとって、驚きと同時に、望外な喜びであった。
「マジェイアのカフェ」、あるいは「カフェ・マジェイア」では私が店主ということになるのだろうが、実際は店主というより、私もカフェの客のつもりでいる。行きつけのカフェでは、本と小型のノートパソコンを持って行き、そこで1,2時間本を読んだり、何かを書いたりしている。それと同じことをカフェ・マジェイアでもやっている。
いただいたメールを読むのは家にあるコンピューターの画面であっても、気分としてはカフェのテーブルに座っているときと同じである。何かのご縁でメールを下さった方がカフェのテーブルの向かいに座って、その方から身の上話や、趣味の話、仕事の話をうかがっているような錯覚におちいる。
今年の5月、東京である集まりがあった。そのとき、数十名の方とお目にかかったが、これまで一度もメールをいただいたことのない方、それも大勢からご挨拶された。いつも来てくださっている方でも、メールを出すと迷惑だと思って遠慮してくださっている方がこんなにもいてくださったことに、あらためて驚いてしまった。メールをいただくことは全然迷惑ではないので、感想でもご意見でもいただければうれしい。
そんなこんなで曲がりなりにも3年を迎えることができたのも、ひとえに「マジェイアのカフェ」「マジェイアの魔法都市案内」のファンがいてくださるからである。あらためて皆様にお礼申し上げる。