コンピュータ・クラッシュ!

 

1997年11月1日


悪いことは連鎖反応を起こすようで、先週の週末から4、5日、コンピュータ環境が悲惨なことになっていた。

<金曜(24日):朝>

土曜から月曜まで、3日間休みが取れたので、今日は仕事を詰めてやっておこうと、朝食後、コンピュータの電源を入れる。前日に買ったコンピュータ関係の雑誌に付いてきたCDをチェックすると、.... オッーー、なんだか知らんが裸のおねえちゃんがいっぱい出てきた。それもソートー過激.....。しばらく眺めていたが、朝からこんなことをしていては仕事にならないので、早々に切り上げ、ROM版『広辞苑』に入れ替える。

辞書にアクセスしているようだが、どうもおかしい。CDのドライブランプがいつまでも点滅して止まらない。さっきのCDをへんなところで抜いたので、ドライブが欲求不満になっているのかしら....。仕方なく、強制的にリセットボタンを押す。

しばらくすると、今まで見たこともないようなメッセージが出てきて、Windows95が立ち上がらない。

BIOSをチェックしてもよくわからない。一時間ほどあちこちさわってみても、どうしてもまともに立ち上がらないので、だんだん不安になってくる。ひょっとしたらハードディスクかマザーボードのトラブルかもしれないと、最悪の事態も考えてしまう。

今使っているのは自作のDOS/V機なので、だいたいのことはわかっているのだが、それでも故障の箇所が特定できない。 午前10時半ごろ、日本橋にあるDOS/V専門店にサポートの電話を入れる。このショップには天才的なサポート担当がおり、今まで何度も助けてもらった。 DOS/Vパラダイス難波店のサポート担当、ぺーさんこと平岡氏のことなのだが、ついていないときは重なるもので、平岡氏は今年の6月で会社を辞めてしまわれたらしい。ますます弱った。

話が逸れるが、このぺーさんは本当にサポートの天才だった。電話で二言、三言、話をするだけで相手のレベルを的確に把握し、その人のわかるレベルで説明してくれる。ハードやソフトに関しての知識も抜群で、どこが怪しいかをチェックする質問の仕方、そして想像力、これらが合わさって、他では絶対みられない、まさに天才的としか言いようのないサポート担当であった。

私がコンピュータを使い始めたのが1980年頃からなので、すでに16,7年になる。これまで数多くのハードメーカ、ソフトメーカに電話でサポートを頼んだが、本当にこんな人はいなかった。典型的な例は、1年ほど前、Windows95のトラブルで、マイクロソフトに電話をすると、マイクロソフトのサポート担当者には、ハードを送ってきてくれたら調べると言われた。まず電話で症状なり、状況を聞いて、それでもどうしようもなければ仕方がないが、あのときのマイクロソフトのサポート担当は、端から、何とかしてやろうというやさしさなど微塵もなかった。と言うより、本人にそれだけの実力がないからなのは明らかだった。Windows95自体のトラブルであったので、平岡氏に電話をするのも気が引けたが、相談してみると3分後にはもう完璧に直っていた。本当に力のある人にかかると、電話の応対だけで、どこに原因があるのか見抜いてしまう。

平岡氏は、おそらく、どこか他の会社に好条件でスカウトされたのだろうと思うが、返す返す、残念だ。

閑話休題。

そんなこんなで、さらに2,3時間、あちこちチェックしてみるが、まだわからない。 家にはWindows3.1であれば動く機種もあるが、それは古すぎて、今更使う気にはなれない。急遽、日本橋まで行き、ノートパソコンを買うことにした。事前の下調べも何もなく、今まで使っていたものとほぼ同じようなことができるものを探した。今回壊れたのはフルタワーの大きなものだ。それに拡張もしているので、ノートパソコンでまったく同じような性能のものを見つけるのは無理だとわかっていた。しかし、内蔵メモリーが64MBハードディスクは2GB以上、Pentium 150MHz以上というのが最低限のスペックで、これをクリアーしていたら何でもよかった。ざっと売場を見渡すと、SHARPMebius(MN-5600)が、大体この条件を満たしていたので1分でこれに決めた。それとCD−ROMのドライブが壊れている可能性があるので、内蔵用のCDドライブも一緒に購入した。

<金曜:夜>

新しいCD−ROMドライブと交換するが、やはり動かない。しょうがないから、買ってきたMebiusに普段使っているソフトをインストールを仕直す。市販のソフト類はCDに入っているので、それほど面倒でもない。問題は数十はある、フリーウェア、シェアウェアのソフトなのだ。

昔はこのようなものも、フロッピーにバックアップしていたが、インターネットになってからは転送速度も上がり、大半は数分でダウンロードできることと、雑誌にはCDの付録が付いているため、バックアップを取っていなかった。しかし実際に自分の使っているものがどのCDに入っているのかをチェックするのは面倒である。WEB上で必要なものを探してダウンロードし、入れ直したほうが早い。これらのソフトは、ほとんどがLZHの拡張子がついて圧縮されている。解凍するためには、専用のdllが必要であり、それもなかったことに気づく。このdllの場所がなかなか見つけられなくて解凍できない。自動解凍のものやZIPファイルのものは解凍できるのだが、肝心のLZHファイルがほどけない。

電子メールを確認する必要があるので、早急にメール用のソフト、Eudora-Proをインストールする。メールの確認ができるようになって、一安心できた。

続いてホームページへ転送するためのソフト、WS-FTPを解凍する。これはZIPで圧縮されていたのでできた。しかし、実際に転送しようとすると、ホームページにファイルがうまく転送できない。今まで何度もやっているので間違いはないはずなのに何度やってもエラーが出る。設定がおかしいのかと思い、同じプロバイダーにいるヘルダーリン氏にメールを送り、設定の確認をしてもらうが、使っているソフトが違うためわからない。転送用のソフトは普段、2種類使っており、一種類はヘルダーリン氏と同じものなのだが、これがLZHなので、まだ解凍できない。

おまけにインターネットに接続する際、パスワードが毎回消えてしまう。そのため、毎回パスワードを入れ直さなければならないという面倒なことになっている。これはWindows95に時々見られる現象であることはわかっていたので、インターネットで検索し、対処方法を見つける。やっとパスワードが保存できるようになった。

<土曜日:朝>

LZH解凍用の必須ファイル、unlha32.dllも見つけ、LZHファイルが解凍できるようになる。解凍したら、また新たな問題が生じてきた。ほとんどのシェアウェアはパスワードが必要で、パスワードの一覧表は壊れたコンピュータの中に詰まっている。大抵のシェアウェアは、半月前後はパスワードなしでも使えるようになっているが、機能が制限されていたり、立ち上げるたびに何かを入力しなければならなくなっており、使い勝手が非常に悪い。各作者にメールを送り、事情を説明し、パスワードを再発行してもらう。即日、大半の方からパスワードを連絡していただけた。

10時頃、契約しているプロバイダーに電話をして、ホームページにファイルを転送できないことを告げると調べてくれた。すると、原因はわからないが、確かに、私のホームページに転送できなくなっていることが判明する。このプロバイダーは、ISDNとアナログ接続の電話が異なっており、金曜の夜、それを何度かつなぎ換えているうちにおかしくなったのかもしれない。担当の人の話では、土曜、日曜は技術者が休みで対処できず、月曜まで待ってほしいと言われ、またイライラする。

<土曜:夜>

動かなくなったコンピュータを何とかして修復しようとするが、さわればさわるほど壊れそうで、とうとうあきらめる。もう一台、別のフルタワーのものを買ってきて、各、パーツを順に差し替えて行けば故障の個所が見つけられそうなので、本気でもう一台、購入しようかと思う。しかし、どこかに修理に来てくれるようなサービスはないかと思い、インターネットで検索してみると、大阪に一件あることがわかった。「PCドクターPICL(ぴっくる)」という、修理派遣会社だ。

<日曜:朝>

朝、「PICL」に電話を入れる。日曜の早朝(9時頃)のことでもあり、たぶんだめだろうと思ったが、さすがに「急患」も扱っているらしく、応対してくれる。感じのよい人で、事情を話すと、火曜日に来てくれることになり、少し安心する。

<月曜日:朝>

ホームページを開設しているプロバイダーから電話があり、何かの拍子にパスワードが文字化けをしており、そのため接続できなくなっていたことが判明する。その後、すぐに使えるようになった。

<火曜日:昼>

「ぴっくる」から往診に来てくれた田辺氏にチェックしてもらうと、やはりCDドライブがおかしくなっていることがわかる。そのCDドライブと、一台目のハードディスクが同じケーブルでつながっていたので、CDのドライブで起こった電気的なトラブルがハードディスクに感染して、ハードディスクに書き込まれている情報が一部消えてしまい、立ち上がらなくなっている可能性が高いということになった。消えたら困るデーター類は2台のハードディスク、両方にコピーして保存してあるので、どちらかのハードディスクが助かり、Windows95が立ち上がるようにしてもらえたらOKなのだ。

面倒なので、立ち上がらなくなったハードディスクをフォーマットし直し、Windows95を再インストールしてもらうと、無事動いた。さすがにプロはエラい!
同じケーブルにハードディスクとCDドライブはつながないほうがよいと教えてもらい、接続仕直してもらう。とにかく、2時間半ほどで、無事動くようになったのには感激した。治るのなら、10万円でも安いと思っていたが、出張してもらって28,000円は安い。

このような派遣の修理は、技術者の技量がまともにわかってしまうので、生半可なことではできない仕事だろう。 修理に出していたら半月ほどかかるし、故障個所も実際にはこちらには不明だから、いくら請求されてもわからない。実際、ひどい例では、マザーボードの電池切れで、実費1,000円で済むものを10万円請求されたという例が誰かのホームページに載っていた。

CD−ROMドライブだけ、買ってきておいたものと交換してもらい、その他は何も追加しなくてもよかったので、助かった。二日ほど前はいいかげん頭にきて、これも廃棄処分にしようかと思っていたのに、無事動くと、なんだか愛おしくなってきた。ケースをかぶせる前に、内部を掃除用のスプレーできれいに掃除する。

ざっと以上が今回のトラブルの顛末なのだが、これで気づいたことと、また同じようなことが起こった場合の対策をまとめておきたい。と言っても、コンピュータが壊れたとき、どの程度困るのかは人により様々なので、最初に、自分はどの程度困るのかを確認することが重要になってくる。

.コンピュータが半月くらい使えなくても困らないのか、それとも1日でも使えないと困るのか。

2.インターネットで送られてくるメールは毎日確認する必要があるのか。

3.自分で作った文書、メール、各種データがハードディスクのクラッシュで読めなくなった場合、どの程度困るのか。

私の場合、1日でもコンピュータが使えないと困る。特にメールが読めないと大変困る。仕事関係やプライベートのメールが、国内、海外から毎日届くので、こまめにチェックする必要がある。

自作の文書、各種データが壊れるのは最悪なので、これは何重にもバックアップを取ってある。特に阪神大震災以降、何があるかわからないので、銀行の貸金庫にも最重要データは保管してある。

つまり、バックアップにはハード面とソフト面を考慮しておく必要があることがわかった。今回の失敗を踏まえて、教訓なのだが、

<教訓>

えっちCDは途中で抜かないで、最後まで見てから抜くこと。ヘンなところで抜くと、ハードの機嫌を損ねることがあるかもしれない。

<ハード>

本当に仕事で使っており、1日でも使えないと困るのであれば、ほぼ同じことができるコンピュータをもう1台準備しておき、どちらでもまったく同じようにできる準備をしておくことが絶対必要。これができているのなら、後のことは比較的簡単に済む。

しかし、一般の家庭で、同じものを2セット準備しておくのは大変だと思うので、もう少し現実的なバックアップの方法を考えておく。

同じ性能のコンピュータをもう一台準備するのは無理な場合、できないと困ることがあるのなら、それだけでもカバーできるサブのコンピュータを準備しておく。

故障の箇所にもよるが、数日間、今まで使っていたものが使えないとなると、サブのコンピュータでも、キーボードとCRTはなるべく同じものが使えたほうがよい。

キーボードというのは、普段はまったく手元を見なくてもリターンキーやCTRLキーの場所を指先が覚えている。そのため、意識もせずにその場所に指が勝手に行く。しかし、これが新しいキーボードだと微妙に位置が異なっており、慣れるまで結構なストレスになる。 しばらく使えばなれると思うが、その間、作業能率は激減するし、肩も凝る。

私の場合、普段使っているのは一般的なDOS/V用のキーボードなので、ノートパソコンであっても、このキーボードやCRT、マウスなどが接続できると助かる。今回購入したMebiusは、CRTとマウスはそのまま接続できたが、キーボードはオプションの接続部品が必要になる。

<ソフト>

★ハードディスクの中では大きな容量をしめているのが市販のソフトだが、これはほとんど問題にならない。CDで再インストールすればそれほど面倒でもない。

★本当に重要なのは、自分で作った文書、メール等で、失うと二度と手に入れられないものが数多くあるはずだ。これらは、当然、何カ所かに分けて保存しておく。ハードディスクが2台以上つながっているのであれば、各ハードディスクにデータ保管のディレクトリーを作って両方に入れておく。同時に、必ず外部の記憶装置、フロッピーやMOなどにも保管しておく。

★毎日のように使っているフリーウェア、シェアウェアがあるのなら、外部にバックアップを取ると同時に、それを動かすのに必要なdll類も一緒に保管しておく。パスワードが必要なものは、フロッピーケースや紙に書いて保存しておく。

★できれば、Windows95の設定をそのままコピーしておき、新しいコンピュータを買わなければならなくなったとき、直ちに前と同じ設定に戻せるようにしておくと便利。 これはある程度コンピュータの知識がないと難しいのだが、簡単な方法では、MOや他のハードディスクにwindowsのディレクトリーを丸ごとコピーしておくか、手軽なものでは修復用のソフト、"NORTON Utilities"などを使うと便利である。

ハードディスクがこれほど大容量になってくると、トラブルが起きたときの悲惨さは、経験したことのあるものしかわからない。特に、様々な拡張をしている場合など、設定を仕直すのは予想外に面倒になる。このような時に備えて、Windowsやその他BIOSの設定などを一括して記憶しておいてくれるこの種のソフトは必須かもしれない。

NORTON Utilitiesは10年以上前、DOSのころ使っており、何度かこれのおかげで助かった経験がある。Windows95になってからは暴走やトラブルも減ったので、組み込むのを忘れていた。今回のトラブルでも、これを最初から組み込んでおけば復旧できたかもしれないのに残念だ。昨日買ってきて、早速、組み込んだ。

★特殊なケースかもしれないが、修理に出さなければならないときのことを考え、ハードディスクの中で、人に読まれると絶対にまずいものがある場合、ハードディスクにはなるべく保管しないようにする。どうしても入れておく必要があるのなら、面倒でも「暗号ソフト」を使って、読めない状態で保管しておくことが望ましい。明らかにハードディスクの故障とわかっているのであれば、新しいハードディスクを自分で交換してもよいのだが、故障個所が不明で、専門家に見てもらわなければならないようなときは、ハードディスクを入れたまま修理に出す必要があるとき困ることになる。

他人に見られたり、読まれると困る書類というのは、仕事上の極秘の案件、不倫相手とのメール、えっち画像の収集(こんなものは困らないか)と、人によっていろいろあるだろうが、もし他人に見られたら「絶対困る」というものがハードディスクに入っているのなら、そのことも考慮しておいたほうがよい。今回の私の場合でも、特殊な契約書があり、これが一番気になった。修理に出す場合、誰がどこで修理しているのか、そして修理後どこに保管されているのかが不明なので気になる。

完全復旧させるのに、結局丸1週間、かかってしまった。せっかくの臨時の3連休も飛んでしまい、そのしわ寄せで、今日から始まる3連休(11月1日−3日)まで休めなくなってしまった。

休みは消えたが、Cドライブは、今まで不要なソフトも数多く入っていたので、フォーマット仕直したことで、それも消えてしまい、すっきりした。

以前からバックアップ専用のハードを購入しようと思っていたのだが、あまりにも数多くの種類があり、どれが適当か検討しようと思っているうちに今回のトラブルになってしまった。 MO, ZIP, PD, jaz, CD-R, DVD-ROMとそれぞれ一長一短があるのだが、MOが一番普及しているようなので、これにしようかと思っている。

とにかく、自分の使っているコンピュータが突然クラッシュしたときのことを想像し、復旧させる優先順位を考慮して対策を立てておくことは無駄ではないだろう。

マジェイア


indexIndexへ homeHomeへ

k-miwa@nisiq.net:Send Mail